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門井慶喜『天才たちの値段-美術探偵・神永美有』

  • 2010/02/22(月) 11:22:45

才たちの値段―美術探偵・神永美有 (文春文庫)
天才たちの値段―美術探偵・神永美有 (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
一枚の絵が「もし贋物なら、見た瞬間、苦味を感じ、本物なら甘みをおぼえる」という天才美術コンサルタント・神永美有が、短大の美術講師・佐々木昭友と二人で鑑定にまつわる五つの難題に挑戦。ボッティチェッリ、フェルメールから江戸時代の涅槃図まで、古今東西の名品たちが問いかける。美術とは何か。

短大で美術講師をする佐々木昭友と、美術コンサルタントの神永美有のコンビが美術品の真贋を見極める過程を描いた連作短編集。

美術品にまつわる薀蓄話って好きなので面白く読めました。
「舌で美術品の真贋が判断出来る」(「本物」を見ると舌が甘味を感じる、らしい)という神永の設定が変わっていて面白かったです。
それだけだったら単なる特異体質でしかないけど、神永の場合はそれを裏打ちする知識と、記憶力、競争相手を出し抜く冷静さ、判断力も持ち合わせているという設定。
いわゆる「天才」ですね。
それに対して佐々木は勉強熱心な努力家で、普通よりは専門知識は持っているけれど、神永に比べれば凡人という位置づけ。
キャラクター的には神永一人の活躍でも何とかなってしまいそうな感じですが、そこに敢えて佐々木を語り手として登場させるのは神永の天才的才能と神秘性を高め、同時に他人を尊重し友情も築ける部分を描くことで好感度も高める働きもあったと思います。

ただ、この作家さんの作風なのかもしれませんが、セリフとか情景、心理描写が回りくどいというか思わせぶりというか、意味が掴みにくい感じで書いてあることがあって「だから結局何が言いたいの?」みたいな気分になってしまうことも多々ありました。
クライアントに美術品の話をしている場面とかならある程度仕方ないと思うのですが、プライベートな会話くらいはもっとシンプルに判り易くしてほしかったです。

それに、テーマが美術品だったりすると(書いてある作品が実在するのかどうかは判りませんが)どうしても実物を見たくなりますね。
作品について文章ですごく丁寧に解説されてはいるのですが、内容が面白ければ面白いだけ「実際はどんな作品を見ながら話をしているのだろう」と気になって仕方ありませんでした。

この作品は佐々木が神永のいる東京を離れ、京都の大学に助教授として赴任するのを決意したところで終わっているので「この作品だけなのかな?」と思ったら、どうやら続編がある模様。
(『天才までの距離』。早速図書館に予約済み)
次はどんな展開になるのか楽しみです。

表題作の他、「紙の上の島」「早朝ねはん」「論点はフェルメール」「遺言の色」の5編を収録。

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