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田中啓文『元禄百妖箱』

  • 2010/01/31(日) 11:18:19

元禄百妖箱
元禄百妖箱

内容紹介
日本推理作家協会賞短編部門受賞第一作!
五代将軍・徳川綱吉は狐に取り憑かれていた!
それを知った神官が放つ暗殺者。
奇想天外な切り口で「忠臣蔵」を描いた日本推理作家協会賞短編部門受賞第一作!

天下の悪法・生類憐れみの令を発布した五代将軍綱吉、その母・桂昌院、寵臣の柳沢吉保の3人は実は強力な力を持った狐に取り憑かれていた。
その狐を退治するために立ち上がった神官・羽倉斎は偶然にも彼らの弱点であるある品物を高家筆頭・吉良上野介が所有していることを知る。
羽倉は殿中・松の廊下での刃傷事件を利用して上野介からこの品物を奪い取る計画を立てる…というお話。

要するに「異聞・忠臣蔵」ですね。
四代将軍家綱が死んで綱吉が次代将軍になるところから始まるので、なかなか内容が把握出来ず、しかもこの狐付き3人の所業がかなり悪辣に書かれているので最初のほうはちょっと読むのがきつかったですが、話がよくある忠臣蔵に沿ったものになってきたあたりから、(別にギャグではないのですが)笑える部分もあったりしてグンと読みやすくなりました。

特に大石内蔵助のキャラクター設定がツボでした。
「昼行灯」というのは「敵を欺く仮の姿」ではなく、本当にそういう人物であり、浅野家が改易になるときも「迷惑だ。早く面倒事から逃げ出したい」と逃げるチャンスばかりを伺っていたような人物になっています。
その大石がどのようにして「吉良家討ち入り」という、先には「死」しか待っていないような面倒事の先頭に立つ気になったのかの描写が面白かったです。

荒唐無稽な内容でありながら、個々のエピソードはきちんと史実に合わせた説得力がある描写で読み応えがありました。

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坂木司『ワーキング・ホリデー』

  • 2010/01/18(月) 12:53:50

ワーキング・ホリデー (文春文庫)
ワーキング・ホリデー (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
「初めまして、お父さん」。元ヤンでホストの沖田大和の生活が、しっかり者の小学生・進の爆弾宣言で一変!突然現れた息子と暮らすことになった大和は宅配便ドライバーに転身するが、荷物の世界も親子の世界も謎とトラブルの連続で…!?ぎこちない父子のひと夏の交流を、爽やかに描きだす。文庫版あとがき&掌編を収録。

元ヤンキーのホスト・ヤマトの前に突然「息子」と名乗る少年・進が現れる。
母親・由希子から「お父さんは死んだ」と聞かされていたが、あることをきっかけにヤマトの存在に気付き連絡先を探して訪ねてきたという。
突然のことに動揺するヤマトだったが、進の決意に押されて夏休み限定で一緒に暮らし始める、という設定。

物語はこの「初対面の父子」によるひと夏の共同生活の様子が連作短編で描かれています。

基本の設定にけっこう突っ込みどころ(例えば、いくら別れてから会っていなかったとはいえ妊娠したり子どもが生まれていたりしたら噂くらいは聞こえて来るものなんじゃ?とか、今まで子どもがいることも知らなかったのにいきなり「息子です」って言われてそんなに簡単に信じてしまえるもの?とか、今まで「死んだ」と聞かされていた父親が実は生きていてしかも元ヤンでホストだっていうのにそんなに素直に慕うことが出来ちゃうもの?とか、いくら本当の父親だからって全く会ったことのない子どもを一人で行かせて不安じゃなかったの?とか)はあったのですが、読み始めてしまえばそういう部分は「ま、いっか」と思えるくらい面白くてスルスル読めました。
坂木さんの作品は本当にリーダビリティがいいですよね。
1作ごとに上手くなっている気がします。

登場人物も魅力的です。
元ヤンキーでけんかっ早いヤマト、家事が得意で面倒見がいいけど口うるさい進の父子をはじめ、ホストクラブのオーナー・ジャスミン、ナンバーワンホストの雪夜、常連客のナナ、ハチさん便営業所の社員、進の友人たち・・・など個性的で、キャラクターがしっかりした脇役たちが物語を盛り上げています。

サクッと読めて、読んだ後に暖かい気持ちになれるいい作品でした。

ただ、あまりにも口当たりが良すぎて引っ掛かりがないのが難点といえば難点かも。
登場人物に嫌な思いをして欲しいというわけではないのですが、もうちょっとひねりがあってもよかったような気がします。

この作品も続編がありそうな終わり方でしたので、次の作品を期待したいと思います。
今度は、ジャスミンや雪夜やナナが中心の話が読みたいな。

赤川次郎『鼠、江戸を疾る』

  • 2010/01/16(土) 12:50:38

鼠、江戸を疾る (角川文庫)
鼠、江戸を疾る (角川文庫)

出版社 / 著者からの内容紹介
江戸の庶民の喜怒哀楽を細やかに描いた、赤川次郎、初の時代小説!
江戸の町で噂の盗賊、「鼠」。その正体は、「甘酒屋次郎吉」として知られる遊び人。妹で小太刀の達人・小袖とともに、次郎吉は江戸の町の様々な事件を解決していく。

鼠小僧次郎吉を題材にした時代小説。
赤川さんにとって初めての時代小説とのことですが、すごく上手!
かなり楽しめました。

どの話も、物語の中心になる人物と次郎吉とその妹の小袖が知り合うきっかけ、その後彼らに手を貸すことになる経緯など話の運び方がスムーズだし、全体的に会話中心に進んでいくのでテンポもよくとても読みやすかったです。
天才的な盗賊で腕も立つ次郎吉と、勝気で小太刀の達人でもある小袖の兄妹のキャラクターも嫌味がなくて好感が持てました。
一話ずつの起承転結がしっかりしているし、何よりラストが時代小説らしい人情味溢れる結びになっているので読後感もとてもよかったです。

どの話にも斬り合いなど盛り上がったりハラハラする場面も必ず一つ入っているので、このままTVドラマ化しても面白そうな内容でした。
ホントにやったら絶対見るけどなあ♪

「鼠、起つ」「鼠、泳ぐ」「鼠、化ける」「鼠、討つ」「鼠、騒ぐ」「鼠、落ちる」の6編を収録。

五十嵐貴久『土井徹先生の診療事件簿』

  • 2010/01/14(木) 12:48:22

土井徹先生の診療事件簿
土井徹先生の診療事件簿

内容(「BOOK」データベースより)
殉職警官を父に持つ令子は、24歳にして南武蔵野署の副署長。毎日暇にしていたら、「命を狙われている」と訴えるノイローゼ気味の偏屈な老人を訪ねることに。その老人宅で出会ったのが、病気のダックスフントを往診していた獣医の土井徹先生とその孫・桃子。ダックスフントと「話した」先生は、驚きの真実を令子に告げる…(「老人と犬」)。いつでも暇な副署長・令子、「動物と話せる」獣医・土井先生、おしゃまな先生の孫・桃子。動物にまつわるフシギな事件を、オカシなトリオが解決。心温まるミステリー。

殉職した優秀な刑事を父に持ち、自分は東大を卒業後、南武蔵野署の副署長として赴任した令子が主人公。
と言っても、別に「父の仇を取る」とか「遺志を継いで」ということではなく、のんびり構えているうちに就職戦線に乗り遅れ、たまたま受けた公務員試験に通ってしまったために警察庁に入った(厳密には「入れられた」)ので本人にやる気がないし、周囲(上司や部下)も別に何をしてくれるとも期待していない、という設定。
この、素材はよさそうなのに居場所が見つけられず覇気のない生活を送っている令子をサポートするのが偶然知り合った動物病院の院長・土井先生。
たまたま令子が担当することになった事件(いずれも「動物」が絡んでいる)の話を聞いて、その動物の生態などから意外な真実(ときには犯人)を指摘して令子を助ける・・・という話。

読みやすかったし、設定も面白かったのですが、残念ながら内容はそれを活かせていなかったように思います。

何より主人公の令子が魅力的じゃないんですよねえ。
確かに警察にいるすべてがよく小説やドラマに出てくるような「生まれつき警察官」だったり「犯人逮捕に命を掛けている」という人間ってことはないだろうから、こういう設定も面白いかもしれないけど、それでもせっかくいい大学を出ていい待遇で就職した若者がいつまでも「やることがない」「やる気がない」とダラダラしている描写が多いのはいかがなものか、という気がします。
しかも着任して半年くらいの話だったらまだしも、この作品の中で2年も経っているのに状況が変わらないというのは…どういう方向に行くのが正しいのかは判らないけど、少しは変化したり進歩したりして欲しいと思うのです。
更に事件の謎解きも他の人にしてもらうなら令子が主役でいる意味はないのではないでしょうか。
タイトルも「土井徹先生の~」とあるんだから、土井先生が主役でも何の差支えもないかと。
例えば土井先生の病院に仕事が上手くいかない令子がペットの診察にかこつけて相談に行く、といった設定の方が無理がないような気がします。

「老人と犬」「奇妙な痕跡」「かえるのうたが、きこえてくるよ」「笑う猫」「おそるべき子供たち」「トゥルーカラー」「警官殺し」の7つの短編が収録されているのですが、最後の「警官殺し」はすごく中途半端なところで終わっています。
タイトル通りひとりの警官が殺される事件が発生、犯人は捕まるのですが、その供述が怪しいのではないかと土井先生にほのめかされ令子が「真実を自分で突き止める」と決意するところで終わっているのです。
令子が変わっていくきっかけになるのかなとは思うのですが、その後の展開がまったく不明なまま終わってしまうのはかなり不親切だなあと思います。
次の展開への布石なのかもしれませんが、出来れば解決編までこの本の中に入れて欲しかったと思いました。

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