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◆Date:2009年11月
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岡井崇『ノーフォールト(上・下)』

  • 2009/11/28(土) 12:37:08

ノーフォールト(上)
(ハヤカワ文庫JA)

ノーフォールト(上)(ハヤカワ文庫JA)
ノーフォールト(下)
(ハヤカワ文庫JA)

ノーフォールト(下)(ハヤカワ文庫JA)

内容(「BOOK」データベースより)
城南大学病院に勤める女性産科医・柊奈智は、深夜の当直で容態が急変した妊婦に緊急帝王切開手術を行なう。ギリギリの判断が幸いし、子供は無事に生を受けた。だが喜びもつかの間、数日後に原因不明の出血が母親を襲う。医師たちの懸命の治療の甲斐もなく、出血の原因がわからないまま、母親は死亡してしまった。患者を救えなかったことでショックを受ける奈智。だが、それは、さらなる試練の始まりに過ぎなかった…。

現在日本テレビで放映中のドラマ『ギネ 産婦人科の女たち』の原作です。
ドラマの評判は今ひとつのようですが、原作の小説は評価が高かったので読んでみました。

緊急手術、その後の治療、母親の死、遺族による訴訟、その法廷での尋問に耐えられず病院を辞めることを考える主人公、そして…という流れがシンプルに判りやすく書かれているので読みやすかったし、それでいて臨場感もあり面白かったです。

ドラマは2~3回、それもチラッとしか見ていないのですが、人間関係や設定、エピソードがかなり追加・変更されて複雑になっていて、小説を読んで感じたストレートな主張がぼやけてしまっているように思えました。
何より、主役の奈智のキャラクター設定が小説とドラマではほぼ180度違うのです!
私はドラマを先に見ていて「仕事は出来るが独善的で周りから浮いているキャラクター」の奈智の性格がとても苦手だったので、「こんな人が主役だったら小説も面白く読めないかも…」と思ってしばし読むのを躊躇していたくらいなのですが実際に読み始めたら「優秀で研究熱心、何より患者の心に沿った治療により患者はもちろん上司や同僚にも信頼されている若手医師」が出てきたのでかなりビックリしました。
いくら脚色するとは言っても主役の性格をここまで変えてしまう意図というのは何なのでしょうか。
確かにTVドラマにはちょっと印象的なキャラクターの方がいいのかもしれませんが、それにしてもちょっと変えすぎそして怖すぎです…。

著者である岡井氏は現役の産婦人科医であるとのこと。
作中にはメインストーリーに絡んで医療の現状やそれに対する改革案など著者の主張も表現されています。
この部分が小説の一部としてはちょっと唐突で、かつ冗長な感じがしないでもないのですが、書いてある内容自体は非常に興味深く、現在の医療制度を理解し、今後どうあるべきかを考えるいい材料だと思えました。

ドラマを見て原作を敬遠してしまう人がいるかもしれませんが、この作品に関しては設定とメインストーリーの流れだけを参考にしているという程度でドラマと小説は別物と考えたほうがいいような気がします。
ドラマが苦手でも小説は面白く読めることもあると思いますので医療問題に興味があったら読んでみて下さい。

「ギネ 産婦人科の女たち」公式サイト

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岳真也『土方歳三 修羅となりて北へ』

  • 2009/11/18(水) 12:28:08

土方歳三修羅となりて北へ
土方歳三修羅となりて北へ

内容(「MARC」データベースより)
負けても、負けても、生ある限り戦う! 鳥羽・伏見から江戸、甲州、下総流山、宇都宮、会津、そして箱館・五稜郭へ-。戦い、戦いぬいて「義」に殉じた土方歳三の壮絶な生きざまを描く長編時代小説。

図書館で本を探しているときに見つけた一冊。
鳥羽伏見の戦いでの敗戦以降、生きる(あるいは死ぬ)場所を探して北へ転戦していく新選組を土方を中心に描いた作品です。

タイトルに土方の名前が入っていたら借りないわけにはいかないでしょう、ということで借りたのはいいのですがなかなか読めなくて結局読み終わるまでに1カ月近く掛かってしまいました。
新選組を扱った作品の中で何度も読んだことがある時期の話で切り口としても特に新味があまりなかったし、文章も丁寧なのですがその分盛り上がりが今ひとつ。
また、土方の人物設定も主役のわりにちょっと弱かったかな~、という印象でした。
まあ、これは、私自身が新選組関連本を何冊も読んでいるので、つい他と比べてしまうからなのですが。

回想として描かれる鳥羽伏見以前のエピソードの挿入方法や、転戦の途中足の指を負傷した土方が会津で(思い通りにならない身体にイライラしながら)療養していたあたりの記述は興味深かったです。

それにしても、会津藩主・容保公はやっぱり素敵ですね。
この作品にはちょっとしか登場しないのですが、容保公が土方に掛けた一言に暖かい人間性が感じられました。
彼を主役にした小説が読んでみたくなりました。
今度探してみよう。

三浦しをん『風が強く吹いている』

  • 2009/11/03(火) 12:25:21

風が強く吹いている (新潮文庫 み 34-8)
風が強く吹いている (新潮文庫 み 34-8)

内容(「BOOK」データベースより)
箱根の山は蜃気楼ではない。襷をつないで上っていける、俺たちなら。才能に恵まれ、走ることを愛しながら走ることから見放されかけていた清瀬灰二と蔵原走。奇跡のような出会いから、二人は無謀にも陸上とかけ離れていた者と箱根駅伝に挑む。たった十人で。それぞれの「頂点」をめざして…。長距離を走る(=生きる)ために必要な真の「強さ」を謳いあげた書下ろし1200枚!超ストレートな青春小説。最強の直木賞受賞第一作。

すごく面白かったです。

文章もストーリー展開もキレとスピード感があって、ぐいぐい先へ先へと引っ張られます。
竹青荘のメンバー10人もそれぞれ個性的で、しかもその個性がきちんと描き分けられしっくりとその人物たちに寄り添っているのでそれぞれに感情移入が出来ました。
昨日の朝読み始めて通勤途中やお昼休みにちょっとずつ読んでいたのですがあまりに面白くて続きが気になって仕方ない。
その後、帰宅してから読み始めたら止まらなくなって今日は休みということもあって午前3時まで掛けて読了しました。

私は運動は苦手だし嫌いです。
特に足がすごく遅いので、小さい頃から走ることでいい思い出は一つもなくて体育の授業も運動会も大っ嫌いな子供でした。
なので、大人になって一番よかったのは「無理矢理走らされることがなくなった」ことです(笑))
そんなふうにスポーツとは無縁の生活を送ってしまったため自分がやることはもちろん人がやっているスポーツにもあまり感心はないのですが、お正月に放送している箱根駅伝は何故か毎年(といってもここ数年のことですが)けっこう楽しみに見ています。
(他に面白いTV番組がないというのもありますが(笑))
優秀なメンバーを揃えたチームが圧倒的な強さで勝つという方程式があまり当てはまらず、それぞれのコースを走るメンバーがどんどん代わっていくことで展開が一気に変化する可能性があることや、団体競技と個人競技の2つの特徴を1つの競技の中に合わせ持っているその微妙なバランスを面白く感じます。
また、試合中に生まれる悲喜こもごものドラマもこの競技の魅力。
工程が長く、ランナーが多い分いろんなことが起こりがちですよね。
なので試合終了後に放送される舞台裏ドキュメントなんかも見ちゃったりします(TV局の思うつぼですね(笑))

でも、そう思いつつも自分自身が楽しさを知らないので、心のどこかには「なんだって正月早々こんな寒いところを必死で走ってるんだ、この若者たちは」という根本的な謎があったりするんですよね。
(これはマラソンとか見てても同じ感想を持つのですが)

そんな私にとって、これは「走ることの快感」をちょっとだけ疑似体験させてくれるような作品でした。
特に10人のメンバーがそれぞれの想いを抱きながら与えられた自分のコースを疾走するシーンにたくさんのページを割いてあったのがとても良かったです。 彼らが感じた風の感触の何万分の1かを頭の中でほんの一瞬イメージできたような気がします。

10人のメンバーがみんなムチャクチャいいヤツばっかりだとか、10人のうち7人は陸上経験がないし予選会の半年前から本格的に練習を始めたばっかりなのにこの結果、とか「それはちょっとあり得ないでしょう」ということもけっこうあるのですが、それはそれで「お話」としてアリだ、と思えました。
逆に「こうなるからこそ「小説」なのだ」という気がしますね。

良質な青春小説だと思います。お薦めです。

ちょうど映画化作品が公開中なのでこちらも見てみようかなという気になりました。
ただ、この小説の文体自体が非常に映像的で、読みながらずっと走(カケル)や灰二(ハイジ)たちが走ったり笑ったりケンカしたりする様子を思い描きながら読んでいたので、実際の映像とギャップがあるとガッカリするかも、という心配もあるのですが。

映画「風が強く吹いている」公式サイト

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