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◆Date:2009年10月
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赤川次郎『霧の夜の戦慄 百年の迷宮』

  • 2009/10/12(月) 12:19:16

霧の夜の戦慄 百年の迷宮 (角川文庫)
霧の夜の戦慄  百年の迷宮 (角川文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
16歳の少女・綾は、父親を不慮の事故で亡くし、スイスの寄宿学校に留学することになった。寄宿舎での1日目、不思議な睡魔に襲われた綾は意識を失う。そして気がつくと、なんと1888年のロンドンで「アン」という名で暮らしていたのだ!街は、殺人鬼(切り裂きジャック)の影に怯えていた。以前からこの事件に興味をもっていた綾は、自分の手で捕まえると意気込むのだが―。時空を超えて繰り広げられるミステリー。

赤川氏の作品を買うのは(多分)初めてです。
(読んだことは何度かあるかも。『ふたり』とか)
買わないことに特に理由があったわけではなく、あまりにもたくさん売っていると却って買う気がしなくなるという天の邪鬼な性格のせいです(笑)
今回は新刊文庫の棚に平積みになっていて、しかもいつもの赤川氏の作品らしからぬ暗いイメージの表紙だったので手にとってパラパラ読んでみて「面白そうかな」と思ったので購入しました。
(文庫版の表紙イラストは、以前読んだ有栖川有栖の『白い兎が逃げる』のカバーを描いたのと同じ牛尾篤さんです。)

両親を失ったあとスイスの寄宿学校に留学した16歳の少女・綾が、現代と1888年のロンドンを行き来して「切り裂きジャック」の正体を突きとめる、というお話。

冒頭からすごくスピーディな展開で、いろんな要素が次々出てくるので飽きることはありません。
文章も非常に判りやすいので、内容がかなり込み入っているのにすんなり読めるし。
しかも、この綾(=アン)が16歳の女の子(しかも社長令嬢)とは思えないほど肝が据わっていて、自分からどんどん危険な場所に足を踏み入れていくのでハラハラする場面がたくさんあったのも楽しかったです。
逆に「あまりにも順応性が高すぎじゃないですか?」と心配になるくらいでした^^;
普通のタイムスリップものみたいに本人として時間移動するわけではなく、また時代によって別の人格になるのにそれぞれの時代の記憶をお互いに保持したままになっているというのも結構斬新な設定でした。

ただ、いろんな要素をたくさん詰め込みすぎたため、物語の中で消化し切れていないエピソードもあったような気がします。
例えば、アンドリューの死んだ兄・ケンのこととか、綾が死んだ父の跡を継いで会社の社長になる話とか、母親が失踪した原因とか…「え、この話はこれで終わり?」って話がけっこうたくさんありました。
特に綾の両親の話はあれでホントによかったの?という終わり方。
「それじゃあ、あまりにも勝手すぎませんか?」と私なんかは思ってしまったのですが、当の綾はニッコリ笑ってエンディング。
「あれで納得できるなんて、なんて大人なんでしょう」…と思ったのでした。

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大倉崇裕『福家警部補の再訪』

  • 2009/10/12(月) 12:16:40

福家警部補の再訪 (創元クライム・クラブ)
福家警部補の再訪 (創元クライム・クラブ)

内容(「BOOK」データベースより)
鑑識不在の状況下、警備会社社長と真っ向勝負(「マックス号事件」)、売れっ子脚本家の自作自演を阻む決め手は(「失われた灯」)、斜陽の漫才コンビ解消、片翼飛行計画に待ったをかける(「相棒」)、フィギュアに絡む虚虚実実の駆け引き(「プロジェクトブルー」)…好評『福家警部補の挨拶』に続く、倒叙形式の本格ミステリ第二集。

以前読んだ『福家警部補の挨拶』に続く、シリーズ第2弾。
「マックス号事件」「失われた灯」「相棒」「プロジェクトブルー」の4編を収録。

背が低く、地味で童顔、年齢不詳。およそ警察関係者それも殺人事件の現場の責任者には見えない外見の福家が、相変わらず飄々と難事件を解決していきます。
現場で見つけた小さな欠片から、その向こうにあるものを見透かてその姿を捉え、そうしたものを積み上げることによって犯人が隠そうとした真実を確実に辿り着く福家の手腕が小気味いいです。
あまりにも真っ直ぐにそこに向かっていくので少し「出来すぎ?」と思えてしまう部分もなきにしもあらずなのですが、それ以上にストーリーの持つスピード感と「次は何をするんだろう、言い出すんだろう」という期待感が優っていて最初から最後まで一気に読めました。

また、今回は事件の関係者(証言者)たちから事件とは関係のないところで(しかも福家本人はそうと意識しないうちに)、一目置かれる存在になってしまっているという描写がさりげなく入っているところが「巧いな~」と思いました。

次が楽しみなシリーズです。

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