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◆Date:2008年09月
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山本一力『赤絵の桜 損料屋喜八郎始末控え』

  • 2008/09/27(土) 10:48:16

赤絵の桜―損料屋喜八郎始末控え (文春文庫 や 29-7)
赤絵の桜―損料屋喜八郎始末控え (文春文庫 や 29-7)

内容(「MARC」データベースより)
損料屋に身をやつし、与力の秋山や深川のいなせな仲間たちと力を合わせて、次々と難事件を解決する喜八郎。江戸で繰り広げられる痛快事件簿、シリーズ第2弾! 短編連作5篇を収録。

シリーズ2作目。
1作目(著者のデビュー作)を読んでいたので2作目も、と思って読んでみたんだけど…1作目を読んでから随分時間が経っていた(6年)ので設定を殆ど忘れていて、最初のうちなかなか物語に入っていけなかった。
特に登場人物が多く、それぞれが重要な役割を担っている山本作品なので、彼らの人間関係が不明なのは致命的。
喜八郎が(当然)主役なのは覚えているけど、喜八郎以外に頻繁に出てくる「伊勢屋」と「米屋」と喜八郎の力関係がよく判らないのがもどかしい。
加えて一話目の「ほぐし窯」はその中ではある組織による悪事と喜八郎がそれに対抗するために動き回る姿が描かれているんだけど、その悪事の仕組みもよく理解できなくてわけが判らないまま終わってしまった印象だった。

二話目以降からはそれでも何となく話が見えてきて楽しめた。
話の内容は一話目から基本的な部分はずっと繋がってはいるけれどそれを別の登場人物、別の角度から描いてそれぞれ単独でも読めるようになっているし、何より個性的な登場人物の設定や細かい場面描写、小さくそして何気なく見えて実は印象的なエピソードの積み重ね…といった山本作品の魅力が満載で読みやすかった。

ラストの「初雪だるま」では、前作の感想で「この後どうなったのか気になる」と書いた喜八郎と江戸屋の女将・秀弥のこともちゃんと書いてあった。
いくら気に入らない相手を慌てさせたいからといって、こんなに大がかりでお金も掛かることを企む江戸のお大尽たちの遊び心に驚く。
しかも、結果として相手を不幸に陥れるのではなく、幸せを手に入れる後押しをする形で終わるようになっているという人情と度量が生きた設定が素晴らしく、読んだ後満足して本が閉じられる内容だった。

でも、人物設定がうろ覚えってことで何となく気分的に中途半端な感じが抜けないので、近いうちに1作目をもう一度読み返してみよう。

表題作他「ほぐし窯」「枯れ茶のつる」「逃げ水」「初雪だるま」の5編を収録。

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柳広司『ザビエルの首』

  • 2008/09/23(火) 10:45:25

ザビエルの首 (講談社文庫 や 60-1)
ザビエルの首 (講談社文庫 や 60-1)

内容(「BOOK」データベースより)
聖フランシスコ・ザビエルの遺骸は、死後も腐敗することがなかったという。鹿児島で新しく見つかった「ザビエルの首」を取材した修平は、ミイラと視線を交わした瞬間、過去に飛ばされ、ザビエルが遭遇した殺人事件の解決を託される。修平が共鳴したザビエルの慟哭の正体とは…。

面白かった。

タイトルと導入部の印象から、400年経って何故か鹿児島で発見されたザビエルの首を巡る歴史(またはホラー)ミステリーって感じなのかと思って読んでいたら、取材に行った主人公(フリーライターの片瀬修平)がいきなりザビエルが生きていた時代にタイムスリップしてそこで起きた殺人事件の謎を解く話だったのには驚いた。
しかも、飛んでいくのは修平の意識だけで、その意識がザビエルの傍にいる人間(通訳だったり、友人だったり、肉親だったり)の頭に入り込んで、最初はその人物として事件を見聞きし(その間、修平は自分の意志では動けない)最後になって呪縛が解けたように修平の意識でもってその事件の謎解きをする…というかなり手が込んでいる設定。

設定が凝っている分、事件に至るまでの展開やスムーズで、トリックも思い込みや錯覚を利用したシンプルなものが多く読みやすかった。

ただ、今まで普段と全く変わりなく自分の隣にいた人間がいきなりそれまでとは全く違う、まるで何かが取り憑いたような状態(ある意味ホントにそうだけど(笑))で喋り出すというのは、その周囲の人にとっては違和感アリアリなのでは?
修平の意識が抜けたあとその人たちがどうなったかに興味がある、というか心配だなあ。
それこそ「魔女裁判」にでもかけられそうな状態なのでは?^^;

それにしても「フランシスコ・ザビエル」って日本人ならたいていの人が顔も名前も知っている有名人でもちろん私も知っていたけど、これを読むまでそのザビエルに「キリスト教伝来」以外の歴史(どこで生まれて、どんなふうに育って、そしてどこでどうやって死んだのか)があったなんて考えたこともなかった。ましてその死後数カ月経っても遺体が全く腐敗しなかったため後に「聖人」となったなんて全く知らなかったので、そうした歴史的事実や当時の宗教観なども面白く読めた。

歴史ってやっぱり面白いよね~。
でもあまりにも膨大すぎてどこから手を付ければいいか判らないんだなあ…。

<参考>
フランシスコ・ザビエル(ウィキペディアより)

不知火京介『女形』

  • 2008/09/19(金) 10:39:41

女形 (講談社文庫 (し78-2))
女形 (講談社文庫 (し78-2))

出版社 / 著者からの内容紹介
乱歩賞作家が満を持して放つ驚異の歌舞伎ミステリー
京都と東京 同じ日、同じ時、遠く離れた舞台上で、2人の名優が怪死した。絢爛たる世界に潜む闇が蠢きだす!
2人の名優は、なぜ同時に死なねばならなかったのか。
演じる者の業、家門を守ろうとする執着 桔梗屋の内弟子・堀内すみれが、封印された梨園の謎(トリック)を解き明かしたとき、凄絶な愛憎の一幕が浮かび上がる。

歌舞伎界を舞台にしたミステリー。
事件の謎解きだけでなく、一般とは一線を画したその世界の内部事情も丁寧に描かれていて興味深いし、文章も読み易かった。
(でも、内部の人間関係は名前が入り乱れていて時々わけわかんなくなった^^;)

探偵役である若手歌舞伎役者のすみれが単に謎を解く役目だけでなく、彼自身ある秘密を持たされているところが普通のミステリーとはちょっと変わっていた。
最初は事件そのものとは無関係だったすみれがその秘密によって徐々に物語の中心人物になっていく構成が面白かった。
ただ、その秘密とは別に桔梗屋がそれほどに目を掛けるだけの実力・魅力をすみれが持っていると読者に説得する力が少し足りなかったかなあ、という印象。
加えて、作品中のすみれの言動が普通の若い子っぽすぎて、「歌舞伎役者」を感じることが少なかったのも残念。
いくら駆け出しとは言っても、もうちょっとそれっぽくてもよかったのでは。

ロシア系アメリカ人の歌舞伎役者 青松のキャラクターが秀逸。
2m近い身長と金髪碧眼という外見はどこから見ても外国人、とても日本人、ましてや歌舞伎役者には見えないのに、操る言葉、日本文化の知識、果ては情の世界までも日本人より日本人らしさを持つ青松に、最初は警戒していた"すみれ"や"やんま"が少しずつ心を開いて親しくなっていく様子が丁寧に描かれて、それが最後のキーマンとしての役割にきちんと繋がっているのがよかった。
また、本編にはあまり関係ないけど、彼が語る夢は「なるほどね~」と思わせられた。
そういうことを実際に考える人がいてもおかしくはないかも。
でも実際問題として、現在の歌舞伎界というのは彼のような人でも日本人と同様の条件で入門出来るのかな?

あと、名門・山城屋の御曹司 信十郎もよかった。

京都の観光名所などの話題もさりげなく入っていて、いろんな楽しみ方のできる一冊。

大崎梢『平台がおまちかね』

  • 2008/09/16(火) 11:29:52

平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)
平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)

智紀は中堅どころの出版社・明林書房の新人営業マン。

先輩から譲られた担当エリアの本屋をスムーズに回ること、自分の顔と名前を覚えてもらうことが当面の目標。
そんな智紀が出先の書店で遭遇するちょっとした謎を営業仲間の真柴らと一緒に解決していく連作短篇集。
表題作他「マドンナの憂鬱な棚」「贈呈式で会いましょう」「絵本の神さま」「ときめきのポップスター」の5編を収録。

面白かった!

大崎さんの本は「成風堂書店シリーズ」を3冊読んだけど3冊とも「う~ん…」という感想を書いてきたので、ここで「面白かった!」と書けるのがすごく嬉しい!(笑)
だって、タイトルが「平台がおまちかね」なんだよ。
本好き、本屋好きならどんな内容かな~と思うでしょう?(笑)
で、読んでみたらすご~く面白かったので、大満足!でした。

「成風堂シリーズ」と今回の作品は本質的にはそんなに差はないんじゃないかと思う。
一番の違いは成風堂の登場人物が女性の本屋の店員さんで、この作品は男性の営業マンって部分。
ここがやっぱり大きいのかなあ。
中にいる人と外に出られる人の行動範囲は格段に違うものね。
あと、主役(語り手)の傍で解決に手を貸してくれる人たちも今回の作品のほうが役割をきちんと果たしているように思えたし、間違った推理が出てきてもそれをいつまでも引っ張らずにすぐに修正するスピード感もよかった。

うん、全体的に「成風堂シリーズ」よりも謎にまつわる部分がスムーズに読めたのがよかったのかも。
その分、物語のその他の部分に気持ちを入れて読むことができた。

みんな面白かったんだけど、特に閉店してしまった地方の小さな本屋の看板にまつわる謎を描いた「絵本の神さま」がよかった。
初めて訪問した地方の書店が閉店していたことにショックを受けた智紀が、そのお店がどんな営業をしていたか、どんなにお客さんに愛されていたかを知っていく過程がすごくスムーズ。
その中で、その書店が抱えていたある問題に辿り着き、そこに存在していたわだかまりを解く手助けをする話。
最初に出てきたある小道具が最後の解決に生かされている物語作りもよかったし、同時に全体に流れる「町の小さな書店」への愛の籠もった視線もとてもよかった。

「成風堂シリーズ」同様、書店や出版社周辺のお仕事事情がさりげなく、でも丁寧に書き込んであるのも読み応えがあって○。
最後の「ときめきのポップスター」に成風堂の多絵ちゃんの話がちょっとだけ出して前作を読んでる読者をニヤリとさせてくれる辺りも上手い、と思った。

オススメです。

近藤史恵『タルト・タタンの夢』

  • 2008/09/14(日) 11:21:54

タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)
タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)

出版社 / 著者からの内容紹介
下町の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル。風変わりなシェフのつくる料理は、気取らない、本当にフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。そんな名シェフは実は名探偵でもありました。常連の西田さんはなぜ体調をくずしたのか? 甲子園をめざしていた高校野球部の不祥事の真相は? フランス人の恋人はなぜ最低のカスレをつくったのか?……絶品料理の数々と極上のミステリ7編をどうぞご堪能ください。

下町の小さなフレンチ・レストラン「ビストロ・パ・マル(悪くない)」にやってくるお客から語られる小さな謎を、無口で無愛想なシェフ三舟が鮮やかに解決する連作短篇。

いわゆる「日常の謎」&「安楽椅子探偵」もの。
それに合わせて謎の種類も、当事者にとってはちょっとほろ苦いけど血生臭い話ではなく、読んでいるほうとしては食事時の会話の中で「そういえばこんなことがあってね…」と話せるくらいの内容だったのが好印象。
解決の仕方も、全てが完全なハッピーエンドではないけど、きちんと納得できる、今夜は泣いてしまうかもしれないけど明日からはまた元気だそう!と思えるような形になっていて読後感がとてもよかった。

でも、それより何より、三舟シェフの作る料理の美味しそうなこと!
しかも、お料理の味だけではなくて、お客への気遣いやサービスといったホスピタリティもしっかりしてるんだよね。
こんなお店が近所にあったら…(笑)
以前、「美味しそうな食べ物が出てくる本」というテーマで記事を書いたことがあってそのときは北森鴻さんの『花の下にて春死なむ』をあげたんだけど、今同じテーマで記事を書くとしたら絶対入れちゃうぞ!という作品だった。

表題作他「ロニョン・ド・ヴォーの決意」「ガレット・デ・ロアの秘密」「オッソ・イラティをめぐる不和」「理不尽な酔っぱらい」「ぬけがらのカスレ」「割り切れないチョコレート」の7作を収録。

シリーズ2作目の「ヴァン・ショーをあなたに」も図書館に予約中。
もうちょっとで回ってきそうなので今から楽しみ~♪

ヴァン・ショーをあなたに (創元クライム・クラブ)
ヴァン・ショーをあなたに (創元クライム・クラブ)

米澤穂信『犬はどこだ』

  • 2008/09/07(日) 11:16:26

犬はどこだ (創元推理文庫 M よ 1-4)
犬はどこだ (創元推理文庫 M よ 1-4)

内容(「MARC」データベースより)
犬捜し専門の仕事を始めたはずなのに、依頼は失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、ふたつはなぜか微妙にクロスして-。いったいこの事件の全体像は? 犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵・紺屋、最初の事件。

読み始めたときは何故かなかなか進まなかった。
一旦読むのを止めて他の本を何冊か間に挟んだあと、1ヶ月ほど経ってから読み始めたら今度は(何故か)スルスル進んだ。
読み終わってみたら、今まで読んだ米澤作品の中でも一番読みやすい作品だった。

主人公の紺屋が探偵になった理由が「アトピー性皮膚炎」というのが意外性があって面白かった。
なるほど、人はいろんな理由で自分の進む道の軌道修正をしていくんだなあ。

行方不明になった佐久良桐子(さくらとうこ)の行方を追いかけるパートは面白かった。
特にネット上のトラブルが原因で…と判明してからの展開はスピード感があって一気に読めた。
曖昧にぼかして書いたつもりでも、いくつもの記述を丹念に一つ一つ積み上げると、本人に行き着いてしまう可能性がある…ということがかなりリアルに書いてあってすごく興味深かったし、「自分は大丈夫かな…」とちょっと不安になったり。

それに対して、古文書解読の依頼のほうはわざわざ紺屋に依頼してくる理由がイマイチ判らなかったなあ。
こんなの、どこから来たのか判らないような相手にお金払って調べてもらうよりも、地元の研究家でも探した方が早そうだと思うんだけど。
(実際に調査を担当した紺屋の部下(?)のハンペーはそういう人間を見つけて調査を進めたわけだし)
この古文書の内容が桐子の事件の解決にも繋がっていくので切り離せない話だったのだと思うけど、最後まで「取って付けた」感が拭えなかったのが残念。

ラストは紺屋が桐子を見つけてエンディングなんだけど、桐子が何をしたのか(またはしなかったのか)は不明のまま終わっている。
ちょっとスッキリしないけど、物語全編に登場していながら実際に姿を現して実際に話をするのはラスト近くのほんの2ページほど、という桐子の存在とともに作品に不気味さを与えていて私はけっこう好きな終わり方だった。
この作品はこのあともシリーズで続いているようだけど、桐子はその作品にもどこかに影を落としているのだろうか。
次の作品が楽しみ。

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