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◆Date:2008年06月
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宮部みゆき『孤宿の人(上下)』

  • 2008/06/22(日) 09:17:10

孤宿の人 (上) (新人物ノベルス)
孤宿の人 (上) (新人物ノベルス)
孤宿の人 (下) (新人物ノベルス)
孤宿の人 (下) (新人物ノベルス)

内容紹介
それは海うさぎとともにやってきた。
江戸から金比羅代参で讃岐を訪れた九歳の少女ほうは、丸海の港で置き去りにされ、たった一人見知らぬ土地に取り残される。幸い、丸海藩の藩医・井上舷洲宅に奉公人として住み込むことになった。それから半年……、この丸海の地に幕府の罪人・加賀殿が流されてくること……。海うさぎが飛ぶ夏の嵐の日、加賀殿の所業をなぞるかのように不可解な毒死事件や怪異現象が井上家と丸海藩に次々と起こっていく……。
宮部みゆきが紡ぎ出す時代ミステリーの最高傑作! 装いも新たにノベルスで登場。

ちょっと話が入り組みすぎていたかな~…という印象。
登場人物が多くて視点がその都度入れ替わってしまったことや、自然現象として起こったこと、人間が意図的に起こしたことの区別が曖昧だったこと、同じ内容がなんども繰り返されていたこと、などが原因かな。

江戸で重職に就いていながら、家族、部下を斬殺した罪で遠く離れた丸海藩に流され、幽閉されることになった加賀殿の存在。
この物語の中心となる人物の持つ意味や、裏に隠された真実というものがなかなか明かされず、その周辺で起こる不思議(不気味)な事件のみが前面に出てしまったことが物語を曖昧にしてしまっていたと思う。

登場する人物の多くは、そうした藩の重大事項に触れられる身分のものではなかったから、彼らの目や耳にはそうした「真実」は現れず、ただある意図をもった「噂」や「伝聞」だけで右往左往している姿が描かれているということなのだろうと思う。
そして最初のうちは、その描かれない加賀殿に対する不安が物語を盛り上げていたことも確か。
でも、それが何度も繰り返されるうちにちょっと飽きてきて「そろそろホントのことを明かしてくれてもいいのでは?」と思ってしまった。

だから、下巻で加賀殿の事件の真実が明かされ、やがて「ほう」との交流が始まりその人間性が少しずつ明らかになってきてからは物語がスムーズに流れ出したように思う。

とはいっても、それでもどんどん読ませてしまう、そして最後に泣かせて納得のエンドマークで終わらせるところに宮部さんの実力を感じるわけだけど。

相変わらず心に沁みる小さなエピソードが巧い。
特にそれまで「阿呆の「ほう」」とバカにされ続け、自分でも自分に自信がもてなかったほうに、加賀殿から新しい名前の漢字を贈られるエピソードがとてもよかった。

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金城一紀『映画編』

  • 2008/06/16(月) 09:14:39

映画篇
映画篇

出版社 / 著者からの内容紹介
物語の力が弾ける傑作!!
笑いと感動で胸が温かくなる傑作ぞろいの作品集。『ローマの休日』『太陽がいっぱい』など不朽の名作をモチーフに、映画がきっかけで出会った人々の友情や愛を描く。

映画をモチーフに、といってもその映画そのものをなぞるわけではなく、エピソードの一つとして使われているといった感じ。
いや、私が気が付いていないだけでもっと深くシンクロしているという可能性もあるか…^^;
でも、そういう知識がなくても気持ちよく楽しめる短篇集。
最初ちょっと重めな話で始まるので「ずっとこの雰囲気なのかな~?」と不安になったけど、だんだん柔らかで暖かな内容になってきたので安心して読めた。

特に愛する夫を亡くして元気がなくなった祖母を元気づけるために孫たちが2人の思いでの映画を上映する計画を立てる「愛の泉」がとてもよかった。
おばあちゃんの思い出話、個性的な孫たちそれぞれの生活と関係、そして中心人物(孫の1人)哲也の生活と恋の物語などいくつものストーリィが短い物語の中にきちんと収まっていて読み応えがあった。

昔自分の家族を殺した仇敵に立ち向かっていくパンチパーマで5等身のおばちゃんと両親が離婚しそうな小学生の男の子の1日だけの友情を描いた「ペイルライダー」も面白かった。

この作品で哲也たちが区民会館で無料上映する「ローマの休日」が全編に共通して出てきて、それぞれの登場人物たちが(そうとは知らずに)その上映会に集まってくるという設定が効果的。
映画という媒体の持つパワーを感じさせてくれる作品だった。

「太陽がいっぱい」「ドラゴン怒りの鉄拳」「恋のためらい/フランキーとジョニー もしくは トゥルー・ロマンス」「ペイルライダー」「愛の泉」の5編を収録。

「この世界は見えないシーソーみたいなものでさ、悪いほうに傾き過ぎたりすると、浜石教授みたいな人がそれに気づいてもう片っぽのほうに乗っかってくれるから、なんとかバランスを取れてるんだよね。わたしももっとがんばって、いつかちゃんとしたほうに乗っかれる人になりたいな」(「愛の泉」p342より)

米澤穂信『氷菓』

  • 2008/06/01(日) 09:11:15

氷菓 (角川スニーカー文庫)
氷菓 (角川スニーカー文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実―。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ登場!第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞。

久々の米沢作品。
「古典部シリーズ」第一弾、とのこと。
舞台は部活動がさかんな進学校、神山高校。
「無駄なことはしたくない」がモットーの省エネ高校生・奉太郎がひょんなことから廃部の危機に瀕していた古典部に入部したところから事件は始まる…。

小さな謎の積み重ねがあって、そこから物語全体に関わる大きな謎解きに繋がっていくというスタイル。
各章に散らばった小さい謎解きのほうはけっこう面白かったけど、古典部の部長になる"千反田(ちたんだ)える"の持ち込んだ謎については引っ張ったわりに結末はあまり意外性を感じなかった。
これは、私が年齢的に奉太郎たちよりも、謎の中心人物であった"える"の伯父のほうに近いというのが影響しているんだと思うけど。
もちろん、私自身がそれを体験した世代ではないけど、「その頃そういうことがあった」というのは知識として知っていて当然という程度には近い世代であったということ。
(少なくとも「そんなことがあったんだ」と初めて聞く話ではなかった)
更には「何があったのか」と並んでもう一つの謎であった、古典部の文集の名前「氷菓」についての謎解きもヒントが提示された時点でピンと来た。
これについてはアイドル系の歌謡曲の歌詞として頭にインプットされていたので、作品の中で登場人物の高校生が(その意味に)衝撃を受けている描写と私の頭の中でグルグル回ってるその明るいフレーズとの間のギャップが凄くて全然感情移入が出来なかったのだった…^^;

でも、そんなことより私がずっと違和感を持っていたのは主人公・奉太郎の性格。
まだ高校1年生の奉太郎が、

「やらなくていいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に」

という省エネスタイルを貫く理由がよく理解できなかった。
高校1年生の男子っていったら、放って置いても無駄なエネルギー放出しまくり、って存在じゃないの?
(すごい偏見ですが(笑)あ、そのエネルギーを何かに転換出来ればいいのかも~(笑))
もちろん、人はどんなモットーを持っていてもいいと思うし、実際私も基本的に「面倒くさいことは大嫌い。しなくていいことはしたくない」という性格なのでそういう考え方自体を否定するわけではない。
でもだからこそ、そういう性格って「気が付いたらそうだった」って類のものであって、「これが自分のモットーです」って他人に言ったりするものではないような気がするんだけどなぁ。
それを奉太郎はあまりにも何度も口にするから、私にはそれが自然と身に付いた、または元々彼が持っている性質なのではなく、敢えて自分に言い聞かせているように感じられた。
もしかしたらそれも一つの謎なのかしら。それとも考えすぎ?

ちょっと微妙な違和感があったけど短くて読みやすい作品、しかもシリーズものなので、このあとも読んでみる予定。

東野圭吾『黒笑小説』

  • 2008/06/01(日) 09:09:20

黒笑小説 (集英社文庫 ひ 15-8)
黒笑小説 (集英社文庫 ひ 15-8)

出版社 / 著者からの内容紹介
東野圭吾が描く、「黒い笑い」
平静を装いながら文学賞の選考結果を待つ作家、内心では「無理だろう」と思っている編集者――。文壇事情を皮肉たっぷりに描く短編の他、笑いをテーマにした作品を収録した傑作短編集。(解説/奥田英朗)

東野さんの作品は「長くて、シリアスで、重いもの」のほうが評価が高いみたいだけど、個人的にはこういう「短くて、ふざけてて、ニヤッと出来る」作品のが好きだな。

誰かの行動やある現象を角度を変えて描くことでそこに立ち現れてくる違和感と可笑しさを扱った作品が多いんだけど、その題材の選び方、悪意の込め方、題材への執着加減が絶妙。
これ以上やったら醜悪になる、不愉快に感じられるというレベルギリギリのところで踏みとどまる自制心がスゴイ。
決して爆笑出来る内容ではないけど、「こんなことよく考えつくよな~」と思いながら読みながらニヤニヤ笑える作品ばかりで面白かった。

「もうひとつの助走」「線香花火」「過去の人」「選考会」「巨乳妄想症候群」「インポグラ」「みえすぎ」「モテモテ・スプレー」「シンデレラ白夜行」「ストーカー入門」「臨界家族」「笑わない男」「奇跡の一枚」の13編を収録。

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