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◆Date:2007年12月
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鯨統一郎『浦島太郎の真相』

  • 2007/12/24(月) 10:15:39

浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話 (カッパ・ノベルス)
浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話 (カッパ・ノベルス)

渋谷にある日本酒バー〈森へ抜ける道〉の常連で私立探偵の工藤が抱える難事件を、美人お嬢様大学院生でメルヘンの研究をしている桜川東子(はるこ)が日本のおとぎ話をヒントにして解明していくミステリー短篇集。

以前読んだ『九つの殺人メルヘン』の続編。
物語の前半でバーのマスター・島と工藤、もう一人の常連・山内の3人(名付けて「ヤクドシトリオ」)の無駄知識(トリビア)合戦が展開され、その後工藤の抱える事件が披露されそれを東子がおとぎ話をヒントに隠された犯人の「心のアリバイ」を解いていく…という前作と殆ど同じ趣向。
違っているのは『九つの~』では謎解きに使われるのは外国のおとぎ話(童話)だったのが、今回は日本のおとぎ話(民話)に変わったのと、東子が大学生から大学院生になったこと、工藤が警察を辞めて私立探偵になったこと…くらいかな?

相変わらず前半のトリビア合戦が圧巻。
といっても私の場合、殆ど判るものがなかったけど^^;
(これは年代的なものよりも、小さい頃の私がどれだけ「何も考えていなかったか」「記憶力がなかったか」によると思う…)
その中でちょっとついて行けたのはTV関連(アニメとドラマとお笑い芸人)の話題の部分。
「そういえばそんなのあったなあ」という部分が多くて楽しめた。
でも、たとえ判らなくてもこれだけいろんな固有名詞が次々と繰り出されていくと、読んでいるだけで判ったような気になってしまうのが不思議。

おとぎ話の新解釈の部分は「なるほど」とは思うけど、爆発的に意外性があって「鱗がボロボロ落ちました」というのはなかったかなあ。
ただ「カチカチ山」の真相はかなり納得した。
そうなんだよね、あそこに出てくるウサギはやたらに凶暴なので「なんとなく違和感あるなあ」と感じてはいた。
ただその前に「でも元々はタヌキが悪い」という前提があって「だから仕返しされるのは仕方ない」納得しちゃってた。
また、(多分)「ウサギ」=「善良な第三者」という図式を勝手に作って、だからそんなにひどい登場人物(人じゃないけど)のはずがないと思いこんでいた部分もあるかも。
(あとは、最初のタヌキは自分でおばあさんを叩き殺す(!)けど、ウサギはけっこう頭を使った方法でタヌキを懲らしめるので結果はかなり凶暴だけど手口で誤魔化されていたのかも)
でもその考え方より、この解釈のように「死んで(殺されて)しまったおばあさんの後釜につくことを目論んだ別のタヌキがウサギに化けて最初のタヌキを追い出した」と考えたほうがスムーズな感じがするな。なるほど。
ただ、そうなると気になるのは「誰がこの話を考えたのか」ってこと。
誰か見ていた人がいたんだろうか…。

表題作の他「桃太郎の真相」「カチカチ山の真相」「さるかに合戦の真相」「一寸法師の真相」「舌切り雀の真相」「こぶとり爺さんの真相」「花咲か爺の真相」の8編を収録。


九つの殺人メルヘン (光文社文庫)
九つの殺人メルヘン (光文社文庫)

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浅田次郎『あやし うらめし あなかなし』

  • 2007/12/24(月) 09:57:34

あやしうらめしあなかなし
あやしうらめしあなかなし

内容(「BOOK」データベースより)
日本特有の神秘的で幻妖な世界で、生者と死者が邂逅するとき、静かに起こる優しい奇蹟。此岸と彼岸を彷徨うものたちの哀しみと幸いを描く極上の奇譚集。名手が紡ぐ、懐かしくも怖ろしい物語。

夢とも現実とも判断できない、ぼんやりとした部分で行き交う生ける者と死す者の邂逅の物語。

いつもの扉を開けたらそこに別の世界が広がっていたとでもいった感じに易々と異世界に踏み込んでしまう導入部とどこに連れて行かれるのかが判らない展開で、読んでいる間は背中がゾクゾクする作品ばかり。
それでいて読み終わって感じるのは恐怖ではなく、憐れみ、懐かしさ、哀しみ、安堵…といった柔らかい感情ばかりであるところが浅田次郎らしい作品集だった。

「赤い絆」「虫篝(むしかがり)」「骨の来歴」「昔の男」「客人(まろうど)」「遠別離」「お狐様の話」の7編を収録。

鯨統一郎『すべての美人は名探偵である』

  • 2007/12/16(日) 09:52:40

すべての美人は名探偵である (光文社文庫 く 10-6)
すべての美人は名探偵である (光文社文庫 く 10-6)

内容(「BOOK」データベースより)
歴史学者・早乙女静香は、沖縄への研究旅行中に殺人事件に巻き込まれた。事件には、徳川家の秘密が関係しているようなのだが!?静香は、彼女に憧れる学生・三宅亮太、美人女子大生・桜川東子とともに、沖縄―北海道の同時殺人事件と、童謡に隠された歴史の新事実を探る。変幻自在、鯨ミステリーの集大成。

「邪馬台国はどこですか?」に登場した歴史学者・早乙女静香と、「九つの殺人メルヘン」に登場したお嬢様女子大生・桜川東子(はるこ)の2人がタッグを組んで殺人事件の謎と、それに関連した暗号解明に挑む、という豪華版(?)ミステリー。

旅行先での謎の殺人事件、徳川家の秘密、行方不明の古文書、童謡の歌詞に隠された暗号、謎の信仰団体、幾重にもはりめぐらされたアリバイ崩し、更にはミスコン、入浴シーンなどTVの2時間サスペンスものの要素がこの1冊のなかにギュギュッと詰まっている、といった感じの作品。
相変わらず軽快な語り口で物語がどんどんストレスなく進むので、長編なんだけどサクサク読めた。
その分、後に残るものはあまりなかったけど…(汗)

タイトルは「すべての美人は名探偵」となっているけど、この作品の中で名探偵なのは東子だけだったような気がする。
静香は行動力はあるけど、別に考えたり推理したりはしてないような…。
でも「邪馬台国は~」や「新・世界の~」に出てきたときは、美人を鼻に掛けた勘違いで高飛車の鼻持ちならない女ってイメージしかなかったけど、この作品では裏表のない性格で他人に感謝したり自分の損得は考えずに約束を守ったりするキッチリした面もあることが判ってちょっと印象が変わったかな。
といっても、確かに高飛車な部分はあるし言葉も辛辣だからあまりお友だちになりたいタイプではないけど…^^;

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)
邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)
新・世界の七不思議 (創元推理文庫)
新・世界の七不思議 (創元推理文庫)
九つの殺人メルヘン (光文社文庫)
九つの殺人メルヘン (光文社文庫)

喜国雅彦『本棚探偵の回想』

  • 2007/12/16(日) 09:44:28

本棚探偵の回想 (双葉文庫 き 15-2)
本棚探偵の回想 (双葉文庫 き 15-2)

「本棚探偵の冒険」に続く、漫画家・喜国雅彦氏による古本エッセイ第2弾。

読み始めたのは随分前(2ヶ月くらい前?)だったけど、読んでる途中で図書館本が何冊か入ってきたため保留にしたまま忘れていた^^;

こちらも1冊目同様、私のような(蒐集するための)古本には何の興味もない人間には「ネタじゃないの?」と思うような内容ばかり。
でも喜国氏の語り口がホントに楽しそうなので(「大変だ」「苦しい」と書いてある部分もあるけど、それはそれで楽しそう(笑))、読んでいるこちらも楽しい気分になってくる。
好きなことを語ることから生まれるパワーを感じる。
でも、読んでいる人にもそれ(ハッピーになること)を伝えられるというのは、書き手の技術や力量があってこそじゃないかな。
私が古本蒐集にハマることはきっとないだろうけど、だからこそ自分の知らない世界をちょっと覗き見させてもらうにはちょうどいい本だと思う。

それにしてもマニアな人というのはマメで几帳面、好奇心旺盛、研究熱心かつ整理整頓好きな人なんだなあ…。
私には(幸か不幸か(笑))既に素質の時点で適性がないってことなのね。

本人以外の話では、最近全集ものやアンソロジーを買うとよく見かける編集者・日下三蔵氏の「お宅拝見」が載っていたのが面白かった。
ここまで家の中が本で浸食されてる状態って…あまり羨ましくないかも^^;
本人はともかく、ご家族の方は大変だ…。

本棚探偵の冒険 (双葉文庫)
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喜国雅彦/本棚探偵の冒険

梨木香歩『沼地のある森を抜けて』

  • 2007/12/15(土) 10:46:42

沼地のある森を抜けて
沼地のある森を抜けて

内容(「BOOK」データベースより)
始まりは「ぬかどこ」だった。先祖伝来のぬか床が、呻くのだ。変容し、増殖する命の連鎖。連綿と息づく想い。呪縛を解いて生き抜く力を探る書下ろし長篇。

梨木さんの本は今までに何冊か読んでいるけど、読むたびに意外な感じを受ける。
イメージが一定しない、というか。
最初の頃に読んだ『裏庭』や『西の魔女が死んだ』のイメージが大きくて、そこが基準になっているせいなのかな。

この作品はそんな中でもかなり「意外」な作品。

主人公・久美の家に代々伝わる家宝の「ぬか床」。
独身のまま急死した母方の叔母からマンションとともにそのぬか床を譲り受けた久美の周囲で不思議なことが起こり始める。
それをきっかけに自分の家族や祖先が住んでいた「島」について調べはじめ、ついにはその「島」に渡ることを決意する。
ぬか床を持って渡った島で久美が知った真実とは…。

ぬか床が呻いたり、いつのまにか卵が入っていたり、更にはそこから人(のようなもの)が生まれてきたり…と前半はSFというかホラーの世界。
でも、それを見ている久美はパニックになったりせずかなり冷静に「それ」の存在を観察しているので緊迫感はない。
もちろん多少のストレスはあるんだけど、むしろ彼女は「それ」に共感や懐かしさを感じているように思えた。
(恩田陸の「月の裏側」をちょっと思い出した)

「ぬか床」という家庭料理の基本のような存在のもののなかから、母性や性的なものへの嫌悪、コンプレックス、トラウマが出てくるというのは、「ぬか床」自体が「家」そのもの、また「自分自身」を表現してるってことなのかな。
よくわかんないけど。

後半出てくる暗喩のような「僕」の物語もかなり謎だった。
(もしかして細胞の話なのかなあ、と思ったりしたけど…)

読み始めたらスルスル読めたけど、全体的に「なるほど」な感じは殆どない、でも読後感も悪くないという不思議な物語だった。

浅田次郎『お腹召しませ』

  • 2007/12/15(土) 10:40:26

お腹召しませ
お腹召しませ

内容(「BOOK」データベースより)
入婿が藩の公金に手を付けた上、新吉原の女郎を身請けして逐電。お家を保つために御留守居役が出した名案は「腹を切れ」。妻にも娘にも「お腹召しませ」とせっつかれ、あとにひけなくなった又兵衛は(表題作)―二百六十余年の太平で、武士の本義が薄れてきた幕末から維新にかけてを舞台に、名手が描く侍たちの物語。全六篇。

江戸末期を舞台にした時代小説短篇集。
表題作の他、「大手三之御門与力様失踪事件之顛末」、「安藝守様御難事」、「女敵討」、「江戸残念考」、「御鷹狩」の6編を収録。

以前読んだ『五郎治殿御始末』は明治に変わってからの生活や習慣の激変の中でその流れに翻弄されながらも己の矜持を保ち、必死で生きていこうとする「元武士」たちの姿が感動的に描かれていて泣ける作品集だった。
一方この作品はもうちょっと時代が早く、足音は聞こえているのでちょっときな臭いな、と感じつつもまだ制度としての「江戸」の形は残っているので気楽な雰囲気が残っているといった感じ。
本人はすごく困っているんだけど、端から見るとその必死さが可笑しい、といった感じの作品が多かった。

中でも思いがけず大藩の主になってしまった主人公が初めて経験する「斜籠」という謎のしきたりに右往左往する「安藝守様御難事」は、本人の悩みが真剣であればあるだけその悩みよう、慌てようが可笑しかった。
また、そんな彼を笑いながら読んでいる読者もまた徐々に「斜籠」とはなんぞや?という謎に絡め取られていく、といったミステリー的な要素もあり。
ただ、そうやって盛り上がった分、最後の謎解きが今ひとつハッキリしないあいまいな描写で終わってしまったのはちょっと残念。
(まあ、「大人の事情」ってイメージは伝わって来たけど)

肩が凝らずに楽しめて、それでいて読み終わると何か大切なものについて考えさせられる作品集。
物語の冒頭と最後にこの話を書いた人物が出てきて物語の生まれた背景やきっかけ、物語の後日談に触れるという構成も効果的だった。

五郎治殿御始末 (中公文庫)
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浅田次郎/五郎治殿御始末

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