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◆Date:2007年07月
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宇江佐真理『卵のふわふわ』

  • 2007/07/28(土) 08:54:19

卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし (講談社文庫)
卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし (講談社文庫)

講談社「BOOK倶楽部」内容紹介より
江戸に拡がる暖かい煮炊きの煙
人はね、当たり前のことがおもしろくないんだよ。裏返しや逆さまが好きなのさ――
のぶちゃん、何かうまいもん作っておくれよ――。夫との心のすれ違いに悩むのぶをいつも扶(たす)けてくれるのは、喰い道楽で心優しい舅、忠右衛門だった。はかない「淡雪豆腐」、蓋を開けりゃ、埒もないことの方が多い「黄身返し卵」。忠右衛門の「喰い物覚え帖」は、江戸を彩る食べ物と、温かい人の心を映し出す。

舅・姑とはいい関係を保っているものの肝心の夫を信頼出来ず離婚を決意し実家に戻るのぶ。
しかしそこでも兄嫁の視線や心配する母の存在などが気に掛かり落ち着いて生活することは出来ない。

柔らかいイメージのタイトルだったのでもっとほんわかとした内容の話かと思って読み始めたら、これが意外と重め。
しかも著者特有の丁寧な描写でそれをきちんきちんと掬い上げていくから読んでいてちょっと辛かった。
出てくる珍しい料理も、そういう重い雰囲気の中で描かれるせいかあまり美味しそうには感じられなかったな。

でもその重い、やりきれない状況が動いて少しずつあるべき姿に収まって笑顔が戻るラストはよかった。

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津原泰水『ルピナス探偵団の当惑』

  • 2007/07/08(日) 08:49:09

ルピナス探偵団の当惑
ルピナス探偵団の当惑

内容(「BOOK」データベースより)
「そうだ、検視の結果なんだけど」と姉(警察官)は言い、「いい。聞きたくない。いま食べてるし」と私(女高生)はかえすのだが、「じゃあ聞かないで。勝手に喋るから」そうして事件に巻き込まれ(押しつけられ)てゆく私たち。どうして殺人を犯した直後に被害者の残したピザなんかを食べていったのだろうか、どうして血文字のダイイング・メッセージ(らしい)はわざわざ鏡文字になっていたのか、そしてどうして死体から腕だけを無理して盗んだのか―。才人津原泰水が本格ミステリーの粋を凝らした傑作。

惜しい。
この本には同じ登場人物が出てくる短篇が3つ(「第一話:冷えたピザはいかが」「第二話:ようこそ雪の館へ」「第三話:大女優の右手」)収録されている。
最初の「冷えたピザ~」はすごく面白くて『これはもしかして今年のベストかも!』と思ったくらいなんだけど、その後「ようこそ~」「大女優の~」と読み進むにつれて第一話のワクワク感がだんだん薄れてしまい読み終わったときにはちょっと残念な気分になってしまった。

いや、面白かったんだけどね。
作品としては星4つ(3つ半かな)くらいいくでしょう。読みやすいし。
でも最初の面白さがあまりに強烈だったので、後半パワーダウンしたという印象は否めない。

第一話の何がそんなに面白かったかというと、ミステリーとそうじゃない部分(例えばラブコメディとかホームドラマとか)が当たり前に並立して存在しているところ。
主人公の彩子が学校の校庭で片想いの相手・祀島くんに一ヶ月掛かって書いたラブレターを渡そうとしているところに不二子がいきなり車を乗り付けて「事件が起きたから早く来て」って無理矢理連れて行こうとする導入部がまずすごい。
で、そのまま事件に巻き込まれていくのかと思いきや、祀島くんとの話や学校での生活、不二子との日常的(?)な会話もまた同じように描かれている。

それに対して第二話、第三話は物語全体が事件の謎解きメインになってしまっていたし、特に第一話で思考力も言動もかなり乱暴だった不二子の反応が普通の刑事っぽくなってしまっていたのが残念だった。

それから第一話では祀島くんがあまり前面に出てないのもよかったな。
「謎解き」の部分でかなり重要な鍵を握っていることは事実なんだけど、あまり事件自体には興味がなくて別の部分を見ていたら図らずも核心に近づいてしまったという感じが彼の物事に動じないマイペースなキャラクターに合っていた。
それに比べると後の2作では自分から積極的に事件に関わりすぎという印象が強くて、それが第一話で感じた祀島くんのイメージとはちょっと違うかな、と。

うん、第一話は登場人物の言動や考え方がバラバラでそれを制止する役割も正しい方向に物語を先導する役割も誰も担っていないにも関わらず、物語が破綻せずにミステリーとしてもコメディとしても成立している、という微妙なバランスがよかったんだなと思う。
で、それに比べると第二話、第三話は普通のミステリーになってしまっていたよということ。

そんな中、会話文の軽妙さは3作品共通。
テンポ、ツッコミ方、はぐらかし方、言葉の選び方、笑いのセンス…読んでいてすごく気持ちよかった。

文庫版の帯情報によると今年の秋にシリーズの新刊(「ルピナス探偵団の憂愁」)が出るらしい。
つまらなかったわけではないので、次回作もチェックしておこう!
不二子の暴走が復活してますように!(笑)


<関連サイト>
aquapolis :作家の公式サイト

海堂尊『チーム・バチスタの栄光』

  • 2007/07/08(日) 08:05:56

チーム・バチスタの栄光
チーム・バチスタの栄光

内容(「BOOK」データベースより)
東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生恭一を臓器制御外科助教授として招聘した。彼が構築した外科チームは、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門の、通称“チーム・バチスタ”として、成功率100%を誇り、その勇名を轟かせている。ところが、3例立て続けに術中死が発生。原因不明の術中死と、メディアの注目を集める手術が重なる事態に危機感を抱いた病院長・高階は、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口公平に内部調査を依頼しようと動いていた。壊滅寸前の大学病院の現状。医療現場の危機的状況。そしてチーム・バチスタ・メンバーの相克と因縁。医療過誤か、殺人か。遺体は何を語るのか…。栄光のチーム・バチスタの裏側に隠されたもう一つの顔とは。第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。

去年の暮れに図書館に予約して半年、ようやく順番が回ってきた。
で、一気読み。面白かった。
あと一週間で事務所が移転してこの図書館とも「さようなら」だったので、その前に読めてよかった。

「バチスタ手術」という言葉は去年の春に放映されていた『医龍』というTVドラマで初めて聞いた。
ドラマは数回しか見てないけど「バチスタ手術」という聞き慣れない単語と、出てくる登場人物がみんなすごく個性的だったのが印象に残っていた。
この作品も読み始めたとき、同じ「バチスタ手術」を扱ったものだし設定も何となくドラマと似た雰囲気を持っていたので『原作か何かなのかな?』と思っていたけど話の内容は全然違う。
思わず先に読んでいた会社の子に「これってドラマと関係あるの?」と訊いたところ、「いや、全然」という回答。
あ、そうなんですか…単にかぶっただけなのね。
そういえばドラマは「同名のマンガが原作」というのをどこかで読んだ記憶があった。
同じドラマにそんなにいくつも原作があるわけがないか(笑)
でも、こんな一般的じゃない言葉を使った作品が同時期に別々に出てきて注目される、というのも不思議な現象だ。

というわけで、『チーム・バチスタの栄光』。
あちこちで書かれているように、とにかく人物造形がすごい。
かなりたくさんの人物が当事者、証言者、傍観者…などどして登場するんだけど、そのどれもがすごく強い個性(特徴)を与えられているため、非常に覚えやすかった。

特に(これもあちこちで書かれているけど)後半になっていきなり登場する白鳥の存在感は圧巻!
前半の主役で作品の視点でもある田口の存在を一瞬にして凌駕してしまった。
前半はそこそこ頭よさそうなキャラだった田口が白鳥の登場で単にイライラしてるだけの「判ってないキャラ」になってしまうのは興味深かったな。
やっぱり頭の良さというのは相対的なものなのかも。
(それからリスクマネジメント委員長の曳地の喋り方!実際にあんな喋り方をする人が身近にいたらすごくイライラするだろうけど、端から見てるだけなら笑える(笑)大学病院とかにはこんな人が実際に生息しているのかなぁ?)

でもこの作品がすごいのは、白鳥をはじめとしてそれだけ個性的なキャラクターばかりが出てくるにも関わらず、全体的な印象は「物語がメイン」の作品としてきちんとまとまっているところ。

ミステリーとして見るとあまりにも専門的な知識が多すぎて犯人や手口を推理するという楽しみはないし実際に解き明かされた真実にもちょっと違和感を感じるけど、当事者一人一人から聞き取り調査をしてそれを積み上げていく手法、それを知識のない私でも理解できるように表現する判りやすく無駄のない文章で最後まで面白く読めた。

事件が解決して終了ではなく、その後日談も丁寧すぎるくらい丁寧に、それぞれの心情を汲み取って描ききって終わっているところがすごくよかった。

これ以降、「ナイチンゲールの沈黙」「ジェネラル・ルージュの凱旋」「螺鈿迷宮」とこのシリーズで作品を連発しているようなので、移転したらそっちの図書館で予約しなくちゃ。
(また半年覚悟かな^^;)

ナイチンゲールの沈黙
ナイチンゲールの沈黙
ジェネラル・ルージュの凱旋
ジェネラル・ルージュの凱旋
螺鈿迷宮
螺鈿迷宮

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