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大倉崇裕『三人目の幽霊』

  • 2007/06/30(土) 13:59:44

三人目の幽霊
三人目の幽霊

内容(「BOOK」データベースより)
憧れの大手出版社に入った間宮緑(まみやみどり)が研修を終えて受け取った辞令は、“「季刊落語」編集部勤務を命ず。”座布団に坐って面白い噺をしては客を笑わせる、あの落語…?その場で辞表を書こうかと世を儚みかけたが、せっかく入ったのにもったいない、どうにか気を取り直した。年四回発行の落語専門誌「季刊落語」の編集部は総員二名。唯一の上司兼相棒はこの道三十年の編集長、牧大路(まきおおみち)。二と二を足して五にも十にもしてしまう人並み外れた洞察力の主である。牧の手にかかると、寄席を巻き込んだ御家騒動、山荘の摩訶不思議、潰え去る喫茶店の顛末…“落ち”が見えない様々な事件が、信じがたい飛躍を見せて着地する。時に掛け合いを演じながら、牧の辿る筋道を必死に追いかける緑。そして今日も、落語漬けの一日が始まる―。

大学を卒業して入った出版社でいきなりいままで全く興味がなかった落語雑誌の編集を命じられた女子社員を語り手に、落語界を舞台にした事件を描く推理短篇集。
表題作のほか「不機嫌なソムリエ」「三鶯荘奇談」「崩壊する喫茶店」「患う時計」の5編を収録。

イマイチかな。
基本的に落語界が舞台でその中のいくつかの作品を取り上げながらそれを事件に絡めて描いてはあるんだけど、なんとなくしっくりこなかった。
高座の舞台裏の様子などの描写は面白かったんだけど。

主人公の緑、そしてその上司の牧は(当然ながら)登場シーンが多いのに、どんな人なのかイメージ出来なかったというのも大きな原因かも。
なんだかいくら読んでも輪郭が曖昧で、ひっかかりも共感もないまま読み終わってしまった、という感じ。
それから、緑の牧に対するぞんざいな言動にもちょっと違和感。
いくら上司、部下各1名の小さな部署で興味がなかった分野の仕事だとはいえ、入社したばかりの緑にとって牧は30年先輩でしかも上司だよね。
そして更には(仕事はともかく)その洞察力には一目置いている、という設定。
だとしたら(心の中では多少憎まれ口をきくとしても)表面的(対外的)にはもうちょっと敬意を払った言動であってもいい、というかそのほうが自然なんじゃないかと思うんだけど。
緑の牧に対する言葉遣いはもしかしたら親しさの表現だったのかもしれないけど、それぞれのキャラクター 及び2人の関係性が今ひとつ把握できなかった私には単なる「礼儀が出来ていない女の子」にしか見えなかった。

収録された5編のなかでは最後の「患う時計」が一番シンプルで納得しやすく面白かった。
他はちょっと話だけを聞いて閃くには色んなものがくっつきすぎな感じ。
特に「三鶯荘奇談」はオチも含めて苦手な作品だった。




<関連サイト>
無法地帯 : 作家の公式サイト
 ※現在更新停止中。最新の日記はブログになっているようです。→「Muhoの日記」

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剣持鷹士『あきらめのよい相談者』

  • 2007/06/30(土) 10:31:46

あきらめのよい相談者
あきらめのよい相談者

内容(「BOOK」データベースより)
開業を夢見る若き弁護士の僕は法律事務所に勤めている。人の数だけドラマがある、ましてや弁護士に持ち込むのだから、というわけでもなかろうが、ともすれば理解に苦しむ依頼にぶつかる。こういう場合に重宝なのが友人のコーキで、彼の端倪すべからざる推理力には高校時代から舌を巻くばかり。あきらめがいいんだか悪いんだか判然としない客のことも、飲みながら話すうちに…!第一回創元推理短編賞受賞。

「弁護士が主役」というとTVドラマだったら、難事件に遭遇してその調査を進めるうちに自分の身にも危険が及ぶけど、仲間の協力によりそれを退け最後には法廷シーンでクールに弁舌をふるい、悪を断罪する…というイメージ。
(こうやって概略だけを書いていて気付いたけど、このパターンって殆ど「大岡裁き」の世界だね(笑)やっぱり日本人はこういうの好きなのね。確かに「勧善懲悪」というのは非常に判りやすいし、見終わってカタルシスが得られるテーマではあると思う)

でも、この作品はそういうTVで見慣れた「正義の味方」の代名詞のような弁護士の話ではない。
主役である九州・福岡在住の若きイソ弁(居候弁護士)剣持鷹士くんは、弁護士として独り立ちこそしていないものの仕事ぶりもよく周囲から信頼されている。
その彼の法廷での活躍振りを描く…ということはなく、この作品の中で彼はただひたすら「相談者」の話を聞いて、困ったりイライラしたり悩んだり落ち込んだりしているのだ。
その「相談者」たちの困った、あるいは不思議な話や行動を昔からの友人で現在司法試験に向け勉強中(ということになっている)コーキに話して解決へのヒントを貰う、という設定。

この短篇集の一番の特徴は主役弁護士が相手をするのは「原告」ではなく「相談者」だ、ということかも。

確かに弁護士事務所に持ち込まれる相談全てが裁判沙汰になるわけはない、というよりも裁判に持ち込まれる(持ち込める)案件のほうが割合で行ったら圧倒的に少ないんだろうね。
ただ一般市民として考えると、困って困ってどうしようもなくなったときに一縷の望みを託して訪ねていくのが弁護士事務所、ってイメージがある。
「ここだったら自分の言い分を判ってくれる人がいる」「自分の悩みを何とかしてくれる人がいるはずだ」と藁にもすがる思いで、決死の覚悟(大袈裟?)でそのドアを開けるのであろうに、そこで剣持くんのように「それはちょっと法的には責任は問えませんね」みたいなセリフをサラッと言われたらやっぱりちょっとショックだと思う。
(言ってる本人はいくら気を遣っていたとしても)
確かにプロの目からしたらそんな質問は日常茶飯事でいちいちそんな相談に時間を割いていられない、また法的にもそれが正しい結論なのかもしれないけど、一般ピープルとしては「生活(人生かも)かかってんだよ!」なことも多いと思う。
そのあたりの「一般人」と「専門家」との間の意識の差がかなり詳細に、それこそ弁護士に対して失望感を持ってしまうくらいに丁寧に描写されているのが非常に印象的だった。
その両者の温度差をどうやって埋めるか、そして相手を納得させるかというのもまた弁護士という職業の、表には現れないけど非常に重要な仕事なんだろうな。
著者は大学法学部出身で自身も現役の弁護士らしいので、この作品に描かれる相談者とのやり取りも自分の経験から来るものなんだろうと思う。
普段はメディアでは弁護士という仕事のあまりにも華やかというか攻撃的な部分ばかりを拡大表示して見せつけられているので、普通に考えれば当然あるであろう、こういう地味な部分の描写が却って新鮮だった。
それから、ガッツリ博多弁丸出しで描かれる鷹士、コーキ、広瀬の気の置けない友人同士の会話も勢いがあって楽しかった。

ただ、ミステリーの部分は成立要素も含めてちょっと強引な部分があって、あまり感心しなかったけど。

表題作のほか「規則正しいエレベーター」「詳し過ぎる陳述書」「あきらめの悪い相談者」の4編を収録。

火坂雅志『骨董屋征次郎京暦』

  • 2007/06/24(日) 07:54:51

骨董屋征次郎京暦
骨董屋征次郎京暦

内容(「BOOK」データベースより)
幕末から明治へ。世も人も移りゆく京の町を舞台に、変わらぬ魅力を持つ骨董品をめぐる、様々な人間模様。昼は骨董屋の主。しかして、その正体は…!?好評シリーズ、傑作骨董時代小説。

「骨董屋征次郎手控」の続編。
前作のトラブルを片づけた征次郎が再び京都に戻り夢見坂で〈遊壺堂〉を再開して数年…という舞台設定。

京都の小さいけれど目が利く骨董屋に持ち込まれる訳ありの名品に絡む小さな事件を店主の征次郎が解決する短篇集といった感じで始まりながら、後半には何故か新撰組につけ狙われ、逃げ出した加賀で藩ぐるみの悪事に巻き込まれ…とどんどん話が広がってしまった前作に対して、今回は京都の遊壺堂を中心にした短篇のみ。

やっぱり私はこのくらいの世界観で完結するお話のほうが好きだな。
ただ、今回は骨董そのものにまつわる話とか直接それが事件の鍵になるというよりも事件と征次郎を結びつけるきっかけ的な扱いだったことと、導入部から話が展開するまでは話に広がりがあって面白いのに終わり方があっけない作品が多かったのが残念だった。

征次郎は若いながらも古い伝統を持つ骨董の闇市「六道闇の市」の株を持っている、という設定なんだからこのあたりを活かしてもっと道具と密接な話があってもいいんじゃないのかな。

若いけれど目利きの征次郎、征次郎にぞっこんの売れっ子芸者・小染、ハタ師の謙吉、征次郎の師・柴山抱月、闇の市の元締め、など登場人物はみんなクセがあって性格がハッキリしていて面白かった。

「敦盛」「わくら葉」「海の音」「五条坂」「鴨川」「仇討ち」「冴ゆる月」「夢見坂」の8編を収録。


骨董屋征次郎手控
骨董屋征次郎手控
この作品の感想はこちら。
骨董屋征次郎手控

山口雅也『日本殺人事件』

  • 2007/06/16(土) 22:32:44

日本殺人事件
日本殺人事件

内容(「BOOK」データベースより)
憧れの日本にやってきた私立探偵のトウキョー・サム。しかし、そこは、サムライが生き、茶道がもてはやされ、遊廓が栄える不思議な国だった―。奇妙なハラキリ事件、茶室の密室、そしてオイラン連続見立て殺人と、数々の超ジャパネスクな難事件に挑むサムと不思議の国の住人たち…。かつてない究極の本格謎解きミステリー!!日本推理作家協会賞受賞作。

無名の外国人作家が書いた「不思議な日本」を舞台にした推理小説を偶然手に入れた「山口雅也」氏が、『どうしても名前を出したくない』という原著者の了解のもと翻訳、自著として出版した、という体裁の作品。

そうした最初の設定から、舞台、登場人物、小道具、シチュエーションに至るまで「ここまでやりますか」っていうほど細かく、丁寧に設定された「超虚構」の世界。
確かにそこにあるのは「どこの国だよ、これ」といった感じの不思議の国なんだけど、よく考えてみればどんな小説に書かれた日本だってそれが現実の日本とイコールであることはないんだから、こういうずらし方もアリだよね。
まあ、人によって好き嫌いは別れそうな気がするけど。
で、私はというと、こういうの嫌いじゃない。

何よりその設定に妥協がないところが素晴らしいと思う。
そこに描かれるニッポンは私が知っている日本とは別の国だけど単に思いつきで面白おかしく書かれていいるだけの矛盾だらけのシロモノではなく、その国なりのきちんとした秩序と約束事の上に成立した世界になっている。
また、描かれている日本文化の概念や歴史的経緯(武士道とか茶の湯とか)は、それだけ取り出してみれば(多分)きちんと考証されている正しい論だと思われる。
(逆にこれらも全部著者の創作なんだとしたら、そのほうがスゴイかも)

そんなパラレル・ニッポンのある地方都市で繰り広げられる殺人事件もその舞台設定に負けないくらいインパクトのある「あり得ない話」で徹底されていて面白かった。

続編も出ているようなのでこっちも読んでみようっと。

続・日本殺人事件
続・日本殺人事件

宇江佐真理『桜花(さくら)を見た』

  • 2007/06/10(日) 13:52:52

桜花を見た
桜花を見た

内容(「BOOK」データベースより)
日本橋「いせ辰」の手代、英助には誰にも言えない秘密がある。それは北町奉行、遠山左衛門尉景元の落し胤ということ…。表題作ほか、葛飾北斎の娘応為、蛎崎波響に材をとった「酔いもせず」「夷酋列像」など、充実の傑作中篇集。

実在の人物をモデルにした中編集。
表題作の他「別れ雲」「酔いもせず」「夷酋列像」「シクシピリカ」の5編を収録。

どの作品も実在の人物がモデルとして出てくるけど、表題作と「別れ雲」の2編とその他の3編は少し趣が違う。

市井の名もない人々を主役に据えて、実在の人物(「桜花を見た」の遠山左衛門尉景元、「別れ雲」の歌川国直)との束の間の、でも彼らの人生にとっては重要な転機となった出会いと別れを綴った2編に対し、あとの3編は実在の人物(葛飾北斎の娘・応為、蝦夷松前藩の重臣でもあった画家・蠣崎波響、蝦夷地の探検に生涯を捧げた最上徳内)を主役に彼らの生涯が長いスパンで描かれている。

どちらも誠実な文章で丁寧に描かれているんだけど、私の好みからすると人生のある一場面を切り取った最初の2編の作品のほうが人物に感情移入し易くて好きだった。
あとの3編は描かれている期間が長い分、視点が遠いしエピソードも多彩すぎて却ってその人物の人となりが曖昧になってしまった部分があるように思う。

ただ、同じ土地(蝦夷)の同じ時期を別の視点(松前藩重臣と幕府官僚)から描いた「夷酋列像」と「シクシピリカ」は、今まで意識したことがなかった土地の情報がたくさん入っていて、そういう意味で非常に興味深かった。

中村彰彦『知恵伊豆に聞け』

  • 2007/06/09(土) 13:49:27

知恵伊豆に聞け
知恵伊豆に聞け

内容(「MARC」データベースより)
三代将軍・徳川家光の懐刀として、老中に昇りつめた松平伊豆守信綱の生涯を、その「知恵伊豆」ぶりとともに描いた長編時代小説。『週刊小説』『月刊ジェイ・ノベル』連載をまとめる。

その博識、見識の高さから「知恵伊豆」と呼ばれた松平伊豆守信綱がいかにして「知恵伊豆」となったのかが"これでもか~!"といった量のエピソードでもって綴られている。
それこそ4歳のときに卵泥棒を捕まえた話から、67歳で亡くなる直前に将軍・家光から賜った書状を全て焼却するように遺言した話まで盛りだくさん。

読みにくい文章ではないし、内容もけっこう面白いんだけど…とにかくエピソードの数が多すぎる。
しかも、そのエピソードは「ただそこにあるだけ」なのが不満。
「こんなことがありました」だけで、すぐに次の話に行ってしまうので読んでると「だから何なんだ」って気持ちになることがよくあった。
そのエピソードがその後の展開にどう活かされたのかがよく判らないんだよね。
「歴史小説」というよりも「とんち話集」といった感じ。
それならそれでもいいんだけど、この作品はその恐ろしい量のエピソードに加えて歴史的事実もかなり細かく書いてあるので、なかなか読み終わらなくて途中でちょっと飽きた^^;
「知恵伊豆」と呼ばれながらその功績が一般には殆ど知られていない信綱の生涯を余すことなく伝えたいという気持ちも判るけど、書くことと書かずに済ませることは分けたほうがよかったんじゃないのかなあ。

この作品は歴史小説よりも「このトラブルをどう乗り切るか!」って感じのビジネス書にするとオジさん受けしてよかったんじゃないかな。
エピソード厳選して、ページ数少な目、でも紙質はいいの使ってね。
タイトルだけはそのまま「知恵伊豆に聞け」。
このほうが売れそうじゃない?(笑)

北森鴻『屋上物語』

  • 2007/06/03(日) 13:45:42

屋上物語
屋上物語

内容(「BOOK」データベースより)
そのデパートの屋上では、いつも不思議な事件が起こる。飛降り自殺、殺人、失踪。ここに、何があっても動じない傑物がいた。人呼んでさくら婆ァ、うどん店の主である。今日もPHSの忘れ物が一つ。奇妙なことにそれが毎日、同時刻に呼出音だけ鳴るのだ。彼女の手が空いた時間帯に、まるで何かを伝えたいかのように…。屋上の名探偵さくら婆アの奮闘ミステリー。

舞台がデパートの屋上、語り手は屋上に据え付けられたお稲荷様の狐像や観覧車やベンチ、謎を解くのは屋上でうどん屋のスタンドを切り盛りする名物おばさん…という設定だったら、もうちょっと「ほのぼの」しててもいいんじゃないかと思うんだけど。

設定に比べて起こる事件が陰惨過ぎる。
人は何人も殺されるし、しかもその後ろにある人々の感情も重く暗いので読んでいてとても疲れた。

一つの物語の登場人物が次の物語に影響を及ぼして、また新たな事件が…といった構成の短篇連作集。
その構成は巧いと思うし、物語の中心となる3人(泣く子も黙るうどん屋の看板店員・さくら婆ァ、裏にも表にも精通している"興行師"杜田、暴走気味だけど勘が鋭く憎めない高校生・タク)のキャラクター設定や役割分担もいい。
ただ、その巧さが却って物語の重苦しさを強調させていたように思う。

私はあまり好きじゃないなあ。
何より、こんなに色んな事件(殺人事件含む)が起こるデパート、あまり行きたくないし。


<関連サイト>
酔鴻思考 : 作家の公式サイト

浅田次郎『日輪の遺産』

  • 2007/06/03(日) 07:43:41

日輪の遺産
日輪の遺産

出版社/著者からの内容紹介
帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に隠したという時価200兆円の財宝。老人が遺(のこ)した手帳に隠された驚くべき真実が、50年たった今、明らかにされようとしている。財宝に関わり生きて死んでいった人々の姿に涙する感動の力作。ベストセラー『蒼穹の昴』の原点、幻の近代史ミステリー待望の文庫化。

本屋に平積みされていたので新刊かと思ったら、10年前に文庫化された作品だということがあとがきにて判明。
そういわれてみれば確かに老人から過去の遺産への道標を託される2人の男(丹羽と海老沢)の描き方がちょっと焦点が絞り切れていないなど、人物描写がいつもよりも弱かった気がする。
赤の他人の身元もよく分からない老人から第二次世界大戦中の驚くべき記録を書き付けた手帳を託され、その内容に翻弄される男たち。
彼らは彼らなりに生活を背負って、悩んで、苦しんで、怒って、その上で自分たちに出来ることを探ろうと懸命にもがいている。
それは判るんだけど、その葛藤とか苦悩に最近の浅田作品に見られるようなキレや深みがなく、心の動きがうまく伝わってこない部分があった。

それに対して、第二次世界大戦中に思いも掛けぬ命令を受け、それを命懸けで実行した男たちを描いた部分は力強さ、緊迫感と同時に深い哀しみが表現されていて読み応えがあったし、読み進めるうちにさりげなく舞台に全ての登場人物が揃っているという展開、そして膨大な遺産をその中心に置きながらも単なる「宝探し」小説にしないあたりはさすが浅田次郎、という感じ。
途中はやっぱり泣けます。

ただ最後の少女の独白はちょっと気持ちがシンクロ出来なかった。
作中でも何度も「謎」として語られていたことだったから何らかの解答が必要だったのかもしれないけど…ちょっと「余計だな」という印象のほうが強かった。
『珍妃の井戸』のラストもこんな感じで同じく「イマイチ」と思った記憶があるので、単に私の好みの問題かも知れないな。

読みながら一番感じたのは「この時代のことを何も知らない」ということ。
幕末よりも、戦国よりも、平安よりもずぅっと近い、振り返ればまだちゃんと見える時代なのにね。
ちょっと勉強しないとな~。

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