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斎藤美奈子『趣味は読書。』

  • 2007/04/29(日) 13:17:42

趣味は読書。
斎藤 美奈子
4480423133

内容(「MARC」データベースより)
ベストセラーなのに読んでいる人が周りにほとんどいないのはなぜか? 今まで誰もが気づきながら口にしなかった出版界最大の謎に挑む。『月刊百科』に掲載したものに加筆修正し、書下ろしを加えた。

文庫本の帯には「あなたの代わりによみましょう!」。

みなさん気にはしつつも、時間とお金を割いてまでは読みたくないと口をそろえる。/それならば、と考えた。お忙しいみなさまにかわって、私がお読みいたしましょう。いわば「読書代行業」である。
(文庫版p11~12より引用)

というコンセプトの本。
1999年~2002年まで平凡社のPR誌『月刊百科』に掲載した連載に単行本化、文庫化されたときに追加された書き下ろし数点を加えた計49冊のベストセラー本の書評が収録されている。

この本を読んで一番印象に残ったのは実は本文に入る前の「まえがき」として書かれた『本、ないしは読書する人について』という文章の中にあった【読書する人は少数民族である】という章。
新聞社やNHKの調査結果をもとに「日本人がどれだけ本を読まないか」について具体的な数字を挙げて説明して、

もし日本が100人の村だったら、40人はまったく本を読まず、20人は読んでも月に1冊以下だ。

と結論付けている。
(実数にして500万~600万人くらいって…mixiの登録者数より少ないんですけど…^^;)

そうか、本読みはマイノリティだったのか(驚)
自分の生活の中では本を読むのは当然のことだったし、周囲でもみんな読んでいる(ような気がしていた)し、ネット上にも書評(感想文)サイト・ブログがたくさんあるのでみんな本を読んでいるのかと思っていたよ。

でも、それにしては本屋に行くと、とても600万人くらいでは読み切れそうもないくらい多様な種類の本が置いてあったりするんだよね。
この多様過ぎるところが本の長所であり、短所であるってことなのかな。

とはいえ、私は「どんな世の中になっても本は絶対なくならない」と思っていたりするので、あまり心配はしていないんだけどね。
(『本』という形態はもしかしたら変わっていくのかもしれないけど…)

その後も【読書界は他民族社会である】、【「善良な読者」が出版界を支えている】などの論の展開が興味深かった。

本論も各種のベストセラー本(といっても今からするとちょっと古め)をその内容、読みどころ、コンセプトまで簡潔に判りやすく解説されていている。
どれもきちんと冷静さを保った、でもちょっとイジワルな視点での論評が展開されていて楽しく読めた。
中には「この元本、読んでみようかな」と思えるものもいくつかあったり。

これからも年1回くらいでいいのでその年のベストセラー解説本(?)を出してくれると嬉しいんだけどなあ(笑)

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三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』

  • 2007/04/28(土) 13:15:41

まほろ駅前多田便利軒
三浦 しをん
4163246703

内容(「BOOK」データベースより)
東京のはずれに位置する“まほろ市”。この街の駅前でひっそり営まれる便利屋稼業。今日の依頼人は何をもちこんでくるのか。痛快無比。開巷有益。やがて切ない便利屋物語。

面白かったし、読みやすかった。
キャラクターも魅力的だった…でも、どうもこう「しっくりこない」読後感が残った。

私の個人的な好みで行けば、この主役2人に重いバックグラウンドはいらなかった。
お人好しでお節介やきな便利屋が、変人で有名だった高校の同級生と偶然再会。
今も変人を続けている彼に困惑しながらもなりゆきで一緒に仕事を始める…ってな感じで充分だったのでは?
この作品自体、基本的な部分はこんな雰囲気で進んでいるのに時々挿入される2人のトラウマとか過去の記憶がちょっと唐突でうまく両者が溶け合ってないように思えた。
と同時に「痛みを分け合わないと本当に解り合ったことにはならない」みたいな雰囲気がちょっとイヤ。

あと、最初のほうでやたらに「まほろ市」について詳細な情報を書いていたけど、その情報が物語の成立に影響を与えているとも思えなかった。
しかもあれだけ詳細な情報が書いてあるのに、「まほろ市」というのは都会なんだか、田舎なんだか、寂れているのか、賑わっているのか、結局印象が判然としなかったし。
(私の読解力の問題か?^^;)

主役2人をはじめとして登場人物が魅力的なこと、前の章で出てきた人物や人間関係がきちんと後の展開にも活かされているのは好感が持てた。
また主人公の職業に「便利屋」を選んだのも物語に広がりを与えるいい選択だったと思う。

映像化しやすそうな物語なので多田や行天のキャラに合う役者がいれば、ドラマ(または映画)化される日も遠くないかも。

第135回 直木賞受賞作

柳広司『百万のマルコ』

  • 2007/04/21(土) 13:12:28

百万のマルコ
柳 広司
4488463045

内容(東京創元社Webサイト内より引用)
黄金が溢れる島ジパングで、大冒険の末、黄金を捨てることで莫大な黄金を手に入れた――。囚人たちが退屈に苦しむジェノヴァの牢。新入り囚人〈百万のマルコ〉ことマルコ・ポーロは、彼らに不思議な物語を語りはじめる。いつも肝心なところが不可解なまま終わってしまう彼の物語。囚人たちは知恵を絞って真相を推理するのだが……。多彩な謎が詰まった、文庫オリジナル連作集。解説=深町眞理子

マルコ・ポーロ大ハーン・フビライに仕えていた頃に訪れた未知の国で経験した数々の不思議を、戦争捕虜として捕らえられた牢の中で退屈な日々を送る若者たちの前で謎仕立ての物語として語っていく…という趣向の作品。

「ミステリー」というより「とんち話」って感じかな。
13編の短篇が収録されているんだけど、内容によって出来もまちまち。
設定と謎がスムーズに展開しているものもあれば、謎を作るためにかなり強引に設定を作っているのでは、と思われるのもあったり。
でも一話完結だし、どれも重いテーマではないから気軽にサクッと読むにはちょうどいいくらいの内容かと。

尚、タイトル『百万のマルコ』は作品中でのマルコの呼び名。
そしてそこには「ホラふきマルコ」のルビが振ってある。
解説の深町眞理子氏によるとこの呼び名は本物のマルコ・ポーロが書いた『東方見聞録』の序章でも紹介されているらしい。
また、『伊和辞典』で「millione(百万)」を引くと「un millione frottole(嘘八百)」という例文が出てくる、とのこと。

東方見聞録 (1)
マルコ・ポーロ
愛宕 松男
4582801587
東方見聞録 (2)
マルコ・ポーロ
愛宕 松男
4582801838

戸板康二『團十郎切腹事件』

  • 2007/04/15(日) 09:20:12

團十郎切腹事件
戸板 康二
4488458017

内容(東京創元社Webサイト内より引用)
【第42回直木賞受賞「團十郎切腹事件」収録】
江戸川乱歩に見いだされた「車引殺人事件」にはじまる、老歌舞伎俳優・中村雅楽の推理譚。美しい立女形の行方を突きとめる「立女形失踪事件」、八代目市川團十郎自刃の謎を読み解く、第42回直木賞受賞作「團十郎切腹事件」など全 18編。旧〈宝石〉誌掲載時の各編解説をはじめ豊富な資料も併録。ミステリ史に燦然と輝く名推理の数々を完全収録した、《中村雅楽探偵全集》堂々開幕! 資料再録等=江戸川乱歩・戸板康二・小泉喜美子/解説=新保博久/編者解説=日下三蔵

面白かった。
随分前に書かれた作品(1作目「車引殺人事件」の初出が昭和33年だから…約50年前!)にも関わらず、全然古臭さを感じさせずするすると気持ちよく読むことが出来た。

その要素の一つは「歌舞伎界」という、一般人からみると少々異質な世界を舞台に設定したことであると思う。
もともと当時でさえ「伝統」を表現する場所だったわけだから、今でもそれが「時代遅れ」にはならない、ということかと。
しかも、その異質な世界(作品、風習など)を一般人にも理解しやすいようにきちんと丁寧に、でも冗長になることなく解説してあり、それが作品の個性として活かされていた。
さらには、そのトリックや設定がその時代を表す文化や発明品などよりも、登場人物の錯覚や思い込み、または今でも変わりなく存在する昔ながらの道具を使ったシンプルなものであった分、今でも通用する内容が多かったように思う。

そして何よりも探偵役、老歌舞伎俳優・中村雅楽というキャラクターが素晴らしい。
伝統を守る歌舞伎役者、しかも重鎮といわれるほどの芸歴を持つ年齢でありながら、その好奇心、行動力、そして頭の切れはまだまだ健在という雅楽翁。
ワトソン役をつとめる新聞社の文化部記者・竹野(多分30代後半~40代くらい)よりもずっとさばけたリアリストだったり、自分の推理がピタリピタリと事件の謎にはまっていくときの嬉しそうな様子など、意外性のある設定も魅力的だった。

また、雅楽翁の活躍で事件が解決したあともすぐに日常に戻るのではなく、その事件の成り行きや関係した様々な人々に気持ちを残しながらエンディングを迎える終わり方も私好みだった。

この1冊だけでも18編の作品が楽しめるんだけど(その分、文庫としては少々高めの1,200円。でもその価値はある!)、このあと4冊刊行予定とのこと。
洒脱な雅楽翁に再会できるのが楽しみ♪

巻末には「宝石」誌上で発表当時の江戸川乱歩による作品解説他、豊富な資料を掲載。
この解説群も一読の価値有り。

斎藤美奈子『誤読日記』

  • 2007/04/01(日) 09:17:04

誤読日記
斎藤 美奈子
4022500328

内容(「MARC」データベースより)
175冊のベストセラー・話題の書を、「誤読術」で読みといたミーハー書評決定版。タレント本や実用書も取り上げた「書評欄の裏番組」的コラム、00年~04年『週刊朝日』『アエラ』連載を単行本化。

「『誤読術』で読み解く」とはいっても決していい加減なことが書いてあるわけではなく、それぞれの作品について相変わらず切れ味鋭い批評が並んでいて非常に面白かった。
珍しく(笑)私の知っている本もたくさんあったし。

思うに、著者以外にその本を「正しく」理解して読める人って存在するんだろうか?
本(だけに限らずあらゆる表現・作品)は、全て何らかの意味で「誤読(誤認)」されているものなんじゃないのかな。
感想、批評、批判、共感、反感、同意、感動…など全ては(意図的なものもあるだろうけど)その読者の視点やバックグラウンド、思想、思考、嗜好などのフィルターを通して出てきたものであって、純粋にその作品が持っているものではない。

でも、だからこそ全ての表現物はそこにある価値がある、という側面もあると思う。
受け取る側の誤読や誤認をどのくらい許容できるか(どのくらい多角的に読みとくことが出来るか)、というのもまた優れた作品であるかどうかの基準なのかも?なんてことを考えてしまったり。

またそれが「誤読」だとしても自分の作品に真摯に対峙してくれた結果ならば、作者としても本望なのでは。

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