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平林幸恵『夢縁坂骨董店』

  • 2007/02/28(水) 12:31:33

夢縁坂骨董店―あなたの願望、見届けます。
平林 幸恵
4062132443

内容(「BOOK」データベースより)
あなたの願望見届けます。神秘の骨董店を舞台にした物語。「死神の砂時計」「ヒトラーの剣」「千姫の金鋏」「琥珀の月」の4話を収録。

普通の小説だと思って読み始めたら、読んでいるうちに文章が時々「ト書き」みたいな書き方になる部分があるのに気が付いた。
例えば「驚いて振り向く○○子。」みたいな感じ。
あまり小説ではない書き方だよね。
あと、時制が現在形(「○○子、ドアを開ける。」)だったりとか。
すごく違和感があったので「何だろう?」と思って検索してみたら、どうやら一昨年の10月に放送された連続TVドラマを脚本家本人がノベライズした作品だったみたい。
なるほど。

でも、それにしてもかなり中途半端な書き方だと思う。
全編それで通してくれるなら「これはこういう作品だ」って納得できるけど、そうじゃなくて普通に小説「風」に書いてある部分もあったりするので全体的にすごく不安定な感じ。
それに書いてある内容が情景描写が主で登場人物の心理描写が殆どないことや、伏線と思われるものが(殆ど)なくてただ起きたことがベターッとフラットに書いてあるため盛り上がりが全く感じられなかった。
なんか物語そのものじゃなくて、「あらすじ」を読んだような読後感。

『死に迷っている人間だけが見つけられる骨董店を舞台に、そこを訪れる人々がそれぞれ手に取った不思議な品々によって自分の本当の「望み」に気付き、生きなおすきっかけを得る』という設定は面白いと思ったんだけどな。

この内容でもドラマになると面白くなるんだろうか?
まず「ドラマありき」の本だったのかもしれないけど、読む人全てがドラマと一緒に手に取るわけじゃないんだから、ちゃんと単独でも鑑賞に堪えるものを作るのがプロってものではないのでしょうか。

ちなみにドラマの公式サイトはこちら。
朝日放送 | 夢縁坂骨董店
土曜の深夜放送のドラマのわりにけっこう名の知られた役者さんが多く出演してるなあと思ったら、「企画協力 オスカープロモーション」の文字が…。
納得。

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舞城王太郎『SPEEDBOY!』

  • 2007/02/21(水) 10:29:17

SPEEDBOY!
舞城 王太郎
4062836033

内容(「BOOK」データベースより)
友人、家族、世界、愛―すべてを置き去りにして、鬣の生えた少年スプリンター・成雄は、速さの果てを追う!!そこに何があった?何が見えた??―誰がいた。


背中に鬣(たてがみ)があって走るのが速い成雄くんの話だというので、この間読んだ『山ん中の獅見朋成雄』の続編なのかな?と思っていたら、そうじゃなかった。
基本的なキャラクター設定だけがそのまま引き継がれているけど、少なくとも物語としては全く別物。
今回の成雄くんは家族がいなくて名字がなくて、マッハのスピードで走ってます(笑)

私はけっこう好きだな。この話。
といっても例によって例の如く、私ごときが理解出来るように書かれている作品ではないので全体的には相変わらずわけが判らないまま、ただそのスピード感に飲み込まれて読み終わってしまったって感じ。
ただ、変に「理解しよう」という意識を捨ててしまったところで感じられる(体感できる)面白さがあった(ような気がする)。

物語の中に繰り返し出てきた『「限界がある」と考えること』が限界を作り出している、という説には同意出来る。
だからといってそんなに簡単に「限界がある」という意識を取り払うことが出来るとは思えないし、もし出来たとしてもだから限界を超えられるかどうかは別問題だろうけどね。
(いくら「限界がない」と信じたとしても、実際問題「ヒトの肉体がマッハの速度で走ること」は不可能だと思う^^;)

あと、「3 御蔵島」の章で成雄とハッケンが交わした会話(イルカのところ)がすごく印象的だった。
2人とも同じようなことを言ってるのに噛み合わないもどかしさがリアルに伝わってきてすごくよかった。
なんかどっちの気持ちも(上手く言葉には出来ないけど)「判る」気がした。

ちっちゃくて薄い(199ページ)けど箱入り。
箱のイラスト、及び本に綴じ込まれたポスターのイラストは舞城氏本人が描いたらしい。

山ん中の獅見朋成雄
舞城 王太郎
4062121131

坂木司『切れない糸』

  • 2007/02/17(土) 10:24:57

切れない糸
坂木 司
4488012051

内容(「BOOK」データベースより)
俺、新井和也。家は商店街によくある町のクリーニング屋さ。新井と洗いをかけた「アライクリーニング店」が屋号。年じゅうアイロンの蒸気に包まれて育った俺は、超寒がりときている。大学卒業をひかえたある日、親父が急死した。就職も決まっていない俺は、しかたなく家業を継ぐことに。おおざっぱな性格の母親、アイロン職人のシゲさん、そして長年パートとして店を盛り立ててくれている松竹梅トリオの松岡さん、竹田さん、梅本さんに助けられ、新たな生活がスタートしたんだ。目下のところクリーニング品の集荷が、俺の主な仕事。毎日、お得意さんの家を訪ねては、衣類を預かってくるというわけ。ところが、あるお得意さんから預かった衣類は…。『青空の卵』『仔羊の巣』『動物園の鳥』で絶賛をあびた坂木司待望の新シリーズ。

「引きこもり探偵」シリーズ(この呼び名、好きじゃない)に続く坂木司さんの新シリーズ。
父親の急死によって稼業のクリーニング屋を継ぐことになった和也が巻き込まれる(引き寄せる?)厄介事や不思議を、和也の友人で同じ商店街の喫茶店でバイトしている沢田が驚くべき観察力で解き明かす…というパターンの連作短篇集。
「グッドバイからはじめよう」「東京、東京」「秋祭りの夜」「商店街の歳末」の4編を収録。

面白かった♪

ちょっと頼りない主役が持ち込んでくる厄介事を、冷静なその友人が解決する、という関係は前シリーズと同様。
でも、あまりにもその人物設定がエキセントリック、かつ関係が濃密過ぎることに違和感を感じてしまい肝心の物語には今ひとつ集中できなかった前シリーズに比べ、この作品に登場する和也と沢田は取っつきやすい「普通の青年」度が高く、その分物語の中に自然に馴染んでいてとても読みやすかった。
(似てるところもあるんだけどね。濃さが違う。「司と鳥井」は「和也と沢井」をすご~く目の細かい布で3回くらい漉してまたその上澄みだけを取りました、的なキャラだったもの。それはそれでスゴイけど、ちょっとキャラ強すぎだよね(笑))

で、その普通の青年である2人が日常的なものだとはいえ、あちこちの家の厄介事、謎に巻き込まれるための設定として「クリーニング屋」を持ってきたアイディアが秀逸。
人との関係が薄れてみなそれぞれが疑い深くなり「個人情報」の言葉によって全てが隠されていくこの時代の中で、「他人の家のヒミツ」を少しでも知ることの出来る機会がある立場を設定するって難しいと思う。
そこに「ご用聞き」。なるほど、その手がありましたか。
しかもお米屋さんや酒屋さんのように自分の店にあるものを届けたら終わりの店ではなく、顧客のものを預かって加工(洗濯)してまた返すという双方向コミュニケーション(?)が成立するクリーニング屋を選んだところが上手い、と思う。
この設定のおかげで和也が他人の家の内情を垣間見ることが出来る、という普通はあまりない状況にも無理のない説得力が与えられている。
そこで出てくる厄介事や謎の真相も、いかにも普通の家で起こりそうなことだと納得できるものばかりなのがよかった。

そうして他の家の厄介事を解決するパートと、父の急死により不本意ながらクリーニング屋を始めた和也がその仕事と人との関わりを通して人間として、そしてクリーニング屋のプロとして少しずつ成長していく姿が丁寧に描かれているパートが違和感なく融合しているのも読みやすかったし、物語に広がりと奥行きを与えていたと思う。

冷静で観察力が鋭くて、人当たりがいいのにあまり人に近づきすぎないというキャラクターを与えられた探偵役沢田の描き方もよかった。

シリーズ化されるようなので、次回作も楽しみにしたい。


もしよかったら他の作品の感想もどうぞ。
青空の卵
仔羊の巣
動物園の鳥

青空の卵
坂木 司
4488012892
仔羊の巣
坂木 司
4488012914
動物園の鳥
坂木 司
4488012965

三雲岳斗『聖遺の天使』

  • 2007/02/13(火) 10:21:01

聖遺の天使
三雲 岳斗
4575510823

内容(「BOOK」データベースより)
15世紀のイタリア北部、湖水地方。嵐の夜、湖畔にたつ城館で、主人が壁に磔の格好で死んでいるのが発見された。同時に闇の中に天使の姿も出現したという。館には聖母子の姿を浮かび上がらせる奇跡の香炉―聖遺物が存在し、各地から聖職者らが派遣されていた。事件を解決すべく、ミラノからレオナルド・ダ・ヴィンチが乗り込む。ダ・ヴィンチの天才頭脳が、隠された謎を解く。

若き日のレオナルド・ダ・ヴィンチを探偵役にしたミステリー。
文庫版の表紙が目を惹いたので何気なく手にとって読み始めた作品だけど、かなり面白かった。

何がいいかというと、やっぱりダ・ヴィンチの性格の悪さ加減でしょう(笑)

最近いわゆる「日常の謎系」のミステリーを読むとどうも気分的に収まりが悪くて、感想も「イマイチ…」になりがちだった。
「なんでかな~」ということを考えるともなく考えていたんだけど、これを読んでそれがハッキリした。
ミステリーの探偵役は性格が悪いほうが面白い、ということ。
(少なくとも私はそう思う)

だって、探偵役って思わせぶりだし、自分ばっかり納得して他人にはそれを出し惜しみするし、周りで何が起こってようと自分の考え以外は関知しないし、それでいて周りの人間が状況を察しないと呆れたりイラついたりするし…ってかなり勝手な人間だと思うんだよね。
でも、読者を煙に巻いたまま物語を最後まで引っぱって行くにはそういう「のらりくらり」と核心をはぐらかす作戦は必要でしょう。
判ったことがあるたびに「これはね、こういうことなんですよ」って懇切丁寧に説明してくれる探偵役がいるミステリーって…多分、その場はスッキリするけど物語全体として面白くないと思う(笑)
だから、探偵役は我が儘で頭は切れるけど空気を読む気がなくて、勿体ぶりで、なんか勘に障る(でも最終的には許されちゃう)というタイプ(←誰?(笑))がいいんじゃないかと思うんだよね。
それに対して(すごくザックリした意見になってしまうけど)「日常の謎系」ミステリーに出てくる探偵役ってだいたい「いい人」設定じゃない。
だから、その「いい人」を基準に読んでいくと、探偵としての役割を果たすために彼(女)が取る行動がどうもちぐはぐに見えてしまうことがあるんだな。
「なんでこの人がこんな持って回った言い方するんだろう」とか「そこまで言うなら最後まで喋らないか、フツー」とか「ここでそんなことしないでしょ」とか。
本のこっち側でツッコミを入れながら読んでること、けっこうよくある。
「日常の謎」というだけあって、シチュエーションが日常的で自分の立場に置き換えて考えやすいから余計にそう感じてしまう部分が大きいんだろうな。
あとは、「日常的にそんなに事件に巻き込まれる人はいません」という考えが最初から最後までずぅっとつきまとっていたりとか(笑)
そんなこんなで私の「日常の謎」系ミステリーの満足ハードルはかなり高いところにあるよ、という話なのでした。

で、一方、この作品のダ・ヴィンチの「(魅力的な)ヤなヤツ」っぷりはなかなかよかった。
パトロンであるミラノ公 イル・モーロの命令で渋々現地まで同行すると、すぐに何が起こったか、何が原因だったかを見抜くけど、それをイル・モーロにさえもまともに喋らない。
おかげでイル・モーロはイライラしてるのに、ダ・ヴィンチはどこ吹く風で彼の愛妾(と噂される)チェチリア・ガッレラーニの肖像画を描いてたり、急にふらりと出掛けたと思えばみんなで探し回っていた事件の核心に触れる重要なあるものを当然のように見つけだしてきたり…。
で、最後にはそうした彼の行動の一つ一つが整然とした理由を与えられて謎解きに繋がっていく、という展開が見事だった。

ある意味「一人舞台」状態で物語を引っ張っていくダ・ヴィンチだけど、同時にこの物語の面白さは彼一人だけの手柄ではなく、自分が雇い主なのにちっとも大事にされないのでちょっとムクれている(でもダ・ヴィンチを嫌うことはない)イル・モーロと、2人の間を繋ぐ当時の女性としては異例の教育を受けた博識で美しく聡明なチェチリアの存在があってこそ。
この3人のバランスのいい関係が、物語の中でうまく生かされていた。

ミステリーのキーワードになる「聖遺物」「天使」の使い方もよかったし、ミステリーの謎解きと同時に当時の政治的な力関係やものごとの捉え方、文化、風習なども書き込まれていて(でも難しくはなく)歴史的な興味も満足できる一冊だった。

大崎梢『配達あかずきん 成風堂書店事件メモ』

  • 2007/02/07(水) 10:37:54

配達あかずきん
大崎 梢
4488017266

内容(「BOOK」データベースより)
「いいよんさんわん」―近所に住む老人に頼まれたという謎の探求書リスト。コミック『あさきゆめみし』を購入後、失踪した母の行方を探しに来た女性。配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真…。駅ビル内の書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の良いアルバイト店員・多絵のコンビが、さまざまな謎に取り組んでいく。初の本格書店ミステリ、第一弾。

「成風堂書店事件メモ」シリーズの1作目。
先日読んだ長編『晩夏に捧ぐ』の前に来る作品。
駅ビルの6階にある書店・成風堂の正社員・杏子とアルバイト店員・多絵がお店のお客や関係者によってもたらされる、本にまつわるちょっとした事件を解決する連作ミステリー。
「パンダは囁く」「標野にて 君が袖振る」「配達あかずきん」「六冊目のメッセージ」「ディスプレイ・リプレイ」の5編を収録した短篇集。

『晩夏に捧ぐ』は残念ながら(私的には)イマイチだったので、こちらに期待していたんだけど…(またしても^^;)う~ん…。

昨日図書館で借りて今日には一気に読み終わってしまったくらいだから、別に「つまらない」「読みにくい」ってわけじゃないけど、読んだ後に「あ~、面白かった♪」って感じにはなれなかった。

どの作品も導入部とか、解き明かされた謎自体は面白いな、と思えるもの多かった…うん、物語の「発想」とか「着眼点」はいい、というか好き。
でも、その始まりと終わりの間を繋ぐ設定、話の流れなどが、ちょっと腑に落ちないというか、不自然というか、けっこう強引というか…そんな部分があちこちにポロポロ見受けられて、それがどうしても気になってしまい物語自体に気持ちが入っていかなかった、という感じだった。

例えば一番気になったのは「六冊目のメッセージ」。
これはある女性が自分が入院中に母親が買ってきた本を選んでくれた書店員を捜しに成風堂に来る、でもそれは実は書店員ではなかった、じゃあ誰だったの?というお話。
設定もいいし、最後もすご~くいい雰囲気で終わるきれいなお話。
私も物語自体はすごく好き。
でもね、一つどうしても納得できない点が。
普通、誰かが人を捜しに来て、それが誰だか見当がつかなかったら(でも、そこに何らかの形でいたのが確実な人だったとしたら)「どんな人でしたか?」ってその対象となる人の外見的特徴を絶対訊くよね?
それが一番手っ取り早いでしょ?
なのに、この作品ではその質問が一回も出ないってところがすごく不自然で、それがどうにも気になって仕方なかったのだ。
もちろん、それを訊いてしまったら「あ、それだったら」ってことになって、謎解きは不要になっちゃうからミステリーとして成立しない、って事情があるのは判る。
でも、判っているからこそ、そこをどうにかして欲しかった!と望む私は我が儘でしょうか?
その質問が無意味になる何らかの理由こそが、私がこの物語(ひいてはこの作家さん)に求めるものだな。
それがプラスされれば、きっとすごく好きになると思う。

そういう観点からいうと「配達あかずきん」と「ディスプレイ・リプレイ」の2作品のほうがミステリーとしては上手くまとまっていたと思う。
(ただ「配達あかずきん」で出てきた「配達に行くときは財布も携帯も(私物はいっさい)持たない」って設定はどうなのよ、と思った。まさに物語の中でヒロちゃんが転んで怪我しちゃうように、実際に途中で何があるか判らないわけでしょう?なのに何にも持たずに外出るのってかなり危険だと思うんだけど。携帯と小銭くらい持たせてあげてください)

最初の2作品は作品の雰囲気自体があまり好きじゃなかった。
これは単純に好みの問題だけど。

巻末に「おまけ」として女性書店員さん4名による座談会が掲載されているんだけど、これがかなり面白かった(笑)
(作品の中でも杏子が書店のルーティンワークについて解説している部分が面白かった。知らない職場の裏話はどんな分野でも興味深い)
これを読んで「(お客さんって)みんなろくに本のタイトルも判らないまま店員さんに訊いちゃうんだ~」って何だか変な感心の仕方をしてしまった^^;
私は作家も書名も出版社もISBNも全部調べて行くのに見つからなくてもなかなか店員さんには訊けないんだよねえ…。
なんか、本屋の店員さんっていっつも忙しそうで、どのタイミングで声かけたらいいのか判らないんだもん^^;
でもこれを読んでちょっと安心したので、これからはもうちょっと気軽に探すのを手伝ってもらおう。


晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編>
大崎 梢
4488017304

もしよろしければこちらの感想文もどうぞ。
晩夏に捧ぐ


〈関連サイト〉
Ringo page 大崎 梢web site
ご本人によるサイトです。

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