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宮部みゆき『日暮らし(上・下)』

  • 2006/11/30(木) 08:24:05

日暮らし 上
宮部 みゆき
4062127369
日暮らし 下
宮部 みゆき
4062127377

出版社 / 著者からの内容紹介
待望の最新時代小説、たっぷり上下巻で登場。多くの者の運命を大きく変えた女・葵が殺された。殺したのはー本当にあいつなのか?
ぼんくら同心・平四郎、超美形少年・弓之助が、ついに湊屋の真実に迫る!

ああ、面白かった~♪

『ぼんくら』の続編だというのは知っていたけど、てっきり主要な登場人物(平四郎、弓之助、おでこなど)が同じだけで、全く別の事件を解く物語なのかと思いこんでいた。
ところが読んでみたら本当の意味で続編、『ぼんくら』に出てきた人々の「その後の物語」だったのでかなり驚いた。
同じ登場人物で2作品、それもどちらも長編を書くってかなりの力業だよね。
それだけの枚数を飽きさせずに読ませる、舞台設定、人間関係、テーマ、謎、伏線、物語の展開…などなど。
でも、宮部みゆきはそういうことをやってのけてしまうんだなあ。
最初から最後までずうっと面白くて、先が気になって、ドキドキして、ちょっとウルウルしながら読んだ。

と、何だかいかにもスムーズに作品を読みましたよ、な感想を書いているけれど、いつもの通り私は『ぼんくら』の内容をかなり忘れていたことを白状します^^;
「すごく面白かった」という読後感だけは強烈に残っていたし、弓之助やおでこのことはちゃんと憶えていたので、ストーリーも憶えているはずと思っていたんだけど…やはり、いきなり記憶力がよくなるということはないらしい(笑)
でも、こんな<ぼんくら>な(笑)私でもちゃんと理解できるように、話の端々にさりげな~く前作のいきさつやら人間関係を混ぜ込んでくれている宮部センセイの心遣いが非常にありがたかった。
おかげで道に迷うことなくちゃんと最後までついていけました。
ありがとうございます♪
ただ、この描写で前作のアウトラインがある程度予想できてしまうので、『ぼんくら』より前にこの作品を読んでしまった人はちょっと可哀想かも…。
(なのでまだどちらも未読の方はまず『ぼんくら』から読むことを【強く】オススメします!)

前半の盛り上がり部分は佐吉がすごく重要な役回りで終わるのに、後半はちょっと出てきただけでその後は姿を消してしまうのがちょっと残念だった。
(まあ、展開としては仕方ないのかもしれないけど)

それから、真犯人の設定はやっぱりちょっと唐突な感じがするかなぁ。
確かにそこに持っていくまでには非常に丁寧に手間をかけている感じは理解できるんだけど、だとしたらもっとその人の人となりを早い段階で表に出しておいた方がよかったような気がする。

でも、そんなのは本当に些細なことで、作品全体を通しての感想は「面白かった」それに尽きる。
物語を貫く流れ、リズム、多彩な登場人物が見せる様々な感情とそれを丁寧に掬い取る描写の確かさ、眼差しの温かさ。
全てがまるで目の前に見えるように描かれている作品だった。
あちこちに張り巡らされた伏線と、いくつもの小さな物語として広げられた物語が終わりが近づくにつれてパタンパタンと綺麗に、あるべき場所、あるべき姿に畳まれて行くのが気持ちよかった。
エンディングの「鬼は外、福は内」で佐吉の家で平四郎と佐吉夫婦が話してるシーンでは画面の左側にエンドロールが流れているのが見えるようだったな(笑)

ただ他の部分はけっこう想像し易いんだけど、弓之助の顔だけは思い浮かべるのが難しい…。
「凄いくらい美形の」13歳の少年ってのはどんな感じ?
宮部さんはどんな少年を想像しながら書いたのかなぁ?

ぼんくら〈上〉
宮部 みゆき
4062747510
ぼんくら〈下〉
宮部 みゆき
4062747529

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田中啓文『ハナシにならん!笑酔亭梅寿謎解噺2』

  • 2006/11/26(日) 08:17:39

ハナシにならん!―笑酔亭梅寿謎解噺〈2〉
田中 啓文
4087748235

出版社/著者からの内容紹介
上方落語をなめたらあかん! 舌好調第2弾!!
落語家笑酔亭梅寿に弟子入りした金髪トサカ頭の不良少年竜二。どつかれ、けなされ、江戸落語や漫才にこけにされ、時には事件に巻き込まれながら、成長していく。青春落語ミステリ、待望の第2弾。

前作『ハナシがちがう!』がけっこう面白かったのでシリーズ2作目も読んでみたけど、こっちは残念ながらあんまり好きじゃなかった。

前作より今回の方が主役の竜二の活躍が際だっているんだけど、その分彼の行動や考え方の心許なさが全面に出てきてしまった感じ。
高校中退して梅寿師匠に弟子入りした(させられた)まだ未成年って設定を考えると自分の中に「核」がないのも仕方ないのかも知れない。
でも読んでる方としては主人公に定見がないのってちょっと疲れる…というのが正直なところ。
(その分、師匠の梅寿が上手いとこフォローしてくれる、というなら話は別だけど、それも期待は出来ないみたいだし(笑))
自分に降りかかってくる様々な状況の中で迷ったり、立ち止まったりするのは話の展開として有効だと思う。
ただそれを何とか解決した結果竜二が気付く「回答」が、彼の次の成長に殆ど役立っているようには見えないというのが気になるんだよね。
次の回ではまた同じようなところで堂々巡りをしていて…じゃあ、前の物語は一体何だったんだ、と。

一番気になったのは、「落語」と「漫才(に代表される落語以外のお笑い)」を比較して、その度に竜二が「落語は漫才には勝てない」と思う場面が何度も出てくるところ。
何でその2つを勝ち負けで考えるのかが全く判らないんですけど。
で、もっとビックリしたのは『猿後家』という話で、竜二と若手で売り出し中の漫才コンビが一悶着あってその後ある事件をきっかけに仲良くなるんだけど、その時点で竜二の抱く感想が「今だったら落語が漫才に勝てるかも…」だったこと。
やっぱり結局勝ち負けなの?
あの流れだったら「勝ち負けじゃない何か」に辿り着きそうなものだけど…。
これを勝ち負けで考えているうちは竜二はその先へ行けそうにはないと思うけどな。

それにしてもハードカバーの表紙の竜二、怖すぎ^^;
こんな強面の兄ちゃんだったら、あんなに(作品中みたいに)ボコボコにされることもなさそうな気がするぞ。
文庫版の表紙の竜二の方が作品のキャラには合っていると思う。

サブタイトルに「謎解噺」と入っているせいか、全ての話がちょっとしたミステリー仕立てになっている。
前作はその謎もけっこう凝った内容で面白かったけど、今回はどちらかというと人情物の要素が強くて最後に謎解きが出てくると却って違和感があった。
この程度の謎を入れるなら今後は無理してミステリーにしないほうがいいんじゃないのかなあ…。

「蛇含草」「天神山」「ちりとてちん」「道具屋」「猿後家」「抜け雀」「親子茶屋」の7編を収録。

ハナシがちがう!―笑酔亭梅寿謎解噺
田中 啓文
4087460746前作の感想文はこちら↓
田中啓文/ハナシがちがう! 笑酔亭梅寿謎解噺



<著者関連サイト>
田中啓文のふえたこワールド

矢作俊彦『ららら科學の子』

  • 2006/11/21(火) 11:28:07

ららら科學の子
矢作 俊彦
4167691027

内容(「BOOK」データベースより)
男は殺人未遂に問われ、中国に密航した。文化大革命、下放をへて帰還した「彼」は30年ぶりの日本に何を見たのか。携帯電話に戸惑い、不思議な女子高生に付きまとわれ、変貌した街並をひたすら彷徨する。1968年の『今』から未来世紀の東京へ―。30年の時を超え50歳の少年は二本の足で飛翔する。覚醒の時が訪れるのを信じて。

タイトルだけは以前から知っていたので、文庫化されて本屋の平台に並んでいるのを見て買おうかな、どうしようかなと迷っていたら会社の後輩が貸してくれた。ラッキー♪
読む前にタイトルから想像していた物語(少年時代にTVでアトムのアニメを見て育った少年が科学者を志し…みたいなの。なんてベタな話!(笑))とは全く違って、いきなり中国から密航してきたおじさんが登場したのでビックリ。

TVもつい最近入ってきたばかり、というような前時代的な生活を送る中国の田舎の村から30年振りに東京に戻ってきた「彼」。
いわば30年前からタイムスリップして来た人の東京案内といった趣の話。
「彼」の抱えている背景が重いのであまり明るい話ではない。
登場人物の設定や展開から言ってそんなに好きなタイプの物語ではないんだけど、その割には気分良くサクサク読めた。

何故かというと、出てくる登場人物たちが(みんなけっこうヤバイ職業の人々ばかりであるにも関わらず)妙に礼儀正しい、というかきちんとしていたから。
その分、「彼」を筆頭にセリフが変に哲学的、思索的だったりする部分もあって「何を言いたいのか(したいのか)判らないぞ…」という箇所も多かったし、あまりにもいつも「ちゃんとしてる」部分が逆に鼻に付く場面がなかったわけでもないけど…でも、みんなで口汚く怒鳴りあったり、罵りあったりしている話よりは私はこっちのが好きだな。

一番凄いな~と感心しながら読んだのは、30年も音信不通で中国へ行ったきりの人間が急に帰って来たのに、ちゃんと友人とか家族とかが「彼」を受け入れるってことろ。
実際に「彼」の傍にいるのは30年振りに戻ってきた現在の東京で初めて会った人たちばかりで30年前の「彼」を知っている友人や家族と直接会うシーンはないわけだけど、その「彼」の傍で彼を客として丁重に扱う人物を手配したのは彼の友人だし、今は有名人になっている妹も幼い頃の思い出を「彼」がそう思っているのと同じように今も大切にしているんだよね。
普通、30年もどこかに行ったままだった人がいきなり連絡してきたら、困るか、怒るか、知らない振りするか…って感じだと思うけど。
どう考えてもこの「彼」のようないい待遇が受けられる可能性は低いと思うな。
今どき30年どころか一晩帰らなかっただけでも家に入れて貰えないオジサンなんて、たくさんいると思うぞ(笑)
私にとっては、この物語のこういう部分が一番「おとぎ話」っぽく感じた。

それから、「彼」が彷徨い歩く東京が架空の場所ではなくちゃんと実在の東京をなぞっているので、読んでいると「あ、ここはあの辺ね」と思い当たる場所がたくさん出てくるのが楽しかった。
でもそうやって「彼」が彷徨い歩く場所はすごくリアリティがある反面、「彼」自身の存在については輪郭が非常にボンヤリしている。
それはこの物語が最初から最後まで「彼」について書いてあったのに結局読者には最後まで「彼」の本名さえ知らされないことと多分符合しているのだと思う。
その辺りの「リアルなんだけど空虚な感じ」がこの物語の独特な雰囲気になっていて、私はそこが好きだった。

物語の中で「彼」と妹の重要なエピソードの小道具として出てくる『猫のゆりかご』と『点子ちゃんとアントン』。
どちらも読んだことがないので、今度探してみよう。

猫のゆりかご
カート・ヴォネガット・ジュニア
伊藤 典夫
4150103534
点子ちゃんとアントン
エーリヒ ケストナー Erich K¨astner
池田 香代子
4001140608

平岩弓枝『平安妖異伝』

  • 2006/11/16(木) 11:24:40

平安妖異伝
平岩 弓枝
4103279125

内容(「BOOK」データベースより)
時は平安時代。西域の血を引く超能力者の少年楽師とともに、二十代半ばの藤原道長が大活躍。どの話にも雅楽の珍しい楽器が登場し、物の怪が引き起こす事件の解決に重要な役割を果たします。桜の老木の精が摂政兼家の生気を奪う「花と楽人」から、「春の館」まで全十篇。著者会心の王朝伝奇小説。

先日感想を書いた『道長の冒険 平安妖異伝』の前に来るお話。
『~冒険』で道長が根の国への旅に赴く原因となった真比呂との出会いと、彼と共に巻き込まれる数々の不思議な事件が描かれた短篇集です。

『~冒険』のほうを読むと、道長と真比呂はかなり精神的に奥深いところで信頼し合い、認め合っているといった印象を受けたので、その前にあるこの作品集では2人がその信頼を築き合っていく過程がさぞ丁寧にじっくりと描かれているのであろう、と期待して読んだのですが…何だか妙にアッサリしていて、正直ちょっと物足りないなあ、という感想。
確かに、この物語の中でも2人はそれなりに相手を信用し認めていて、物語が進むにつれその度合いが増していくのも判るけど、1年の後にあんなに献身的に道長が真比呂を探して、命まで投げ出す覚悟で旅をするほど親しいって感じには見えないんですよねえ…。

しかも道長自身、『~冒険』のなかで見られるような思いやりと強い意志や勇気、深い思慮に溢れた人物という感じではなく、単にちょっと物分かりのいい貴族の御曹司って感じだし。
この1年で道長に何があったのだ(笑)

とはいえ、物語自体は面白く読みました。
道長がはからずも巻き込まれる不思議な事件を、宮廷の楽師であり若いながらも誰よりもよく楽器を操る真比呂が不思議な力でもって解決するというストーリー。
ちょっと『陰陽師』っぽいけど、全ての事件にいろんな形で「楽器」が関わっており、その楽器の「想い」を真比呂が解放することで解決するというところにオリジナリティがあって面白かったです。

「花と楽人」「源頼光の姫」「樹下美人」「孔雀に乗った女」「狛笛を吹く女」「催馬楽を歌う男」「狛麿の鼓」「蛙人」「象太鼓」「春の館」の10編を収録。

平岩弓枝『道長の冒険 平安妖異伝』

  • 2006/11/05(日) 11:19:36

道長の冒険―平安妖異伝
平岩 弓枝
4101241171

内容(「BOOK」データベースより)
平安京に異変が起きた。ものみな凍りつき、春が来ない。頼みの楽士・真比呂は、根の国の主・無明王に連れ去られたままだ。愛すべき虎猫の化身・寅麿を従え、青鹿毛の名馬に跨り、名笛・小水龍を携えて、若き藤原道長は海を渡る―京の民を救うため。物の怪どもと戦うため。途中雷神の子らや赤目の美猫・紅眼児が加わり、妖魔との死闘は続く。大好評『平安妖異伝』に続く痛快長編。

面白かった。
連れ去られた真比呂を尋ねて道長が無明王の支配下にある様々な国を旅する中で現れる妖異と戦うという設定のいわゆる「冒険譚」。
とは言っても特にビックリするような展開があるわけではない。
道長や従者の寅麿が敵の攻撃にあって危機に陥るところはもちろんあるけど「あぶない!」と思った次の瞬間には何らかの援軍が現れて救ってくれるし、何より道長自身がどんな状況になっても慌てず騒がずの落ち着いた態度で終始しているため「ハラハラドキドキ」といった感覚はない。
全体的にかなり淡々と進んでいく印象。

でも、その落ち着いた作風が却って私は好きだったな。
特に道長と寅麿の関係がいい。

従者である寅麿が道長へ寄せる尊敬、主人である道長の寅麿への感謝の気持ち。
いつ終わるとも知れない未知の国への旅の空で主従2人がお互いに労り合い、助け合って苦難を乗り越えてゆく姿がとても印象的だった。

藤原道長というと「この世をばわが世とぞ思ふ 望月の欠けたることもなしと思へば」なんて歌を詠んだ権力好きのオジサンってイメージが強いけど、ここに出てくるまだ若い(30代?)の道長は権力には全く興味がなく、分け隔てなく人に優しくどんな状況に陥っても希望を忘れず目指すもののために危険を顧みずただひたすら前に進んでいく、というかなり魅力的な人物像になっている。
この道長も年取ると、権力好きのオジサンになってしまうのかな~?
でも多分、これの続編はなさそうなのでそうなっていく道長は見られないのが残念…(笑)

この本の前段の道長と真比呂が2人で物の怪と戦う『平安妖異伝』という作品があるらしいので、こっちも読んでみようっと。

平安妖異伝
平岩 弓枝
4101241155

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