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皆川博子『写楽』

  • 2006/09/25(月) 14:06:15

写楽
皆川 博子
404872827X

内容(「BOOK」データベースより)
江戸の町に忽然と現れた謎の浮世絵師・写楽。天才絵師・歌磨の最大のライバルといわれ、名作を次々世に送り出すと、たった十ヵ月で消えてしまった“写楽”とは、いったい何者だったのか。ひたむきに夢を追う若き芸術家たちの生き様を描き切った、著者渾身の書下ろし。

『写楽』というタイトルの物語だけど、実際に「写楽」としてその人物が登場するのは、物語の中の数ページでしかない。
これは写楽について書いてあるというよりも、幕府の奢侈禁止令によってやりたいことを制限されながらも表現することに挑戦し続けた当時の文化人たちの横顔を描きながら、その中に後に写楽と呼ばれた人物を配した、という印象の作品。

こうした物語を読むにつけ、写楽を始め、北斎、馬琴、京伝、南北など日本の文化芸術界のビッグネームがほぼ同時期に次々と輩出されている時代の凄さを感じる。
そしてそれを陰で支えていた刷元の蔦屋重三郎の存在。
身代半減の上に手鎖の刑まで受けながらも自分の信念を曲げずに身銭を切って彼らを後見し続けた眼力と、美しいもの面白いものへの情熱が日本の文化を守って来たのだと思う。
この両者どちらの存在が欠けても日本の文化は花開くことはなかっただろう。
そう考えると「奢侈禁止令」さえも、もしかしたらそれを昇華させるために与えられた試練だったのでは?とも思えてくる。

ぽつんぽつんと点景のように配置されたエピソードで綴られる形式の物語で読んでいる間はなかなか全体像が見えてこなくてちょっともどかしい思いもするけど、読み終わってみるとその手法こそがその時代の雰囲気をよく表現しているように思えるところが不思議。

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舞城王太郎『山ん中の獅見朋成雄(シミトモナルオ)』

  • 2006/09/11(月) 14:02:34

山ん中の獅見朋成雄
舞城 王太郎
4062121131

内容(「BOOK」データベースより)
僕の首の後ろにも、他人よりもちょっと濃いめの産毛が生まれたときから生えていて、これが物心ついたころから僕の抱えた爆弾だったのだけれど、十三歳になってすぐのある晩、自分の鎖骨をこすっていて、そこにいつもとは違う感触を感じてうつむいて、首元に赤くて長くてコリコリと固い明らかな鬣の発芽を確かめたとき、それまでは祖父と父と同じように背中に負ぶっているつもりだった爆弾が、気づけば僕だけ胸の上にも置かれていたと知ってショックで、その上さらにその導火線にとうとう火が点けられたのを実感して、僕は絶望した。―福井県・西暁の中学生、獅見朋成雄から立ち上がる神話的世界。ついに王太郎がその真価を顕し始めた。ゼロ年代デビュー、「ゼロの波の新人」の第一走者が放つ、これぞ最強の純文学。

図書館で見掛けて、知らないタイトルだったので新刊かと思ったら3年も前に出版された作品だと知って驚いた。
確かにその頃からあまり読まなくはなっていたけど、一応新刊のチェックくらいはしていたつもりだったんだけど。
それともチェックはしたけど、記憶から消えていたのかな。

舞城王太郎の文章は、リズムがあって好き。
一文一文はけっこう長いのに、細かく読点で区切られる文章のリズムが心地いいのでそれに乗せられてどんどん読み進むことが出来る。
この作品もそれでもリズムの心地よさとか選ばれている言葉の面白さでスルスル読めてしまった。
その一方で、内容が「何が何やら…」なのもいつもと一緒(笑)
それでも今回は前半はわりと普通の(推理)小説っぽい作りだったので、「お、けっこう判りやすいかも」と思っていたら、後半いきなりファンタジー(?)な世界になってしまって「あれれ…?」と思っているうちに終わってしまった…。
(それでも一応前半の謎解きはしてあるところは親切かも。ちなみに後半は『千と千尋の神隠し』をモチーフにしているらしい。ふ~ん…)
ただ、それは単純に「私に物語の真意を受け取る力がない」ということなんだと思う。
そして、そんなふうに判らないままでさえ「(判らないけど)面白い」と思わせてくれるパワーが舞城作品の一番の魅力だと思う。

この作品で印象的なのはやっぱり「擬音」。
この擬音の独特な語感もすごいけど、その独特な言葉がちゃんとその行為に対する擬音として成立しているのが素晴らしい。
そしてその音の違いで「自分が一番いい状態」を知ることが出来る成雄の繊細さがよかった。

広瀬仁紀『新選組風雲録 洛中編』

  • 2006/09/10(日) 09:37:43

新選組風雲録 洛中篇
広瀬 仁紀
4167679078

内容(「BOOK」データベースより)
幕末動乱の京。盗っ人のましらの忠助は、ドジを踏んで江戸から京へ流れてきた。清水寺で新選組副長・土方歳三と関わり、その手足となって働くことになった。一方、霞小僧の異名を持つ、こちらも盗賊のお多加は、長州激派の吉田稔麿を追いかけて京へ上ってきた。池田屋事件から蛤御門の変と激動する京に交錯する二人の影。

5巻ものの1冊目。
偶然図書館で見つけて、そんなに期待もせずに借りてみたらこれが当たり!
すごく面白かった♪
(私が借りたのは、'87年に大陸書房から発行されたソフトカバー本で、上記の書影(文春文庫版)とは別物。
文春文庫版は、ソフトカバー版が絶版になったあと「復刊ドットコム」での支持を受けて復刊したものらしい。)

ひょんなことから池田屋襲撃前夜の土方と出会いその手足となって働くことになる忠助と、池田屋で思い人の吉田稔麿を新選組に殺されその復讐のため長州の桂小五郎をかくまうお多加の使い方が巧い。
特に忠助は土方の密偵として動く中でいろいろ印象的なシーンを残してくれている。
なかでも、土方の密偵として長州藩の動きを探りに出た忠助が、既に死の覚悟を決めた長州藩の来島又兵衛と語り合うシーンがよかった。
(もちろん、来島は忠助が密偵だということには気付いていない、という設定)
そしてその報告を受けて『壮士(おとこ)とはそうありたいものだ』と呟いてしばし嗚咽しちゃう土方がいいっ!(笑)

そう、この作品に出てくる土方はすごく「いい」キャラなのだ。
頭が切れて強面で一方的に見えるけど、人の感情を読むのがうまくて心配りが繊細で…。
私が一番好きなタイプの土方像♪
この土方が読めるだけでも、この作品は私にとってはマルである、と言ってもいいくらい(笑)
『燃えよ剣』の土方ほどは強烈な印象はないけど、これはあの作品とは違って彼が主役の物語ではないからそのくらいのほうが全体の中ではバランスが取れていていいんじゃないかと思う。
(でもそれにしては登場シーンが多いけどね)

それから、その土方に絡んでいく沖田もいい。
子どもっぽくて無邪気かと思うと、人の気持ちの本質を本能的に掴んでスルッと懐に斬り込んでいく鋭さもあって…一人で周りの恨みを買ってでも新選組を強くすることを考えている土方のことを誰よりも理解しているけど、それを顔や態度に出さずに邪魔ばっかりしている(ように見せている)沖田、というのも私が一番好きな設定。

まあ、なんというかちょっと少女マンガ的ではあるけどね^^;

でも、この作品はそのキャラクター設定だけに流されずに史実を交えながら、幕末の動乱の中で生きた人々のそれぞれの生き方を丁寧にとても暖かい眼差しで描いてあるのが一番の魅力だと思う。

このあと「激闘編」「落日編」「戊辰編」「函館編」と続くようなので、読むのが楽しみ♪

朝松健『東山殿御庭』

  • 2006/09/09(土) 09:32:48

東山殿御庭
朝松 健
4062134829

内容(「BOOK」データベースより)
普請現場に妖かしが出る―呼び出された一休と森は絵図面の謎を解いたのだが、ある日、一休が住む草庵を訪れた管領が見たのは…。2005年日本推理作家協会賞短篇部門候補の表題作ほか、「ぬばたま一休」連作集。

有名な一休和尚を主人公に、彼が出会う様々な怪異・あやかしとの闘いを描いたホラー短篇集。
表題作の他「尊氏膏」「邪笑う(わらう)闇」「甤(ずい)」「應仁黄泉圖」の5編を収録。

初めて読む作家さんの作品。
「ホラー」だというのでちょっとビクビクしながら読み始めたんだけど、意外にスルスル読み終わった。
確かにかなりグロテスクな表現が出てくる場面もあるんだけど(特に「尊氏膏」と「甤(ずい)」は怖かった(汗))それでも途中で読めなくなってしまうとか不快になることはなかった。
多分それはしつこくなくて淡々とした、そして端正な文章の持つ力ではないかと思う。

主役の一休宗純は思ったよりも大人しい感じ。
もっと強烈なキャラクターであってもよかったかも。
ただ、その分全体的に落ち着いた雰囲気でまとまっていて読みやすい作品に仕上がっていた部分もあると思うので、このバランスが難しいのかも知れないな。

長谷川等伯の「烏鷺図(うろず)」をモチーフにしたシンプルな装丁が内容にマッチしていて素敵。


【関連サイト】
UNCLE DAGON TEMPLE(朝松健氏公式サイト)

井沢元彦『天正十二年のクローディアス』

  • 2006/09/07(木) 09:29:30

天正十二年のクローディアス
井沢 元彦
4946477217

内容(「BOOK」データベースより)
明智光秀が将軍義昭に宛てた暗号文の密書。巧妙に仕組まれたクロス・ワードに隠された驚くべき真実とは。

10年前に発行された歴史短篇ミステリー集。
表題作の他「修道士(イルマン)の首」「明智光秀の密書」「太閤の隠し金」「賢者の復讐」の計5作を収録。

井沢氏の作品って以前読んだときに「イマイチ…」と思った印象がけっこう強くてその後読んでいなかったんだけど、今回何気なく図書館でこの本を手に取って最初のほうをパラパラ見ていたらちょっと面白そうだったので借りてみた。
結果、思った以上に面白くて得した気分。

以前読んだときは長編だったんだけど、ラストで「さあ、これから盛り上がるぞ」ってところで曖昧なまま終わってしまっていて「え~?!何ソレ?」って思ったのがイマイチの原因。
でも今回は短篇だったせいかちゃんとオチもついていたのがよかった。
途中の展開も意外性があって楽しく読めたし。

特に若き日の宮本武蔵が遭遇したある事件を描いた「太閤の隠し金」は、短いなかにトリックの面白さと敗残兵のもの悲しさが閉じこめられていて印象的だった。

一方、最初に読んで「面白そう」と思った表題作は一番苦手な作風。
著者とおぼしき作家とその編集者の会話文のみで綴られた作品で、武士道の聖典といわれる「葉隠」を書いた鍋島藩の真実を作家が編集者にレクチャーする、という内容。
どうも私はこういう会話形式の蘊蓄話って好きじゃないんだよねえ…。
なんだかこっちまで見下されている感じがして読んでいるとイライラしちゃうんだもん^^;
考えすぎだとは思うんだけど。
鍋島藩についての内容自体は面白かったので、もっと他の形式の物語になっていたら楽しめたと思うんだけどなあ。
残念。


 <関連サイト>
井沢元彦の書斎

あさのあつこ『弥勒の月』

  • 2006/09/06(水) 09:23:56

弥勒の月
あさの あつこ
4334924875

内容(「BOOK」データベースより)
小間物問屋「遠野屋」の若おかみ・おりんの溺死体が見つかった。安寧の世に満たされず、心に虚空を抱える若き同心・信次郎は、妻の亡骸を前にした遠野屋主人・清之介の立ち振る舞いに違和感を覚える。―この男はただの商人ではない。闇の道を惑いながら歩く男たちの葛藤が炙り出す真実とは。

『バッテリー』シリーズの著者 あさのあつこ氏による時代小説。

強いキャラクターの登場人物、テンポのいい会話を主体にした文章、きめ細やかな心理描写、積み上げられていく丁寧なエピソード…。
そうしたすべてが面白くて全体の3分の2くらいまではページを繰るのももどかしいくらい一気に読んだ。
で、謎解きではどんな展開が待っているのかと楽しみにしていたのに…このあと一気に失速。
「あれれ?」と思っているうちに終わってしまった。

つくづく「どこにどんな形で、どう着地させるか」というのは難しいものなんだなあ、と思う。

謎解きまでの一番の魅力は、エピソードを積み上げても積み上げてもその謎の「本当の姿形」「意図」「犯人像」が見えなかったところ。
確実にすべての中心にいるはずの「遠野屋の過去」をぼかすことで、すべてが曖昧なままただひたすら闇の中を「気配」や「予感」だけを頼りに進んでいるような、そうした底の判らない深み、というものがあった。
そして、その闇が深い分「そこには一体何があるのだろう」という期待が大きくなってくるというもの。

でも、その謎もいつかは明らかにされるときが来る。
その明かされた謎が期待に添う、またはそれ以上なら最後まで「面白かった!」と読めたんだろうけど、残念ながらこの物語の場合、出てきた真実にはそこまでの力はなかった、ということ。

ひどく贅沢だし、我が儘な話だけど、読者というものはそういうモノだよね。

もちろん、その「期待したほどでもなかった」遠野屋の過去にしても、設定としてはきちんとしていたと思う。
でも、何も知らされていない読者の前に「実はこうでした」と投げ出したときに、今までの期待に叶うかと言われたらやはり「今ひとつ」なんだよね。
例えば、そこに辿り着くまでにその過去についての断片を少しずつ散りばめてあったりしたほうが、読んでいるほうはそこに肉付けした範囲内で想像するから真実が明かされたとき、それを受け入れやすくなるんじゃないかな。
多分読者というのは「驚かされたい」という気持ちと同時に「自分も推理したい」という欲求もあるのだと思う。
で、最後の謎解きで「自分の推理が当たっていた」プラス「それ以上の展開でビックリ」の二重の楽しさを求めているような気がする。

だから、この作品のようにひたすら過去を隠して読者の「推理する楽しみ」を奪うのであれば、残された「意外な結末」は「推理する楽しみ」も含めて満足させてくれる内容でなくてはならないってこと。
恐ろしく高いハードルだ…^^;

で、この作品については残念ながらその自ら高くしたハードルを越えることは出来なかったと私は思う。

それに加えて真犯人が判ってからの展開もかなり強引だったし、何より最後に登場人物がみんなバラバラになってしまったことが残念。
それまでのやり取りの中でお互いがお互いを納得は出来ないながらも理解しようとし始めていた部分が見えていたのに、それをすべて投げ出してあんなラストになっているなんて…。
こと、これが時代小説だからこそ、ラストは希望が持てるものであって欲しかった。
「いろいろ辛いこともあるけど、人間死んだらお終い。生きてるからこそいいことがあるんだよ」といった少々安直なメッセージを最後に受け取れることこそが時代小説を読む醍醐味みたいなことろあると思うんだけど。
やっぱり最後は「ホロッ」とさせてくれなくちゃだよね(笑)

主要な登場人物はみんな魅力的なだけに本当に残念。
遠野屋は無理かもしれないけど、信次郎と伊佐治の話はこれからも書いて欲しいなあ。

ただ、この物語を敢えて時代小説でやる意味ってあるのかな。
まんま、現代小説でもいけると思う。
まあ、だからこそ「時代小説」を選んだのかもしれないけど。

高橋克彦『春朗合わせ鏡』

  • 2006/09/03(日) 11:45:59

春朗合わせ鏡
高橋 克彦
4163245804

内容(「MARC」データベースより)
勝川派の青年絵師・春朗(後の北斎)が、絵師ならではの鋭さで巷の事件の謎をとく! 江戸情緒と浮世絵の魅力溢れる傑作時代ミステリー。2002年刊「だましゑ歌麿」、2003年刊「おこう紅絵暦」の姉妹篇。

面白かった!
このシリーズ大好きだな~♪
登場人物が魅力的で、文章のテンポがよくて、話の内容も面白いという最強のパターン。

今回の作品は青年絵師・春朗(後の葛飾北斎)が主役。
絵に賭ける情熱、努力、才能は誰にも負けないけれど、まだまだ世間に認められずに貧乏暮らし。
家族を葛飾村に置いて江戸で一人絵の修行に励む春朗が巻き込まれる事件を描いた短篇集。
「女地獄」「父子道」「がたろ」「夏芝居」「いのち毛」「虫の目」「姿かがみ」7編を収録。

今回は春朗の相方(?)として、昔芝居小屋でトンボを切っていた美青年・蘭陽が登場。
派手でわがままで傍若無人だけど義理人情に篤い蘭陽が、実力はあるけど慎重派の春朗にポンポン文句を言いながら背中を押して話を進めていく展開が楽しかった。

一つ一つは独立した物語でありながら、全体を通して春朗がその父親と叔父に対する複雑な心境と葛藤を描いた長編の小説としても読むことが出来る構成。
その春朗が様々な事件を通して今まで見えなかった家族の姿を垣間見、少しずつ心を通わせた結果、最後にある決心をする。
丁寧に描かれたその決意までの過程が印象的だった。
ここでもその明るさ、人なつっこさで誤解し合った春朗とその父親の間を取り持つことになる蘭陽の描き方が印象的だった。

いつもの北町与力仙波一之進やその家族ももちろん健在。
特に役目に囚われて不正を見逃してしまいがちな息子を頭から叱咤し尻を叩いて真相解明に向かわせる左門老人の元気さ、真っ直ぐさがいい。
仙波からしたら「また始まったよ…」という感じではあるだろうけど(笑)
そんなやり取りも含めて楽しい作品だった。

このシリーズはこのままずっと続けて欲しいなあ。

だましゑ歌麿
高橋 克彦
4167164094
おこう紅絵暦
高橋 克彦
4167164116

鯨統一郎『月に吠えろ!-萩原朔太郎の事件簿』

  • 2006/09/03(日) 11:42:39

月に吠えろ! 萩原朔太郎の名推理
鯨 統一郎
4198506094

内容(「BOOK」データベースより)
崖から転落死したはずの兄から連続して届く、謎の手紙。明子はマンドリン教室の仲間である萩原朔太郎に相談を持ちかけるが…。「真実は、論理を超えたインスピレーションの中に隠れているもの」と豪語する朔太郎が挑む、七つの不可能犯罪。

詩人・萩原朔太郎を探偵役にした推理短篇集。
タイトルはもちろん萩原朔太郎の詩集『月に吠える』のもじりですね。
(といっても私は読んだことはないけど…^^;)

朔太郎と、語り手である室生犀星、山村暮鳥らが交わす会話や、起きる事件そしてその謎解き、結末も「昭和初期」という時代を感じさせる懐かしい文体、描写なのがいい。
そしてその中にもいつもの鯨氏お得意の遊び心も満載で読みやすさも忘れてはいない。

キャラクターとしてはやはり朔太郎が出色。
プライドが高くて傍若無人で自分勝手で思い込みが激しいけど、その反面飄々としていたりドジな部分もあって憎めない…という絶妙な設定が生きていた。
読んでいると時々「イラッ」とする部分もあるんだけど、それを語り手の室生に語らせることで読者には「まあまあ、そこまで言わなくても」という気持ちにさせてしまうあたりも巧い。

最初の物語で「朔太郎はマンドリンを習っていた」というエピソードが出てくる。
そこから、謎が解けて推理を披露する際にはマンドリンを弾きながら登場する(!)というパターンになっていたんだけど、それが後半になるとだんだん崩れて来てしまったのはちょっと残念。
何があってもマンドリンをかき鳴らしながら出てきて欲しかった…(笑)

「死者からの手紙」「閉じた空」「消えた夢二の絵」「目の前で消えた恋人」「ひとつの石」「怪盗対名探偵」「謎の英国人」の7編を収録。

ところで、私はこの他にも朔太郎が探偵役で出てくる作品を読んだことがある(歌野晶午/死体を買う男)んだけど「朔太郎」と「探偵」って何か関係があるの?
…と思って調べてみたら「月に吠える」のなかに『殺人事件』という作品があるのを発見。(「探偵」も出てくる)
これの影響なのかな?

萩原朔太郎『月に吠える』(大正六年二月)テキストデータ

月に吠える
萩原 朔太郎
4861970105
死体を買う男
歌野 晶午
 
4062733153

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