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◆Date:2006年04月
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高橋克彦『おこう紅絵暦』

  • 2006/04/23(日) 15:44:32

おこう紅絵暦
高橋 克彦
4167164116

内容(「BOOK」データベースより)
幼い花売り娘が人殺しの咎で奉行所に捕えられた。娘はなぜ口を閉ざすのか(「願い鈴」)。 北町奉行所筆頭与力の妻にして元柳橋芸者のおこうが、嫁に優しい舅の左門と力をあわせ、江戸の巷を騒がせる難事件に挑む。 巧みなプロットと心あたたまる読後感は、まさに捕物帖の真骨頂。大好評『だましゑ歌麿』の姉妹篇。

『だましゑ歌麿』で事件を解決する仙波一之進を影ながら支え、解決への手助けをしたきっぷがよく美人の柳橋芸者のおこう。
彼女が今作では晴れて一之進と夫婦になり、前作の活躍で北町奉行所吟味方筆頭与力に出世し格式も高くなった仙波家の若奥様として登場。
足腰が弱くなり外出はままならないが、意気はますます盛んでさばけた舅左門とともに身近で起きる事件を解決していく短篇連作。
「願い鈴」「神懸かり」「猫清」「ばくれん」「迷い道」「人喰い」「退屈連」「熊娘」「片腕」「耳打ち」「一人心中」「古傷」 の12編を収録。

面白かった。
長編だった前作『だましゑ歌麿』とは打って変わって今回はどれも30ページ前後の短篇。
なので前作のような物語が進むごとに二転三転する状況の意外さに驚くといった楽しみは少ないけど、 その分性格設定がハッキリした個性的なキャラクターと緻密だけど分かり易い筋立て、巧みに引かれた伏線から導かれる意外な真実など、 どの作品もピリリとした味わいがあって楽しく読んだ。

もちろん「そんな身近でばっかり事件が起こるわけないんじゃ…」とか「おこう、勘が良すぎ!」 とかツッコミどころがないわけではないけれど、この毎回同じようにまとまるパターン(例えば「水戸黄門」のように) もまた短篇時代ミステリーの醍醐味なのかなあ、と。
しかもその短い紙数の間にも、おこうと左門、一之進、春朗(のちの北斎)らの心温まる交流があったり、 おこうの昔の姿が少しずつ見えてくる物語が隠されていたり、前の物語で出てきた人物がそのまま友人、知人として後の作品にも登場したりと、 単に「謎解き」だけでなく、そこにある「生活」もまたさりげなく読ませてくれる描写力、構成力はさすが。
前作を知らなくても充分楽しめる作品になっていると思う。

このシリーズもゆっくりでいいから長く続けてくれるといいなあ。
この後、登場人物の一人、春朗を主役にした『春朗合わせ鏡』が出ているようなので早速図書館に予約中。
読むのが楽しみ~♪

だましゑ歌麿
高橋 克彦
4167164094
春朗合わせ鏡
高橋 克彦
4163245804

<前作の感想ももしよかったらどうぞ>
『だましゑ歌麿』

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坂木司『仔羊の巣』

  • 2006/04/12(水) 10:18:42

仔羊の巣
坂木 司
4488012914

内容(「MARC」データベースより)
引きこもりの探偵、鳥井真一とその友人、坂木司。この二人をとり巻く周辺に、またまた不可解な謎が発生する。 鳥井は自慢の料理の腕をふるいながら、次々と謎を解いていく。鳥井が看破した真実とは…?

『青空の卵』に続くシリーズ第2弾。
「野生のチェシャ・キャット」「銀河鉄道を待ちながら」「カキの中のサンタクロース」の3編を収録。

相変わらず柔らかい雰囲気の文章が読みやすい。
…けど、主役2人の関係に違和感があるのも前作同様だった。
まあ、人物が変わらないんだから当然だけど(笑)(しかも主役だし)

今回、印象的だったのは「野生のチェシャ・キャット」で滝本から

「で、坂木。お前は満足なのか?」
(中略)
「お前は、鳥井を独り立ちさせるために、あいつを突き放すことが出来るのか?」

と訊かれた司が狼狽えるシーン。

こういう部分を読むと著者も真一が司に頼り切っているだけでなく(いや、多分それ以上に)司こそが真一を必要としている、しかも 「自分を必要としている真一を」必要としている関係だと判って書いていることが判る。
医学的に正確なことはよく判らないけど、多分「共依存」って関係なのかな?
読んでいると、ひきこもりで家から出られない真一よりも、普通に会社に行って社会人やっていて、人当たりもよくて、 友達思いで普通に見えるけど、実はその行動全てが鳥井真一という一人の人間に支配されていて「あいつをどうにかしてやりたい」と思いながら、 でも「あいつには僕がいなくちゃダメなんだ」と強く思っている(「願っている」)司のほうが、もしかしたら重症なのかも…と思えてくる。
だって真一には(多分)「自分は人と違う」って自覚があると思うから。
司はその辺どうなのかなあ。
もしかしたらあるかも知れないけど、でも自分で判ってる以上に司の症状は重いんじゃないかと思えてしまう。
だって、「自分の感情が相手に影響する」って判っていたら、普通はそれをコントロールする力を持とうとするじゃない?
この2人の場合、司が泣けば真一が取り乱すのは判ってるんだから、そんなに簡単に泣かないだろうと思うんだけど。
しかも、27歳にもなるのに…。
この「男が泣くのがどうこう~」について、何気なく(?)弁解のような反論が書いてあった(「銀河鉄道を待ちながら」)のも何かイヤだった。
(同様に「カキの中のサンタクロース」で出てきた「ホモ疑惑」への反論も書き方があざとくて鼻に付いたなあ。「よく考えれば、 他の選択肢があったことも判ったはずだ」って…何?私は明日香の感覚ってけっこう普通だと思うんだけど)
私だって別に「男だから」泣いちゃダメとは思わないけど、何だか司の涙ってあまりに軽すぎて、まるで 「真一の心が自分から離れていないかどうかを試すため」のものように思えてしまう。
何年鳥井と付き合ってるんだって話だし、本当に鳥井をどうにかしたいと思っているようには思えないんだよねえ。

それ以外の、物語の構成とか、事件の内容や解決方法とか、人物設定、前後の物語との繋ぎ方なんかは巧いと思うので、 もうちょっとこの主役2人の関係がドライかつクールだと読みやすいんだけどなあ…。

といっても、こういう2人が主役の話なんだから仕方ないんだけどね。
ラスト1冊、読もうかどうしようか悩むなあ^^;
でも、冒頭で滝本にああ言わせてるってことは著者としてもこの2人の関係を変化させて終わらせる意志があるってことだよね。
どこに着地したのか、もう1冊付き合って確認してみようかな。


<このシリーズの他の作品の感想文もよかったらどうぞ>
青空の卵

斎藤美奈子『あほらし屋の鐘が鳴る』

  • 2006/04/08(土) 10:14:44

あほらし屋の鐘が鳴る
斎藤 美奈子
4167656531

内容(「BOOK」データベースより)
失楽園、もののけ姫、バイアグラ、ゴーマニズム宣言など、平成のおじさんたちの“勘違い”を、斎藤美奈子が 「なにをゴチャゴチャゆうとんねん、あほらし屋の鐘が鳴るわ」とカーン。「女性誌探検隊」では、「an・an」から「暮しの手帖」 まであまたある女性誌を俎上に、これまた的確なる情勢分析をほどこします。

「平成のおじさん」の言動を研究、解明した『おじさんマインドの研究』(雑誌「pink」連載)と、様々な女性誌それぞれの変遷、 傾向と対策を書いた『女性誌探検隊』(雑誌「uno」連載)の2本立て。

斎藤美奈子さんの本は今までにも何冊か読んだことがあるけど、 どれを読んでも最初はそのメリハリの効いた文章やキッパリした語り口を楽しんで読めるもののだんだんその繰り返しが鼻に付いてきて、 最後には「もうお腹いっぱい!」と思ってしまうことが多かった。

でも、この本は珍しく一冊通して面白く読めた。
何故かと考えてみると、この本で著者の標的にされているのが「おじさん」だから、かな。
相変わらず舌鋒鋭く「おじさん」の変な部分、どうしようもない部分を赤裸々に解明していくけど、自分には(多分(笑)) 重なることのないことなので全部「ヒトゴト」としてニヤニヤ笑いながら読めたって感じではないかと。

同時にこの本を読んで感じたのは、意外なことにその対象(つまり「おじさん」)に対する著者の「愛」なんだよね。
「まったくもう!」と言いながらも、「ま、仕方ないか」って許してる感じ、というか。
いつもだと著者の本を読むたびに「確かにそうかも知れないけど、もっと対象に対する敬意があってもいいのでは?」と思うことが多いんだけど、 この本の内容にはそれと全く逆の印象を持った。

これって、対象が自分から離れていることで客観的に読めた結果、著者の本質が見えたってことなのかな?
だとしたら、私の肝っ玉のなんと小さいことよ…^^;

一方『女性誌探検隊』 も8~9年前の連載のため多少古い情報であることは否めないものの (なんて偉そうに言えるほど女性誌読んでないですけどね…^^;)、それぞれの雑誌の特徴をよく捉えていて面白くも読み応えがあった。
著者の観察眼の鋭さがよく出ている作品。
今度は男性誌バージョンも読んでみたいなあ。

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