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山内美樹子『十六夜華泥棒-鍵屋お仙見立絵解き』

  • 2006/01/31(火) 11:49:50

十六夜華泥棒―鍵屋お仙見立絵解き
山内 美樹子
4334740111絵師・鈴木春信の美人画に描かれ「明和の三大美女」の一人に数えられた、笠森お仙。
笠森神社前の茶屋<鍵屋>の看板娘である彼女の身の回りで起こる事件を、惚れたお仙に会うために鍵屋に通い詰める穴熊の富蔵親分、 役者のような男前の飴売り 土平、絵双紙のネタ取りで一度聞いた話は忘れない袋耳の忠公らと解決していく短篇連作時代ミステリー。

表題作の他、「曲水の宴」「流星菊寿七変化」「五月雨琴の音遊び」の4編を収録。

「曲水~」「流星~」「五月雨~」ときて、最後に表題作という並びになっているんだけど、最初の3作はけっこう面白かった。
お仙を始めとして登場人物が魅力的だし、事件や謎もちょっとひねってある変わった雰囲気で楽しく読めた。

ただ、最後の表題作は…イマイチ。
何だか小説というよりも、単にあらすじが書いてあるみたいな感じ。
ストーリー自体他の作品と比べるとそんなに面白くないし。
各作品の初出が書いてないからよく判らないけど、この作品(表題作)は「第三回北区内田康夫ミステリー文学賞審査員特別賞」受賞作、 とのことなのでデビュー作なんだと思う。
う~ん、これで受賞ですか…と失礼なことを考えてしまったり^^;
でも、そのあとの作品があれだけ面白く出来上がっていることを考えるとやはり審査員は見る目があるのね、とも思う。

作品の中には「お仙はただの茶汲み娘ではなくさる有力者の血筋で、特別な裁きの許しを得ている」 という設定が出てきたりして面白いな~と思うと同時に、それが全作品共通のものでなくて1作品くらいにしか出てこないので「思いつき」 みたいにも見えてしまうところが残念。
登場人物の設定をもっと作りこんで行けば面白いシリーズになると思うので、次の作品に期待したい。

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大石英司『神はサイコロを振らない』

  • 2006/01/25(水) 11:44:16

神はサイコロを振らない
大石 英司
大石英司/神はサイコロを振らない

出版社 / 著者からの内容紹介
かつて、忽然と消息を絶った報和航空四○二便YS-11機が突如、羽田空港に帰還した。
しかし六十八名の乗員乗客にとって、時計の針は十年前を指したまま……。戸惑いながらも再会を喜ぶ彼らと、 その家族を待ち受けていた運命とは??
歳月を超えて実現した愛と奇跡の物語。

先週から始まった同名ドラマの原作本。
今日放送予定の第2回までに読み終わりたかったので予定通りに進んで一安心。

面白かった。

10年の時を超えて戻ってきた68人(そのうち物語の登場人物として名前を与えられているのは18人)が、 奇蹟のように与えられた短い時間のなかで家族や友人、恋人と寄り添い、和解し、やりたいことを淡々とこなし、 そしてまた夢のように消えていくまでの物語。

彼らを迎える家族や航空会社の関係者や、その他支援する人々がみんなちょっといい人過ぎるかなあ、とか、 なんでみんなこんなに淡々と自分の運命を受け入れてしまえるのかなあ、という微妙な違和感はあるものの、 全体的に彼らの奇跡を気分良く読むことが出来た。
中には裏切った恋人の家族を殺し自らも命を絶つものや、 昔の仲間を襲って立て籠もる犯罪者もいたりして全てが幸せになって最後を迎えるわけではないけれど、 そうしたエピソードもまた幸せなエピソードと同等に淡々としかも丁寧に(更にはユーモアも交えて) 描かれているからこそこの物語は不思議な現実感を持って成立しているんだと思う。

この本を読みながら「残された日があと3日だったら、私はなにをするだろう」ということをずっと考えていた。
または「誰かと一緒にいられるのがあと3日間だけだとしたら、自分はその人に何をしてあげられるのか」
多分、これはこの本を読んだ誰もが一度は考える命題なのではないだろうか。
3日という短い時間の中で「これだけはしておこう」と思うことこそが、そのとき自分が一番望んでいること、大切にしたいもの(こと、人)なのだと思う。
いつまでも続くように思えてつい怠惰に過ごしてしまいがちな「今」も、もう二度と戻っては来ない。
そして必ず来ると思っている「明日」が来なくなる日も必ず来る。
それがいつになるか判らないからこそ、私たちは「今何をやりたいのか、何を大切にしなければならないか」を、こうやってときどき自分に問いかける必要があるのかも知れない。

ドラマは設定は同じだけれど、随分違うストーリーになっていきそうな予感がする。
なんたって主人公の黛さんの性別が違ってるんだから!(笑)
でも、多分それでいいんだと思う、この物語は。
402便に乗っていた乗客は別に選ばれたわけでもなんでもない普通の人々だったから。
だから、どんな人たちの物語になったとしてもそれはそれでホントウなんだと思う。
そういう懐の広さを持っている、そんな物語だった。

ドラマを見ている人も、そうでない人にもお奨めの一冊。


<関連サイト>
大石英司の代替空港


■ドラマ:「神はサイコロを振らない」公式サイト

南原幹雄『新選組探偵方』

  • 2006/01/19(木) 09:52:52

新選組探偵方
南原 幹雄
4575230340

内容(「BOOK」データベースより)
幕末の動乱に身を呈した男の集団。新選組!その「探偵方」として、新選組をめぐる数々の事件に挑む沖田総司の活躍を、 斬新な視点で活写する痛快時代ミステリー!

屯所の内外で起こる新選組絡みの事件の謎や犯人を沖田総司が突き止める…という設定の時代ミステリー。
「総司が見た」「残菊一刀流」「風雲六角獄」「祇園石段下の暗殺」「銭取橋の斬撃」「よく似た二人」「耳のない男」の7編を収録。

う~ん…一番不思議だったのは、なんで総司が探偵なの?ってこと。
新選組の一番隊組長の上に、労咳病みの総司くんにはそんな暇も体力もないと思うんだけど(笑)
それに性格的にも、こういう仕事は向いていなさそうな気がする…。
むしろトシのほうが合ってそう。
薬屋に化けて巧く聞き込みとかしてきそうだ(笑)
と言っても、別に総司くんは変装したり、尾行したり、敵に知られないように相手を調べたり、みたいな面倒なことは殆どしなくて、 怪しいと思ったら直接会いに行って「どうですか?」って訊いちゃうという直球勝負。
この辺は確かに総司らしいかも…^^;
探偵役(というか主役)に総司が選ばれたのは、この本が出版されたのが今から18年前だってこともあるのかも。
その頃は新選組って言ったら一番知名度があったのが「薄命の天才剣士」である彼だったような気がするから。
でも、そうして総司を探偵役としながらも相棒として地味な監察方の島田魁を登場させている辺りが面白い(笑)

で、物語のほうなんだけど…いきなり「芹沢鴨を暗殺したのは誰だ」って話だったんで驚いた。
そっか~、あれを「新選組の暗殺ではない」って考えで行くんですか。
しかも残留品は隊の制服…大胆過ぎます(笑)
犯人もかなり意外!なるほど、そういう考え方もありますか。
と言っても、あんまり現実味はないと思うけど。

このほかに、「池田屋に桂小五郎がいなかったのは何故か」とか「蛤御門の変のときに六角獄に捕らえられていた浪士を惨殺したのは誰か」 などの歴史的事実の裏側に迫る内容のものがあるんだけど、そういう話よりも 「新選組隊士の名前を騙って商家から金を強請り取る犯人を見つける」 話や「局長を襲った犯人を探す」 話など新選組の内部紛争的というかあまり大きくなりすぎない身近な話のほうが物語として巧くまとまっていた感じ。

物語全編を通して描かれる総司とお菊の恋物語もしっとりした大人の雰囲気でなかなかよかったのに、 ラストは何となく尻つぼみで終わってしまったのは残念だった。
この2人の関係こそ何らかの形で決着をつけて欲しかったな。

細谷正充 編『江戸の満腹力』

  • 2006/01/16(月) 09:49:16

江戸の満腹力―時代小説傑作選
細谷 正充
細谷正充 編/江戸の満腹力

出版社 / 著者からの内容紹介
美食家も大食漢も大満足のアンソロジー。
蕎麦、初鰹、おでん等々、多彩な献立で描かれる江戸の世に生きる人々の悲喜交々。池波正太郎、乙川優三郎、小泉武夫、竹田真砂子、 宮部みゆき、 山本一力他による傑作8編を収録。(解説・細谷正充)

面白かった!
こんなに最初から最後まで楽しめた時代小説のアンソロジーに出会ったのは初めてかも。

江戸時代を舞台にした作品をそこに出てくる「食べ物」をキーワードに集めた、少々変わった作品集。
どの作品にも江戸の町に暮らす人々と彼らに馴染み深い食べ物が登場する。
(唯一、澤田ふじ子「蜜柑庄屋・金十郎」だけは知多半島の話)
その食べ物の選び方や物語との絡ませ方が、それぞれの作家さんごとに違うのがいい。

そして名前を連ねている執筆陣の豪華なこと!
この名前を見ただけでどんな作品が入っているのかワクワクしてしまう。
しかも、どんなに著名な作家が集まってもこういう傑作選のような形式の作品集だと1つや2つは(自分の好みの問題も含めて)「う~ん… イマイチ」という感じの作品が入っているものなんだけど、これは見事なくらいハズレがない作品集だった。
これを集めてきた編者の手腕に拍手。

どの作品も面白かったけど、一番好きだったのは小泉武夫「宇田川小三郎」。
殊勝で幸せな大酒呑みの話(^^)
自分が殆ど飲めないのでお酒呑む人の心情って判らないし、 今までそういう人が主役の話を面白いと思ったことなかったけどこれは面白かったなあ。
お酒を飲む人は小三郎をお手本にして下さい(笑)

時代小説好きな人、美味しいもの好きな人にオススメの一冊。

小林恭二『本朝聊斎志異(ほんちょうりょうさいしい)』

  • 2006/01/11(水) 09:45:13

本朝聊斎志異
小林 恭二
4087746763

出版社/著者からの内容紹介
古典から現代まで、さまざまな「愛のかたち」を紡いだ大人の恋愛オモチャ箱。純愛、不倫愛、同性愛、幻想との愛、幽鬼との愛など、54話の伝奇ロマン。喜劇、悲劇の大博覧会!

テーマは「愛」だったのか。
なるほどそう言われてみれば…。

「聊斎志異」という中国の伝奇小説を原典とした伝奇小説(短篇)が54話も入った本だったんだけど、なんだかビミョーな読後感…。
終わり方が「だから何?」って感じだったり(つまり「オチ」がない)、この話から何を読みとればいいのか判らない話があまりにも多くて読み終わったあと頭の上にクエチョンマークがいくつも出ていることが多かった。
しかも分厚くて持ち歩くことが出来ず、寝る前に少しずつ読んでいたので読了するまでに約1ヶ月もかかったので最初のほうはもう既に忘れてしまっているし(汗)
なんともつかみどころのない物語たちだった。
狐が化けている話とか、幽霊話とか雰囲気としては嫌いではないんだけどね~。

今度は原典のほうを読んでみよう。
(それにしてもAmazonでの酷評はすごいなあ^^;)

聊斎志異〈上〉
蒲 松齢 立間 祥介
4003204018
聊斎志異〈下〉
蒲 松齢 立間 祥介
4003204026

北森鴻『写楽・考-連丈那智フィールドファイル〈3〉』

  • 2006/01/09(月) 10:01:08

写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉
北森 鴻
北森鴻/写楽・考異端の民俗学者・連丈那智シリーズ第3弾。
表題作ほか「憑代忌(よりしろき)」、「湖底祀(みなそこのまつり)」、「棄神祭(きじんさい)」の4編を収録。

ページ数(約40~50ページ)の関係だと思うけど、最初の2作(「憑代忌」、「湖底祀」) がかなりアッサリと終わってしまうのにはちょっと意表をつかれてしまった。
状況説明が終わってさあ謎解きだ、と思ったら、いきなり登場した那智によってあっという間に解決…。
那智先生、万能過ぎます(笑)

3編目の「棄神祭」はもうちょっと長め。
物語の構成自体は面白かったけど、最初のほうでさんざん「那智が昔出会った事件にケリを付ける」 みたいなことを言ってたわりには最後までその設定が持続していなかったように思うのだけど…。
いつものように「依頼を受けてフィールドワークしにいく」設定とどう変化がつけたかったのかが今ひとつ判らなかった。

で、表題作の「写楽・考」。
これはさすがにページ数も充分、三國や新しい助手の由美子はもちろん、那智もそして教務部の狐目の担当者氏までほぼ全編で活躍する力作。
残されたヒントから「ピンホールカメラ」「フェルメール」を導き出して、その結論を「写楽」に持ってくるあたりの論理の組み立ては 「なるほど~」の連続で、とても面白く読めた。
別シリーズで活躍している冬狐堂の宇佐見陶子まで重要な役割で出てきているので、ファンならかなり楽しめるのでは。
(あ、あと場所としてバー「香月」も出てきたかな)

この作品を読んでいて「おっ」と思ったのは、例の狐目氏の名前がついに明かされた(付けられた?)こと。
この本の他の作品でも彼は出てきているけど、そこでは三國が彼を呼ぶときは「……さん!」みたいなすご~く違和感のある表現になっている。
それが「写楽・考」ではちゃんと名字が出てきているのだ。
(まあ、別に普通の名前だけどね(笑))
確かにあれだけ物語に絡んでいて「……さん」じゃああまりにも不自然すぎるとは思う。
でもだったら今までは不自然じゃなかったかというとそうではないわけで、 最初の頃のように教務部でイヤミだけ言ってる立場の人だったらともかく前作で「那智と学生時代からの知り合いだった」 と判った時点で名前を出すべきだったんじゃないかと思うんだけどなあ。
これで晴れて名前を与えられた狐目氏(名前は各自ご確認下さい(笑))は今後も重要な役割で登場するってことなのかな。
それはとても楽しみ。

で、いつもと同じ感想なのは三國くん。
ハッキリ言って(門外漢の私ですが^^;)民俗学者の素質ないのでは?と思ってしまうくらいの相変わらずのグダグダさ…。
那智と三國の会話とか読んでるとホントイライラして来ちゃう。
いくら三國の直感力が優れているっていったって、今のままでは那智がなんでいつまでも三國を傍に置いておくのかが理解できない。
今回なんて入ったばかりの助手・由美子にまでかなりやり込められていたし…何年助手をやってるんだって。
(由美子の存在のおかげで、話の進み方が速くなってイライラが軽減した部分あり。もしかして著者も三國を持てあましているのか?^^;)
もうちょっとしっかりして欲しいなあ。


<このシリーズの他作品の感想もよろしかったらどうぞ>
『凶笑面- 連丈那智フィールドファイル〈1〉』

近藤史恵『二人道成寺』

  • 2006/01/09(月) 09:58:46

二人道成寺
近藤 史恵
近藤史恵/二人道成寺

内容(「MARC」データベースより)
不審な火事が原因で意識不明となった歌舞伎役者の妻・美咲。その背後には二人の俳優の確執と、秘められた愛憎劇が。「摂州合邦辻」 に託された、ある思いとは? 梨園の名探偵・今泉文吾シリーズ。

シリーズ第4弾。
この間読んだ 『桜姫』のときも思ったけど、謎解きよりも心理描写がメインの印象。
それでも『桜姫』よりは、ミステリーの部分が多かったし今泉も活躍していたかな(笑)

この物語も、読んでいる間も読後感も決して「心地いい」物語ではなかった。
物語全体を何かがずれてる感覚、落ち着かない感じ、ザラザラとした手触りが覆っている作品で、終わり方も「大団円」とはほど遠い。
(ちょっと希望はあったけど)
でも不思議なのは、だからと言って読んでいて不快なわけではない、ということ。
読んでいる側が感じるその落ち着かなさ、違和感こそが、この物語の魅力であるのだ。
近藤さんはこうした「何かが少しだけずれている感覚」を描くのがとても巧い作家だと思う。

このシリーズの中で一番好きなキャラクターは小菊の師匠・瀬川菊花。
名門のベテラン役者としての威厳と優しさを併せ持つ人物でこのシリーズに「落ち着き」を与えてくれているのはいつものことだけど、 特にこの作品の中での周囲を気遣うセリフや視線はとても柔らかく暖かく印象的だった。
同様に今泉の若い助手・山本くんもいい。
一見無邪気なように見えてその実きちんと自分の立場・役割をわかった上でそう振る舞っている賢さ、臨機応変の対応が清々しい。
ザラついた物語の中でこの2人の登場シーンは「ホッ」と出来る数少ないポイントだった。
こういう気持ちを切り替えるためのキャラクターを巧く配して物語の流れにテンポを作っているところが、 全体的に暗くなりがちな物語をイヤだと思わずにスルスル読まされてしまう「ワザ」なのかも。

で、結局<美咲>と<芙蓉>と<国蔵>の関係って全て片想いってことだよね?
(と、誰にともなく確認してみる^^;)


<このシリーズの他作品の感想もよろしかったらどうぞ>
『ねむりねずみ』
『散りしかたみに』
『桜姫』


<関連サイト>
むくいぬ屋仮宅(著者ご本人のブログ)

斉藤直隆『空想刑事読本』

  • 2006/01/08(日) 12:52:40

空想刑事読本
斉藤 直隆
斉藤直隆/空想刑事読本『太陽にほえろ!』や『古畑任三郎』、『あぶない刑事』、『踊る大走査線』、果ては 『西部警察』 まで。
ドラマの中で繰り返し描かれる刑事ドラマに登場する刑事たちを<空想刑事>と名付け、その設定と実際の警察の制度・ 法律を照らし合わせてその存在を「社会科学的なアプローチで解明する」という主旨の一冊。

面白かった!かなり楽しめました。

誰もが知っている刑事ドラマのスター(?)刑事たちの一人一人を俎上に上げて、 設定の無理や矛盾点をバッサバッサと斬っていくその切れ味が心地いい。
例えば「交渉人・真下警視の前途は極めて多難」、「七曲署は呪われている」、「西部署の車は、メーカーからの寄付だった!」、 「古畑任三郎の手法では公判は維持できない」…などなど(笑)
特に私は「ボスは昇任試験に毎年落ちていた!?」話とか「十津川警部の出張」の話辺りが面白かったなあ。

そしてこの本がスゴイのは単なる「揚げ足取り」には終わっていないこと。
きちんと現状の警察組織、制度、法での制限をかなり詳細に下敷きとして書いた上で冷静に比較・検討してあるので論に説得力がある。
また著者の論調も「だからドラマの刑事はダメなんだ」という否定ではなく、 「現実と空想のギャップを知ることで広がる面白さを知ってもらいたい」 という肯定の上に立脚しているので読んでいてイヤな気分になることもない。

更に「現実」vs「空想」の対比を楽しめるだけでなく、私のような一般市民にはかなり判りにくい警察の制度(特に組織図とか役職とか) が簡潔に書いてあるのも興味深かった。
例えば「巡査」と「警部補」って随分離れてるように思えるけど(だって「警部補」って名前随分偉そうじゃない?)、実は間に「巡査部長」 が入るだけなんだ、とか。
(と言っても「巡査部長」への昇任試験が競争率的には一番の難関らしいけど)
それからキャリアとノンキャリアではそのスタートラインから大きく違ってくるっていうのも詳しく書いてあって面白い。
ノンキャリアは一番下の「巡査」からのスタートになるのに対し、二種準キャリアが一階級上の「巡査部長」から、 一種キャリアになると二階級も上の 「警部補」からのスタートになるらしい。
キャリアとノンキャリアの対立は最近はドラマでもよく聞くようになったけど、確かにスタート時点でこんなに差がついていて、 それをひっくり返すのは一生かかっても殆ど難しいような制度の中で仕事している(しかも絶対的な縦社会) となればそりゃあ相容れないものがあるのも当然かも…。
どんな学歴だって(多少お給料に差があるにしても)みんな「新入社員」 から始まるのが当たり前の普通の会社員からしたらちょっと想像できない組織だなあ。

こんな感じで「空想」の中だけでなく、「現実」 に私たちの社会の安全を守ってくれている警察組織への理解を多少なりとも助けてくれる内容になっている。
またその「現実」を踏まえながら、「空想」の刑事たちを違った角度から自分なりに見直してみるのもいいかも。
(そう言えば先日の『古畑任三郎Fainal』で、今泉が「45歳なのに巡査」とか「もう警視総監にはなれそうにない」 って言ってたのはかなりウケた(笑)それは3回くらい生まれ変わらないと無理かも…^^;)

ポール・ギャリコ『猫語の教科書』

  • 2006/01/08(日) 11:44:15

猫語の教科書
ポール ギャリコ Paul Gallico 灰島 かり
4480034404

内容(「BOOK」データベースより)
ある日、編集者のもとへ不思議な原稿が届けられた。文字と記号がいりまじった、暗号のような文章。"#YE SUK@NT MUWOQ"相談を受けたポール・ギャリコは、それを解読してもっと驚くはめになる。原稿はなんと、猫の手になる、 全国の猫のためのマニュアルだった。「快適な生活を確保するために、人間をどうしつけるか」 ひょっとしてうちの猫も?描き下ろしマンガ(大島弓子)も収録。

私は猫を飼ったことがないので、その動物が身近にいることの本当の良さ悪さというのは判らない。
そんな私でもこの本を読んだら「こんな猫に乗っ取られてみるのも楽しいかも…」と思うくらい、可愛らしい内容の本だった。

生後6週間で母親を亡くしながら自分の能力、魅力を最大限に駆使して人間の家に入り込みその家を「乗っ取」った優秀な猫が、 その手法を書き留め「猫用の教科書」としてまとめた、という設定の作品。
この人を喰った設定がまずステキ♪
更に猫の習性や行動の一つ一つ、そしてそれが人間に対してどんな効果があるのかが微に入り細に入り書いてあって、読んでいるとホントに 「猫が書いたのでは?」と思うくらい。
「別宅を持ってしまったら」なんて章まであるのだ!(笑)
(以前読んだ、猫が主人公の作品 『トマシーナ』(創元文庫)も面白かった!ギャリコは猫語が判るに違いない)
なんだかす~ごい小生意気なことが書いてあって「こんな風に思われていたとしたらちょっとムカつく」と思いつつも、 でも実際に目の前でその仕草をされたらメロメロになってしまうんだろうなあ、というのも理解できちゃうんだなあ。

猫との共同生活の経験のない私でも思わず「猫飼いたいぞ」と思うくらいだったので、猫好きさんは絶対ハマるはず。
オススメです♪

ちなみにこの本の内容を人間vs人間で応用する場合は、猫以上に細心の注意力と技術力、 そして頭の良さが要求されると思うので要注意。
だって猫って「猫である」というだけで許されてる部分があるからね。


■『トマシーナ』の感想はこちら

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