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畠中恵『おまけのこ』

  • 2005/09/29(木) 10:30:17

おまけのこ
畠中 恵
畠中恵/おまけのこ

出版社 / 著者からの内容紹介
鳴家(やなり)が迷子?  そのうえ若だんなが吉原の娘と駆け落ちだって? そりゃ、大変だっ!――愉快な妖怪人情推理帖。お待ちかね 「しゃばけ」 シリーズ第四弾!

このシリーズは設定がすごく好きなのですが読むたびに登場人物のキャラクターとお話の内容にギャップがあるように思えて、 今ひとつ心から楽しめないもどかしさを感じていました。
若だんなや彼の味方の妖たちはみんな気のいい優しいヤツらなのに、お話は結構剣呑なものが多くて…その差がすごく気になっていたのです。

でも、この第四弾にしてようやく登場人物たちの性格と物語の設定が上手くバランスの取れた作品集に出会えました。
とても面白かったです。

今回の短篇集も若だんなの身のまわりで起こったちょっとした謎や心配事や事件を扱っているのですが、 以前のようにおおごとにはせずにサラリと書いてあるのが良かったです。
「身体が恐ろしく弱い」という設定の若だんなでも扱われている題材の中にスルッと溶け込めていて、 ただ守られているだけでなくきちんと役割をこなしていてちょっと逞しくなったようにも思えるくらいでした。
(多分気のせい(笑))
そして、もちろんそこには仁吉や佐助を始めとした妖たちも絡んでくるわけですが、その役割やバランス、 若だんな以外の人間たちとの絡ませ方もひねりが効いていて楽しめました。

若だんながあそこまで体が弱くて…という設定なら、やっぱりこのくらいの大きさの物語の方がうまくまとまるような気がします。
だってそんなに大暴れは出来ないわけですからね…。
それにあの登場人物たちには、「切った張った」の大立ち廻りとか善と悪の対決みたいなものより、 ちょっと辛かったり哀しかったりするときもあるけれど最後はみんなが「よかったね」って笑いあえる物語の方が似合うと思うんですよね~。
(ちょっと甘いかも知れないけど)
今回の作品たちは基本的にそういう作りになっていたので、読み終わった後にふんわりと温かい気持ちになれてとても気分が良かったです。
(最初の「こわい」だけは切ない終わり方でしたが…あの物語だったらあれが正解でしょう)

と、今までのシリーズの中でもお気に入りの今作なのですが、ただちょっとだけ気になったのは登場人物のセリフの部分。
若だんなや兄や達、両親、栄吉などの毎回出ているような登場人物達はいいのですが、 その物語にしか出てこないような登場人物のセリフになんとな~く違和感を感じることが何度か…。
どこがどう変、と具体的に言えるわけではないのですが…(私の勝手な思い込みだと思うのですが) キャラクター設定と言葉遣いがあってないとか、 その場面でそんなこと言うかな?とか思うことが時々ありました。
最後の「おまけのこ」での鳴家のセリフ(言葉遣い)もなんとなく今までの鳴家のイメージとは微妙にずれて感じました。
お話の中での鳴家の活躍はすごく楽しかっただけにちょっと残念です…。

カバーイラスト(柴田ゆう氏)は相変わらず可愛らしいです。
私は裏表紙の白塗りしている鳴家がお気に入り。可愛い~♪

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逢坂剛『じぶくり伝兵衛 重蔵始末(二)』

  • 2005/09/27(火) 10:25:43

じぶくり伝兵衛
逢坂 剛
逢坂剛/じぶくり伝兵衛 重蔵始末(二)

内容(「MARC」データベースより)
付け火の予告に拵え角刀、葵御紋の怪盗一味。江戸を跋扈する悪党どもに、 火盗改松平左金吾組与力、重蔵が立ち向かう。傑作時代小説シリーズ第2弾。

この作品は前作(つまり第一弾)も確かに読んだんだけど(感想も書いた)、既に詳細なストーリーは忘却の彼方(いつものことだ^^;) 。
ただ「重蔵は若い(まだ20歳そこそこ)くせにオヤジくさい!」という印象だけが強烈に残っているこのシリーズ。
でも、読みにくかったという印象はなかったので第2弾も読んでみた。

相変わらず重蔵は傍若無人、傲岸不遜で自己中心的なキャラクター。
しかも仕事が出来るから余計質が悪い。
ハッキリ言って苦手なタイプ。
こんなヤツと同じ職場だったら(上司であれ部下であれ)毎日イライラしそうだ…^^;

でも、それはまあいい。

問題はストーリー。
この本には表題作を始め5つの短篇が収録されているんだけど、その殆どが導入部の展開を読んでいるうちに (もちろん詳細なエピソードは判らないけど)何となくおおまかなストーリーの流れや登場人物の役割、 最後の着地点までが透けて見えるような作品だったのだ。
特に最後の2編は「こうなるかな~」と思いながら読んでたら本当にその通りだったので、「予想が当たった」 と喜ぶよりも何だかちょっと困ったような、複雑な気分になってしまった。
何なんだろうこの驚くほどの分かり易さは。

別に雑に書いてあるわけではないんだろうけど、あまりにも意外性がなくて盛り上がりに欠けていた。
この著者の現代物の推理小説を読んでいてこんな風に思ったことはないし、 このシリーズの前作にしてももうちょっと楽しめたように思うんだけど… どうしちゃったのかなぁ?
それとも今回急に私の勘が鋭くなったとか?(あり得ません(笑))

山田ズーニー『あなたの話はなぜ「通じない」のか』

  • 2005/09/26(月) 10:19:05

あなたの話はなぜ「通じない」のか
山田 ズーニー
山田ズーニー/あなたの話はなぜ「通じない」のか

内容(「MARC」データベースより)
どうしたら、うまく「伝える」ことができるのか? 話し方も文章と同様、組み立て方が命! 嫌われずに説得する技術、信頼の条件、 共感を持たれるコミュニケーション術を伝授。

面白かった。

山田さんの本(や文章)を読むと「ああ、そうだよね~」といちいち納得してしまう部分がすごく多い。
それは「目から鱗」って感じの劇的な気付きではなく、 今までは何だかモヤモヤしていてちゃんと見えなかったものがハッキリ見えるようになるイメージ。
視界が開けると言うのかな。

なので読んでいてとても気持ちがいい。
何でもないことが書いてあるのに、しかも今回のこの本なんかはビジネス書に近い内容なのに、 それでも読んでいて時々泣きそうになるときがあった。
それは山田さんの言葉が全て自分の体験から出てきたウソのない言葉で、そして読む人の力になりたいと心から思っているからじゃないかと思う。
こんな文章を書かれたらそりゃあ読んじゃうよねえ。

そんな山田さんでもかつて相手と話が通じなくてクヤシイ、切ない想いをしたことが何度もあるらしい。
この本にはそれを乗り越えた先でつかみ取った、「相手に自分の話を聞いて貰うために必要なこと」がギュッと詰まっている。
それは「技術」だけでも、「気持ち」だけでもダメで、そのどちらも兼ね備えて、しかも自分と相手の信頼関係の上に成り立つものである、 とのこと。
他者の理解は楽をしていては得られない。
でも、キチンと正しい努力をすれば必ず報われる。
そんな勇気が貰える本だった。

平易な文章だしテンポがいいのでサクサクッと読み終わるし、 章立てが判りやすいので実践して迷ったときにはパパッと開いて再確認するのも簡単。
それでいて内容は濃い。
そんな点でも良くできた本だと思う。

個人的には<第3章:正論を言うとなぜ孤立するのか?>が非常に興味深かった。
なるほどね。

高橋克彦『白妖鬼』

  • 2005/09/25(日) 10:16:05

白妖鬼
高橋 克彦
高橋克彦/白妖鬼

内容(「BOOK」データベースより)
平安時代、 人の心の欲望を糧として歴史を操る鬼どもを退治するため内裏に仕える術士たちがいた。祈祷と呪法によって、 各地で鬼を鎮める陰陽師たちに都より解任のしらせが届く。陸奥で免官された陰陽寮の雄・ 弓削是雄は朝廷の命令に疑いを抱き京をめざすが、謎の烏天狗たちの襲撃をうける。歴史伝奇長篇。

陰陽師・弓削是雄シリーズ、長編1作目。

前回読んだ『空中鬼』よりも3年前の設定。
是雄が陰陽寮を解任になり、任地の陸奥を離れるところから物語は始まります。
『空中鬼』で是雄と一緒に鬼に立ち向かう仲間となっている芙蓉、淡麻呂、髑髏鬼たちが初めて顔を揃える作品でもあるようです。

長編第一作のためか説明的な内容が多かったり、展開も少々くどい部分があったりしてスピード感が今ひとつなのですが(特に前半)、 じわじわと謎に迫って行く後半、クライマックスでの鬼との対決シーン、 またその後のハートウォーミングな結末はなかなか読み応えがありました。

高橋克彦『空中鬼』

  • 2005/09/24(土) 08:49:59

空中鬼
高橋 克彦
高橋克彦/空中鬼

内容(「BOOK」データベースより)
光孝帝が崩御された直後の仁和三年(八八七)九月。内薬司・ 橘広見の無惨に飛び散った死体が発見された。その生首を検分した陰陽寮の頭・ 弓削是雄は愕然とした。それは昨夜、 邸に侵入した魔物が是雄に見せた、五つの生首の一つだったからである。彼らはみな、 殺される運命にあるのか?魔物と人の間にあって、 自在に空を飛ぶ鬼の正体は?これぞ歴史伝奇の白眉。

面白かった♪

この陰陽師・弓削是雄を主役にした「鬼」シリーズは以前から読みたかったもののどこが最初か判らずしばらく保留にしてあったんだけど、 先日図書館に行ったらこれがあったので「ま、いっか」と思って取りあえず読み始めてみた。
どうやら長編3作目らしい。
既に登場人物は大体出揃っているようで各人の詳しい背景などは書かれていないけど、その人物の立場・ 性格などはそれぞれの関係や会話の内容などからそれと察することが出来るように書かれているので初めて読む私も特にストレスを感じることなくスムーズに読めた。
しかもそれが作品の主なテーマに邪魔にならずに、さりげなく散りばめられているのが巧い。

陰陽師の物語というと、安倍晴明を主役にした夢枕獏氏の『陰陽師』シリーズが有名。
あのシリーズが晴明と博雅の2人を中心として静かなトーンで進んでいくのに比べて、この『鬼』シリーズは是雄を中心として紀温史、甲子丸、 淡麻呂、芙蓉そして髑髏鬼など個性的な登場人物がそれぞれの役割をこなしながら賑やかに進んでいく、という印象。
主役級の登場人物をたくさん配置してその人物たちを動かすことで物語を進めていくのが巧い高橋氏の作品らしい。
またその登場人物たちの個性的なこと!
特に髑髏鬼の存在は出色。
その存在もだけど(だってホントに髑髏なんだよ!(笑))、性格付けが楽しくて和むな~♪
是雄の性格も夢枕・晴明がちょっと超人的なのに対して、非常に人間的でどっしりしている感じ。
どっちがいい、悪いということではなく、どちらも個性的で面白い。

他の作品も楽しみ♪

ただ今回残念だったのは、その内容と、タイトル・カバーデザインがあまり合ってないように思えたこと。
物語に出てくる空飛ぶ鬼を単に「空中鬼」と表現するのって(いくら「鬼」とタイトルに付けるのがパターンだとしても)ちょっとあんまりかと… 。
それにあのカバーデザインでは全く内容を想像出来ないし。
今回は判っていたから読んだけど、内容を知らなかったらカバーだけ見て戻していたかも。
だって単なるホラーみたいなんだもん。(怖い話は苦手なんだよ~)
せっかく内容がしっとりとした味わい深い物語に仕上がっているんだから、タイトルやカバーもそれにあわせたものだったらもっと良かったのにな。

高田崇史『QED 式の密室』

  • 2005/09/22(木) 08:46:57

QED 式の密室
高田 崇史
高田崇史/QED 式の密室

内容(「MARC」データベースより)
密室で遺体となって発見された陰陽師の末裔。式神を信じるその孫は他殺説を唱えるが… 。 晴明伝説の闇を照らし、 陰陽師にまつわる謎を完膚なきまでに解き明かす。講談社ノベルス創刊20周年記念、 本編が封印された 「密室本」。

「特別書き下ろし」だからなのか、他の作品に比べると量的にはかなり少ない(約140ページ)けど、 その分いつもは広がりすぎて追いつけなくなってしまう論調がスッキリまとまっていたし、事件と蘊蓄との絡み方も自然で、 作品全体のまとまりとして見ると今まで読んだ中では一番判りやすかった。
それに、いつもは事件の近くにいるくせに事件そのものには微妙な距離を置いている感じのタタルが(過去の回想とは言え) ちゃんとそこに絡んでる様子が新鮮でそういう雰囲気もよかった。
(小松崎は相変わらずウルサイ!)

何より「式」の存在についての解説にすごく説得力があって「あ、なるほど!」と思えたのが一番。

その「式」が生まれた構造を上手く利用して自然に事件に溶け込ませたところがこの作品の巧さだと思う。
密室のトリック(なのか?あれは)はかなりあっさりしてるけど、コテコテガチガチで「普通の人はそんなこと考えないだろ」 って感じのトリックより「気が付いたらそうなってた」とか人の気持ちによって作られた(結果的に出来上がった)謎のほうが私は好きだな。
まあ、ちょっと運任せって部分はあるにしてもね。

しかし、自分と同様の姿形をしているだろう相手を自分の都合で判断して「そこにいないものだ」=「見えない」 と分類してしまう心理ってすごいなあ…。
でも確かに人って「見たい物しか見えない」って部分はあるかも。
そう考えると、人間って魑魅魍魎よりも怖いよねえ^^;

火坂雅志『魔界都市・京都の謎』

  • 2005/09/20(火) 08:44:24

魔界都市・京都の謎―封印された闇の歴史を暴く
火坂 雅志
火坂雅志/魔界都市・京都の謎

内容(「BOOK」データベースより)
千年の都・ 京都は実は魔界都市だった!?桓武天皇が平安京を取り囲むように仕組んだ、 四つの巨石に秘められた謎とは?比叡山の僧侶たちが今なお恐れる四大魔所とは?陰陽師・安倍晴明や天才詩人・ 小野篁の正体とは?夏の風物詩・ 祇園祭や大文字送り火に隠された恐怖とは?著者が自らの足で取材し、 突きとめた京都の知られざる闇の歴史が今、ここに暴かれる。

この前に読んだ『QED 六歌仙の暗号』で参考資料として挙がっていた1冊。
面白そうだったので読んでみた。

いろんな情報が詰まっているけど、枚数はそんなにない(約200ページ)ので全体的に広く浅く、って感じ。
もうちょっとディープな内容かと思っていたのでちょっと残念。

でも怪しげなキーワードはたくさんあって、興味を惹かれたのもいくつか。 次はそこから「閻魔庁第三の冥官」だったという小野篁(おののたかむら) の本を読むことに。
こうやってしりとりみたいに本を選んで行くのも面白いかも。

高田崇史『QED 六歌仙の暗号』

  • 2005/09/19(月) 08:39:38

QED 六歌仙の暗号
高田 崇史
高田崇史/QED 六歌仙の暗号

内容(「BOOK」データベースより)
「明邦大学・七福神の呪い」―大学関係者を怯えさせる連続怪死事件は、歴史の闇に隠されていた「呪い」を暴こうとする報いか!?ご存じ、 桑原崇が膨大な知識を駆使し、誰も辿り着けなかった「七福神」と「六歌仙」の謎を解き明かす。そして浮かび上がった事件の真相とは?前作 「百人一首の呪」に続く驚異のミステリ。

あまりいい感想を書いていないのに、これで3冊目。
何だかんだ言って結構楽しんでいるらしい(笑)

今回は「六歌仙」と「七福神」の謎に迫っています。

あそこまで「過去」(それも遙か千年も前の!)や「家」に執着する気持ちはちょっと理解できないけど、 前に読んだ2冊よりは題材と事件の関連性が感じられて全体的にまとまりのある作品になっていたと思う。

でもねえ、さすがに3冊目になると、タタルが何を言っても驚いてばかりの奈々の存在がちょっと煩わしくなってくる… ^^;
いつものパターンなんだからいい加減慣れようよ。
それから小松崎もジャーナリストのくせに知識も定見もなさすぎでは?
ただその職業とおじさんのコネを利用して警察を呼んできたり、怒鳴ったり力仕事したりしてるだけなのはどうなのかな、と。
まあ、全てはタタルの引き立て役として成り立っているのだから仕方ないのかな。

今作で一番疑問だったのはラストで綾乃は何をしたくてああいう行動に出たかってこと。
結果的には「そして誰もいなくなった」状態でエンディングになってしまったけど、 話の展開としてはああいう結末を迎えたくてあの行動に出たんじゃなくてもっと先に何かがあって、 そこに向かっていったように思えたんだけどな。
それが説明なしで終わってる事のほうが六歌仙よりも七福神よりも私には謎だった。
タタルさん、そこんとこも解説して下さい。

篠田真由美『龍の黙示録』

  • 2005/09/18(日) 09:34:20

龍の黙示録
篠田 真由美
篠田真由美/龍の黙示録

内容(「BOOK」データベースより)
保険会社を馘になり、 職を探す柚ノ木透子は、秘書の仕事を紹介された。 雇主の名は龍緋比古。美術評論や翻訳を手がけ、オカルト分野では有名な著述家だという。 明治期にも同名の人物がいることから、 「龍は吸血鬼だ」と先輩から脅される透子。が、白皙の美貌を持つ彼に気味悪さを覚えつつも、 鎌倉の古びた館に通うことになった。 一方、東京では吸血鬼都市伝説が蔓延、行方不明者が続出していた。 まさか彼が関係している?やがて透子の周囲に起こった変事… 。 果たして龍の正体は。

う~ん…全体的な物語の雰囲気やテーマは好きなんだけどねえ…登場人物というか人間関係にどうも馴染めなかった。

何よりもこの物語のキーパーソンである柚ノ木透子の存在が苦手。
彼女のこだわりとかプライドの有り様とかがよく判らない。
確かに自分では全然価値を認めていないことを強要される辛さというのはあると思うけど、こだわる部分があまりにも当たり前過ぎる気がして…。
そういうことにこだわって世の中と上手くやっていけないのって(私の身近にはあまり見かけないけど)小説の中ではよくあるタイプ。
少なくとも何千年も生きているような「人間じゃないもの」に「彼女は特別だ」 と思わせるような魂を持っているようには思えなかったんだけど。
確かに闘い始めてからの透子はすごいと思うけど…全体的に見ると「そんなに?」って感じてしまうんだなあ。
まあ、そういう「一人で何でもやろうとして、結局事態を悪化させる拘り」 をライルにたしなめられる部分もあるので敢えてそういう性格設定にしてあるんだろうけど、何となく「納得出来ないわ~」な感じが残った。

あと透子のアキレス腱である翠への気持ち(こだわり)も謎。
「翠は大好きだけど、他の女の子は苦手」って感覚がよく判らないんだけど、透子さん。
そんなに違ってるとは思えないんだけどなあ。
自分が「他人と一括りにされること」を嫌うくせに、他人はまとめて判断するのってどうなの?っても思うし。
翠自身も前半はちょっとねえ…。
後半はいい感じに荒れてきて面白かったけど(なんつー言い草!^^;)。

透子の曾祖母・二葉についての記述はほんのちょっとしかなかったけど、 それでも彼女の方がずっとヒロインに相応しいと思わせるものがあったような気がする。
透子もあの明るさとこだわりのなさ、優しさを受け継いでるんでしょ?
今のところ外に出てるのは「後先考えない行動力」くらいみたいだけど、この後の作品では回を重ねるごとに変化していくんだろうか。

キリスト教がらみのテーマとか緋比古とライルの主従関係とかはいい感じ。
巻末の恩田陸さんとの特別対談と恩田さんの解説も楽しかった。
解説によるとこの次の津軽編が面白いらしいので期待してみようかな。

それから表紙のデザイン(柳川貴代+Fragment)もすごく印象的でステキでした。
(この表紙が目に留まったので手に取ったのです)


<関連サイト>
篠田真由美公式ページ

高田崇史『QED 龍馬暗殺』

  • 2005/09/18(日) 09:19:51

QED 龍馬暗殺
高田 崇史
高田崇史/QED 龍馬暗殺

内容(「MARC」データベースより)
高知の山奥にある蝶ヶ谷村。嵐による土砂崩れで麓への一本道が塞がれる中、殺人と自殺の連鎖が十人の村人たちを襲う。 巻き込まれた事件の最中、 崇たちは竜馬暗殺の黒幕を決定づける手紙の存在を知り…。「QED」第7弾。

「QED」シリーズ2冊目。
作品としては第7弾らしいけど、別に順番とかは気にしなくて大丈夫みたい。
蘊蓄も謎解きも人間関係も『百人一首の呪』と基本的には変わらない感じだった。
(タタルと奈々はちょっとずつ近づいている感じ?(笑))

龍馬暗殺の真相については、最近あちこちで目にするのでこの大体どこかで読んだ(聞いた) ことある話が多くて特に意外性はなかったかな。

それよりも嵐による山崩れのために閉じこめられてしまった山奥の過疎の村で村人が次々と死んでいく、しかも「もしかしたら殺人かも?! 」 というような状況で、あんなに延々と「龍馬暗殺」について語り合っているタタルや奈々たちって一体…?^^;
『百人一首』の時はタタルたちは直接事件には関わっていなかったからどんなに蘊蓄を披露しても特に違和感なかったけど、 あの状況ではそんな話してる場合じゃないだろうと思うんだけど。
しかもまたしても事件と「龍馬暗殺」との結びつきはかなり強引だしねえ…(笑)
あ、でも「龍馬は明智の子孫で…」ってところは「なるほど」と思った。
それと、

世の中の人は何とも言わば言え
我が為すことは我のみぞ知る

という龍馬の句がさりげなく紹介してあるのもマル。

読みにくくはないしそんなに長くないので一気に読めるけど、特に残るものはないかなあ…。
(と言っても別に私の知識がタタル以上である、ということではなく(当たり前(笑))、あまりにも詳細すぎて覚えきれないし、覚えなくてもいいやって思ってしまうってことです。念のため)

高田崇史『QED 百人一首の呪』

  • 2005/09/13(火) 09:13:17

QED―百人一首の呪
高田 崇史
高田崇史/QED 百人一首の呪

内容(「BOOK」データベースより)
百人一首カルタのコレクターとして有名な、会社社長・真榊大陸が自宅で惨殺された。一枚の札を握りしめて…。関係者は皆アリバイがあり、 事件は一見、不可能犯罪かと思われた。だが、博覧強記の薬剤師・桑原崇が百人一首に仕掛けられた謎を解いたとき、 戦慄の真相が明らかに!?
第9回メフィスト賞受賞作。

QEDシリーズ初挑戦(笑)
もちろん存在は知っていたけど、あまりにも数がたくさん出ているので却って「胡散臭い」(失礼^^;) 感じがしてなんとなく敬遠していたこのシリーズ。
それが先日織田正吉氏の『百人一首の謎』を読んだとき、Amazon他ブックサイトを「百人一首」 をキーワードにして検索すると必ず一番最初にこの本が出てきたので「ちょっと読んでみようかな~」という気になって図書館で借りてみた。
(サブリミナル効果?(笑))

想像していたよりも読みやすくて面白かった。
登場人物の性格設定なんかも許容範囲内で好感が持てたし。
(別に崇(タタル)って「変人」ってほどではないと思う。言葉遣いも、礼儀もちゃんとしてるし、約束守るし、仕事もしてるし。 私としては奈々の職場の先輩・外嶋の方が苦手なタイプだ~。仕事しろっ!)

百人一首の謎解きの部分については先日読んだ織田氏の説をもっと発展させた形になるのかな。
そこに行き着くまでの説明の部分は、『百人一首の謎』 を読んでいたおかげで理解しやすかった上に文章自体ポイントを押さえて判りやすい言葉で書かれていて比較的楽に読み進めることが出来た。
と言っても、あの最終形にするときの前提ってのは結構乱暴な部分もあるんじゃないかと思うんだけどね~。

一方、殺人事件の方もこれはこれで面白かった。

でも、百人一首と殺人事件の結びつきはというと…やっぱりちょっと…かなあ。
破綻しているってわけでもないんだけど何となく「それはそれ、これはこれ」って印象。
結果的に事件の謎は百人一首とは別の要素がどんどん出てきちゃうわけだから、 「別に一緒にしなくてもいいんじゃない?」と思うのだけど。

でも、この手の内容で作品を書く、しかも量産するのは資料をあたるだけでも大変だろうことは想像に難くない。
その上でちゃんと面白くてしかもあの密度の情報がこの枚数に納まる作品を書けるのはそれだけでもスゴイことだと思う。
そして、この作品はこういうものだ、と割り切ってしまえば決して嫌いな部類の内容ではないというのも事実。
なのでこれからも読み続けて行きそうな気がする。

他にもたくさん作品があるのでちょっとずつ潰して行こうっと。
(事実、既に2冊目を読み終えて3冊目取り寄せ中(笑))

宇江佐真理『涙堂 琴女癸酉日記』

  • 2005/09/10(土) 09:06:55

涙堂 琴女癸酉日記
宇江佐 真理
宇江佐真理/涙堂 琴女癸酉日記

内容(「MARC」データベースより)
通油町で琴女が過ごしたほのぼのとした毎日。夫の不審死の真相を息子達とともに追いつつ、通油町での日々を綴る琴女のやさしい眼差し。 江戸市井を描く連作時代小説。『小説現代』掲載。

夫の突然の死に納得できない妻が息子達と一緒にその謎を追う…って展開らしかったのでミステリーなのかと思いつつ読んでみたら、 違いました。
確かにそれも重要な要素になってはいるけど、それが「主」ではありません。
物語の中心にあるのは主人公である琴を始め、彼女の家族(彼女の5人の子どもたちとその連れ合い)や幼なじみとその家族、 下町暮らしのご近所さん、夫の元手下…などなど多彩な人々のそれぞれの思い、日々の暮らしぶり、季節の移ろいなど、日常的な話ばかり。
つまり、これはあくまでも「世話物」「ホームドラマ」としての物語なのです。

と言って、夫の死の謎やその後の結末がうやむやになるわけではありません。
琴の息子たちの努力で真相が明かされ、首魁だった人物は処断されることになります。
ただ、いわゆる「捕り物」のように悪い奴らを一網打尽、一刀両断にするというわけにはいかずそれに対して琴も歯がみする部分もあるのですが、 その取り残した人物たちにも悪人として相応しい末路が準備されていました。
それが「誰かによって成敗される」ということではなく、自らの心によって滅んでゆくという結末であるところがこの物語らしいと感じました。

特筆すべきは登場人物の描きわけが見事さ。
物語の分量に比べて登場人物が多いのですが、 それぞれの性格描写やエピソードがすごく印象的なので誰が誰だか判らなくなることはありませんでした。

みんなそれぞれ個性的ですが、特に琴さんの幼なじみで医者の清順先生の次女・若とその夫・豊成夫婦は強烈。
夫婦喧嘩のたびに実家に逃げ帰る若を豊成が追って来て、清順はもとよりご近所まで巻き込んでの大騒ぎを繰り返すのです。
何度も繰り返されるその大騒ぎに腹を立てた琴が若に意見をしたところ、逆に琴の家に持ち上がっていた問題を持ち出されやり込められてしまう、 という場面には驚くと同時にちょっと笑ってしまいました。

死んだ夫の元手下であった伊十と琴との関係を描いた最後の短篇「涙堂」は、しんみりと味わい深く一番印象的な作品でした。
朝の電車の中で読んでいたにも関わらず、思わず泣いてしまいました。

例えば「鬼平」の登場人物のように、先のことまで見通していて、判断を誤らず、懐が広く、差別せず、誰からも信頼され慕われ、しかも力を持っていて…といったようなヒーロー的な人物は登場しませんが、多彩な登場人物がそれぞれの目線で相手を見つめるその眼差しの優しさ、 柔らかさ、そして確かな生活感が感じられる作品でした。

菅浩江『鬼女の都』

  • 2005/09/05(月) 09:02:39

鬼女の都
菅 浩江
菅浩江/鬼女の都

内容(「MARC」データベースより)
京都を舞台にした小説で熱狂的なファンを持つ藤原花奈女が死んだ。 施錠された仕事場の遺骸は、華やかな朱の小袖に覆われていた。 連続する怪事件、謎の女ミヤコの正体。 幻想と謎解きを綺羅の如く織りなす本格推理。

上記は1996年に祥伝社から刊行された初版の紹介ページに載っていた文章。
私が購入した文庫版の裏表紙にもこれと大体同じような内容のあらすじが書いてあったんだけど… こういう書き方だと死んだのはプロの作家かと思うよねえ。
読み始めたら(プロデビュー間近の)同人誌作家という設定だったので、ちょっとビックリ。

更に主役(役割としては探偵役というより狂言回しみたいな感じかな)の優希は死んだ人気作家の大ファンで、 自分も小説を書いている大学生の女の子。
しかも、自分のことを「ボク」と呼び、友人達からも名前を「クン」付けで呼ばれているタイプ…。
すいません、苦手なんです、こういうの^^;

物語自体は非常にディープな京都案内になってるし、全編の章立てや小道具を能に見立てた構成もよく考えてあるなあ、と思う。
謎の女<ミヤコ>の正体や、 彼女が隠さなければならなかったものについての謎はそんなに複雑じゃなくて私でも途中で気が付く程度のものだけど (その明かし方自体かなりサラッとしているので、著者自身それに拘ってはいないのだと思う)それが判ったうえで、 彼女が何故そうしなければならなかったかを"京都"という街をからめて読者を納得させる答えを導くクライマックスも読み応えがあった。

また彼女たち(優希とその同人仲間)にしても、ただ騒がしいだけの女の子達とだけ書いているわけではなくて、 その裏にある計算高さや関係の裏表、自分が今まで見ていたものが見る角度を変えると違う像を結び始めることを知ったときの戸惑い、不安、 葛藤、怒り…なども丁寧に描かれていたと思う。

それでもやっぱり私はそこに辿り着くまでの、彼女たちの会話や考え方がどうにも「うっとうしいなあ」 としか感じられなくて読むのがちょっと辛かったと言うのが正直な感想。
せめて優希の喋り方が「ボク口調」でなければ…。

探偵役の杳臣(はるおみ)はなかなか面白いキャラクターの探偵で私は好きでした。
ハイテンションな女の子たちに対して、恐ろしくクールでものに動じない京都生まれの若き三味線弾き。
もう少し早い時期から積極的にあの思い込みの激しいお嬢さんたちの交通整理をしてくれたら、ずっと読みやすくなっていたと思うんだけどな。


<関連サイト>
電脳版PLEIADES(菅浩江さんご自身のサイトです)

ライザ・ダルビー『紫式部物語(上)』

  • 2005/09/01(木) 08:58:50

紫式部物語―その恋と生涯 (上)
ライザ・ダルビー
ライザ・ダルビー/紫式部物語(上)

内容(「BOOK」データベースより)
紫式部に自分の身をおきかえて、彼女の日記から読みとれる自己分析とか和歌が書かれた背景に基づいて、回想録の形で書いてみました。 「源氏物語」の作者の生涯が今ここに鮮やかに蘇る。日本人の発想を超えた卓抜した大河小説。

上下巻のうちの上巻。
のちに紫式部と呼ばれることになる少女「ふじ」が『源氏物語』を書き始める17歳頃から、夫・ 藤原宣孝を亡くす30歳頃までの出来事が描かれています。

四季折々の自然の様子や、季節ごとの行事、慣習、装束、家具・調度など、情報量はかなり多いのに、印象としてはとても平板な感じ。
緩急や陰影、強弱があまり感じられず、ただ平面的に情報が並べられている感じ。
なんだかガイドブックでも読んでいるような気持ちになってしまいました。

主人公である「ふじ」の身の上にも15年ほどの間に、近しい人との別れ、父親ほど年の離れた相手からの求婚、 都を遠く離れての田舎暮らし、異国人との恋などなど様々な出来事が起こり、それにより苛立ち、喜び、葛藤、 悲しみなどの感情があっただろうと想像は出来るけれど、全ての感情が同じようなトーンで流れていってしまうのでその出来事(感情)が「ふじ」 に、更には彼女が書き綴っている「源氏物語」にどう影響しているのかを理解することが出来ませんでした。

彼女の人生の中で「源氏物語」というのはかなり大きなウェイトを占めていて、彼女の経験や性格、 知識が作品に大きく反映していると思うんだけど、そうした臨場感や切迫感もあまり感じなかったなあ。

ところで、この時代の高貴な女性って「終日座っていて、立ち上がることさえはしたない」って感じなのかと思っていたんだけど、「ふじ」 は結構活動的なのでビックリ。
それともそんな今では考えられないような(不便そうな)生活をしていたのは本当に<やんごとない>方々だけで、「ふじ」 くらいの身分だったらこんなものだったのかな。
あと、女性同士の恋愛関係の話なんかもかなり当たり前のように書かれているのも驚き。
「ふじ」が親しくしていた女友達は「友人」ではなく、みんなそういう関係だったみたいなんだけど…。
当時ってそういう時代だったんですか?

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