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諸田玲子/お鳥見女房

  • 2005/08/24(水) 12:19:21

お鳥見女房
諸田 玲子
諸田玲子/お鳥見女房

内容(「MARC」データベースより)
幕府隠密お鳥見役の留守をあずかる珠世のもとに、 子沢山の浪人者が身を寄せることになった。
苦難を機知と情愛でしのぐハートウォーミング連作時代小説。


鬼子母神近くの役宅に住むお鳥見役・矢島家での出来事を中心にした、解説通り「ハートウォーミング」な短篇集。
でも表紙の感じからするともっと「ほのぼの」しているのを想像していたら、仇討ち騒動があったり、 秘密の任務のための旅に出た当主が行方不明になったり…とけっこうシリアスな展開もあったりするのがちょっと意外だった。

でも、それよりも何よりも私は突然珠世さんちに転がり込んでくる浪人・源太夫にイライラしっぱなし。
こういうヒト、苦手なんです。
いくら事情があるとはいえ、殆ど面識がない家にいきなりやってきて平気な顔で居候をする神経がよく判らない。
しかも自分一人ならともかく、子供5人も連れて!
更にこの子供たちが武士の子供とは思えないくらい行儀が悪いときたら…。
私だったら一日だって我慢できないね(笑)

そんな私に比べて珠世さんの肝っ玉の太いこと!
何があってもふくよかな笑顔で受け入れて、周りを穏やかに包んでいく包容力がステキです。
だからこそ源太夫一家も何ヶ月も気分良く居候しちゃうし、「大鷹狩」ではああいう決断をすることになるんだろうね。

ところで「お鳥見役」の人たちはいくらお役目とは言え、それまで何の訓練もしていない状態であんなに急に「じゃあ行ってこい」 って言われちゃって大丈夫なの?
何をどう探るかのノウハウもなかったら却ってやぶ蛇状態になってしまうんじゃないのかなあ…。


<関連サイト>
「諸田玲子 オフィシャルウェブサイト」

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織田正吉『百人一首の謎』

  • 2005/08/20(土) 12:13:52

百人一首の謎
織田 正吉
織田正吉/百人一首の謎

なぜ、百人「一首」とよぶのだろうか。
「紅葉」「白菊」「舟」「濡れる袖」…。
繰り返されるシンボリック・ワードに密かに隠されたメッセージとは何か。
定家の組み立てた暗号を解き「百人一首」撰歌の謎に迫る。
(本書解説文より)

「百人一首」は単に秀歌を選んでまとめたものではなく、撰歌した定家による隠されたメッセージが込められた暗号文である、 という内容の本。

著者がこの百人一首の研究に取り組んだ切っ掛けは「百人一首には似た語句を持つ歌が多いのは何故か」という疑問を持ったからとのこと。
その疑問を元に、 百人一首の歌の中に詠み込んである事実を取り出して結んでいった結果がこの本を始めとする著者百人一首研究成果に結びついたらしい。
その検証は詳しくて判りやすいし、論旨、結論自体は「なるほどね~」と思える内容なんだけど…それ以外の余計な部分が多すぎる。

本題に入る前に「何故自分がこの研究に取り組んだのか」を説明する文章が延々と続くので、「これって謎解きがメインじゃなくて 『考え方』 の話なの?」って思ってしまったくらい。
特に『どんなに異様なことでも慣れてしまうと異様とは感じなくなる』というところから始まる「例えばこんなこと」の例が途中で「もういいよ」 って思うくらいいくつもいくつも書かれているのには正直ウンザリ。
説明してくれるのはいいけど、それが本題じゃないんだからせいぜい1つ、2つで充分なのでは。

それから、(自分は気が付いたのに)「何故今まで誰も気が付かなかったのか」のようなことが何度も書いてあるのも、 読んでいてあまりいい気持ちはしなかったなあ。
さらに最後にはこの著者の研究成果をそっくり真似た某大学教授の論について徹底的に反論している文章もあまり冷静に書いているとは思えない感じだし… 。
まあ、それはそれで面白かったんだけど(笑)この本の内容だったら合わせて載せることはしないで、 反論は反論だけで作品とした方が良かったんじゃないのかな。

肝心の暗号・謎解きよりも、それ以外のことが主張しすぎていて焦点がぼけてしまっているように感じた。

岡野宏文・豊由美『百年の誤読』

  • 2005/08/11(木) 12:09:33

百年の誤読
岡野 宏文 豊崎 由美
岡野宏文・豊由美/百年の誤読1900年から2004年まで、100年(+α) の間に日本でベストセラーになった本の数々を俎上に載せて「いいものはいい」 「悪いものは悪い」 とバッサバッサと斬りまくる書評対談集。

先日読んだ 『文学賞メッタ斬り!』の姉妹本みたいな感じですね。
これも面白かったです(^^)

特に(『文学賞~』同様(笑))面白くない作品を読んだ(読んでしまった)ときのお二人の容赦ないツッコミ!
これがすごく新鮮で気持ちよかった。

私はベストセラーを殆ど読まない派です。
何故かというと作品と自分の距離感が上手くつかめないというか、 周りの空気に影響されてしまって自分がどう思ったか自分でもよく判らなくなってしまうことが多いから。
しかも、たまに読むと「みんなが面白いと思ってるものを自分がツマラナイと言うのは気が引ける」という遠慮(?) の気持ちが働いてしまうらしく、「面白い」と思ってなくてもついぼかした感想を書いたりしてしまったり。
別にこんな辺境のブログでしかも個人の感想として「面白くなかった」と書いたからと言って、大勢に影響があるわけでもないのにね~(笑)
小心者だわ。

それに比べて、このお二人はプロのライターさんたちで影響力もかなり大きいだろうに、 こんな本を出してしまって大丈夫なんだろうかと心配になるほど忌憚のない意見を述べている。
その腹の括り方にまず拍手。

そしてそれ以上に感じたのは、いくら誉めてもらえなくともここまで真剣に読んで貰えれば本も著者も本望であったろうということ。
目も耳も閉じたまま読んで書いた定型句のような誉め言葉の感想を100も200も貰うよりも、 苦言であってもきちんと読み込んだその人オリジナルの言葉で表現されたたった一つの言葉を貰えた方が嬉しいんじゃないかな。
しかもこの2人の言葉というのは決して「誹謗中傷」ではなく、正しく「批評」であるわけだから。
だからこそ、ここまで率直な意見を本名で載せられるってことだよね。

私には到底真似できそうもないけど(技術的にも精神的にも)、 それでも少しでも自分の気持ちが正直に出る文章を書くように努力したいと思う。

『文学賞~』のときと同じく、この本も対談内容についての脚注がてんこ盛り。
本文だけでなく、この細かい字の脚注を行ったり戻ったりしながら読むのもまた楽しい一冊でした。


<関連ページ>
「岡野宏文のページ」

作家別index

  • 2005/08/08(月) 12:02:03

★作家別のindexを作成しました。どうぞご利用下さい。★

ア行の作家カ行の作家サ行の作家タ行の作家
ナ行の作家ハ行の作家マ行の作家ヤ行の作家
ラ行の作家ワ行の作家アンソロジー他外国人作家

※リンク切れ、ミスリンクなどありましたらご連絡下さい。

山川健一『新選組、敗れざる武士達』

  • 2005/08/06(土) 12:02:08

新選組、敗れざる武士達
山川 健一
山川健一/新選組、敗れざる武士達

出版社/著者からの内容紹介
 新選組の面々は、先祖代々のうのうと家禄を食んできた身分としての武士階級ではなく、自らの意志をもって立った日本で最初の思想集団だった。上からの押し付けではない自らの規律を作って、隊の全体を律した。薩長の志士達に十分に拮抗し得る思想を、戦いの日々の中で育んでいったはずだ。   短い時間のなかで刻々と変わっていった新選組の思想とは何だったのだろうか? 近藤勇や土方歳三、沖田総司や山南敬助、藤堂平助や伊東甲子太郎を犬死にさせないために、ぼくら一人ひとりがそれを考え抜かなければならないのだと思う。それを、本書で探ってみたい。(『新選組、敗れざる武士達』前書きより抜粋)
新選組の行動と思考(思想) の軌跡についてはかなり丁寧に記述してあるので組の誕生から終焉までの過程を理解するにはいい資料だと思うけど… ちょっと思い込みが強く出過ぎかなぁ。
歴史書の部分があったり、研究書の部分があったり、小説の部分があったりするけど、同時にそのいずれでもないという感じの内容で、何となく 「中途半端」な読後感。
(著者によるあとがきによると「エッセイ、または歴史批評」とのこと)

新選組の行動や思想についての考察もいろいろな事実を積み重ねた上で踏み込んだ発想を展開しているけど、 そんなに斬新ってほどではなかったし。
(山南さんとトシの関係とか、山南さんの死の真相とかは 『黒龍の柩』を読む前だったら「ああ!」と思ったかも)
それと、(内容ではなくて)表現がきれいすぎる。
「…心を通い合わせて美しい物語を締め括った」とか「赤子に慕われる母のような…」とかってなんかちょっとウソっぽく感じてしまう。
純粋に小説だったらこういう表現もいいけど、この手の作品だったらもう少し冷静で客観的な言葉遣いをしたほうが伝わると思う。

一番違和感があったのは、説明の中でそれまで登場していなかった人名などが何の前置きもなく唐突に出てくること。
主要な人物だったらともかく立場も新選組との関係も全く知らない人物名が急に出てきて話が進んでいくので、読みながら「誰これ?」 と悩むことが多かった。
著者の頭の中では当然の事実として認識されていることがらでもこっちは知らないことってたくさんあるんだから、 少しは説明してくれないとその事実が何を意味しているのかも理解出来ないんですけど…。

新選組に対する著者の<愛情>は充分感じられるのだけれど、それが空回りしているように思えてしまった。
次はその愛情をたっぷり注ぎ込んだ小説を読んでみたい。

冒頭にあった「新選組は物語であって歴史ではない」という言葉が印象的だった。


<関連サイト>
「BE HAPPY!」(オフィシャルサイト)
「イージー・ゴーイング」(公式ブログ)

浅田次郎『輪違屋糸里(上・下)』

  • 2005/08/02(火) 11:52:59

輪違屋糸里 上
浅田 次郎
輪違屋糸里 下
浅田 次郎
浅田次郎/輪違屋糸里(上) 浅田次郎/輪違屋糸里(下)
内容(「MARC」データベースより) 島原の芸妓・糸里は土方歳三に密かに思いを寄せていた。二人の仲を裂こうとする芹沢鴨には、近藤派の粛清の夜が迫りつつあった…。浅田版新選組異聞。芹沢鴨暗殺を描いた話題作!

行ったこともない遠い場所・ 江戸からやってきたどこの馬の骨とも判らない大勢のむさ苦しい男たちを自分の家で面倒見なくちゃならなくなったらそりゃあビックリするし、 困るし、腹も立つと思う。
しかも二本差しで侍のように見えながらもどの藩からもお金が出るわけではないから食事やお酒は自分の家の持ち出しだし、その上ケンカしたり、 女を連れ込んだり、敵対する人間を捕まえてきては土蔵で拷問したり、更には夜中に屋敷の中で仲間同士の斬り合いなんかやってくれたら… そりゃあ 「いい加減にしろ、早く出てけ」とも思うよね。
更にそれを正面切っては口に出せないわけだから、余計にイライラはつのる。

新選組がまだ「壬生浪士隊」と呼ばれ壬生の郷士 八木家、前川家を屯所としていた頃の話は数ある新選組本の中でもよく出てくるけど、 どれも彼らサイドの活躍や苦難や葛藤が主となっている。
でも、平和な生活の中にいきなり現れた今まで出会ったこともないおそろしげな男たちを受け入れなければならなかった八木家、 前川家の人々の間でも彼らと同様、いや多分それ以上の困惑や苛立ちや葛藤など… 色んな感情が交差したであろうことは本当だったら容易に想像出来ることだ。
なのに、私たちの視線は常に隊士たちに向けられていてそのすぐ傍にいたであろう本当に困っていた人たち、 そして隊士たちよりも心情的にはもっと自分に近い人たちのことを考えようともしなかったことにこの作品を読んでようやく気付かされた。

八木家を取り仕切るおまさ、 隣の前川家のお勝の目を通して描かれる厄介者の浪士たちの姿は今まで読んだどの新選組本のなかの彼らとも違って、ひどく頼りなげで危うい。
時期的なものもあるのかも知れないけど、まだ自分が何を信じたらいいのか決められずに右往左往する若者たちの姿が描かれていて新鮮だった。

彼らを迷惑に思いながらも、近藤一派と芹沢一派に何か対立があるとお勝とおまさがそれぞれの家に住む方(八木家が近藤、前川家が芹沢) を自然とひいきに思ってしまうところとか、浪士隊の面々がただの乱暴者ではなく一人一人はとても礼儀正しく、 村の畑仕事も進んで手伝うので憎むことが出来ないといった描写で「迷惑なんだけど憎みきれないから余計に腹立たしい」 と言った複雑な感情がよく表現されていたと思う。

新選組(壬生浪士隊)に関わった女たちの目を通して語るという視点がすごく新鮮だったし、文章も読みやすかった。
内容ももちろん面白くなかったわけではないけど…好きか?と言われたら「あまり好きじゃない」というのが正直な感想。
読後感があまりよくなかったのがその理由。

上巻のラストの糸里への土方の仕打ちを読んで「げ…そんな展開なんですか?」と非常にイヤな気分になって、 結局それがず~っと最後まで払拭されないまま読み終わってしまった感じ。
今までいろんな土方を読んできて、中にはただの殺人マシーンですか?ってな性格のもあったりしたけど、本作の土方の性格の悪さ (と言うか弱さかも)は群を抜いていた。
悪役なら悪役でもいいんだけど、この土方はすごく自分本位なことを言うかと思えば、 いきなり優しかったり気が付いたりするのが却ってムカつく。
特に芹沢暗殺を糸里にうち明けるシーンなんか、「そんな調子のいい話ってないじゃない」って感じだったなあ。
こんなヤツに惚れてしまった糸里は可哀想すぎる。
何を重要だと思うかは人それぞれだと思うけどね… でもやっぱり糸里にそんなことで幸せを感じるようには描いて欲しくなかったというのが正直な感想だな。

と言っても、タイトルになってるわりに糸里が重要なキャラクターには思えなかったというのもまた事実。
私には糸里(プラス吉栄)よりも、前述のおまさ、お勝のおかみさんコンビのしたたかさと優しさ、そしてお梅の激しさ、 哀しさの方がより印象的だった。

他には新見錦が切腹させられる前段で水戸藩邸に捕まる経緯の部分とか、 新見や平山が前川家や八木家で見せたさりげない心遣いの描写などが面白かったし、芹沢暗殺の夜の沖田視点のパートも良かったな。
私が今までイメージしてきた沖田像からはかなり離れているけど、それでも「あ、こういうのもアリかもね~」 と納得できる感じで読んでいて面白かった。
(楽しくはなかったけど(笑))
特に

ただ己は、先生や歳三さんの親心兄心というやつが、内心うっとうしくてならない。まるで己たち三人だけが血のつながった兄弟のような、 うじうじとした、侠気(おとこぎ)に欠くる、ことあるごとに庇い合い慰め合う仲というものが、己は嫌で嫌でたまらぬのだ。 そのうじうじした思いやりが、実は百姓の性根であることに、先生も歳三さんも気付いていない。(p185より)

あたりの描写は「そこまで言いますか」って感じで却って痛快。

ただね、この沖田始めみんなが「本物の武士だ」と恐れていた(だから殺されてしまった)芹沢だけど、 私にはやっぱりストレスとプレッシャーで精神不安定になってしまったただ暴れん坊にしか見えなかったので今ひとつその気持ちに同調できなかったな。
芹沢の存在の大きさが実感出来ればその他の事柄も(土方の行動も含めて)別の見方が出来るようになるのかも。

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