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◆Date:2005年03月
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梨木香歩『家守綺譚』

  • 2005/03/27(日) 08:15:06

家守綺譚
梨木 香歩
梨木香歩/家守綺譚湖でボートに乗ったまま行方不明になった親友 高堂の家の家守を任された売れない作家・綿貫。
床の間の掛け軸の中から姿を現す親友と、その広い庭を持つ家に住む小さく優しく静かな不思議たち。
彼らと綿貫の1年間の交流を書き綴った28の物語。


面白かった。
広い庭や年を重ねた家、その周辺に現れる不思議たちに対する登場人物(隣のおかみさんや和尚さん、編集者の山内など)たちの反応がステキ。
どんな現象も生き物も、そこにあることが当然のことのように受け入れて静かに共存している様を描く淡々とした筆致が心地いい。

そんな中で主人公である綿貫はどちらかというといきなり現れる事態に時々焦ったり、狼狽えたりしてしまうことが多いんだけど、 他の登場人物たちの「これはこういうことですよ」と言われると「そういうものか」とアッサリ納得してしまう、 しかも彼が一番そうした不思議たちと心を通わせてその本当の姿を正確に把握しているように描かれているのも良かった。
また向こうの世界からやってくる親友 高堂と綿貫の会話もいい。
ちょっとズレてるんだけど、お互いが相手を思い遣っている気持ちが溢れている。
特に最後に綿貫が高堂に掛ける言葉と、その後の3行は余韻があって印象深かった。

でも何と言っても私が好きだったのは綿貫の飼い犬・ゴローだなあ。
私の中では彼は秋田犬柴犬みたいな、 キッチリした体型で忠実な表情をした短毛の日本犬。
その、妙に人めいた彼の描写を頭の中で映像に置き換えてクスクス笑ってしまうところが何ヶ所もあった。
こんな賢く強い犬と自然の中で暮らして行けたらどんなに素敵だろうと、犬を飼ったことのない私でも思うくらい印象的な登場犬だった。

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ルイス・パーデュー『ダ・ヴィンチ・レガシー』

  • 2005/03/20(日) 08:10:44

ダ・ヴィンチ・レガシー
ルイス・パーデュー
ルイス・パーデュー/ダ・ヴィンチ・レガシーヴァンスは天才的な採掘地質学者であると同時に優秀なアマチュアのダ・ヴィンチ研究者でもあった。
ヴァンスの養父である世界的な石油会社コンチネンタル・パシフィック社のオーナー キングズベリが手に入れたダ・ ヴィンチの手稿を調べるうちにヴァンスはその中の2ページ分が偽造されていることを発見する。
その矢先、ヴァンスの恩師であるマティーニ教授を始めとした世界の名だたるダ・ヴィンチ研究者が次々と殺害されると言う事件が起きる。
彼らにはその問題の手稿を読んだことがあると言う共通点があった。
失われた手稿と殺人事件の謎を追うヴァンスに次々と襲いかかる魔の手…。
失われたページには何が書かれていたのか、敵は何者なのか、その目的は…?


『ダ・ヴィンチ・コード』のヒットの影響か、最近本屋の店頭でよく見かけるようになった<ダ・ヴィンチ>を冠にした本の中の一冊。
これは(解説によると)約20年前に初版が出たものを昨年改稿して再版したもの、とのこと。

面白かった!
主人公のヴァンスの活躍ぶりが凄い。
プロの殺人集団と堂々と渡り合っちゃうなんて「あんたは何者なの?」って感じ(笑)
それでも徹底はしてないので時々やられそうになってハラハラしちゃうんだけど、その危うさが却って物語を面白くしていた。
更に最初はヴァンスと敵対していながら途中から一緒に行動することになる新聞記者のスーザン。
彼女が凄すぎるっ!
本来は守らなくちゃならないはずの自分が逆に守られている、彼女一人ならもっと生きる可能性が高いのに… ってヴァンスが自己嫌悪になってしまうくらいの大活躍でカッコ良かった。
やっぱり女も「好きな男の一人くらい守れないと…」な時代なんでしょうか(笑)

敵側の設定もちゃんと説得力があるし、アクションシーンも読み応えがあった。
宗教的な要素が強いからその辺りが微妙だけど、ハリウッドで映画化されても良さそうな派手なお話だったな~。

でも、このタイトル(「ダ・ヴィンチの遺産(レガシー)」)でこういう風に面白いってのは「どうなの?」と思ってしまったりもするなあ(笑)
「ダ・ヴィンチ」な部分はあまり期待しないで読んだ方が楽しめるのではないかと。

中村有希さんの翻訳も自然な言葉で、緊張感や迫力がきちんと伝わってきてとても読みやすかった。
お気に入りの翻訳家さんとしてチェックしておこう。

人間の心というのはたいしたものである。
その回復力も、自分にとって最高に都合のいいことでも悪いことでも即座に順応する能力の大きさも。
この順応力こそが人類が生き残ることを許しているのだ。
しかし、もっとも残虐で非人道的な所業さえ受け入れて、残念だが避けられないことと諦める順応性は、破滅の種をもはらんでいるのではないか。
(p255より)


翻訳者・中村有希さんのWebサイトを発見。
「翻訳家のひよこ」
翻訳の仕事の裏話なども紹介されていて楽しいサイトです。
翻訳に興味がある方は是非。

ちなみに私は『~コード』の方は未読。
図書館で予約を確認したら734人待ちだった(驚)
う~ん…文庫落ちまで待つしかないかな~^^;


こちらは著者のルイス・パーデュー氏のオフィシャルサイト。
「IDEAWORX」
もちろん英語です。

畠中恵/ねこのばば

  • 2005/03/11(金) 08:07:25

ねこのばば
畠中 恵
畠中恵/ねこのばばお江戸日本橋の大店・長崎屋の病弱な一人息子・一太郎と彼を囲む妖(あやかし)たちの物語。
「しゃばけ」シリーズ第3弾。
「茶巾たまご」「花かんざし」「ねこのばば」「産土(うぶすな)」「たまやたまや」の5編を収録。


2冊目の「ぬしさまへ」と同じく一太郎と妖たちを中心にした連作短篇の形を取った作品集。
相変わらず読みやすくサクサク読めてしまった。
でも「面白かった!」と手放しで言えないのが残念。

う~ん…なんて言ったらいいのか…。
このシリーズ、好きなんだけど読むたびに「あれ?」って思ってしまうのだ。
「こんなはずじゃないんだけど」って。
それは私の「この登場人物で、この文章なら、こんな話」って言う勝手な思い込みがすごく大きいから、だと思う。
で、結果的に私の思っている「こんな話」とは別の方向の物語がそこに展開されているので、 そのギャップが埋まらないまま読み終わってしまった…と言う感じ。

いろいろ言いたいことはあるんだけど、何よりも「もっと若だんなと妖たちの関係」を中心に書いてもらいたいなと思う。
確かに、 若だんなだって妖たちとばかり遊んでいるわけではなくてちゃんと人間社会で普通の生活をしているわけだからそうした描写が出てくるのを否定するわけではない。
でも今回みたいなお話だとあまり彼ら(若だんな+妖たち) が主人公である必要はないんじゃないかな~と思えるくらい別の要素が大きくなりすぎているのが気になってしまったのだ。

話の展開もちょっと複雑すぎると感じることが多いし、それに比べて謎解きの部分はちょっと乱暴な感じがしてしまう話も多かった。
特に「茶巾たまご」と「ねこのばば」の犯人像ってのは…。
もう少し希望の持てる、犯人の心の中にも思いを致すことの出来るようなそんな結末であって欲しかった。

ここまでしてわざわざ人の出入りの多い推理小説(判じ物)にする必要があるのかな~?と言うのが正直な感想。
せっかく印象的な登場人物を持っているんだから、もっと単純な人情話の方がキャラクターにあってると思うんだけど。
ま、外野からは何とでも言えるってことだけど。

佐助視点の「産土」は(途中がちょっと長かったけど)しっとりしていて印象的。
最後の一行でちょっと泣けた。

鯨統一郎『新・世界の七不思議』

  • 2005/03/10(木) 08:03:48

新・世界の七不思議
鯨 統一郎
鯨統一郎/新・世界の七不思議著者のデビュー作にして最も有名な作品「邪馬台国はどこですか?」の続編。
今夜も繁華街の片隅にある寂れたバーで、人類の謎が解き明かされる。

「アトランティス大陸の不思議」「ストーンヘンジの不思議」「ピラミッドの不思議」「ノアの方舟の不思議」「始皇帝の不思議」 「ナスカの地上絵の不思議」「モアイ像の不思議」の七不思議を収録。


「邪馬台国はどこですか?」が日本の謎だったのに対して今回のテーマは「世界の(新)七不思議」。
でも、舞台がどんなに広がっても独自の論理と、それに全くそぐわない(笑)飄々とした展開は相変わらず。
寂れたバー「スリーバレー」で美味しいお酒と、おつまみを食べながら人類の長年の謎がどんどん解き明かされていく。
しかもそれを解き明かす店の常連・宮田にとって「外国の古代史は知識のエアポケット」であるらしい。
そんな人物にたった一晩で解き明かされてしまう謎って…(笑)

宮田と静香の仲がいいんだか悪いんだか判らないバトルで表現される謎についての知識や、バーテンの松永が饗するカクテルや料理の蘊蓄、 一人オブザーバーの立場に立たされてしまっている歴史学者・ジョゼフの一人ツッコミ…などなど、読みどころはたくさん。
それが軽快なテンポの文章で書いてあるので、ついついスルスルと読めてしまう。
で、なんとな~くいつの間にか謎も解けてしまっている(ような結論になっている)ので、思わず「そうなのか~」 って納得しそうになってしまうところが怖い^^;

まあ、私なんかはその論理の瑕庇を見つけるどころか、その謎そのものの内容もろくに知らないようなトーシローなので、「何かすごく強引」 とか「それじゃあ、根拠が薄すぎるだろう」とか思いながらも「ま、面白ければいいか」って感じでクスクス笑いながら読んでしまうわけだけど。
専門家から見たらこういう説はどうなんでしょうね?

それよりも私は「ストーンヘンジの不思議」に<ブログ>、<トラックバック>と言う言葉が出てきたのに思わず反応してしまった(笑)
この作品の初出は'03年9月らしいので、<ブログ>と言う言葉が一般的になるにはまだかなり早い時期だよね。
それなのにその新しい言葉がさりげなく作中に登場して、しかもそれだけでなく(未だにブログ用語の中でもハードルが高い) <トラックバック>まで入ってる辺りが、著者の旺盛な好奇心や進取の気性を物語っているような気がした。
(文庫化に当たって新たに書き加えたとも考えられるけど…詳細は不明)

いずれにしても軽くサクッと読めるように仕上がってはいるけど、この内容をそうやって仕上げるまでにはどのくらいの労力を使ったのだろう… と考えると非常に贅沢な作品だと思う。

ただし、今回タイトルがちょっと平凡すぎるのが残念。
ここにももうちょっと凝って欲しかったな。

あさのあつこ『バッテリー3』

  • 2005/03/01(火) 08:00:41

バッテリー 3
あさの あつこ
あさのあつこ/バッテリー3文庫になってすぐの1月上旬には買ってあったのに、何故かいつまでも読み始められずに部屋の中に積んであった「バッテリー3」。
会社の後輩に「持ってるなら貸して」と言われたのをきっかけにようやくページを開いた。
そうしたらもう一気読み。
電車の中で読みながら泣いてしまった。

相変わらず臆することのない瞳で自分の力だけを信じて真っ直ぐ前を見つめる巧の視線が痛かった。

子どもの頃って、自分のやりたいことがハッキリしなくて、信じるものも自分の内に確立しているものじゃなくて、いつも揺らいでいて頼りない。
でもだからこそ、外から攻撃されたときに衝撃を吸収する弾力があるというような状態なんじゃないかと思う。
少なくとも私はそうだった。
「今の私は、本当の私じゃない」そう思っていたからこそ、日々をやり過ごしてこられたあの頃。

それなのに、巧のようにあんなにも頑なに頭でも身体でも「自分」をきっちり作り込んでしまっていたら、 小さな衝撃で壊れてしまうガラスのように脆いんじゃないのかな。
あんな子が自分の傍にいたら、とても怖いと思う。

だから巧の傍にいる人間達は、大人でも子どもでも「怒るか、一生懸命になるか」してしまうんだろうね。

それでも巧の周囲が少しずつ変化していくのを感じる。
先輩達も、先生や家族、そしてバッテリーである豪の存在。
巧はこれからどうなっていくんだろう。
怖いけど、目を逸らさずに見つめていきたいと思う。

青波視点の書き下ろし短篇「樹下の少年」も収録。

う~ん、青波も大人だよねえ…。
こんな子ども持っていたら親は大変だ^^;

あ、そう言えば今回はお父さんの登場場面はなかったな。

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