ページ内記事タイトル一覧

◆Date:2005年02月
ALL

フリーエリア

テスト中。ここはフリーエリアです。

スポンサーサイト

  • --/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

喜国雅彦『本棚探偵の冒険』

  • 2005/02/26(土) 07:55:48

本棚探偵の冒険
喜国 雅彦
喜国雅彦/本棚探偵の冒険マンガ家として有名な著者が「古本マニア」としての自分の体験を綴った抱腹絶倒のエッセイ。


面白かった~っ!
古本マニアの方の著作は扱っているものが<本>であるだけに私も興味を持って何度か読んでみようとしたことがあるんだけど、その内容のあまりの強烈さ (古本を求める心理状態など)に気持ちをシンクロさせることが出来ずに途中で投げ出してしまったことが殆どだった。
私のような新刊書店の平積みの文庫本を主に購入している<読むための>本好きと、 彼らのように古書店の奥や目録から長年探し求めた1冊をお金に糸目を付けず購入する<集めるための>本好きでは同じ「本」 を対象にしていても多分全く別の人種なのだろうな、と思う。
それはどちらが「いい」とか「悪い」ではなく単に価値観の相違ってことは納得できる。

それは判っているんだけど、 彼らの古書蒐集にかける情熱の部分が当然のように淡々と書かれている本を読んでいるとどんどん引いて来ちゃうのも事実。
「住んでる世界が違うんだから理解できなくて当たり前」って理解する前から諦めてしまう雰囲気が漂っているんだよね。(著者にも読者にも)
今まで私が読んだ作品というのはその辺の普通の人と古本マニアの価値観の差が埋められないまま書いてあるものが殆どだったんだけど、 これは違う!

何が違うかというと、著者の喜国氏は古本マニアである自分がそうでない人からどう見えるのかを判っている、ということ。
その上で、その「違い」とか「変な(と思われてしまうであろう)部分」を意識して強調して書いている。
そうすることで「古本マニア」な人たちの生理というのを、私のような普通の本好きにも理解できるようにしてくれているのだ。
しかも、それがかなり笑えるように書いてあるのは喜国氏のサービス精神の賜物だろう。
この本に出てくる喜国さんを始めとする古本マニア諸氏は、何だかすごく楽しそうなのだ。
なので、これを読んでいると「ついうっかり」その道に踏み込んでしまいそうになる(笑)
いやいや、実際に引き込まれた人もいるんじゃないのかな~、と思えるくらいの楽しい本だった。

函欠けの本に自作でオリジナルの函を作ってしまう「函をつくる(前後編)」と豆本を自作する「豆本が欲しい(前後編)」 の<作るシリーズ>(勝手に命名(笑))と、Tokioの「THE!鉄腕!DASH!!」を真似た企画に一人で挑む「ポケミスマラソン」 (一日でポケミスのタイトルを幾つチェックできるか)が特に面白かった。
本文の後に付いている古本好きのみなさんとの座談会も何だかよく判らないけどすごく楽しそうだったし。
楽しみ方って人それぞれなんだなあ。

「マニア」って聞くと内容を聞く前にちょっと眉を顰めてしまうことが多いけど、 ちょっと普通よりその好きの度合いが深いだけで他人に迷惑をかけることでなければ特に問題ないわけだよね。
却って対象についての愛情と言う点から言えば純粋な人々だと言えるのかも。
そうした理解を再確認させてくれるだけでもこの本は価値があると思う。

※文庫版裏表紙の紹介文の中の『"蒐めるだけで読まない人"が癒される一冊』と言うフレーズも好き♪


<関連サイト>
「こたくんといっしょ」
喜国氏の奥様で漫画家の国樹由香さんのサイト。喜国氏のページもあります。

スポンサーサイト

森谷明子『千年の黙(しじま)』

  • 2005/02/26(土) 07:49:15

千年の黙―異本源氏物語
森谷 明子
森谷明子/千年の黙(しじま)今をときめく左大臣・藤原道長に敵対する中宮・定子がお産のために宮中を下がる際に同道した帝お気に入りの猫が何者かに攫われた。
少女・あてきが仕える御主の背の君が道長の子飼いの家来であったことから、あてきと御主はこの事件に深く関わっていくこととなる。

中宮・定子の元から攫われた猫の行方と、式部に届けられた謎の文、消えた文箱の中身を中心にした「上にさぶらふ御猫」、 あてきの友人の女房が仕える薄幸な女御様の恋と、定子の後に中宮になった道長の愛娘・ 彰子に献上された式部の物語の中から失われた幻の巻の行方を追う「かかやく日の宮」、題名だけが存在する巻の真相を語る「雲隠」 の3部からなる連作ミステリー。
第13回 鮎川哲也賞受賞作。


千年の時を経て読み継がれている「源氏物語」の作者・紫式部を探偵役に据えたミステリー。

なんて言うのかな…物語の流れが自然に高いところから低いところに流れていくと言う感じではなくて、 いきなり高くなったり低くなったり支流に入ったり本流に戻ったりしてしまって先がよく見えない。
読んでいて気持ちよく流れに身を任せることが出来なくて、もう一つ楽しめなかったなあ、と言うのが正直な感想。
きっと私の歴史的、文学的素養の欠如が大きな原因なのだろうと思うのだけれど。

「かかやく日の宮」の巻が消えたいきさつ(そしてそれを補完するために式部が取ったとした対応)や、「雲隠」 の巻に隠された想いなどの考察についてはとても興味深かった。
(特に「かかやく日の宮」に書かれていた、『どうやって物語が広がっていったか』の話は面白かった!)
私としてはこっちの話を重点にして、「行方不明の猫の話」や「幸薄い女御様の話」はもっとあっさりでも良かったと思うな。
あまりにも全体的に量が多すぎて、視点が拡散してしまっているような気がする。

登場人物では式部の背の君である藤原宣孝や中宮・彰子が好きだった。
式部はちょっと好人物過ぎる印象。
もうちょっと偏屈なオバサン(笑)でもよかったのでは。
清少納言の登場場面が少なかったのも残念。


同じく「かかやく日の宮」消失の題材を扱った 『輝く日の宮』(丸谷才一/講談社)と言う作品があるらしいので、こっちも図書館に予約。


紫式部と清少納言が探偵役で出てくるミステリーと言うと以前読んだ 『薫の大将と匂の宮』(岡田鯱彦/扶桑社文庫)を思い出す。
2人のキャラクターと犯人にされてもグダグダ悩んでいる薫のダメっぷりが可笑しくて印象的な作品だった(笑)
(その時書いた感想は こちら

堀江敏幸『雪沼とその周辺』

  • 2005/02/15(火) 13:08:47

雪沼とその周辺
堀江 敏幸
堀江敏幸/雪沼とその周辺雪沼に暮らす普通の人々の生活を切り取った短篇集。
「スタンス・ドット」「イラクサの庭」「河岸段丘」「送り火」「レンガを積む」「ピラニア」「緩斜面」の7編を収録。


声高に何かを主張するわけでもなく感動させる言葉が散りばめられているわけでもないのに、読み終わると不思議と背筋が伸び、 心が安らいでいる…そんな作品だった。

作品の中にはいろいろな季節や天気が出てくるんだけど、そのタイトルのせいなのか私は読んでいる間ずっと「雪景色」のイメージがあった。
しかも降り積もる雪に音が吸収されてほぼ無音に近い状態になるように、物語の中にもシンとした静けさが満ちている。

その静けさの中で淡々と描かれるのは、「雪沼」と言う架空の町で暮らす普通の人々の生活である。
特に事件が起きるわけではない、本人とその周囲の人々にしか影響しないであろう些細な、でも大切な日々の積み重ね。
その何でもなさがとても心地よかった。

作品全体に優しさ、柔らかさを与えている登場人物の「さん」付け表記が印象的。
またそれぞれ別の物語でありながら何気ないシーンで前に出てきた物語の登場人物や出来事にわずかばかり触れることで、読んでいる私も「ああ、 あの…」と何やらご近所の縁側で茶飲み話をしているようなゆったりした気分になれた。

寒い季節に暖かい部屋で温かい飲み物をいただきながらゆったりと読むのが似合う1冊。

斉藤直子『仮想の騎士』

  • 2005/02/06(日) 13:00:54

仮想の騎士
斉藤 直子
斉藤直子/仮想の騎士18世紀半ばのフランス・パリ。
フランス国王ルイ十五世の従兄であるコンティ親王に仕える騎士デオン・ド・ボーモンは頭脳明晰、 パリ屈指の剣の使い手であったが彼の特徴はそれ以上に、男の服装をしていてもしばしば女性に間違われるほどの美貌にあった。
その類い希な美貌を買われ、彼は当時フランスと国交のなかったロシアと友好を結ぶための密使に選ばれる。
リア・ド・ボーモンという「うら若き美女」として…。

第12回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。


歴史ものなんだけど、物語性が強いし、登場人物が個性的で楽しく読めた。
特にデオン(= リア)のロシアでの周囲とのやり取りが可笑しかった~♪

その分、そのあとのサン・ジェルマン伯爵が出てきてからの展開はちょっと唐突だし、物語の雰囲気自体が変わってしまってちょっと違和感。
私は前半の軽快なテンポで進んで行って軽く笑える感じが好きだったので、そのままずっと行って欲しかったな。
最後も、もっと明るく「クスッ」と笑える結末であって欲しかった。


物語には直接関係ない感想:その1

「なんと不忠な」
デオンの声が震えた。彼は騎士である。主君のためという大儀がなければ、ただの殺し屋に墜ちてしまう階級である。彼の価値観では、 分をわきまえない行為は最も忌むべきことだった。血管の中に『忠義』が流れていると言っていい。(p84~85から引用)

ってところを読んで、何故か「新選組!」(と言うか近藤勇か?)を思い出してしまった(笑)
<血管の中に『忠義』が流れてる>って表現、好きだわ~♪


物語には直接関係ない感想:その2

この物語を読んで思い出したのは、昔読んだ名香智子のマンガ『美女姫シリーズ』だった。
フランスのクォーターで美形の双子、美女丸・ソンモールと姫丸・カーモールが中心になって繰り広げる「あり得ない!」学園ものであった 『美女姫シリーズ』、大好きだったなあ。
その中の特別編(?)で「みんなで映画を撮りましょう」みたいな設定でお芝居をするという作品があったんだけど、その題材がこのデオンとリアだったのだ。
それを読んだ頃は単純に「マンガ」として楽しんだだけでこれが実在の人物だったなんて思ってもいなかったけど (もしかしたら作品中で説明があったかも知れないけど覚えていない)、あれから何十年も経ってこうして再会すると改めて 「漫画家さんって勉強家だなあ」と思わずにはいられない。
あんなハチャメチャなギャグマンガにさえ、ちゃんと歴史的事実を盛り込んでいるわけなんだから…。
(そう言えば確かにエカテリーナとかピョートルとか無血革命とか出てきていたよ…(笑))
なんか思い出したらまた読みたくなっちゃった。
私、コミックスか何か持ってたかな?
後で探してみようっと。

花の美女姫 (1)
名香 智子
花の美女姫 (2)
名香 智子
花の美女姫 (3)
名香 智子

米原万里『真昼の星空』

  • 2005/02/06(日) 12:51:22

真昼の星空
米原 万里
米原万里/真昼の星空ロシア語通訳の先駆者であり、現在自ら設立した「ロシア語通訳協会」 の会長を務める著者が'98年から'01年まで読売新聞紙上で連載したエッセイの文庫化作品。

米原万里さんは私が読む数少ないエッセイストの中の一人。
幼少時代をチェコスロバキアで過ごし、成長してからはロシア語通訳として活躍する中で体験した面白いこと、 楽しいことを勢いのある文章で表現してくれる。

このエッセイ集も小さい頃の思い出や仕事で出会った変なこと、もの、人など、意外性のある話が生き生きと描かれていて楽しかった。

とは言え、あまりにもイキがよすぎて、その内容が新聞紙上への連載だったと言う紙数に収まっていないと感じられるものも結構あった。
米原さんのエッセイは全編「起承転結」がハッキリしている。
「起」で書き起こされ「承」で受けられた話が、「転」で全く違った話に転がって「結」でオチがつく。
このうちの特に「転」の力、意外性と言うのはスゴイ威力である。
「その話からここに持ってきますか!」といつも驚かされてしまう。
そしてその先の優しく、暖かく、ユーモアに溢れたオチに辿り着くのだ。

しかしながら、その「転」の前の「起承」の部分も実はかなり面白いのが問題。
米原さんご本人は何でもないことのように書いているが、 ロシアやチェコスロバキアや通訳という職業など私の知らない世界のことがたくさん書かれていて「それでどうなったの?」 とどんどん先を読みたくなる内容が多い。
にも関わらず紙数の関係なのか無情にも話は「転」になって他の話に飛んでしまうのだ。
ああ、あの前半の話はどう決着が着いたのか…と、勢いよく場面転換した内容を読みながら少々消化不良な気分になってしまったのだった。
話が上手いのも考え物である(笑)

金田一秀穂『新しい日本語の予習法』

  • 2005/02/05(土) 12:46:02

新しい日本語の予習法
金田一 秀穂
金田一秀穂/新しい日本語の予習法

<出版社/著者からの内容紹介>
日本人とおしゃべり文化について
外国人の目で見た日本語、言葉遣いの変化、日本人の「人見知りの文化」のことまで、 日本人と日本語についてまったく新しい視点から提言を贈る「いまどきの日本語入門書」。

「世界一受けたい授業」への出演で注目されている言語学者、金田一秀穂氏の著作。
平台に積んであったし、帯付きだったので新刊かと思ったら2003年4月の発行。
氏にとっては「デビュー作」とのこと。

内容としては他の「ことば」についての本と比較して特に目新しいことが書いてあるわけではないけど、 表現方法が平易で具体例が多いので非常に判りやすい。
特に一番最初に「抜き打ちテスト あなたは多数派? 少数派?」 と言うテスト形式での意識調査をして読者の興味を本の内容にググッと近づけた後に、「さて」 と本題を切り出してくるあたり人の気持ちを掴むのが上手いなあ、と言う印象。
もちろん、このクイズは回答させたままほったらかしなわけではなく、本文の中にもその結果をきちんと反映させてある。

私が「なるほど」と思ったのは、著者がアメリカ滞在時にサンドイッチを食べようとして失敗した時のエピソード。
この時の体験を著者は語学力よりも「サンドイッチを注文するときにどんなことが起きるか、知らなかったこと」が失敗の原因であるとしている。
以下、引用。

こうした、英会話以前の知識のことを、言語学では文化的知識とか、 言語外事実などという。適切なことばづかいをするためには、文法や語彙などの言語の能力だけでなく、 その言葉が使われる場面はどんなものなのか、場面によって必要とされることばはどんなものなのか、 そうした状況の要素も知らなくてはならない。(p182~183)

これは英語だけでなく、どんな言語にも、もちろん私たちが日常使用している日本語にも適用出来る。
自分がいつ、どこで、誰と、どんな状況で、何を話すかを正しく判断すると言うこと。
そしてそれを判断するための事前の情報というのが重要なのだ。
逆に言うとその状況をある程度予測、判断することが出来れば、会話の内容というのはそんなに大きく誤解が生じることはないんじゃないのかな。

ただ、そればっかりに気を取られてしまうと「事前情報が殆どない状況には怖くて近づけない」状況にもなってしまい経験値が上がらない、という弊害もあったりするけど。
(いや、自分のことですが(汗))

最初から全てを飲み込んでいるなんてことあり得ないんだから、その情報を得るためには時には恥をかくことも必要ってことかな。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。