ページ内記事タイトル一覧

◆Date:2004年09月
ALL

フリーエリア

テスト中。ここはフリーエリアです。

スポンサーサイト

  • --/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

赤間倭子『新選組副長助勤 斎藤一』

  • 2004/09/29(水) 11:49:42

新選組副長助勤 斎藤一
赤間 倭子/学研M文庫
赤間倭子/新選組副長助勤 斎藤一新選組副長助勤にして、隊内屈指の剣の使い手であった斎藤一。
幕末の動乱を戦い抜き天寿を全うしながらも自らについて多くを語らず謎の部分が多い斎藤一の生涯を描いた一冊。



「斎藤一の会」を主宰する著者の手によるだけあって、歴史的な資料や関係者へ直接取材した証言を多用してあります。
斎藤一を主役に据えた作品は殆どないらしいので、彼の人となり、生き方を知る上でとても参考になる一冊でした。
文章も素直で読みやすかったです。
ただ、あまりにも歴史的な事実に沿おうとする気持ちが強すぎて(多分、それこそが目的だろうとは思うのですが)「物語読み」の私からするとちょっと物足りなさが残りました。
名前を変えながら各地を二転三転していく斎藤の人生は波瀾万丈であるのに、描き方が素直すぎて「これからどうなるんだろう」と言うドキドキ感が殆どなかったのが残念。
もっと(いい意味で)外連味とかハッタリとかがあっても良かったのではないかと思いました。
もうちょっと感動させて欲しかったなあ。



それにしてもはじめちゃんがこんなに長生きした人だったなんて!
私も(恥ずかしながら)今回の「新選組!」を見るまで斎藤一と言う人物に殆ど注目したことはなかったので、全く知りませんでした。
それにあのドラマのはじめちゃんは「殺しても死ななそう」だけど「いつ死んでもおかしくない」と言う全く反対の雰囲気をいつも背負っている感じで、それに新選組の中にいていつも一番先に斬り込んでいく人ってイメージだからすごく早くはないにしろまだ若いうちに死んでしまうのかと思っていたのでした(汗)
でも実は「生き残り」の一人だったんですね。
となると、彼は(好むと好まざるとに関わらず)いつも「見ている人」だったわけか…。
それもやっぱりツライですね。

伊東甲子太郎が高台寺党を作り新選組から離れていくときに、近藤・土方の密命を帯びて一緒に付いていく時の葛藤の様子が印象的でした。
ドラマでももうすぐこの状況が出てくると思うので、そこでどんな風に描かれるのか楽しみです。
(と言っても、あの結末を考えるとやはり気が重いですが…)

ところでこの作品中の近藤は見事なくらい「いいとこナシ!」でした(笑)

スポンサーサイト

デイヴィッド・シールズ(編)『イチローUSA語録』

  • 2004/09/26(日) 11:44:52

イチローUSA語録
デイヴィッド シールズ David Shields 永井 淳 戸田 裕之/集英社新書
デイヴィッド・シールズ(編)/イチローUSA語録
イチロー選手、大リーグシーズン最多安打達成「直前」記念(笑)

イチローはグラウンドで超人的な離れ業―人間業とも思えない送球や捕球や盗塁やヒット等―を演じ、あとでそれについて質問されると、彼の答えときたら…驚くほかはない。
そのプレーを問題にもしないか、否定するか、異を唱えるか、前提から否定してかかるか、あるいは他人の手柄にしてしまう。(本文p5より)

こうしたイチロー選手のアメリカ人の目から見るとある意味「禅問答」のようにも取れる不思議な発言の数々をシアトル在住の作家である編者がアメリカや日本のメディアから拾い集めた「イチロー語録集」です。
(出典は'00年末~'01年5月くらいの時期にメディアに公開された発言のようです)
と言うことは、多分、イチロー選手が日本語で話した内容を彼の通訳が英語に変換し記者に伝え、それを集めたこの本の原稿をまた日本人の訳者(永井淳氏、戸田裕之氏)が日本語に直した、という手順があったのではないかと思います。
(多分、入手出来るものはイチロー選手が実際に話している素材を確認されているとは思いますが)
そうして何度もフィルターを通すことによってもしかしたら、イチロー選手の元の発言のニュアンスが変化してしまっている部分もあるのかも知れません。
それでもこんな形で自分を語れる人間がそうそう何人もいるとは思えないくらいユニークな発言が多いです。
でも、中には「何故これが不思議だと思われるのか判らない」と言うのも、結構あるのが逆におもしろかったり。

と言っても、やっぱり違いますよね。

以下、引用。
異郷シアトルで暮らすことに不安を感じるかときかれて、イチローはこう答えた。
「まだ英語も話せないし、プレッシャーは大きいです。ものの考え方や習慣が違うので、気をつかわなければならないこと、予想外のこともたくさんあるます。しかしストレスの原因となることがあるとしても、それはそれでおもしろいと思います。ぼくが生きていることの意味を感じられるのは、そうしたことのおかげではないでしょうか?」(p26)

「…ぼくが数字で満足することはあり得ません。なぜなら、数字が内容を反映しているとは限らないからです。目標を設定して、そこに到達すれば、そこで満足してしまって先へ進む努力をしなくなるでしょう。毎打席、何かしら学ぶべきこと、改良すべきことがあります。満足は求めることのなかにあるんです」(p152)

私は他の記事でも何度か書いているように野球にはそんなに興味がありません。
でも、そんな私でもイチロー選手のことは日本にいる頃からもちろん知っています。
この私のテキトーな目で見る限り、彼はもともと今のような日本人の目から見てもちょっとエキセントリックな感じの人ではなく、ある時期に急激にそう変わったのではないのかなと言う風に見えます。
それはアメリカに行く何年か前「メジャー移籍」を具体的に自分で意識した時期だったのかも知れません。

'01年のシーズンから大リーグに移籍し、その初年からリーグ首位打者、MVP、新人王など数々のタイトルに輝いたイチロー選手。
彼はやはり天才なのだと思います。
しかしそれは技術的なものではなくいつでも誰よりも野球を好きでいる才能、そのために努力する才能、そしてそれを継続する才能、だと思います。
そしてそれは技術的なもの以上に優れた才能だと言うことは、その後も留まることなく進化を続けている事が証明しています。
なので凡人の私にしたら彼がいくら「努力すれば必ず結果が付いてくる」的な事を言われても、「いやいや、キミに言われても…」な反応しか出来ない部分があったりするのですが(汗)

この本は、見開きの右側に発言の日本語訳、左側にその英文が載っているので、英語の勉強にも役に立つかも。
実際、「あ、なるほど。こういうのはこう表現すればいいのか」と思った所も結構ありました。

星亮一『新選組と会津藩』

  • 2004/09/26(日) 11:40:13

新選組と会津藩 彼らは幕末・維新をどう戦い抜いたか
星 亮一/平凡社新書
星亮一/新選組と会津藩新選組の歴史の中での動きを、会津藩との関わりを中心にまとめた本です。

新書の、しかも歴史物を扱っているのに非常に判りやすく、読みやすい作品でした。
もちろんその分全体的に「ザックリ」した感じは否めませんが、新選組と会津の関係や大きな流れの中での役割を掴む上では十分ではないかと思います。

ただ、京で報国尽忠の志のもと不逞浪士を切り捨てていた「剣の時代」「個の時代」はともかく、薩長同盟が締結された後「近代兵器の時代」「国家の時代」になると一気に新選組の記述が少なくなってしまうのにはやはり寂しさを感じました。
更に京都守護職としての松平容保には重用されていたけれど、会津の国許での新選組の評判は決して良くない、むしろ悪かったと言うのもショックでした。
今後のドラマの展開を思うと胸が痛みます…。

最終章の第七章「大政奉還と戊辰戦争」の中の更に最後の『新選組をどう考えますか』に書かれている、【なぜこんなにも新選組が騒がれているのか】についての考察、特に「大佛次郎の『鞍馬天狗』の中で正義の味方の鞍馬天狗に斬られていた暗殺団・新選組が時の流れと庶民の意識の変化により鞍馬天狗の位置にすり替わった」と言う意見が面白かったです。



<関連サイト>
「星亮一オフィシャルサイト」

浅田次郎『天切り松闇がたり 第三巻』

  • 2004/09/23(木) 11:35:27

天切り松 闇がたり〈第3巻〉初湯千両
浅田 次郎/集英社
浅田次郎/天切り松闇がたり 第三巻子供の手鞠歌にも歌われる義賊「目細の安」一家の生き残りの『天切り松』こと松蔵老人が、六尺四方にしか聞こえないと言う盗賊の技「闇がたり」を使い留置場の中で物語る、粋でいなせな大正の怪盗たちの物語。
「初湯千両」「共犯者」「宵待草」「大楠公の太刀」「道化の恋文」「銀次蔭盃」の6編を収録。



1巻、2巻は文庫で読んだのですが、なかなか3巻が文庫化されないので図書館で借りてきました。

相変わらず上手いです。
安心して読めて、安心して泣けました。

特に14歳の松蔵の新しい友人・仁太(じんた)の恋と父親との関係を描いた「道化の恋文」と、松蔵が『渡世にあるまじき』二ツ盃を持つことになったいきさつを語る「銀次蔭盃」が心に沁みました。

「盃てえものは忠義のしるしじゃあござんせん。信義のあかしでござんす。けっして親兄弟を裏切らねえと誓いを立てて、血よりも濃い水を酌み交わすのが、盃事というものでござんす。…」(「銀次蔭盃」p262より引用)

そうそう。
以前これをドラマ化した作品がTVで放映された時、期待が大きすぎたのか「泣けなかった、つまらなかった」と言う感想を書いてしまったのですが、この本を読んでいる間松蔵のセリフはその時に松蔵を演じた勘九郎の声に変換されていました。
思った以上に勘九郎の闇がたりをする時の声が印象に残っていたようです。

矢崎存美『ぶたぶた日記』

  • 2004/09/20(月) 11:28:20

ぶたぶた日記
矢崎 存美/光文社文庫
矢崎存美/ぶたぶた日記見かけはどう見てもバレーボールくらいの大きさの可愛いピンクの「ぶたのぬいぐるみ」なのに、中身はちゃんと人間の妻も2人の可愛い娘もいるし、仕事も出来、人付き合いも上手な中年おじさん、山崎ぶたぶた。
そんなぶたぶたが義母の代理でカルチャースクールのエッセイ講座に通うことに。
そこで彼と出会った講師と生徒達の暖かい交流を描く短篇集。



「主人公がぶたのぬいぐるみ」な本があることは知っていましたが、何となく食指が動かずにずっと読まずにいたため私は今回がぶたぶた初体験だったわけですが…可愛かった!面白かった!
食わず嫌いしていないでもっと早く読むべきでした。

とにかくキャラクター設定が上手い(と言うかズルイ)です。
だって、主役がぶたの、しかもぬいぐるみなんですよ。
これがホントのぶたじゃない所がポイントですよね~。
で、更にその中身が子供とかじゃなくて「中年のオジサン」なのもスゴイです。
こうすることで「可愛らしさ」もあって、「説得力」もありしかも説教臭くない、と言うキャラクターが実現してるわけですね。
いやはや。

それに文章が上手いです。
全体的にぶたぶたの相手視線で描かれるので、結構地の文にも話し言葉が多いのですがこういう文体があまり得意でない私にも許せる範囲で、しかもそれがぶたぶたの魅力をきちんと引き出すように書いてあるんですよね。
これ以上だったらやり過ぎと言うラインギリギリの微妙なところで成り立っている、そんな感じです。

この作品は、カルチャースクールの講師と5人の生徒 計6人の一人一人とぶたぶたとのエピソードが一話ずつ短篇にまとめられています。
エピソード的にはぶたぶたの存在にビックリしながら一緒にお酒を飲みに行ったり、自信をなくして落ち込んでいるのを励ましてもらったり、初めてのメールを貰ったり…そんな何気ないものばかりです。
でも、そんなぶたぶたの何気ない優しさ、強さに触れた登場人物たちは、昨日とはちょっと違う自分に出会うことが出来るのです。
中には引き籠もりやリストラと言ったちょっとヘビィな内容の話もありましたが、その重さを感じさせずにサラッと、でもきちんとメッセージが伝わる内容になっていました。
これも主役がぶたぶただからなんでしょうね。

全ての短篇にエッセイ講座の宿題としてぶたぶたが書いた日記風エッセイが挿入されていたり、短篇そのものがある生徒が書いた初小説(のようなもの)だったり、更にこの作品自体が文章の書き方講座だったりする構成も楽しめました。

読み終わった後、何だか心がホンワリ温かくなって、ちょっと元気を貰ったような気分になりました。
寒くなるこれからの季節にゆったりした気分で読むのにピッタリの本です。


<関連サイト>
「矢崎電脳海牛倶楽部」
著者による個人サイト。

鳥羽亮『われら亡者に候』

  • 2004/09/12(日) 11:24:37

われら亡者に候―影目付仕置帳
鳥羽 亮/幻冬社文庫
鳥羽亮/われら亡者に候文化四年春。
1年前の「丙寅の大火」により焦土と化した江戸の町に「御救党(おたすけとう)」と呼ばれる謎の集団が出没し世情を騒がせていた。
大火で富を得た商人から奪った金を焼け出された町民に分け与える「義賊」を装っていたが、そのやり口から何か別の目的があると睨んだ岩井勘四郎ら「影目付」の面々は老中・松平伊豆守の命により探索に乗り出す。



それぞれが並み以上の能力を持ちながら何らかの事情により表の世界で活躍できず「影」の存在として役目をこなす…そんな「影目付」と言う設定自体は面白いと思うのですが、作品全体の中ではその設定が今ひとつ生かされていないような感じがしました。

岩井ら影目付たちが何故「影」になったのか、その経緯は一通り描かれているもののその後は殆ど事件を追いかける描写だけで彼らの心理的表現があまりないのが物足りなかったです。
「影」でいる事への矜持と引け目、過去や現在への想い、そこから出る気持ちの揺れ…そうしたものがもう少しそれぞれの行動の片隅に描かれていると、もっと登場人物が身近に感じられたかも。
せっかく個性的なキャラクターが揃っているのに、それぞれの個性があまり生かされていないのが残念でした。

それから、一旦捕まったりすると他の仲間に迷惑をかけないために躊躇せず自害する「御救党(おたすけとう)」のメンバーというのもちょっと説得力がない気がします。
そこまで出来るようになるにはかなりの精神的な結びつきが必要だと思うのですが、その辺が描かれていなかったような…。

殺陣のシーンは書き込んであって迫力ありました。

火坂雅志/美食探偵

  • 2004/09/09(木) 11:21:05

美食探偵
火坂 雅志/講談社文庫
火坂雅志/美食探偵明治三十年代の湘南を舞台に、洋行帰りの美食家で今売り出し中の小説家・村井弦斎が身の周りで起こる数々の事件を解いていく短篇推理小説集。



真面目に書いてあるし読みやすい作品だとは思うのですが、美食の他にも大隈重信や伊藤博文など明治政府の要人がたくさん出てきて当時の政治の力関係の記述があったり、もちろん事件と推理と謎解きもあったりと短篇の中に色々な要素を盛り込み過ぎて中心部分が拡散してしまっているような気がしました。
特に「美食」と言うタイトルに惹かれて読んでみた私にはそれについての記述が結構サラッと書いてある部分が多かったのが残念でした。
料理と事件を直接的に結びつけるとか、もっと蘊蓄を語ってくれるとか(でも、これは匙加減が難しい)、タイトルに付けるならもっと「美食」の部分を強調した内容の方が面白かったような気がします。

山田風太郎『忍法帖短篇全集5「姦の忍法帖」』

  • 2004/09/04(土) 11:16:53

5 姦の忍法帖 山田風太郎忍法帖短篇全集(全12巻)
日下 三蔵 山田 風太郎/ちくま文庫
山田風太郎/忍法帖短篇全集5「姦の忍法帖」いや~、面白かったです!
今まで読んだこのシリーズの中で一番楽しみました。

タイトルを見ても判るようにテーマは「エロス」だったりするわけですが、別に「色っぽ~い」とか「セクシー」とか、ましてや「官能」なんて感じではなくて何故だか知らないけど笑えてしまうんですよね~(笑)
もうホント、何でこんなビックリするような、ある意味下らない事考えつくのか!と。
しかも、それが終始シリアスな文体で書かれているのがまた可笑しいのです。
(あ、ちなみにコレ、誉めてますよ)

どれも面白かったのですが、中でも「〆の忍法帖」は最高でした。
公儀に対する企てが明るみに出たために切腹する事になった当主の精液を自分の中に吸い込んで、国元の愛妾の元に運ぶ忍者の話なのですが、その忍者・道兵衛が敵と、そして自分自身の生理現象と戦いながら行く行程が凄惨であればあるほど、何故か笑えてきてしまうのです。
これは何なんでしょう?(笑)

中でも

きくところによると、宮本武蔵は一生妻帯しなかったという。現代人たるわれわれからみると、あまり意味のある独身とは思われないが、もし意味があるとすれば、その意味をもっと圧縮し、さらに切実化したものが、この場合の弓削の道兵衛であったろう。-弓削の道兵衛の苦労だってあまり意味がないではないか、といわれる人があるかも知れないが、そんなことをいえば、たいていの人間の苦労もあまりたいして意味のあるものではないのである。(本文p273より)

という「それを言っちゃオシマイよ」的な一文はかなりツボでした(笑)

こういう、物語を書くことを楽しみながらも、一歩下がったところから冷静な、しかし愛情のある眼差しで登場人物を見つめる著者の姿勢が物語を生き生きとしたものにしているのでしょうね。

このあともどんな物語を読むことが出来るのか楽しみです。

北方謙三『黒龍の柩(上下)』

  • 2004/09/02(木) 11:07:57

黒龍の柩 上
北方 謙三
4620106607
黒龍の柩 下
北方 謙三
北方謙三/黒龍の柩〈下〉
池田屋事件以来、 新選組は佐幕派の先鋒として敵にも味方にも注目される存在になったが新選組が守るべき幕府の命運は既に尽きようとしていた。
新選組総長・山南は幕臣の勝海舟や小栗忠順と面識を持ち、彼らが考えるこの国の未来こそが新選組の生き残る道であると考えるようになる。
そして彼はその布石として自分の命を投げ出し、描いた夢を親友である副長・土方に託した。
土方は友のため、新選組のため、そして何よりも自分のために夢を追って北に向かうのであった。


基本的に土方視線で話は進むので、ストーリーの端々に常に「新選組」は存在しているのですが、正統な「新選組」ものとは違う感じですね。

でも逆にそのちょっと引いたところから見た感じが良かったかも知れません。
上下巻で約780ページとかなりボリュームがあるのですが、全体的に展開が早いので一気に読めました。

特に上巻が面白かったです。

山南さんは上巻の真ん中辺りにはもう死んでしまうのであまり登場シーンは多くないのですが、なんと言ってもこの物語の中では土方と 「親友」と言う設定なので二人の、気持ちの籠もった会話のシーンがかなり多いのが印象的でした。
隊を脱走→切腹と言う彼の最期にしても、それを踏まえた上での非常に明解な回答が用意されていて判りやすかったです。
先日の「新選組!」を見て涙しながらも「何故?」と問いかけずにいられなかった私には、それが事実だったらどんなによかったか! と言う感じの理由付けでした。
(でも実際そういう状態だった、と言う説もあるらしい)

それから勝海舟。
べらんめえ口調で未来を語る元気のいい勝の存在感が圧倒的でした。
同じような役割で出てくる小栗忠順はもちろん龍馬でさえも影が薄いと言う感じ。
その分、一人江戸に取り残され薩長との交渉に疲れ果ててしまう後半の勝の憔悴ぶりが痛々しかったです。

龍馬と言えばここに出てくる龍馬は土佐弁じゃないんですよね。
これはかなり違和感がありました。
ホントはあんな喋り方だったのでしょうか…。

一転、下巻は後半の北に向かう転戦と蝦夷地での攻防はちょっとボリュームがありすぎな上に、 同じようなパターンの展開が続くので正直ちょっと飽きてしまいました。
それに新選組の重要人物である近藤や沖田の死がその戦いの記述の中に埋没してしまい、 あまり触れられていなかったのも少し寂しい気がしました。

ラストについてはちょっとひねってあるのですが、その前にそのまんまな状態の伏線が堂々と張られていたりしたので「もしかして?」 と思っていたら、ホントにそのまんまだったので驚きはありませんでした(笑)
まあ、「お話」としては面白いかも。

それよりもその少し前に出てくる土方と徳川慶喜の別れのシーンが感動的でした。
『臆病者』と言うそしりを受けるのを覚悟の上で<非戦>の意志を貫き通し、 その先の夢を見た慶喜とそれを支えようとした土方の夢が潰えた瞬間。
それでも尚、彼らは「夢のかけら」を胸に抱いて生き続けるのです。

「しかし、ともに夢を抱いた。かつてどこにもあり得なかったほどの、壮大な夢であった。その夢を持ったということだけで、私は、この世にある私の生を悔いぬ」(下巻 320pより)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。