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◆Date:2004年03月
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畠中恵『しゃばけ』

  • 2004/03/31(水) 21:11:14

しゃばけ
畠中 恵
畠中恵『しゃばけ』第13回 日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞受賞作。

「祖父が連れてきた妖(あやかし)に護られる男の子の話」と言うと思わず『百鬼夜行抄』の律を思い出してしまうけど、もちろん全く別のお話。

この物語の男の子は江戸時代の大きな回船問屋の一人息子(若だんな)、しかも病弱で両親に目の中に入れても痛くないほど可愛がられている一太郎。
「役者にしたら千両は稼げる」きれいな顔に、ちょっと無理をするとすぐ熱を出して何日も寝込んでしまう病弱さ、その中にある思いがけないほど剛い心とそして人間も妖も区別しない優しさ。
特に育ちの良さから来るのであろう、全てのものに注がれる心配りと優しさ、感謝の気持ちが、物騒な殺人事件を含むこの物語をほのぼのと柔らかく暖かい作品にしてくれている。

人間に姿を変えて若だんなを護る佐助と仁吉の2人を始めとした、個性豊かな妖たちも楽しい。
(しかし、この2人は「私たちが若だんなを護りますから」とか言っていつも傍にいるのに、いざと言うときはすぐにやられちゃってあまり役に立たないのは何故?…なんて言うといじめられそうだけど(笑))

私は小鬼の鳴家(やなり)がお気に入りでした♪

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伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』

  • 2004/03/28(日) 21:05:00

陽気なギャングが地球を回す
伊坂 幸太郎
伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』人物設定が最高にいいっ!
主な登場人物は女性2人+男性3人の5人。
特に男性3人の個性的な事!
(それに比べると女性チームは残念ながら今ひとつ…)
この3人の会話を聞いて(読んで)いるだけで、楽しい気分になる。
こんなに陽気な銀行強盗はいないでしょ、フツー(笑)
電車の中で読んでいて何度もニヤニヤしてしまった。
登場人物の強烈な個性とテンポとセンスのいい会話、そこに散りばめられた伏線とそれを利用したラストのどんでん返し。
とにかくすごく気持ちよく読める作品だった。
まあ、設定とかね、「これはどうなのよ?!」って思ってしまう事もあるけど、それはホラ「お話」だからね。

この物語は女性チームの一人雪子が他のメンバーにある秘密を持ってしまう事から始まる。
雪子は過去の人生経験から人に頼ることが出来ない性格で、その「秘密」を誰にも相談できなかった事からどんどん状況が泥沼化して行く、と言う展開なんだけど…私だったら、もう速攻相談するね!
だって雪子が一緒に仕事してる(いや、銀行強盗も「仕事」だとすれば(笑))仲間ってその辺の会社の同僚、上司はもちろんヘタすれば肉親よりもよっぽど頼りになるヤツらばっかりなんだもん。
特に市役所勤務の成瀬はかなりカッコいい。
こんなに判断力や統率力がある人ってなかなかいない。
(ちょっと冷静すぎる感じはするが…)
こんな人が会社にいたら、仕事はやりやすいと思うなあ。
で、ガンガン相談します、何があっても。
雪子もそうすれば良かったのに。
…ってそれじゃあお話が始まりません(笑)

ちなみに、私的キャスティングでは成瀬は(ショーマの)川原さん。
最初は気にしてなかったけど、ラスト近くなって「あ、このクールな所と妙に抜けてる所が同居してるこの感じってどこかで見たことある」と気が付いたのでした。
そう思って読むとますますそんな感じ~♪
ドラマ化する時は是非キャスティングして下さい(笑)
それから、響野のセリフを読むときに頭に浮かんだのは「本の雑誌」の椎名さんと沢野さん。
ちゃんと顔を知っているわけではないので顔が浮かぶって事ではないし、一人の人物なのになんだって2人なんだか…(笑)
でも、あの人を食った喋り方とか内容とかが「本の雑誌」の座談会で読む彼らのキャラと重なるのでありました。

伊坂幸太郎の本はこの前に「オーデュボンの祈り」を買って読み始めたんだけど、あれは何だか物語世界に入っていけなくて10ページくらいで挫折しちゃったんだよね。
だからこんなに面白い作品を書く人だと知って、とても嬉しい驚きだった。
もしかしたら「オーデュボン~」も今から読めば面白さが判るかしら。
もう一回チャレンジしてみよう。

菅浩江『永遠の森 博物館惑星』

  • 2004/03/23(火) 21:01:24

永遠の森 博物館惑星
菅 浩江
菅浩江『永遠の森  博物館惑星』『コンピューターと博物館の学芸員の脳が直接接続されている』と言う設定がいい。

ウェブネットワークを利用することで人の検索能力って言うのはそれ以前に比べて格段に向上したと思うけど、自分が捜したい物を「言葉に置き換える」と言う作業をしないと結果が出ないのはやっぱりちょっと不便。
特にそれは「芸術」と言う言葉に置き換えることが難しい対象物の分野では顕著に出てくると思う。
それを「データが蓄積されたコンピューターと学芸員の脳を外科的手術でもって直接接続してしまう」と言うことで解消するというのは、ちょっと乱暴だけどかなり魅力的だよね。

さらにそれは能力や適正の審査にパスした者だけに与えられる特権的な機能(能力)であり、更にその処理能力が毎年ヴァージョンアップするけど一度手術したヴァージョンは変えられない、と言った規制を設けることで物語の展開に幅が出てきている。
(新入りの学芸員(問題児)が先輩に向かって「ポンコツ」と言う捨てぜりふを残す所が印象的だった)

でも、それでもそうやって直接接続している事はただ単に検索速度が速くなるだけで、一つ一つの作品の「美」を判断するのは各個人の経験とか勘とか気持ちとか、そうした「1」と「0」では表現しきれないものなんだという結論がまたいいです。

ただ(私は学芸員と言う職業の人に知り合いがいないので、彼らがどういうメンタリティを持っているのかは判らないけど)主人公の孝弘ってそういう仕事をしているにしてはちょっと思い込み、と言うか先入観ありすぎなのでは?という感じがなきにしもあらず、でした。

しかし、こういう技術ってこれからずっと先の未来に行ったら現実になっちゃうのかな~?

嶽本野ばら『下妻物語―ヤンキーちゃんとロリータちゃん』

  • 2004/03/19(金) 20:55:25

下妻物語―ヤンキーちゃんとロリータちゃん
嶽本 野ばら
嶽本野ばら『下妻物語―ヤンキーちゃんとロリータちゃん』父親の仕事の失敗から生まれ育った兵庫県尼崎を離れ、茨城県下妻に引っ越して来た桃子は考え方も徹底した真性ロリータ少女。
一方、地元で最大のレディース舗爾威帝劉(ポニーテール)のメンバーであるイチゴはバリバリのヤンキー少女。
この普通では何の接点もないような2人がひょんな事から知り合い、いつしか不思議な信頼関係を築いていく。



面白かった~!
キャラクター設定、物語の設定は個性的、ギャグ満載の娯楽作品。
電車の中で読んでいて吹き出しそうになってしまい、慌てて周りを確認してから下を向いて笑いを噛み殺したことが度々あった(笑)
(特に「はなもげ」の所は我慢してたら涙が出そうになってしまうくらい可笑しかった!)

でも重要なのは、ただ単に面白い、笑えるだけの作品ではない、と言うこと。
読んでいる中で「うんうん、そうだよね」と納得できる、共感できる箇所が沢山あってとても考えさせられる作品でもあった。

主役の桃子とイチゴ、2人とも強烈な個性の持ち主。
特に桃子のその外見からは想像の付かない筋の通し方が気持ちいい。

例えば
「一番大事な物は人には絶対に貸さない。貸してもいいのはどうでもいいものだけ。だから私は借りた物は返さない主義なの。その代わり、貸す時は戻ってこないことを覚悟で貸すの」(p102)

ってセリフなんか、「そうそう、その通り!」って大きく頷いてしまった。
こんな風に桃子はそのヒラヒラした弱っちい外見とは裏腹に一本きっちり筋の通った考え方を自分の中に持っていて、例え身体的、精神的にプレッシャーを受けることがあってもその考え方、生き方を変えることがないところが偉い。
他には、自分と価値観が違う人間がいても、「うわ、なんだこいつ」と思って更には口に出してしまったりするけどその相手の価値観を否定する事はしないところとか、話の合わない相手と無理に話を合わせるくらいなら一人でいる方がマシって言うところとか、思いがけず博覧強記で頭がいいけど別にそれをひけらかすわけじゃないところとか、自分のやりたいことをちゃんと判っていて安易に周りの雰囲気に流されてしまわないところとか…とにかく「ちゃんとしてる」女の子なのだ。

かたやイチゴは頭があまり良くなくてボキャブラリーが乏しいせいか桃子のように自分を表現する事は出来ない分、ちょっとアピール度が低い。
(視覚効果があれば違うのだろうけど)
でも彼女も自分のあるべき姿や相手を尊重する心をきちんと持っている女の子。
そんなところが桃子と共鳴したんだろうと思う。

一番良かったのはイチゴが辛くて泣いている時に桃子が何も言わずにただ傍にいてあげる場面。
そして、イチゴもそうやって何も言わないでいてくれたと言うことがどんなに難しく、そして嬉しいことかちゃんと判っていたというところに泣かされた。

桃子は今までも十分ちゃんとしていたけど、イチゴと出会ったことで人のために動くこと、そうする価値のある人間もいるって事を知ったんだと思う。
こうやって人は人の想いを受け止めて、投げ返して成長して行くんだね。
2人ならきっと素敵な大人の女の人になることでしょう。
いつか大人になった2人にも会ってみたい気がする。

物語の殆どがこの2人の関係についてなので、他の登場人物は個性的な割にそんなに印象が強い人はいない。
その中で桃子のおばあちゃんはかなり肝の据わったキャラクターでカッコ良かったです。
(それなのにその息子である桃子の父親が「駄目親父」になってしまうのはどうしてなんだろう??ま、歴史的にもそう言う事ってよくあるけどね(笑))

辻原登『遊動亭円木』

  • 2004/03/16(火) 20:52:30

遊動亭円木
辻原 登
辻原登『遊動亭円木』意識して選んだ訳じゃないけど、『高丘親王~』に続いてこれも「夢」と「現実」が微妙に入り組んだような雰囲気がある作品だった。

ただ味わいは全く別物。
『高丘親王~』が懐かしく穏やかな気持ちになったのに対して、こちらはちょっと不安で落ち着かない気分にさせられることが多かった。
と言っても、それは決して不快なわけではなくて「不安だからこそ惹かれてしまう」と言った感じ。

遊動亭円木は真打ちを目前にした落語家だったが遺伝体質の糖尿病と自分の不養生から殆ど目が見えない状態になってしまい、高座から遠ざかり実の妹とそのつれあいが経営するマンション「ボタン・コート」の一室で暮らしていた。

この円木を中心にした人間関係が物語の中心。
いわくつきのボタン・コートの住人たち、円木を含めたその住人たちの面倒を親身になって見る妹夫婦、円木の昔のひいき筋で今も何かと気遣ってくれる明楽(あきら)の旦那、昔一緒に暮らした多恵、後に円木と結婚することになる寧々…それぞれに語り尽くせない過去を背負って生きている登場人物たちはみんな優しく魅力的で、どこか幻想的でもある。

彼らが織りなす現代の大人のおとぎ話と言った趣の「普通、こんな事ないだろう」と言うような関係や事件が、ゆったりした文章でサラリと描かれる。
その文章の細かいことを説明しすぎない「余白」の部分が物語や人物設定ととてもよくマッチしていて気持ちのいい読後感が味わえる作品だった。

他にも円木が出てくる作品が幾つかあるようなので、機会があったら読んでみたいと思う。

澁澤龍彦『高丘親王航海記』

  • 2004/03/10(水) 20:49:38

高丘親王航海記
渋澤 龍彦
澁澤龍彦『高丘親王航海記』幼い頃に父帝・平城帝の寵姫・藤原薬子から聞かされた天竺への憧れを現実とするために高丘親王はわずかな供を連れて広州から天竺行きの船に乗る。
時に貞観七年、親王が67歳の時であった。



その天竺までの旅の途中で親王が出会う、夢とも現実ともつかない不思議な物語が7つ入っています。
現実かと思っていたら夢であったり、夢かと思っていたら現実であったり…読んでいくうちにどちらがどちらか判らなくなってきます。

所謂「オチ」というのがなくて何となく終わってしまっている話も多いのですが(何しろ夢なので)、それもまた作品の雰囲気に合っていて良かったです。
それから時々入り込んでくるギャグの微妙な味わいや、全体に漂う南国風なゆったりした雰囲気。

親王(みこ)は結局旅空で病に倒れ、実際の肉体は天竺の地を踏むことなく死に至るわけですが、その魂は虎に乗って一路天竺を目指したのでしょう。

親王の何に対しても公平で変わることのない穏やかな優しさがとても心地よく、何故か懐かしい気分にしてくれる作品でした。

竹本健治『囲碁殺人事件』

  • 2004/03/04(木) 23:52:17

囲碁殺人事件
竹本 健治
竹本健治『囲碁殺人事件』分量も丁度良かったし、話もスッキリしていて全体的に読みやすかった。
でも、物語の土台が「囲碁」と言う私にとっては未知の世界の話だったのでちょっと判りにくい部分も。
少しでも判っていればもっと何倍も楽しめたと思うのでそこが残念。

探偵役であると同時に狂言回しの役割も担っている主役はIQ208の天才棋士・牧場智久くん、12歳。
確かに頭がいいし可愛いくて好感度大なキャラではあるんだけど…果たしてIQ208の天才である必要があったのかどうかは「?」。
あまり「天才」とかって前フリがあると、「もっと凄いことをしてくれるのでは?」と期待しちゃうんだよね。
(コナンみたいなのかな、とか(笑))
その割に行動とか考え方とか結構普通の男の子で、全体的に「IQ208」って言うイメージはあまりよく判らなかった。
と言ってもそれがデメリットになってるわけじゃなくて、だったら最初からそんなド天才(だよね?)なんて現実離れした設定にしなくても、「囲碁には天才的な閃きがあるけどちょっと頭がいい普通の男の子」くらいでよかったんじゃないかと思ったんだけど。

全体的な雰囲気は軽快で読みやすかったけど、ラスト直前智久が犯人に襲われる部分の描写はあまり好きじゃなかった。
そこだけ他の部分と全く違う雰囲気で書かれているので、意図的にそうしたんだとは思うけど…私はあそこまでやる必要はなかったと思うな。

それに一番疑問なのは、ラストの犯人の行動。
あれはアリなの?
確かに「謎」は解決したけど、あれじゃあ「事件」は解決したことにはならないのでは?
それから犯人と動機の謎解きはされるけど、結局「なくなったものはどこに行ったの?」と言うのが明言されないのもちょっと不満。
これはかなり大きな謎だと思うんだけどなあ…。

これって20年以上前(1980年)に発表された作品なんだね。
(囲碁の世界観と言うのはどうか判らないけど)キャラクターの作り方とかその他の部分に関しては殆ど古さを感じさせないと言うだけでもスゴイかも。

出久根達郎『続 御書物同心日記』

  • 2004/03/02(火) 23:47:31

続 御書物同心日記
出久根 達郎
出久根達郎『続 御書物同心日記』軍家の蔵書を守る御書物同心の丈太郎を通して、江戸の古書を巡る小さな事件を解決する「御書物同心日記」の続編。

前作は将軍家の蔵書を納める紅葉山御文庫の中の話が多かったけど、続編の本作は丈太郎が懇意にしている古本屋・小泉喜助方に巻き起こる小さな事件が中心。
ところどころ表現が難しい(専門的?)な部分があったけど、全体的には前作同様丈太郎のおっとりした雰囲気とその周囲で起こる事件のバランスが丁度いい感じ。
血なまぐさい話は全くないので安心して読める一冊でした。

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