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◆Date:2003年01月
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青井夏海『赤ちゃんをさがせ』

  • 2003/01/30(木) 19:10:36

赤ちゃんをさがせ
青井 夏海
青井夏海『赤ちゃんをさがせ』見習い助産婦の陽奈(ひな)と、自宅出産専門の先輩・聡子さんのコンビが巻き込まれる妊婦さんを中心にした不思議な事件。
謎を抱えた2人が今日も駆け込むのは、大先輩のカリスマ助産婦・明楽(あきら)先生のマンションだった…。



この本の感想をネットでいくつか見てみたんだけど、悪く書いてあるのって殆ど無いんですよね~。
それも「ほのぼの」とか「暖かい気持ち」とか書いてある感想が多くて。
そんな本に「イマイチ…」なんて感想を書くのは、何だか自分が「血も涙もない」(←大げさ(笑))人間になったみたいで、ちょっとヘコむ…。
別に「自分の気持ち」を書いてるだけなんだから、そんな事考える事もないのですけどね。

そんなわけで、私の感想は「ちょっと苦手」でした。

いろいろ原因はあるのですが(内容についてはモロにネタバレになるので自粛します)、一番の要因は登場人物に感情移入出来ないってこと。
私、この主人公の陽奈ちゃんみたいな女の子って苦手…みたい。
彼女の行動の基本となるものが私には受け入れられなくて、読んでいてずっと落ち着かない感じがしていました。

若いのに目標を持っていて、好奇心旺盛で、行動力があって、明るくて…という誰にでも好かれそうな彼女なのですが、私にとっては「ふっかけましょうよ、分娩料」と言う冒頭のセリフが陽奈ちゃんという女の子の印象なんですよね。
ガツガツしてる…とまでは行かないけど、動くときの基本が「お金」みたいな感じ。
もちろんそれも「助産婦はお金が儲かるわけじゃない」と言う設定をより効果的にするためなんだろうけど、それにしてもかなりしつこい感じがしたんですよねえ。
その後も彼女が話している部分はかなりツラくて、読みながら「もういいよ、黙っててよ」って気分になってしまうことがしばしばでした。
それに先輩の聡子さんも「しっかりしてる」ってのとは何となく違う感じだし(「赤ちゃんをさがせ」のあの展開は…どう読んでも謎(汗))、マンションでお茶を飲みながら事件(?)を解決してしまうカリスマ助産婦・明楽先生もその推理はすごいんだけど、あまりにも凄すぎて何だか現実感がないと言うか…。
そう、全体的に全てが「遠景」なんですよね。
ポイントが絞れないって感じ。

3つの事件そのものにしても、あまりにも情報量が多すぎてしまい何が核心なのかがなかなかはっきりしなくて、それもちょっとストレスでした。
伏線を張ろうとし過ぎて、あまりにもエピソードを盛り込みすぎって気がするんですけど。
(私の読み方が変なのかなー?)

でも文章はとても軽快で読みやすい作品です。
私にしても「苦手だ」と思いつつ、あっという間に読んでしまったし(笑)
特に印象的だったのは「お母さんをさがせ」で2人が初めて3人の妊婦さんと会うシーン。
単純なのに、とても効果的な表現でした。
それと、「赤ちゃんをさがせ」でのキャリアウーマンのお母さんが自宅出産を断った経緯(推理)は面白かった。
「なるほどね~」と思わず納得してしまいました。

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神林長平『言壺』

  • 2003/01/22(水) 19:06:45

言壺
神林 長平
神林長平『言壺』著述支援システム「ワーカム」。
作家である解良(けら)は、このシステムへ『私を生んだのは姉だった。』と言う文章を入力しようとしていた。
しかし、ワーカムは「意味が通らない」として文章の入力を受け付けない。
自分が作ろうとする言語空間をあくまで拒否しようとするワーカムに、解良はあらゆる手段を用いてその文章を入力させようとする。
そして一晩の格闘の結果、解良を待っていた結末とは…。



自分のパーソナルデータと過去の著述作品を入力すれば、そのテーマに合わせて自分の書きたい文章を自分に代わって考えてくれるシステム「ワーカム」。
それもその本人が書くであろう思考や、文章の癖も完璧に真似た上に、本人が言語化できない感情まで文章にしてくれる…と言う優れもの。
しかし、その優れものの「ワーカム」は決して人を幸福にしてくれるわけではないのだ。

この本にはそんな「ワーカム」を中心にして発展していく人間の「読む・書く・話す」事についての作品が9つ入っている。
これらの物語は「SF」のように書いてあるけど、どれを読んでも今現在の私達が「書く・読む・話す」と言う毎日当たり前に無意識にやっている行為を書いてあるに過ぎない。
その能力(行為)を代行する「ワーカム」と言う機械を設定することによって、意識的に「それはこういう事なんだ」と繰り返し、繰り返し記述しているのだ。
そしてそれによって読者は自分の中の「読む・書く・話す」事を見つめ直すことになる。

とても面白く読んだ。
私はこれを読んで目から鱗がボロボロ落ちる気がした。
誰でも当たり前にやっている「読む・書く・話す」と言う事の難しさ、危うさを、すごく効果的に表現した作品であると思う。

特に「ワーカム」以後の世界を寓話的に表現した『栽培文』が良かった。

「言葉」について少しでも意識的な人なら読んでおいて損はない一冊。

浅田次郎『見知らぬ妻へ』

  • 2003/01/19(日) 16:27:04

見知らぬ妻へ
浅田 次郎
浅田次郎『見知らぬ妻へ』不器用な人間たちの優しく、哀しい生き様を描いた短篇集。
表題作他「踊子」「スターダスト・レビュー」「かくれんぼ」「うたかた」「迷惑な死体」「金の鎖」「ファイナルラック」の全8作品を収録。



スルスルっと読めちゃうのに読み飛ばすというわけではなく、更に確実に心の一番柔らかい所に届いている。
それも決して押しつけがましいわけではなく。
著者も狙っているわけではないのだろう。
むしろ、そう読まれることを敢えて避けるようなそんなはぐらかしもあったり。
そんな著者の「羞恥心」が作品に品性を与えていると思う。

中でもありきたりの話のように始まるのに、いきなりその設定を逆手に取るように話が転換する「金の鎖」が一番面白かったです。

恩田陸『蛇行する川のほとり〈1〉』

  • 2003/01/18(土) 16:23:10

蛇行する川のほとり〈1〉
恩田 陸
恩田陸『蛇行する川のほとり〈1〉』夏休みが近い初夏のその日、高校一年生の鞠子は階段の踊り場で憧れの上級生・香澄に声を掛けられた。
「うちに来ない?」
夢のような話に有頂天になった鞠子だが、平凡な彼女の生活にこの日から少しずつ不安な出来事が起こるようになる。



相変わらず恩田陸は「記憶」を描くのがとても巧い。
この作品でも冒頭の鞠子の住む町の記憶を読んで「ああ、そう言えばそんな事があったなあ」と思い出した事が沢山あった。
決してそのままの記憶が自分にあるわけでもないのに、冒頭の鞠子の目を通して描かれる記憶はそのまま私の記憶に重なる、そんな気分になってくる。
決して押しつけがましいわけではなく、むしろ柔らかく余韻のある言葉が私を安心させそしてその記憶の扉を開けさせるかのように。

そうやって安心させて記憶に入り込んだ言葉たちは、いつの間にか「不安」を私に植え付けていく。
それは決して私が恐怖で本を閉じるほど多くはない。
ほんの少しずつ、でも確実に。
そのさじ加減がとても巧い。

この作品、今のところ設定はちょっとありきたりなんだけど、恩田陸の事だからこのまま終わるって事はないよねえ…。


それよりも!(以下、内容には関係ありません)
帯に「三部作」って書いてあるから買ったのに、続き物じゃないか~ッ!(泣)
普通「三部作」だったらテーマが同じで完結してる作品3つ、って意味じゃないの?
1つの作品を3回に分けて出すのは「三部作」じゃないと思うんだけどなあ。
そりゃあ確かにタイトルにも「1」って書いてあるけど。
続きものだって判っていたら、完結してから買ったのに。

米村圭吾『風流冷飯伝』

  • 2003/01/16(木) 16:16:56

風流冷飯伝
米村 圭伍
米村圭吾『風流冷飯伝』桜色の羽織をなびかせ、女物の駒下駄を履いて四国の小藩・風見藩城下のお堀端を歩くのは花のお江戸の幇間(たいこもち)・一八(いっぱち)。
一見暢気そうに見えますが実はこの男、ある重要な任務を持ってこの田舎の小藩の御城下に潜り込んできたのでした…。



全体的に見ると面白いんですよね。
うん、決してつまらなくはない。
それなりに楽しんで読みました。
でも、手放しで「面白かった!」とは言えないような、そんな微妙な読後感です。
「面白い」と言う匂いと言うか空気はそこここに漂っているのに、いざその出所を探そうとするとどこまで行っても突き止められないって感じかな。

何て言うか…話の一つ一つがうまく繋がっていないようなそんな感じがしてしまうんですよね、読んでいると。
全体として一つの物語になっていると言うより、書いている状況に合わせて登場人物が増えたり、その登場人物の動きに合わせて物語が進んだりしている感じ。
なんかちょっと「いきあたりばったり」的な雰囲気があるんですよね。
それはそれで面白くないわけではないのですが…その雰囲気に今ひとつ乗り切れないまま読み終わってしまったというのが正直な感想です。

幇間の一八を始め、数馬、おじょもなどの風見藩の冷飯食い(武家の次男)たちキャラクター一人一人の人物設定はすごく巧いと思います。
その設定と、物語の雰囲気と、作り方が(私の中では)うまくマッチしなかったのかな。

これは去年読んだ「姫君退屈伝」の前に来るお話です。(出版もこっちが先)
もしこれから読むんだったらこっちを先に読んだ方が、話が分かりやすいです。

出久根達郎『御書物同心日記』

  • 2003/01/12(日) 16:12:13

御書物同心日記
出久根 達郎
出久根達郎『御書物同心日記』旗本の三男に生まれ部屋住みの身だった丈太郎は、暇に飽かせて好きな古本屋をひやかして歩く生活をしているうちにひょんな事から御書物方同心を勤める東雲家の跡目養子に入り、紅葉山御文庫で働くことになる。



将軍家の御文庫に収められた本や文書を管理する「御書物方同心」。
その仕事の内容や、吉宗治世当時の江戸の町の様子が丁寧に描かれています。

帯には『将軍家の蔵書を守れ!』と書かれていたり、裏表紙のあらすじには『…奇妙な事件が相次いだ』と書かれたりしていたので、もっと推理小説っぽいのかと思いながら読んだのですが、実際はそういった味付けも多少あるものの全体的には淡々と新入りの御書物方同心・丈太郎が勤めの中で出会う小さな出来事の積み重ね、まさに「日記」そのものの内容でした。
でも、その淡々とした丁寧な書きぶりが「御書物方同心」と言う今まで聞いたこともなかった江戸時代の役職をきちんと伝えていると思いました。

驚くほど厳しく規制されたその役目を読むにつれ「ここまでして本を守らなければならないのか」とも思いますが、こうやって細心の注意の中で守られて来たからこそ現在も「将軍家の蔵書」は散逸せずに受け継がれているんですよね。
古いものが残っているということは、それを守ってきた人間がいるということ。
出久根氏ご自身、現在も古書店のご主人として活躍されているとのことで、その古書に対する愛情や知識が満載の一冊でした。

ナンシー関『何がどうして』

  • 2003/01/09(木) 16:09:43

何がどうして
ナンシー関
ナンシー関『何がどうして』去年急逝した著者のテレビ批評。
97年~99年までの原稿中心の作品集。



ナンシーさんの作品に対して「題材の切り口が鋭い」とか「文章が巧い」とかいう感想はもう今更ですね。
作品については(もう新しいものは出てこないと言う意味でも)、ただここにあるものを読めばいい、そんな感じ。
「作品」と言うより「芸」に近いのかも。

私にとってナンシーさんの作品は自分もそれなりにTV好きと言うこともあって、自分のTVの見方が合っているかどうかの判断基準だったような気がする。
今回も「うんうん、そうだよね~」とか「あ、そういう考え方もあるのか」とか納得したり、発見したりしながら読みました。

でもいくら至芸とは言え3年~5年と言う時間を経た作品は、やはり「古さ」をぬぐい去る事は出来ない。
特にドラマはまだしもCMに関してはかなりツライ。
その当時は確かに一日に何度も見かけた記憶はあるけど、細かい話になると全く思い出せない。
「そういうCMがあった」と言う曖昧な記憶がなまじあるために、却って喉に刺さった小骨のような気持ち悪さが残ります。
TVってのは恐ろしく足の速いメディアなんですね~。

ナンシーさんがいなくなってもTVは毎日私達の前に無数の情報を提供し続ける。
多分、今も日本中のたくさんの人が毎日TVを見ながら「ナンシーだったらこれをどう書いただろう」と思っていると思う。

どう書きましたか?

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