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◆Date:2002年05月
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東直己『探偵はバーにいる』

  • 2002/05/30(木) 19:13:04

探偵はバーにいる
東 直己
東直己『探偵はバーにいる』ススキノを寝城にしている<俺>はある晩行きつけのバー「ケラー・オオハタ」で、『大学の後輩の原田』と名乗る見知らぬ男から「行方不明の恋人を探して欲しい」との依頼を受ける。
気乗りはしない<俺>だったが、哀れっぽくしつこい男を追い払う勢いでつい引き受けてしまい原田の恋人・麗子の行方を捜し始める事に。
最初は軽く考えていたが、麗子が残した手がかりを辿っていくうちに数日前にススキノのラブホテルで起きた一件の殺人事件とのかかわりが浮かび上がり、身体を張っての大捜査となっていく。



始めての作家さん。
物語としては、(最終的に見えてくる)事件の割に人間関係が込み入っていて、その分登場人物が多くて判りにくかったかな。
でも文章はスッキリしていてスピード感があるし、主人公の<俺>のキャラクターにも魅力があって読みやすかったです。

でも、私にとってこの作品の魅力はストーリーよりもキャラクターよりも謎解きよりも何よりも「会話」でした!
これを読んで初めて「小説の登場人物の会話ってすごくスムーズなんだ」と言うことに気が付きました。

普通に生活してる中で誰かと喋るときは、自分も相手も多少の差はあってもその人なりの喋り方の「癖」が出てしまう。
特定の単語を多用したり、話の始めに間投詞を入れたり、聞かれたことに対してつい全く違うところから説明を始めてしまう…などなど。
それ以外にも話の論点がどんどんずれていってしまう事なんて日常茶飯事でしょう?
でも小説の中での「会話」って「打てば響く」と言ったテンポで話が進んで行くわけですよ。
それは会話も物語を進める役割を担っている道具だと考えれば尤もな話ですが、実際にこんなにスムーズな会話が出来る事って殆どないんじゃないかな。
この作品の中の会話は、「小説の中の会話」ではなく私たちが日頃聞き慣れたそれなんです。

特に街にたむろするチンピラたちとの会話は「何でこんなに話が通じないの?イライラする!」とか「もっとハキハキ喋れないかな~」とか「結局何が言いたいんだよ」って書き方がしてあります。
それも北海道弁丸出しで。
でも、逆にそのどうしようもなさがこの事件の本質を表現していると思うし、私にとっては作品の他の全ての要素を押さえて「これ!」と挙げる魅力になっていたんです。

街のチンピラたちを始めとして、一癖も二癖もありそうな友人たちと、その地区を仕切るヤクザの親分と、行きつけのバーのマスターと、何の罪悪感もなく身体を売る少女たちと、そしてたまにしか会えない恋人と…その時々で変化していく、<俺>とそれを取り巻く人々との会話を読むだけでも価値がある一冊でした。

しかし名前も職業も特定できないこの<俺>は、結局何者なの?(笑)

シリーズ化されているようなので続きも読んでみようと思います。

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高野史緒『ムジカ・マキーナ』

  • 2002/05/27(月) 17:31:30

ムジカ・マキーナ
高野 史緒
高野史緒『ムジカ・マキーナ』1870年、ウィーン。
北ドイツ連邦からこの地を訪れていたベルンシュタイン公爵は、この街に突如出現した舞踏場「プレジャードーム」と、そこに蔓延する麻薬<魔笛>の情報を耳にする。
聴覚からの刺激を快感に変える作用があると言うその麻薬は、公爵自身が過去に戦争で負傷した兵士の苦痛を和らげるために開発させた鎮痛剤「イズラフェル」と作用が酷似していた。
「イズラフェル」はその劇的な効果の反面、中毒性も強かったため危険を感じた公爵らの手によって早い時期に全て回収、破棄されたはずだった。
「イズラフェル」と<魔笛>は同じものなのか。
調査を進める公爵の前に、「プレジャードーム」と<魔笛>をめぐる恐るべき計画が明らかになってくる…。



面白かった!
「1870年のウィーン」が舞台だっていうから歴史物かと思ったら、これはSFなんですね~。
それも「音楽SF」。そして同時に「ファンタジー」。
こんなお話もありなんだ。
絶版だったのが「復刊ドットコム」の投票で見事復刊、文庫化されたのも頷けます。
これは万人に愛されると言うよりも、一部の熱狂的なファンがいつまでも愛し続けると言った種類の物語ですね。

作品としては話が入り組んでいるし、登場人物の名前が覚えにくいし、人間関係も複雑で途中で訳分かんなくなっちゃうし、主要な登場人物なはずのフランツのキャラが弱いし、ラストのこのやり方ってちょっと…、と言い出せば細かい傷が沢山出てきます。
それでも「面白かった。読んでよかった」と思わせてくれる独特の雰囲気やエレルギーがある物語でした。

何も知らなくても(多分)楽しめると思うけど、80年代~90年代のロックをある程度囓っている人にはこの中にちょこちょこ出てくる小ネタがポイント。
ちなみに私のツボは「ウェルカム・トゥ・プレジャー・ドーム!」でした(笑)
(元々の原典はコールリッジの「クブラ・カーン」と言う詩らしいけど、悪役セントルークスのモデルとして「FGTH」の仕掛け人トレヴァー・ホーンの名前を著者本人が挙げているそうなので、こっちを全く意識しなかったと言うことはないでしょう)

主役(なのかな?)のベルンシュタイン公爵(ラインハルト・マクシミリアン・フォン・ベルンシュタイン!)が、す~ごいカッコイイです。
彼が出てくる別シリーズもあるとか無いとか…。
「理想の音楽」なんか追求しちゃってるあたり、ちょっとどうかなと思うけど(笑)

しかし、文章で音楽を語られるのは読んでる方はツライ。
だって想像しようとしても出来ないんだもん。
この飢餓感が、読者を更に物語世界に引き込んでいるんだろうなあ。
そういう意味でも上手い、と思います。

他の作品も読んで見よ~っ!
せっかく復刊されたのでみなさんもど~ぞ♪

川端裕人『夏のロケット』

  • 2002/05/23(木) 17:27:53

夏のロケット
川端 裕人
川端裕人『夏のロケット』主人公は30代前半の新聞社の科学部記者、高野。
ある日同僚の女性記者を手伝って過激派のミサイル誤爆事故を取材をするうちに使われた部品に見覚えがあることに気付く。
高野は高校時代、同級生4人と天文部ロケット班を結成し自力でロケットを作った経験があった。
その時の仲間が独自に考え出した部品と酷似していたのだ。
事件とロケット班の仲間は何か関係があるのではないか?
高野は真相を確認するために数年ぶりで昔の仲間に会いに出掛け、彼らが計画する非合法ロケット打ち上げに付き合うことになる。



う~ん…面白かったのかどうか自分でも判断に悩む作品でありました。

私も宇宙(と書いて「そら」と読む…(笑))に憧れる青年たちを描いた作品なんてのは結構好きなので上に書いた辺りまでの導入部はすごく面白くて「これからどうなるんだろう。ワクワク♪」と思って読んでいたんだけど、いざ仲間に会って一緒に秘密の基地で非合法ロケットを作ると言う段になったら急につまらない、と言うか共感できなくなってしまったんですよね。

何故なのか読みながらずっと考えていたんだけど、上手く説明できるような答えはついに見つからなかった…。
ただ、「なんで?」と言う言葉が何度も自分の頭の中で繰り返されていたのは事実。
例えば、他の4人は1年も前からロケットを作ろうと計画を立てて動いていたのに高野が誘われなかったのは何故かとか、もともとロケット好きな5人はともかくもしかしたら犯罪に荷担する可能性もあるのに他の協力者は何故そんなにも好意的なのかとか、結局何が問題なのか?(笑)とか…。
もしかしたら物語の中で答えが語られていたのかも知れないけど(いや、多分そうなのだろう)、それは少なくとも私の疑問を解くようには書かれていなかったのでした。

で、このまま「イマイチかなぁ」で終わるのかと思いきや!
クライマックスの打ち上げからラストの辺りになるとまた面白くなったと言う…(笑)

高野を始めとしたロケット班の、宇宙、特に火星への思いを描いた導入部と、ロケットが完成しついにそれを自分たちの手で打ち上げるクライマックスでの高揚感、そしてその先にあるもの…それが私が「宇宙」と言う時にイメージしているものだから面白く読めたって事かなぁ。

つまり私にとって「宇宙」と言うのは現実のものじゃなくて、本当に「夢」の中にだけあるもの。
それを現実のレベルで語ろうとした部分は理解できなかったと言うことなのかも知れません。

だから逆に、宇宙は現実のものだ、と思っていて、でもその方法が判らなかった人には、ここに書いてある内容はその現実に一つの方向性を示してくれるものなのかも。
この作品には「ロケット」って言ったら国家レベルのプロジェクトでしか作れないと思っていたけど、基本的な構造のものならそんなに大がかりじゃなくても(技術的には)作れるものなんだということが丁寧に描いてあります。
もしかしたら、著者が本当に描きたかったのはそこだったのかな。

ロケット部のメンバーの人物設定が(かなり強引だけど)面白いです。
天才的な設計の才能がある日高(「教授」)、手先が器用な職人肌の清水、親分肌でプロデューサー的な素質のある北見、ミリオンセラーを持つミュージシャンとして金銭的な後ろ盾となる氷川、そして広報担当の高野。
…出来すぎでしょ(笑)
でも、要は技術的な事も必要だけど、そう言った人材もまた重要だよ、という事なんでしょうね。

特にやっぱり「お金」は重要。
この物語の中でも低コストを重視して材料を出来る限り安くしようとする北見と、出来る限り最高の材料にこだわる清水の対立は何度も繰り返し描かれていました。
でも、それでも何億ってお金が動いているんですよね~。

そのお金を出してくるのが「手先は不器用だけど、お金はある人気ミュージシャン」って設定が一番秀逸かな、と私は思いました。

山口雅也『キッド・ピストルズの慢心』

  • 2002/05/19(日) 17:24:53

キッド・ピストルズの慢心
山口 雅也
山口雅也『キッド・ピストルズの慢心』この世界と表裏一体の並行に存在する世界のイギリス、「パラレル英国」に住むキット・ピストルズとその相棒ピンク・ベラドンナはスコットランドヤードの捜査官。
2人は行く先々でイギリスの童謡「マザー・グース」を連想させる様々な事件に巻きこまれるが、その外見からは想像できない(笑)推理力で事件を解決していくのであった…。



冒頭で8ページに渡って説明されている「パラレル英国」の設定がユニーク。
固い調子で書いてあるのに、中身はパロディという書き方が私は好きで面白く読みました。
もしかしたらこの部分が一番面白かったかも^^;

パラレル英国での探偵と警察の関係(探偵の方が警察よりも地位が高い)とか、マザーグースに絡めた事件とか、キッドとピンクの人物像とか面白い設定が満載なので読んでいて飽きることはないですね。
私は好きです。

特にマザーグースのようにその国特有の伝承童謡みたいなものを扱うと、その背景にあるものが上手く表現できず話が分かりにくくなる事があると思うのですが(日本で言えば「かごめかごめ」みたいに)、この作品の中では単純に言葉通りに扱っていてマザーグースを知らない人も取っつきやすい内容になっていると思いました。
ただ、その分知っている人にはちょっと物足りないかも知れませんが…。

ただ、「靴の中の死体」の密室トリックは「まさか、あれじゃないよね…」と思った通りのネタだったんで、ちょっとガックリでした。

松尾由美『ブラック・エンジェル』

  • 2002/05/17(金) 17:21:46

ブラック・エンジェル
松尾 由美
松尾由美『ブラック・エンジェル』大学で仲間5人と「マイナーロック研究会」と言うサークルを結成している加山孝二は、ある日、下北沢の中古CD屋でカルト的な人気を誇るアメリカのロックバンド「テリブル・スタンダード」の幻のファーストアルバムを手に入れる。
メンバーの一人、学内一の美人・岡埜映子の部屋でそのCDを聞いていた彼らは、その中の一曲「ブラック・エンジェル」が始まった時、突然妖精のような生き物が出現するのを目撃する。
それはまさに「黒い天使」だった。
そして映子はその天使によって他のメンバーの目前で殺されてしまう。
天使の正体は何なのか、そして何故映子は殺されなければならなかったのか。
5人はその秘密を探し始める。



本の帯や裏表紙に「ミステリとファンタジーと青春小説が渾然一体となった…」と書いてあって、それに惹かれて買ったわけだし確かにその通りの作品だったのですが…。
あまりにもその通り過ぎて、どこに焦点を合わせていいのか判らないまま読み終えてしまった、と言う感じ。

この物語は「岡埜映子」の事件を中心にして動いていくし、文章の中でも彼女の美しさとか性格を描写した部分はよく出てくるんだけど、その魅力って言うのが私にはよく伝わって来なかったのが残念。
「きれいだった」とか「いい女だった」とか「誰もが憧れていた」なんていう風にいくら書かれても、その人の魅力は伝わって来ない。
それが判らないから、主人公を中心とする仲間たちがその事件に執着する理由も曖昧になってしまっている気がします。

それに何より、とても現実のものとは思えない「ブラック・エンジェル」の存在と、現実の殺人事件との関わりを私の中で説得力があるものとして納得させてくれる力が足りなかったかな。

その他の登場人物(CDの元の持ち主、映子の妹、大学の先輩など)も意味深な雰囲気の割に存在感が希薄な感じだし。

物語自体もそうですが雰囲気も不思議な作品だったので、好きな人はすごく好きかも。

「黒い天使」がどんな役割を担っているかの解読や、最終的に主人公である加山の身の上にある事が起きて終わるラストは面白かったです。
(そのための伏線はちょっとしつこいかな)

椎名誠『とんがらしの誘惑』

  • 2002/05/16(木) 17:19:15

とんがらしの誘惑
椎名 誠
椎名誠『とんがらしの誘惑』週刊文春に長期連載されているエッセイ「新宿赤マント」をまとめたものです。(10冊目)

私も2~3年前までしばらく文春を買って読んでいたことがあるのですが、何故かその時はこのエッセイをちゃんと読んだ事が殆どなかったんですよね。
見開き2ページだったし、その中にサワノ氏のイラストも入っていたので量としては大したことなかったのに何故読まなかったんだろう?
そう言えば他のエッセイ(伊集院静氏のとか)もあまり読まなかったな。
連載小説は読んだのに。
何故なんだろう。自分のことなのに謎(笑)

それはともかく。
こうやって読んでみるといいですね。
面白かったです。

私がここ(サイト)に書いているようなヘタレな日記でも毎日になると何となく話の「オチ」をつけたくなるのに、シーナさんの文章ってとにかく「書きたいことを書くのだ~!」(笑)って感じ。
その結果オチなんかなくても構わない。
だから読んでいると「だから?」「これで終わり?」って思ってしまうこともあるんだけど、それでも読んでイヤな気持ちにはならない。
却って「清々しさ」とか「潔さ」とか感じてしまう。
羨ましいなあ。
今まであまり意識したことなかったけど、シーナさんって私にとって「こんな文章書けたらいいなあ」な作家の一人なのかも。

それからシーナさんのお酒を飲んでいる描写ってすごく「美味しそう」で「楽しそう」。
これを読むと「私もお酒が飲めたら良かった…」とちょっぴり思います。

筒井康隆『近所迷惑―自選短篇集〈1〉ドタバタ篇』

  • 2002/05/12(日) 17:15:25

近所迷惑―自選短篇集〈1〉ドタバタ篇
筒井 康隆
筒井康隆『近所迷惑―自選短篇集〈1〉ドタバタ篇』膨大な著作の中から著者が自ら傾向別にセレクトした「自選短篇集」。
その第一弾です。

筒井康隆の作品を読むのはすごく久しぶりなんですが、やっぱり面白いですねぇ。
これでもか~!と繰り出されるナンセンスギャグの数々に「う~ん、やっぱり天才かも」と唸ってしまいました。

とにかくしつこいです。
最近の傾向って何にしても「あっさりしている」事が美徳(?)とされていてしつこいものは敬遠されているように感じるけど、しつこさもここまでやられるともういっそ「さわやかさ」すら感じますね。
やっぱり「やるときはトコトンやれ」って事でしょうか(笑)

それからこういう作品って最後の落とし方が重要だと思うけど、大風呂敷を散々広げたあげく畳むこともしないでバサッと幕を引いちゃうような大胆な終わり方も私は結構好きでした。

どれも面白かったけど一番は「経理課長の放送」かな。
これをラジオドラマなんかでやったら、例の「宇宙戦争」みたいな騒ぎになるんじゃないだろうか(笑)
でも聞いてみたい。
課長役は竹中直人とかイッセー尾形あたりで。

以下続刊のようなので楽しみです。

藤村由加『古事記の暗号―神話が語る科学の夜明け』

  • 2002/05/09(木) 17:13:10

古事記の暗号―神話が語る科学の夜明け
藤村 由加
藤村由加『古事記の暗号―神話が語る科学の夜明け』「古事記」に、現在もおとぎ話として伝わる「因幡の白うさぎ」や「やまたのおろち」の物語が入っているのは何故か。
現存最古の文献に隠された謎を64の組み合わせを持つ「易の卦」で読み解く。



内容に関してそれを判断できるほど私自身に知識も何もないので、その真偽(と言うか妥当性?)の程はともかく。
「読み物」として見た場合、私はこの作品は嫌いです(きっぱり!(笑))

とにかく説得力がないんですよね。
色んな事を考えて言うのはいいのですが、それを(自分じゃなくて)相手に信じさせる、少なくとも「そう言われればそういう考えも出来るよね」くらいの納得の仕方をさせるにはやっぱり説得力が必要でしょう。
(または「勢い」でも可、かも(笑))
それがこの作品には殆ど感じられないんですよね~。
確かに読んでいると著者の考え通りに話が進んでいるように思えるし、もしかしたらそれは正しいのかも知れないけど何か胡散臭い。
何故かというと著者の思いつきとして書かれたことがそのまま何の検証もなく結論になっているから、なんですよ。
「これは○○ではないのか、と思いついた」→「だからこの記述は××を表現していたのだ」的な文章が延々と続くと言う…。
後に残されるのは「え?何でそう断言できるの?」って疑問符を頭に山積みにした読者の私…。
もうちょっと親切に書いて欲しい。
じゃなければもっと独断的に「こうだからこうなんだ~っ!」と一人叫んでいてくれる、と言うのもある意味アリかもしれないけど(笑)
どっちつかずが一番気持ち悪いんですよね。
それなのに話は一方的に進んでいくところが余計に。

もう一つ。
この本は「トランスナショナル・カレッジ・オブ・レックス」と言う団体で他言語研究をしている女性4人の共同執筆(ペンネームはそれぞれの名前から一文字ずつをとったもの)となっています。
そのため(かどうか)、考えに行き詰まった時などその団体の他のメンバーとのやり取りもあちこちに出てくるのですが、これがまた変に内輪ウケしているような気持ち悪い距離感で私は苦手でした^^;
特に頻出する「アガサ」と呼ばれる先輩女性。
最初に彼女についての記述があった時にその説明をするためにわざわざ別ページに「注」を付けてるんです!
何でそんなのを別ページまでめくって読ませようとしたんでしょうか?
その姿勢が嫌いです。
それがあったのが21ページ目で、はっきり言ってそこで既に「あ、この本は私には合わないかも…」と言う予感はしてました、実は。
その予感は当たっていたわけですが、そんなのが当たってもなあ(泣)

コリン・ホルト・ソーヤー『老人たちの生活と推理』

  • 2002/05/05(日) 17:10:23

老人たちの生活と推理
コリン・ホルト ソーヤー Corinne Holt Sawyer 中村 有希
コリン・ホルト・ソーヤー『老人たちの生活と推理』カリフォルニアの小さな町にある高級老人ホーム「カムデン・シュール・メール(海の上のカムデン)」で一つの死体が発見される。
それはホームの住人で身寄りがない元司書のスィーティーだった。
しかも彼女は全身を細い棒状のものでめった刺しにされて殺されていたのだ。
本ばかり読んでいて質素な生活をしていた彼女が何故殺されたのか?
ホームの住人、アンジェラ、キャレドニア、ナン、ステラの4人は平和なホームで起こった殺人事件の解明に乗り出す。
そこで彼女たちが掴んだ真実とは?



前半はちょっとかったるかったけど、後半を過ぎると面白く読めた作品でした。

前半は主役のアンジェラの性格が(最初にそれについて8ページも割かれているのも関わらず)上手く掴めなくて戸惑うことが多かったです。
説明文で書かれているアンジェラはかなり強烈な性格なのですが、実際に彼女が行動したり発言したりする箇所の印象はそんなにみんなから恐れられるほどのスゴさが感じられないんですよね。
もっと強烈な性格付けをしても良かったかも。
それよりも相棒のキャレドニアの富豪の奥様然とした鷹揚さや、たくましさ、優しさに好感が持てました。

内容は実際に探偵(ごっこ)をやっているときよりも、それについて4人が食堂で話し合っているシーンが良かったです。
老人ホームのおばあちゃんたちが話しているっていうよりも、お嬢様育ちの女子高生たちが学校のカフェテリアかどこかで喋っているような内容で微笑ましい。
自分もそうだけど、人間の内容って周りが思っているほど年齢で変化するわけじゃないのかも知れませんね。

でも一見幸せそうに見える人にも長い間生きてきて抱え込んだ様々な問題があると言う事が事件の真相に繋がって行く所は、やっぱり若い子が主役では駄目な理由なのかな。
ラストはちょっとほろ苦いです。

『血の12幻想』

  • 2002/05/01(水) 17:07:46

血の12幻想
津原 泰水
『血の12幻想』「血」をキーワードにした書き下ろしの短編12作品が入ったアンソロジー。
執筆陣は恩田陸、菊池秀行、北原尚彦、倉阪鬼一郎、小林泰三、柴田よしき、竹河聖、田中哲也、田中啓文、津原泰水、鳴原あきら、山村正夫の各氏。
監修は作品も書いている津原泰水氏。

「血」をテーマにしていても、ホラーとかスプラッタばかりではなく、色々なアプローチの作品があって楽しく読めました。

私が好きだったのはまず田中啓文「血の汗流せ」。
「巨人の星」のパロディ。
すごくくだらないけど、その徹底ぶりに感動します(笑)

北原尚彦「凶刃」。
「切り裂きジャック」を題材にした物語。
切り裂きジャックの主役は「人」ではなく「ナイフ」であった、と言う内容。
ラストの落とし方がスマートでした。

それから津原泰水「ちまみれ家族」。
体質的に出血しやすく、その割に回復が早い一家(両親、姉、弟)が繰り広げる血だらけの物語。
設定がむちゃくちゃなのにそれに対する説明は一切なしで、普通のホームドラマのように始まるのがいいです。
わけが判らないうちに文章に乗せられて、どんどん読み進んでしまっていると言う感じ。
推進力のある文章ですね。
ラストもかなりシュールです^^;

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