ページ内記事タイトル一覧

◆Date:2002年04月
ALL

フリーエリア

テスト中。ここはフリーエリアです。

スポンサーサイト

  • --/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ナンシー関『何が何だか』

  • 2002/04/29(月) 17:02:18

何が何だか
ナンシー関
ナンシー関『何が何だか』相変わらず文章は好きなんだけど、やっぱり5年以上前の芸能ネタエッセイって古すぎるかな。
特にCMなんかタイトル通り「何が何だか」って感じ(笑)
多分それはナンシーさんも判ってるんだろうなぁ。
いつものことだけど、本文以外はその後のフォローも解説さえもなし。
でもそう言う潔さも好きです。

「学年概念」の話は面白かった。
きっと日本で学校に通った人なら誰でも「わかる~!」って思うと思うな(笑)

スポンサーサイト

山口瞳『行きつけの店』

  • 2002/04/25(木) 16:59:47

行きつけの店
山口 瞳
山口瞳『行きつけの店』著者の作品を読んだことはないけれど「食通」と言う話はよく聞くし、全編タイトルが「○○(お店の名前)の□□(料理の名前)」でまとめられているくらいだから、さぞや美味しそうな料理の話が沢山書いてあるだろうと思って読み始めたら…いい意味で期待を裏切られた感じです。
もちろん「美味しいもの」の話は書いてあるのですが、それは私が考えていたような「材料」がどうこう、とか「味付け」がどうこう、「歯触りが」、「香りが」と言ったいわゆる料理に関する「蘊蓄」ではありませんでした。

このエッセイに書かれているのはそのお店を中心とした「人」(お店のご主人、女将さん、従業員、著者に同行した友人・知人など)のエピソードです。
お店の中で交わされる何気ない会話、視線、心遣い。
そうしたものを丁寧に描いた上で時々料理の名前だけを列記する。
「うまい」と一言書いてある。
それだけなのに読んでいる私は「もう絶対美味しいに違いない」と思えてしまう。

上手いし、誠実で心地いい文章でした。

全ての作品にお店(またはその周辺)と著者を写した写真が数枚ずつ入っています。
写真でも感じられる穏やかな雰囲気の店内やご主人、そして気取ってはいないけどどこかちょっと照れたような緊張したような面もちで写っている著者の表情がとてもいいです。

雨宮早希『EM(エンバーミング)』

  • 2002/04/22(月) 16:56:22

EM(エンバーミング)
雨宮 早希
雨宮早希『EM(エンバーミング)』遺体の衛生保全(消毒、防腐、修復、化粧)を図る専門技術である「エンバーミング」のスペシャリスト・村上美弥子が主人公。
ある日、美弥子は旧知の刑事・平岡から17歳の少年のエンバーミングを依頼される。
彼は祖父が大会社の社長、父が現役代議士と言う名門の家の一人息子だった。
しかし自殺で死亡したというその遺体には、まるで自分の肉体を憎むような数十箇所に及ぶナイフの傷が刻まれていた。
その傷を完璧に修復した美弥子だったが、その後彼女は少年の家族を中心にしたある事件に巻きこまれていく…。



約400ページを2日で読み切ったくらいだから読みにくかったわけではないし、ストーリーもつまらなかったわけではないんだけど…う~ん、なんかもう一つ釈然としない感じ。

日本ではまだ一般的ではない「エンバーミング」の技術を美弥子を通して作品中でかなり詳しく説明してあってその辺りは(血が嫌いなくせに(笑))「検屍」とか「法医学」とかに興味がある私は面白く読んだんだのですが、それと事件の複雑さがどうもバランスが悪い感じがしたんですよね。
どちらにも力を入れすぎて却ってどっちつかずになっている印象。
それに、事件が複雑な割に緊迫感がないと言う気もするし…。

平岡と言う刑事もセリフでは「融通が利かなくてガンコだが誠実で正義漢が強い」みたいな「いい人キャラ」として説明されていて、多分作者もそういうつもりで書いているのかも知れないけど、普通に読んでいるこっちとしては美弥子を強引に事件に巻きこみながら肝心な事は先延ばしにして何も教えないと言う「お前が一番怪しいんじゃないの?」的なキャラクターにしか見えないんですよね。
(殆ど姿を現さない美弥子の恋人もかなり怪しかった(笑))

それから事件の重要なキーワードとして「多重人格」と言うのが出てくるんだけど、ちょっとこんな偶然ありえるの?って感じの使い方をされているのもどうかと思いました。
確かに「多重人格」って言葉自体は一般的にも認知されつつあるけど、患者同士がこんな風に関わりになること(それも偶然に)ってそんなにないんじゃないでしょうか。
それなのにそれが事件の重要なエピソードになっているのは、ちょっと安易な感じがしてしまいました。

エンバーミング技術の描写は面白かったので、もっと事件をシンプルにするかまたは推理小説ではなく単純に「エンバーミング技術」についての作品の方が良かったんじゃないでしょうか?

とは言え美弥子や助手のショーン、事務長の久留米など個性的な登場人物は魅力的。
シリーズ化されているようなのでまた読んでしまうかも。

『緋迷宮』

  • 2002/04/20(土) 16:54:01

緋迷宮
結城 信孝
『緋迷宮』10人の女性作家によるミステリー・アンソロジー。
執筆陣は宮部みゆき、永井すえみ、森真沙子、明野照葉、新津きよみ、篠田節子、服部まゆみ、海月ルイ、若竹七海、小池真理子の各氏。

「ミステリー」アンソロジーと銘打ってありますが、これはむしろ「ホラー」に近いですね。
別に怪物や妖怪が出てきたり、スプラッタだったりするわけではなく、心理的な怖さ。
それも特別な状況下ではなく普通の暮らしの中でのちょっとした行き違い、ボタンの掛け違いから少しずつ日常から離れていく心が描かれている作品が多くて「自分とは全然関係ない」って思えない分余計に怖かったです。

最後の一行を読み終わってもスッキリしない、気持ちに小さい棘が刺さったままになったような読後感の作品が多いです。
でもその気持ち悪さ、むず痒さを残せるところが上手いって事なのかも。

明野照葉氏(初めて読む作家さんでした)の「恋歌」が印象的でした。
こんな女性に見つかってしまった男性は大変だ~^^;

酒井順子『たのしい・わるくち』

  • 2002/04/14(日) 16:51:29

たのしい・わるくち
酒井 順子
酒井順子『たのしい・わるくち』「おっちょこちょい」、「負けず嫌い」、「テレ屋」、「神経質」、「ケチ」などなど、世の中にはびこっている困った人たちを俎上に上げて、その悪口を言う…と言う内容なのですが、「悪口」と言うよりは心理分析に近いですね。
多分殆どの人がこの中に書いてある中の少なくとも一つくらい心当たりがあるんじゃないかな。
私も「あ、これは私の事だ~!」って思うことがかなり沢山ありました(笑)
その困った人たちの心理をすごく的確に掴んで、描写している著者の観察眼と文章力に感心します。

人間って傲慢なもので自分がそういう性質を持っていると「そのくらい大したことじゃないよねえ」って思うのに、自分に当てはまらないと当てはまる相手に対して「何?あの人?!」ってかなりツラク当たる傾向があると思うんですよね。
でも、この本で「こういうタイプの人はこういう考えでこうなってて…」と説明されると、「ああ、そういう心理が前提にあってそういう行動に出るんじゃ仕方ないのね」って何となく納得させられてしまうのです(笑)

私はそんなに人の悪口を聞くのが好きな方じゃないけど、これだけ色々書いてあるのを読んでもイヤな感じにはなりませんでした。
それは「悪口を言うのが好き」って書いてる著者がその分「上手い」からでしょうね。
それにそれ以上にそういう欠点を持った人たちをこそ「愛おしい」と思っているのかも。
私も愛情のある「悪口」を言えるようになりたいものです。
「陰口」じゃなくて。

巻末の長嶋一茂氏(大学の先輩らしい)との対談も楽しいです。

舞城王太郎『世界は密室で出来ている。』

  • 2002/04/13(土) 16:48:18

世界は密室でできている。
舞城 王太郎
舞城王太郎『世界は密室で出来ている。』僕は福井県・西暁町に住む中学生、由起夫。
13歳のある日、隣の家の涼ちゃんが屋根から落ちるのを、彼女の弟で同級生のルンババ(番場潤一郎)と一緒に目撃してしまう。
涼ちゃんは両親に罵倒され、苦しんだあげく2日後に死んでしまう。
その後、大好きな姉を失ったルンババは原因不明の湿疹に悩まされるが、それが治った直後から天才的な推理の能力を発揮しはじめる。
2年後、僕とルンババは東京へ修学旅行に出掛ける。
そこで井上ツバキ、エノキ姉妹と運命の出会いをするのだった…。



こんなあらすじ書いたって意味無い舞城王太郎作品。
今回もぶっ飛んでます。
私は好きだけどね、これ舞城王太郎を全然知らなくて、かつタイトル見て「密室ミステリー」を期待して読み始めると「何じゃこりゃ~!」って怒り出したくなるかも^^;
「密室殺人」は出てくるしおまけに「見立て殺人」まであるけど、普通の推理小説のように読者に「さあ、謎の提示は終わりました。トリックを解いてください」なんて言う気は相変わらず全くないらしく、次から次からどんどんルンババが謎解きをしてくれます(笑)

これはミステリーと言うより、青春小説なんでしょうねえ。
(最後の2ページなんて特に!)
それにしては人が死にすぎるけど。
その上かなりスプラッタだし~(ツバキ姉ちゃん、怖いッス(T-T))

でも私は好き!
人がガンガン(あまり)意味もなく死んで、それがどんどん忘れ去られて行くような話なのに、何でこんなに爽やかなんだろう?
不思議だ。

ところで、最後の密室殺人の犯人を殺した犯人はもしかして…?

あっ、この作品、表紙や本文中のイラストも全部著者が描いてます。

佐藤多佳子『しゃべれども しゃべれども』

  • 2002/04/10(水) 16:45:28

しゃべれどもしゃべれども
佐藤 多佳子
佐藤多佳子『しゃべれども しゃべれども』二ツ目の落語家・今昔亭三つ葉はひょんな事から素人4人に落語を教えることになる。
年齢も立場も職業も違う生徒4人はそれぞれ他者との関わりに問題を抱えていた。
しかし三つ葉自身、自分の芸の才能に疑問を抱き悩んでいた。
「人に教えている場合じゃない」と焦りながらも、不器用な4人の事もまた放っておけない三つ葉はお節介を焼き続ける。
そして最初は反目し合っていた4人の間にもまた奇妙な友情が生まれようとしていた。



最近の私は「タフな主人公が、(ちょっとは悩んだり困ったりする事はあっても)とにかくガシガシと前に向かって周りを蹴散らしながら突き進んでいく」みたいな作品(例えば「煙か土か食い物」とか「らんぼう」みたいな)が好きみたい。
登場人物が困っていたり、悩んでいたり、苦しんでいたりする物語は無意識に避けている気がする。
それは多分、自分の中に「困っていたり、悩んでいたり、苦しんでいたり」する部分がどこかにあって、それをまた自分で「うっとうしいなあ、自分」と思っているからじゃないかと思う。
好きで読んでる本で、その気持ちを刺激されたり、増幅されたりしてイヤな気分になりたくないと無意識に思っているんだろうな。

この物語に出てくる主要な登場人物たちはみんなそれぞれ問題を抱えて悩んでばかりいる。
その悩みや弱さを抱えた自分を守るために他者に対して攻撃的になるタイプや、自分に自信が持てず他者との関わりを極度に恐れるタイプ…。
読み始めてしばらくは、いや、多分読み終わるまでずっと、そんな登場人物たちがうっとうしくて邪魔くさくて仕方なかった。
私だったらこんなに扱いにくい人たちとはとても付き合いきれないなあ。

でも、そんな風にして読んでいたのに途中で止めようとは思わなかったし、それどころか夕べ寝る前にちょっと読み始めたら止まらなくなってしまって結局残り3分の1を午前1時までかかって読み切ってしまった。
それも最後は泣きながら!(笑)

学校で除け者にされている小学4年生の村林が、同級生の前で落語を披露するシーンが印象的だった。
それで学校で上手く行ったのかどうか、結果を書かないところがまたいい。

読んでいる間はイライラしたし、誰にも感情移入が出来なかったけど、読後感は悪くなかった。

菅浩江『末枯れの花守り』

  • 2002/04/07(日) 16:42:33

末枯れの花守り
菅 浩江
菅浩江『末枯れの花守り』花に心を傾ける女に近づき「永遠の美しさと命」と引き替えにその女の花心(魂)を奪おうとする異界の美女・永世(ながよ)姫と常世(とこよ)姫。
その企みから女達を守るために遣わされた花守り・時実とその従臣・十郎と五郎の兄弟の花を巡る戦いの物語。



この世界、好きです♪
妖しくて、美しくて、寂しげで、優しくて…。
解説で夢枕獏氏が「これは、泉鏡花ではないか-」と書いてますが、まさにそう言う感じ。

永世姫と常世姫の美しい衣装とそれにも負けない容色、そして驕慢な性格。
片や時実の冴え冴えとした美貌と漆黒の詰め襟に包まれたスラリとした姿形。
柔らかな女顔で涼やかな兄・十郎と、大柄で無骨そうだけど優しい弟・五郎。
そして時実が命に替えても守ろうとする主君・日照間。

彼らが何者なのか、また何故存在するのかも定かではないけれど、最初の一行目を読んだ瞬間から、彼らの存在を信じさせることの出来る世界観、描写力に魅了されてしまいました。

ちょっとイメージ的に「百鬼夜行抄」と似ている感じ。
ビジュアル化して欲しい~!
特に時実が見てみたいなあ(笑)

リチャード・マシスン『ある日どこかで』

  • 2002/04/07(日) 16:39:14

ある日どこかで
リチャード マシスン Richard Matheson 尾之上 浩司
リチャード・マシスン『ある日どこかで』1971年11月、脳腫瘍で長くてもあと半年の命と診断された脚本家リチャードは、人生の最後に小説を書こうと思い立ち世話になっていた兄夫婦に黙ってあてのない旅に出る。
その旅の途中で偶然立ち寄ったサンディエゴのホテル・デル・コロナードで、リチャードは一人の女優・エリーズのポートレートを見つけ一目で彼女に恋をしてしまうが、その写真は1896年のものだった。
しかしその写真との出会いに運命を感じたリチャードは75年前の同じ時期にそのホテルに滞在していたエリーズに会うために時間旅行を試みる…。



何だか、「踏み絵」みたいなお話だった^^;
時間や空間を越えた純愛、死の直前に見いだしたただ一つの愛、その愛を自分の全てを賭けて貫く一人の男、未知の体験に怯えながらもその男の愛に応える女…。
さらに映画化された作品には短期間しか公開されなかったのに熱狂的なファンがいるとか、作家の瀬名秀明氏がラブレターのような解説を書いているとか。
こういう作品を「面白くない」って言うのってなんだか「人非人」って言われてる気がしてしまう…(笑)
だから「どこかで『面白い』って思える部分があるんじゃないか」と思いながら読んでいたんですけどね。
結局「うむむ…」と言う状態のまま読み終わってしまいました^^;

とは言え。
面白くなかったんだから仕方ない。
いや、テーマとかじゃくてね。
とにかく話のテンポが悪いんですよね。
同じような描写が何度も何度も出てきたり、その割に気持ちが上手く伝わってこなかったり。

ただ一枚の写真に恋をしたって理由だけで「時間旅行をしよう」と思い立つのはまあいいけど、その方法が「今は1896年11月…」ってひたすら念じて自分にそう思い込ませることっていうのがスゴイ。
(それが成功するってのもまた…^^;)
で、その描写がまた長いんだ。
さらに時間旅行が成功してからも色んなトラブルにぶつかるんだけど、こっちが「あ、どうなるんだろう。ドキドキ」とか思う前にリチャードが「どうしよう、どうしよう」と焦ったり慌てたりばかりしてるので「ちょっとは落ち着けよ」と思ってしまう。
もうね、ただ単純に「怪しいヤツ」としか思えないんですよね。
だからこんな変な人のどこに魅力を感じてエリーズが彼の愛を受け入れたのか、私には謎。
エリーズの傍にはよっぽど変な男しかいなかったんじゃないかとしか思えないくらいリチャードって魅力的じゃないんですよね。

映像だったら感動できるのかな~?

この物語はリチャードが遺した手記をその兄が出版したと言う形式を取っていて、冒頭に兄による「はしがき」が載っているんだけどその中に
「版元に提出する際、原稿の冒頭部分に削除をほどこした。(中略)あまりに冗長で、ときおり退屈だという事実を無視できなかったのだ」

と言う記述があるんですよね。
お兄さん、もっと削ってくれてもOKでした^^;

津原泰水『蘆屋家の崩壊』

  • 2002/04/06(土) 16:35:42

蘆屋家の崩壊
津原 泰水
津原泰水『蘆屋家の崩壊』30歳を過ぎても定職を持たずフラフラしている猿渡は、ひょんな事から小説家の通称・「伯爵」と知り合う。
お互いに一番の好物は豆腐であると言うことで意気投合した2人は事あるごとに猿渡の車で日本各地に出掛けていくが、その行く先々で怪異な事件に巻きこまれる…。



初めて読んだ作家さんなのですが、文章がすごく気に入りました。
無駄がなくて、品があって、リズムが良くて、そしてユーモアまであるんですよね。
最初の一節を読んだとき、舞台は大正か昭和初期かな?って雰囲気だったのですが、実は現代が舞台。
つまりそういう時代の雰囲気を感じる文章なんです。
でも全然古臭いわけではない。
内容が「幻想怪奇短編集」なので、その底には怖さがもちろんあるのですが、同時に軽みもあるという…今まで読んだことのない感触の文章でした。

猿渡と伯爵のキャラクターや関係も好きです。
何て言っても「一番好きな食べ物が豆腐」って事で意気投合する関係なんてそんなにないでしょう?(笑)
それで2人で遠路はるばる豆腐を食べに旅行に行ってしまうってちょっといいですよね。
あ、この本も美味しそうな食べ物のことが沢山書いてあります。

話の内容も読んでいるときはその文章に乗ってスラスラ読めちゃうけど、後で考え直すとジワジワ~っと怖さが広がってくるような上質な短編ばかりです。
「あれ?これは推理モノになっていくのかな?だったらちょっとつまらないな」と思った一編があったのですが、ラストは全く別の展開で終わっていて「一枚上手だった」といい意味で裏切られて嬉しかったです。

私が一番怖かったのは大学時代の猿渡がデートの約束を破ったことで、何年にも渡って彼にまとわりつく女の事を書いた「猫背の女」。
幽霊とか妖怪より、人間が主役の「都市伝説」みたいなのが一番怖いよね~、と思う今日この頃です。

鯨統一郎『タイムスリップ森鴎外』

  • 2002/04/06(土) 16:32:01

タイムスリップ森鴎外
鯨 統一郎
鯨統一郎『タイムスリップ森鴎外』1922年、道玄坂の途中で何者かに殺されかかった森鴎外こと森林太郎は、何故かそのまま2002年の道玄坂にタイムスリップしてしまう。
そこで知り合った「うらら」達4人の高校生の力を借りて2002年の生活を送りながら、自分を殺そうとした人物は誰か、どうやったら80年前の世界に戻れるのかを探っていく。
その結果、ある一人の作家の名前が浮かび上がってくる…。



笑った~!(笑)
何の前置きもなくあっと言う間にタイムスリップしちゃう所とか、最初の頃の林太郎(モリリン)とうらら達の噛み合わない会話とか、80年後の世界にどんどん馴染んでいく林太郎とか…すごくスピード感があって馬鹿馬鹿しくて、とにかく笑えます。
(表紙の折り返しに「作品内で森鴎外が何をするか、だれにも言わないで下さい」と書いてあるので詳細は書きませんが「あんな事も」「こんな事も」しちゃうんです(笑))

推理の部分はかなり強引だし、展開や設定も「ちょっと無理あるんじゃないの?」とツッコミどころ満載なのであまり真剣に読むと腹が立つと思いますが、何か軽くて笑えるモノをお探しだったらぜひどうぞ。

北森鴻『メインディッシュ』

  • 2002/04/04(木) 16:28:40

メイン・ディッシュ
北森 鴻
北森鴻『メインディッシュ』その世界ではそこそこ有名な小劇団「紅神楽」の創設者の一人であり、看板女優でもある紅林ユリエはある雪の日一人の男に出会い、一緒に暮らし始める。
「三津池修」と言う名前しか名乗らない男だったが、その穏やかな性格と何より天才的な料理の腕でユリエを始め劇団のみんなから「ミケさん」と呼ばれて慕われていた。
その「ミケさん」が劇団に持ち込まれる謎をとびきりの料理と共に鮮やかに解決する連作短編ミステリー集。



面白かった~♪
構成がすごく凝ってます。
この作品集には上に書いた粗筋のように「ミケさん」が劇団の事件を解決するお話と、もう一つ、ある大学で同級生だった男女5人にまつわる物語が交互に書かれています。
最初は全く無関係に思われたその内容が少しずつ交わって、「ミケさんの正体は一体何者?」と言う謎と「どこにどういう風に着地するの?」という興味をグイグイ引っ張っていってくれます。

北森氏の作品を読むといつも感じるのですが、説明をセリフにして読ませるのがすごく上手い。
ミステリーの謎解きの説明って下手な作家が書くと「もう面倒だから早く結論を言ってくれ!」って気になってしまうけど、北森氏のはその謎解きの中にもいろんな新鮮な情報が詰まっているし、何より書き方が上手いのでずっとそれを聞き(読み)続けていたいようなそんな気分になってしまうことが多いです。
これもそんな一冊でした。
(但し、2作目の「アリバイレシピ」のはちょっとくどかった)

それに何と言ってもお料理!
「花の下にて春死なむ」の香菜里屋のお料理も美味しそうだったけど、ミケさんが作るお料理もかなりです。
お腹が空いているときに読むと倒れそうになります^^;
北森氏ってかなりお料理に造詣が深いんでしょうねえ。

家賃や生活費もちゃんと半分出してくれるし、煩いことは言わないし、性格もいいし、その上料理が上手い。
こんな同居人がいたら…と思う人は多いはず。
はい、私もでございます(笑)

とは言え、いくらちょっとは売れていると言っても小劇団の収入くらいで…、いくらTVで活躍し始めたからと言っても劇団を…、料理の器具って高いと思うのにミケさんはどうやって…などという解けない謎は残ります。
ま、そこは「お話だから」って事かな。

文庫化に当たって加えられた作品、「特別料理」のラストのセリフがまた笑えます。
ホント、しゃれてます。

井上祐美子『公主帰還』

  • 2002/04/03(水) 16:02:32

公主帰還
井上 祐美子
井上祐美子『公主帰還』中国の「宗」の時代を舞台にした歴史短編集です。

最初に語られる歴史的背景がちょっと長すぎて物語に入って行きにくかったし、物語の内容もありきたりな感じ。
確かに中国の歴史の事なんか殆ど判っていないわけだからある程度の知識ってのは必要なのだろうけど、こういう書き方が後の物語を読み解く上で必要かどうかは疑問だなあ。

それにこの物語たちのどこが面白いと思って、読者に何を伝えたくて作者が短編に仕上げたのかが今一つ伝わって来なかった感じもしました。
どこが盛り上がり部分か判らないまま終わってしまって「だから何?」って気持ちだけが残ってしまった…。

もっとちゃんと中国の歴史とか人物とかを理解していれば面白かったのかも。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。