ページ内記事タイトル一覧

◆Date:2002年02月
ALL

フリーエリア

テスト中。ここはフリーエリアです。

スポンサーサイト

  • --/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

二階堂黎人『名探偵 水乃サトルの大冒険』

  • 2002/02/27(水) 15:14:54

名探偵 水乃サトルの大冒険
二階堂 黎人
二階堂黎人『名探偵 水乃サトルの大冒険』大手旅行会社の課長代理・水乃サトルは長身でモデル並みの容姿だが周囲から「変人」の烙印を押されている。
そのサトルが探偵役の推理短編集。



横溝正史のファンである資産家が横溝正史の小説世界をそっくりそのまま再現して作ったテーマパークの中で、小説のトリックをそのまま使った殺人事件が起きると言う設定の『「本陣殺人事件」の殺人』が面白かったです。
その原本のトリックのおかしな点を水乃が潰していって「実際はこうでなければおかしい」と推理する。
つまり金田一耕助の謎解きへの「挑戦」にもなっているわけです。
私は原本(「本陣殺人事件」)を読んでいないんだけど、読んでいたらたらもっと楽しめたんだろうなあ、とちょっと悔しかった(笑)
これから読もうと思っている人はまず原本を読む事をオススメします。
(ところで、こういうテーマパークって本当に出来たら結構マニア受けするんじゃないだろうか(笑))

でもね、キャラクターが苦手だった…。
主役の水乃は「変人」っていう設定で、本文中にも何度もそういう記述が出てくるんだけど変人っていうよりも単に無責任でいい加減な人にしか見えないんですよねえ。
普段の行動は突拍子もないくせに、事件の中に入ってしまうと(ちょっと思い込みが激しいきらいはあるものの)普通の探偵になっちゃうのも何だか中途半端な感じ。
水乃とコンビを組んでいる部下で彼に密かに憧れている新人OL・由加理も何だかはっきりしないし…。
(「お嬢様」なのと判断力がないのは関係ないと思う)

設定やトリックは面白かったのでもっとシャキシャキしたキャラで読みたかったです。

スポンサーサイト

吉野朔美『お父さんは時代小説(チャンバラ)が大好き』

  • 2002/02/26(火) 15:02:17

お父さんは時代小説(チャンバラ)が大好き
吉野 朔実
吉野朔美『お父さんは時代小説(チャンバラ)が大好き』「本の雑誌」で『吉野朔実劇場』として連載されている「本とその周辺」を書いたマンガをまとめたものです。

連載しているのを読んでいるときも思っていたんだけど、取り上げる本がかなり独特。
少なくとも私は(多分)一生読まないんじゃないか…と思うようなのが殆どでした(笑)
だから普段は一応目は通すって程度で読み飛ばしちゃっていたのですが、こうやってまとまったものを読んでみると雑誌で読んでいたときとはまた違った印象になるから不思議。
「あ、これ面白そうかも」なんて思っちゃったり(笑)
(これを読んでケストナーの「飛ぶ教室」を買おう!と心に決めた(笑))

連載されているときはどちらかと言うと絵の方に目がいっていたけど、まとめて読むと文章がすごく上手い(力がある)のに気付かされます。
それと本当に本が好きで、更にそれを人と分かち合うのが好きなんだな~って。

100ページちょっとの薄い本だけど、本への想いがギューッと詰まった楽しい一冊。
「本の雑誌」発行人の目黒孝二氏による解説もいいです(^^)

金田一春彦『日本語を反省してみませんか』

  • 2002/02/25(月) 15:00:58

日本語を反省してみませんか
金田一 春彦
金田一春彦『日本語を反省してみませんか』かの有名な金田一京助氏の息子で、国語学者の春彦氏が書いた日本語についての本です。

年齢(今年89歳だそうです)や健康のこともあり新しい本を書き下ろすのが難しかったため、色んなところに書いた文章に加筆・修正して構成し直したものになったとのこと。
なので、全体として一貫した主張とかがあるわけではなく、色んな角度から日本語を切り取った構成になっています。

ちょっと大人しすぎて物足りない気もしますが、やはり何年も国語、日本語に携わってきた著者の言葉への穏やかな愛情と知識は充分感じることが出来ます。

先日読んだ「漢字と日本人」はまず現在の日本語を否定して「それでもこのまま進んでいくより他に方法はないのであろう」と結論付けていたのに対して、この本はあるがままの日本語を受け入れた上で「もっとよりよい言葉として発達していくべきだ」と結んでいます。

結論としてはどちらも同じ方向なのですが、やはり毎日この言葉を使わずには暮らしていけない私にとっては、肯定から始まっているこの本の方が気分良く読めました。

向山淳子+向山貴彦『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本』

  • 2002/02/23(土) 14:54:10

ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本
向山 淳子 向山 貴彦 studio ET CETRA
向山淳子+向山貴彦『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本』面白そうな英語の本は何かないかな、と本屋の語学コーナーを探していて見つけた一冊。
表紙に大きくて目つきの悪い猫(つまりこの子が「ビッグ・ファット・キャット」)のイラストが描いてあって、本文中にもこの猫が大活躍しています。
全ページカラーでイラストや本文が色分けされていてきれいだし、文章も簡単そうなこの本、大学で英語を教えている著者(淳子氏)が、英語の文法について書いた本でした。

「英語(全ての語学も同様)を理解し、上達するにはとにかく本を沢山読むことである」と言う考え方を基本にして、そのためにはどんな事を知っていればいいか、が書かれています。
簡単に言うと、「英語という言語はどんなルールで成り立っているか」、つまり昔やった「文法」「グラマー」ってヤツですね。

「グラマー」と言うと私もいい思い出はないのですが、この本はそういった昔の授業のような内容ではありません。
英語の基本的な成り立ちを、ここまで簡単でいいのか?と思うくらい(笑)かなり簡単に説明してあります。
だから読みやすいし、分かり易い。
今まで「どうしたらいいの?」って思っていた部分を「あ、なるほど~」と納得させてくれる部分がいくつもありました。

例えば一番最初に書いてある『英語の基本形はA→Bである。それ以外の「いつ」「どこで」「どのように」は全部付録なので基本形の後ろに好きなように並べておけばいい』って箇所。
(「A→B」ってのは「AがBに○○(→)する」と言う意味です)
この、好きなように並べておけばいい、並べ方に決まりはない、強いて言えば強調したい順にっていうのは驚きでした。
で、「大事なのは基本形でそこからあふれ出たものはどんなにたくさんあっても全て付録と考えて構わない」と言い切っちゃうんですよね。
目から鱗でしたね(笑)
(でも、どれが基本でどれが付録かを判断するのもまた難しかったりするんだけどね^^;)

この本を読んで、英語って文法にうるさい言葉なのかと思い込んでいたんだな、と実感しましたね。
だって学生時代に「グラマー」なんて別の教科のようにして文法をわざわざやるくらいなんだから。
(これで英語嫌いになった人も多いはず!)
でも日本語だって正式な文書を書いたりするんじゃない限り、単語を適当に並べていって主語と述語さえはっきりしてれば通じるのを考えれば英語だって同じですよね。
むしろ「難しい言語だったら、こんなに世界中に広がるはずはありません。」と著者が言うように簡単で自由な言葉なんでしょうね、多分(まだ確信は持てない(笑))

以前、会社で英会話を習っていた(会社に講師の先生が来てくれていた)時に「上達するにはどうしたらいいの?」って先生(イギリス人)に訊いたら「とにかく練習すること。本を読んだり、会話したりね」と言われてもっと画期的な即効性のある方法があるのかと期待していた私はガッカリしたことがあります^^;
この本でも書いてあることは同じです。

「もっとも簡単で確実な方法は英語の本を読むことです。本気で学ぶなら英会話教室に通うよりもそのお金で英語の本を買う方が確実です」

とまで書いてあるんですよね。
ガッカリすると同時にそれで確実に上達するなら、ちょっと私も読んでみようかななんて思っちゃいますね。

ただし、今現在「全く英語が判らない」と言う人がいきなり読んで理解するのは難しいと思います。
実際、この本を読む(理解する)にもやっぱりある程度のボキャブラリーは必要ですし。
やっぱり言葉の上達には一番に「語彙」なんですよね。
そのためには本を読め、ってのは非常に合理的。
でもそれを「継続する」事が一番難しいんだよなあ…^^;

服部真澄『龍の契り』

  • 2002/02/20(水) 14:46:11

龍の契り
服部 真澄
服部真澄『龍の契り』1984年、中国への香港返還交渉に臨んだ英国はなぜかほぼ無条件で返還に合意した。
それまでの強気の姿勢を一転させたその影には、ある一通の極秘文書の存在があった。
交渉の2年前に事故で失われたと思われていたその極秘文書は、現在あるアメリカ人女性が所持していた。
そして彼女はそれを持って独自に中国との交渉を始めようとしていた。
その一枚の文書を巡り、英・中・米・日の4ヶ国による争奪戦が始まる。



再読です。
もう一回読みたいと思ったのに自分で買ったハードカバーは友だちに貸しっぱなしだと言うことに気付いて、迷ったあげく文庫を買ってしまいました。
でもそこまでして読む価値あった。すごく面白かった!

7年ぶりの再読だったのですが、驚いたことに私ったら「香港返還の話で、最後は上手く行く」ってあたりを覚えていた程度で殆どストーリーを忘れてしまっていました。
おかげでまるで初めて読んだかのようにハラハラドキドキ楽しめました(笑)
ただ、長いわりにストーリーはちゃんと読めばすんなり頭に入って来たし、登場人物の混乱もなかったのは2度目だったからなのかな?

英国、日本、香港、米国と次々と舞台は変わるし、その度に登場人物も増えていくんだけどみんな個性的で役割がはっきりしていて魅力的。
(出てくるのはみんな美男・美女ばっかり。映画みたい(笑))
ストーリーはかなり複雑で、「これってどんな意味があるの?」ってエピソードも沢山あるんだけど、それが全部伏線として機能してて、後になって全部キチンキチンとあるべき場所に帰っていくのを読んでいくのは快感でした。
ちょっとラストが上手く行きすぎ、と言う気がしないでもないけど、私はこういう「大団円」な終わり方は好きなので許します(笑)

ただユダヤ系の財閥が世界を牛耳ろうとしている…と言う筋書きはありがちだけど、あまりにもユダヤ人(とその社会)が悪役に設定されすぎていてちょっと恣意的なものを感じてしまったんだけど…考えすぎかな?

一番印象的だったのは、メインストーリーには関係ないんだけど日本側の主役の外交官がこの事件に関わり合うきっかけとなるシーン。
実はこの事件は彼の同期入省のエリート女性外交官が担当するはずだったんだけど、彼女が結婚して外務省を辞めることになったので、ライバルとして信頼している彼に後任を指名した…と言うエピソード。
その彼女の結婚相手が「日本で一番有名な独身男性」なんです(笑)
そっか~、こんなエピソードもあったんだ~。
本当にすっかり忘れていました^^;

こんなに覚えてないんだったら私なんか新刊ばっかり買う必要もないのでは?と思ってしまいます。
せいぜい5年分くらいの本があれば繰り返して読んでもまるで初めて読んだかのように楽しめそう。
でも真面目な話、記憶って意味以外にも何年か経つと考え方とか知識とかが以前とは変化するから、それによって読み方も変わりますよね。
以前は気が付かなかった事に気付いたりすることもあるだろうし。
例えば7年前は全然知らなかったPCについての知識も今はちょっとはあるので、ハッキングの場面なんかも以前に比べれば「なるほど」と思えるようになって面白かったり、とか。
(しかし、銀行の不正帳簿のファイルを「フロッピー」に落とすのってちょっと無理なのでは?^^;)

そう考えると新しい作品や作家さんに出会うのももちろん楽しみだけど、気に入った本を何年か経って再読してみるのも面白いのかも。
今年はそういう本の読み方もしてみようかな。

しかし650ページはちょっと長すぎです…。

久世光彦『逃げ水半次無用帖』

  • 2002/02/16(土) 14:42:13

逃げ水半次無用帖
久世 光彦
久世光彦『逃げ水半次無用帖』三つの年に自分の目の前で首を括って死んだ母親の思い出に囚われたまま成長した半次は、その捕らえどころのなさと美しい容姿から女たちに「逃げ水の半次」と呼ばれている。
その半次が、やっかいになっている蛍小路に住む元御用聞きの「居ながらの佐助」、その娘で今は父親の変わりに十手を預かる「察しのお小夜」と共に持ち込まれる事件の絡んだ糸を解いていく…。



小さな謎を解く全ての作品の底には母親の死に囚われ続ける半次の苦しみが流れています。
そして最初は小さかったその流れが最後の作品「恋ひしくば」で、その苦しみを押し流す奔流となる構成は見事でした。

でもこの作品、実はちょっと読みにくかった。
文章はきれいに書いてあるし、謎解きも構成も上手い。じゃあ何が?と言うと半次がどんな顔してるのかが全然イメージできなかったから。

普通、小説を読むときは自然にその登場人物を自分の頭の中で映像化するのですが、半次はかなり具体的にその容姿が書かれているにも関わらずそれが最初から最後まで上手くイメージ化出来なくてずっとこれで苦しめられました。
本を読むときって如何に具体的にその内容が自分の中でビジュアル化出来るかが読みやすいかどうかのポイントなのですが、主役の姿形についてそれが出来ないのはかなりつらかったです。
それも全く出来ないと言うよりも、ある程度読んできて「こんな感じかな?」と作り上げたイメージがその後に出てくる半次の何気ない言葉遣いや行動で壊されてしまう、そしてまた最初からやり直し…の繰り返しと言う感じ。
これは疲れます^^;
ただ私が思うに、それは自分のイメージ力の問題だけじゃなくて、著者が意図的に半次についてそういう書き方をしていた部分もあるんじゃないかと思うんですよね。
と言うのは他の登場人物(佐助、お小夜など)については普通にイメージ出来たので。
半次に関してだけ、イメージが定まりそうで定まらない、まさに「逃げ水半次」そのものを著者は読者の前にも提示したのでは?と思っているのですが。

他の登場人物に関しては「お小夜」がちょっと不満。
いくら身体が不自由になった父親の代わりに十手を握っている、と言う設定でもちょっと頭悪く書かれすぎではないかな?
もうちょっと自分で考えたり勘を働かせたり出来る女の子に書いて欲しかったな。
逆に実相寺の「花幻尼」や夜鷹の「お駒」など重要な脇役の設定はすごく上手いと思いました。

この作品は著者にとって初めての時代物だと言うことですがいつも久世氏の作品を読むと感じる「ひんやりした手触り」や「退廃」「倦怠」などは健在です。
こんな小説を書く人が「時間ですよ」とか「寺内貫太郎一家」みたいなホームドラマを作っていたんですよね~…なんとなく不思議。

(訂正:久世氏は上記のドラマの演出家であり脚本家ではありませんでした。「時間ですよ」は橋田壽賀子氏、「寺内貫太郎一家」は向田邦子氏がそれぞれ脚本を書かれた作品でした。訂正いたします。02/08/18)

デュウィ・グラム『オーシャンズ11』

  • 2002/02/12(火) 14:40:41

オーシャンズ11
デュウィ グラム Dewey Gram 安原 和見
デュウィ・グラム『オーシャンズ11』かつて数々の詐欺事件に手を染めながら一度も捕まった事の無かったダニー・オーシャンが妻に逃げられたショックでドジを踏み刑務所に放り込まれて5年、ようやく仮釈放される日がやってきた。
しかし、その晴れやかな気分も妻から叩きつけられた離婚届、そしてその元妻がラスベガスのカジノ王の隣に写った新聞の写真を見て吹っ飛んでしまう。
怒りに燃えたダニーは難攻不落と言われるそのカジノ王・ベネディクトの巨大金庫を襲う計画を立てる。
そのためにダニーはいかさまトランプ師のラスティーらを始めとする選り抜きの11人の仲間を集め、1億五千万ドルと妻を奪うために動き出す。



現在公開されている同名映画のノベライズ本です。

「小説」として捉えた場合の難点をいくつか。
主要な登場人物がダニー+11人の仲間、元妻のテス、ベネディクト…とすごくたくさんいるので、文章だけだと見分けが付くようになるまでちょっと辛かったです。
それから文章、特に地の文が時々小説じゃなくて台本のト書きみたいになってしまって「あれあれ?」って部分もあったし。
特に最後の方になるに従ってどんどん文章が飛んでいくんで「オーイ!待ってくれ~!」って感じでした(笑)
(ただ、このブツブツに切れてる感じが却って物語のスピード感とか緊張感を高めていた部分もあるので、微妙なさじ加減なんですよね)

でもお話はすごく面白かったですっ!
最後の最後まで「これでもかっ!」って感じでトラップが仕掛けられていて気が抜けないんですよね。
ホント「ここまでやるか」って笑ってしまった(笑)
最初から「成功する」って判っているのに、こんなに引っ張れるってのはさすがですね。
ちょっとした失敗をちょこちょこっと用意しておくことで、読者(観客?)をハラハラさせておいてギリギリのところでそれを回避する、更にはその失敗を利用して敵を欺くなんていう手口がお見事でした。
それに「オーシャンズ11」の連中がみんなカッコいいんですよ。
頭いいし、度胸あるし。
これで単なる「いかさま野郎」だなんて、アメリカってどんな国よ(笑)
最近はあまり映画を見に行くことがない私ですが、これは見に行ってみようかなと思いました。
ダニー=ジョージ・クルーニー、ラスティー=ブラピ、テス=ジュリア・ロバーツというキャスティングもこの内容のイメージと合ってるし。
このままの内容で映画になってるんなら、絶対面白いと思うな。
ただ、TVCMのイメージだとテス(ジュリア・ロバーツ)がもっと活躍しそうだったのにそうでもなかったのだけがちょっと残念でした。

基本的に「カッコイイ男たちの話」って事なんでしょうかね。
そしてその原動力になるのが「いい女」と。
そう考えると、なんか「ケッ」って感じですが^^;

高島俊男『漢字と日本人』

  • 2002/02/11(月) 14:35:48

漢字と日本人
高島 俊男
高島俊男『漢字と日本人』私たちが毎日使っている日本語の中の「漢字」は決して日本語にとって便利な物ではない、却って日本語を難しくしているやっかいものである、と言うのがこの本の主な内容です。

自分の国の言葉(日本語)が言葉として成熟しないうちに、他の国(中国)の文化を取り入れようと全く性質が違うものを無批判に取り込んでしまった結果、日本語は成熟する機会を失ってしまった。
それでも最初は中国から体系的に輸入されていた漢字を、明治維新や戦後の国語教育が後先考えずに切り刻んで行った結果、世界でも類を見ない特殊な言語(話す場合でも音声を手がかりに頭の中の文字を参照しながらでないと理解できない)が出来上がってしまった…と言うような事が書いてあります。

戦後の国語改革の際に日本語を「かな」か「ローマ字」で統一しようと言う動きがあり、その時に「過去(戦前)の日本は野蛮で恥ずべき物なので全て無くなっても構わない」という意見が公のものだったとか、国語審議委員会で実権を握っていた人物が明治生まれの高等小学校中退の人物で子どもの頃読めない漢字が多かった事から漢字に深い恨みを抱いていたため漢字撲滅運動を推進した(さらに、その運動の影響が今も色濃く残っている)といった話が面白かったです。

…って面白がっていてはいけないんでしょうけどね^^;

文章自体は特に難しかったり、読みにくかったりはしないのですが、こういう本はやっぱりある程度知識がないとツライですね。
毎日毎日使っているのに自分の国の言葉の歴史を何にも知らないのね~、と反省させられる一冊でした。

『ミステリを書く!』

  • 2002/02/10(日) 16:02:50

ミステリを書く!
綾辻 行人 法月 綸太郎 山口 雅也 大沢 在昌
『ミステリを書く!』ミステリ評論家の著者と10人のミステリ作家たちとのロング・インタビュー集です。
登場する作家陣は綾辻行人、井上夢人、大沢在昌、恩田陸、笠井潔、京極夏彦、柴田よしき、法月綸太郎、馳星周、山口雅也(50音順)の10氏。
まさに「今をときめく錚々たるメンバー」ですね。
一人に30~40ページを割いていて量もたっぷりだし、聞き手が優秀なのか語り手たちが話し好きなのか判らないけど(笑)かなり突っ込んだ話まで載っていて読み応えがあります。
それにミステリへの、そして創作への熱い真摯な想いも十人それぞれから伝わって来る内容になっています。

この中で私が一番面白かったし、共感できたのは京極夏彦氏のインタビューでした。

『小説家と読者の接点はテキストだけでなければならない』

『小説家は滅ぶ、テキストは残る、そのくらいの書き方をしないと、良い作品は残らない』

『名前を消して匿名で出版して、それで受け入れられるテキストが本当だ』

と言う京極氏の話は「なるほど、その通り」って感じでした。

確かに、本屋で見たときのタイトルとか表紙とかそこにある印象だけで手にとって、で読んだ結果が○だったって言うのが一番幸せな本との出会い方じゃないかと思うんですよね。
この作品に出会えた事に感謝したい、そしてあれだけ多くの本の中からこれを見いだせた自分を誉めてあげたい、と言う気分になります(笑)
またそれこそが本来ならば同じ価値でもって本屋の棚や平台に並んでいる作品への礼儀だと言う気もします。

ただ、そうやって読んだとしても読み終わった時点では「この作家のこの作品は自分にとって○(または×)だ」って事は既に情報としてインプットされてしまうわけだから、それが次に本を選ぶ上で何らかの影響力を持ってしまうと言うことは避けられないのがちょっと哀しいですね。
だからと言っていつも知らない作家の作品ばかり選ぶってのも、一般読者としてはかなりチャレンジャーな事だし(笑)
いや、やって出来ないことはないけど、お金とか時間のことを考えるとやっぱりちょっと難しい。
なのでつい「その作家の本は以前読んで面白かった」とか「○○が面白いと言っていた」、更には「この作家の考え方は好きだ(嫌いだ)」といった、目の前にあるその本以外の情報を判断材料にしてしまうわけです。
でも、それって何となくフェアじゃないような気がするんですよね。
(こんなサイトをやっている私がこんな事言うのも何ですが^^;)

更に言わせてもらうと一読者の私としては、そのテキストが後世に残るかどうかなんかも関係ないと言いたい(笑)
単純に「今、自分が読んで面白いかどうか」が選択基準、評価基準の全てとして本を選びたいな、と思うわけです。

ただ、その分毎日何百と出版される本の中から自分にとってのそういう作品を発掘するのが、私たち読者に課せられた試練なんでしょうねえ。
なかなかこれが大変な戦いなわけで^^;

作家たちが真摯に作品に取り組んでいる分、読者も自分なりの「見る目」を養わなくちゃならないと言うことなんでしょうね。

小泉吉宏『まろ、ん?―大掴源氏物語』

  • 2002/02/07(木) 15:58:25

まろ、ん?―大掴源氏物語
小泉 吉宏
小泉吉宏『まろ、ん?―大掴源氏物語』マンガです。副題は「大掴源氏物語」。
全五十四帖の源氏物語から宇治十帖までを全て一巻8コマ見開き2ページのマンガで解説した本です。

この本、好きです(^^)
源氏物語関係の本で光源氏を「光る君」とか「源氏の君」とか呼ばずに「まろ」って呼ぶ本って始めてみました(笑)
そしてその顔も「まろ」にひっかけて「マロン」、つまり「栗」なんですよ。
この栗顔の光源氏が可愛いんです(^^)
何となく許せてしまう、と言う感じ。
いや、やってることはもちろん同じなんですけどね。

それに他の登場人物は普通の(人の)顔に書かれているのに、光源氏の血縁の人々(冷泉帝とか夕霧とか)はみんな栗顔なんです。
なのでどの人が誰と繋がっているのかがよく判ります。
ちなみに頭の中将の系列は「空豆」顔。
なので宇治十帖になると薫と匂う宮は本当は同じ栗顔じゃなきゃいけないのに、薫が「空豆」、匂う宮が「栗」になっていてすごく分かり易かったです。
女性たちはみんな(ゴマフアザラシの)「ゴマちゃん」みたいなんですが(笑)、同じような女性が2人以上出てくるときは「紫」とか「明石」とか袖のところに名前が書いてあってちゃんと区別出来るようになってます。

それにマンガ以外の資料もちゃんとしていて意外に読み応えもあるんですよね。
マンガの中にかなり簡潔にあらすじが書いてあるし(じゃなきゃ判りませんね)、マンガのページとは別に人物紹介、その物語の当時の登場人物の階級、歌の意味、人物相関図、衣装や髪型の解説などが分かり易く挟み込まれています。
著者(「ブッタとシッタカブッタ」を描いた人らしいです)のあとがきによると「構想6年、制作3年」の作品になってしまったとの事です。

更にところどころに著者が考えたのであろう恋についてのお言葉が書いてあるのですが、これがすごくいいっ!
朧月夜との噂が広まって窮地に立たされる「賢木」の巻の後で

『障害のある恋は燃える。人は情熱の激しさを愛の深さとつい思い込むようだ。』


女三の宮やまたしても密会してきた朧月夜の事を紫の上に言い訳している「若菜(上)」では

『秘め事が知れたら恋人や妻を苦しめるというのに、それを告白することが誠実なことだと思っている人がいる。だがそれは自分の罪悪感から解放されたいと思っているだけだ。つまり甘えているだけである。』


など、なかなか含蓄の深い、その上内容にマッチした言葉が書いてあって「上手い!」って感じでした。
後半なくなってしまったのはちょっと残念でしたが。

「あさきゆめみし」もそうですが、やっぱりここまで長くて登場人物が多くて関係が判りにくいお話を理解するには「絵」で見せてくれるのが一番手っ取り早いのかも知れませんね。

「源氏物語」を知ってる人も知らない人も楽しめる一冊です。

『殺人鬼の放課後―ミステリ・アンソロジー〈2〉』

  • 2002/02/06(水) 15:45:35

殺人鬼の放課後―ミステリ・アンソロジー〈2〉
恩田 陸 新津 きよみ 小林 泰三 乙一
『殺人鬼の放課後―ミステリ・アンソロジー〈2〉』短編ミステリーのアンソロジー。
執筆陣は恩田陸、小林泰三、新津きよみ、乙一の四人です。

一応読了はしたのですが…苦手な分野の作品集でした(T-T)

特に小林、乙、各氏の作品は読んでいると気分が悪くなってきそうで殆ど斜め読み状態。
これってミステリーなのかなぁ?
私としては「ホラー」に近かったんですが…。
こういう「閉鎖された空間で恐怖にさらされる」というタイプの物語は生理的に全く受け付けないのです。
スミマセン…。
ちゃんと読んでいないのでこの作品について書くのはこの辺で止めておきます。

恩田作品は先の2作品に比べるといたって普通のきちんとしたミステリーです。
登場人物のキャラクターをさりげなく読者に伝える手法とか、謎の出し方とか、舞台作りとか、セリフでの話の進め方とか、さすがきちんとしてて上手いです。
特にラストシーンは「おお、こうくるか!」と言う展開に意表を突かれました。
が、人里離れた湿原の真ん中にある閉ざされた空間で親から見捨てられた子ども達が暮らす学園で起こる事件、そして主人公は美貌の少年…っていうシチュエーションが私はダメでした(笑)
頭でビジュアル化するとどうしてもパロディと言うかギャグ漫画みたいになっちゃうんですよね。
何故だか判らないけど。
昔はこういうのも好きだったはずなのになぁ^^;

新津作品は死んだはずの少女そっくりの女の子が現れて…と言うお話。
う~ん…可もなく不可もなく、って感じかな。
構成も謎解きも特に新鮮味はなかったです。

一冊の本の中に入っていて、さらに4作品とも書き下ろしなのに収録作品のバランスが悪い気がするんですけどね。
どうなんでしょうか。

ヘレーン・ハンフ『チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本』

  • 2002/02/05(火) 15:41:33

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本
ヘレーン・ハンフ
ヘレーン・ハンフ『チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本』1949年10月、アメリカ・ニューヨークに住む一人の女性がイギリス・ロンドンにある一軒の古書店にあてて書いた一通の注文の手紙。
この手紙がそれから20年の長きに渡って続くことになる、女性と古書店の店員、そしてその家族、さらには隣人までを巻きこんでの心温まる交流のきっかけになります。
この本はその女性ヘレーン・ハンフ(著者)が、イギリスのチャリング・クロス街84番地にある古書店マーク社のフランク・ドエルを始めとする店員、家族たちと交わした書簡集です。



素敵ですねぇ。
読み終わった後、すごく幸せな気分になる本でした。
一人のお客さんとお店の店員の間にこんな暖かい関係が20年も続くなんて(それも海を越えた別の国で!)今ではちょっと考えられないし、この時代だってそんな事は多分そんなによくある事ではなかったはず。
それが可能になったのは、お互いがお互いを思いやる気持ちなんでしょうね。

ドエルが自分の要求に応えてすばらしい本を送ってくれる事に素直に感謝するヘレーン、自分の店の品物と仕事をきちんと評価してさらにその品物の感想を率直に書き送ってくる大事なお客さまに控えめに、でも確実な好意を込めて返事を書き送るドエル。
2人の交わす手紙はそうやって少しずつ親しさを増して行きます。

こんなおとぎ話のような事が現実にあったんですね。
でも小説や映画ならここから2人が恋に落ちたりするところですが、そうはならないところがやっぱり現実の面白さと言うか厳しさというか…。
でもドエルだけではなくいつしかマーク社の従業員はもちろん、ドエルの家族や隣人までがヘレーンの友人(と言うかファンかな?)になっていくところは現実ならでは、かも知れません。

ただ(こういう読み方ってちょっとイジワルなのかも知れないけど)ヘレーンはニューヨークで孤独だったのかな、って気もします。
だって自分の手の届く範囲で心満たされて、忙しくしていたら、いくら相手がいい人たちであろうとこんなに頻繁に手紙を書いたり、贈り物を贈ったりしようとは思わないでしょうから。
更に20年も手紙のやり取りを続け、何度も「イギリスにいらっしゃい」と言われ、自分でもそのために貯金をしていたにもかかわらず何度もその機会を自分で先送りして、結局ドエルには生涯会うことがなかった、と言うのもそれを表しているような気がします。
直接会うことで今までの関係が変わってしまうことを、ヘレーンは無意識に避けたのではないでしょうか。

それでも、この中には手紙と荷物を通して海を渡って通い合う温かな関係が詰まっています。
そしてその関係を取り持ったのが「本」だと言うのも本好きの私には嬉しい事です。
と言ってもここに出てくる本たちはあまりにも格調高くて、殆ど知っているものが無かったのですが^^;

江藤淳の翻訳もすっきりしていて、上品で読みやすかったです。
ただ、時々比喩や引用が難しくて意味が掴めないところもありましたが…。

しかし、6年も経ってから「以前ご注文があった本が見つかりました」って手紙と荷物が来る世界ってのもちょっとすごいですよね…。

大沢在昌『らんぼう』

  • 2002/02/04(月) 15:34:53

らんぼう
大沢 在昌
大沢在昌『らんぼう』身長185cm・柔道部出身の巨漢「ウラ」こと大浦と、小柄ながら空手有段者の「イケ」こと赤池の2人は、検挙率トップの刑事コンビ。
但しキレやすく凶暴な2人はまた被疑者の受傷率もナンバーワンを誇っているため、署内ではやっかいもので通っている。
この「最凶最悪コンビ」が暴走する痛快バイオレンス・アクション短編集。



いや~、楽しかった~!(^^)
好きです、この作品!
読んでて気持ち良かった。

これ読んで「面白い!」って思ってる自分に、「私ったらこういう話が好きだったっけ?」と自問自答してしまったくらい楽しんで読みました。

とにかくこの「最凶最悪コンビ」の暴れっぷりがハンパじゃなくて気持ちいいです。
確かにウラとイケは乱暴者だしすぐキレるけど、彼らの力は正しくその向かう相手に(主に「マルB」(笑))向かっているのですごく分かり易いんですよね。

こういうバイオレンスものって、何の罪もない一般人も巻きこまれて痛い思いや辛い思いを犯人側だけでなく警察側からもさせられてしまう事が多いけど、この作品の2人はちゃんと市民(弱者)の味方なんですよね。
きっかけとして市民が痛い思いをすることはあるけど、その痛みを2人が倍返ししてくれるんです。
だからと言って彼らは別に正義の味方を気取るわけではなく、逆に自分たちの立場を嘆くわけでもない。
どちらかというと街の嫌われ者だけど、そんなのは全然関係なくて自分の仕事を楽しんでやってるって感じがすごく読んでいて気持ちよかったです。
それに何だかんだ言ってもいっつも2人でツルんでいて、お互いを気遣っている(笑)2人のコンビネーションもgood。

この「乱暴者だけど力を使う方向を間違えてない」って言うのは、この間読んだ「煙か土か食い物」の四郎に相通ずるものがあるかも。
現実の世界では理不尽なことばかり起こるからせめて本の世界ではこういう分かり易いお話を読みたくなるのかな。

タイトルが全部ひらがなで付いているところや、普通の3人称の部分と登場人物の誰かが一人称で語っている部分が交互に出てくる構成とか、地の文よりもセリフを多用してスピード感を出しているあたりも上手いです。

とにかく爽快な一冊でした。
続編をぜひぜひ書いて貰いたいです。

佐野眞一『誰が「本」を殺すのか』

  • 2002/02/03(日) 15:32:25

だれが「本」を殺すのか
佐野 眞一
佐野眞一『誰が「本」を殺すのか』やっと読み終わった…。
読み始めてから読了まで2週間もかかってしまいました^^;
と言ってもハードカバーで450ページもあるこの本、最初の2~3日は会社にも持っていっていたのですがやはり通勤本にするには重いし嵩張るので、それ以降は家でそれも寝る前にしか読めなかったと言うのが時間がかかった理由です。
文章自体は読みにくくはないので、集中して読めればもっと早かったと思います、多分。

この本は「版元」「取次」「書店」「図書館」など本に関わるさまざまは人々に著者がインタビューを繰り返し、現在出版界はどうなっていてこれからどこに行こうとしているのか、を2001年初頭の段階で切り取った本です。

1月に特に意図したわけではないのですが「ふるほん文庫やさんの奇跡」、「本屋はサイコー!」と続けて本屋さん関連の本を読んだら、そこに「取次」「再販制度」等という単語が頻繁に出てきて『それこそが出版界をダメにしている要因だ』と書かれていたので、「それは一体何?」と疑問に思ったのがこの本を手に取ったきっかけです。
ところが、この本を読むような人は「そんな事は当たり前」の知識なんでしょうか、そう言った出版界の仕組みや制度を改めて解説してある本ではありませんでした。

それに、著者が「本」を(私から見たら)あまりにも神聖視しすぎている部分も見受けられてちょっとそれは「う~ん?」って感じでしたね。
「評判になっているか、またはランキングに入っているから読みに来る、そう言う人を果たして読者と呼んでいいのか」と言う疑問なんかはその最たるものでした。
確かに本をそれだけしか読まない人って「何だかなあ」と思うけど、だからってそれを「読者」と呼ばなくて何と呼ぶのでしょう?
(この問に対して「本の雑誌」の元発行人・目黒さんが「読者でしょ?他の何なのかな?」と答えている部分が良かったです(笑))

それでも著者が出版界をリードする沢山の企業、団体、組織の主だった人々に対して繰り広げるインタビューの数々は本を読むことが好きな人なら、そうしたこと(仕組みとか制度とか)を知らなくてもかなり興味深く読めるんじゃないでしょうか。
私としては「本ってこんなにいろんな関わり方があるんだ」と言うことが判って単純に面白かったです。

若竹七海『死んでも治らない-大道寺圭の事件簿』

  • 2002/02/02(土) 15:29:30

死んでも治らない―大道寺圭の事件簿
若竹 七海
若竹七海『死んでも治らない-大道寺圭の事件簿』主人公は元警察官の大道寺圭。
現在は警察官時代に遭遇したドジな犯罪者の事を書いた本がそこそこ売れている作家である。
この大道寺が本に書いたような犯罪者たちの起こすちょっとドジな犯罪に巻きこまれ、そして鮮やかに解決する5つの短編と、彼が警察官を辞めるきっかけになった「大道寺圭最後の事件」が収録されています。

短編はどれも面白かったです。
「ドジな犯罪者」という割には大道寺は結構シリアスに窮地に立たされちゃうんですよね。
だからちょっとドキドキする部分もあるし、反面ちょこちょことくすぐる部分もあるし。
もちろん解決に向けての伏線の張り方もきちんとしていて読み終わると「なるほど」と納得させてくれます。

そしてこの短編たちを更にそれを効果的にしているのが「大道寺圭最後の事件」です。
一つの作品を6つに分けて、それぞれの短編の間に挟み込む、と言うちょっと変わった形で収録されているのです。
そしてそこに前後の物語の登場人物やポイントになる出来事、ものなどがさりげなく登場してくるので全体に一体感が出て短編集なのに長編を読んでいるような気がしてきます。
また一つの物語を6つに分けて進展を小出しにすることで結末への期待値を高める効果もあります。
それで結末がお粗末だったら意味はないわけですが、「なるほどこうくるか!」と思わず膝を打ち、そしてちょっとホロリと来るエンディングに感心しました。

奥付を見ると短編は月刊誌への連載で、「最後の事件」はこのノベルスのための書き下ろしだそうです。
雑誌で読んだファンにしてもただ一作追加してくれるだけでも嬉しいだろうけど、こうやって凝った構成で新しい作品のように出てきたら嬉しさ倍増でしょうね(^^)

楽しめる一冊です。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。