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◆Date:2001年11月
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歌野晶午『死体を買う男』

  • 2001/11/27(火) 13:48:13

死体を買う男
歌野 晶午
かなり込み入った構成の物語でした。



平成二年、ある小説雑誌に著者名のない小説「百骨記」が発表された。
雑誌のあおり文句から「乱歩の未発表作」とも思われたが、実は乱歩ファンの無名の新人が書いた作品であった。
しかし3回連続で掲載されるはずだったその小説の最後の一回は何故か発表されなかった。
それを読んだかつての大作家・細見辰時が出版社に圧力を掛けて、結末の発表を中断させたのだった。
何故細見は出版の妨害をしたのか、そしてその物語の隠された真実とは?


この物語は細見辰時がその「白骨記」の全文を掲載した上で、新人作家とのやりとり、妨害の真意、そしてこの物語の本当の結末を一冊の本に書き上げたものである、という構成になっています。
なので読者はオリジナルの「白骨記」の物語と、細川の書いたもう一つの「白骨記」を同時に読むことになるわけです。

「白骨記」の物語もちゃんと時代を感じさせる描写になっているし、探偵役が乱歩の友人であった萩原朔太郎を持ってきた所とか、なかなか良くできたお話でした。
(この朔太郎探偵のキャラ、私は結構好きです(^^))
謎そのものは途中である程度判ってきてしまう部分もあったのですが、話の持っていき方とか、何より作者自身が楽しんで書いているというのが感じられて面白く読める作品でした。

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村上龍『eメールの達人になる』

  • 2001/11/23(金) 13:44:23

eメールの達人になる
村上 龍
タイトル通り「eメール」についてのhow to本です。
もちろん、メーラーの使い方ではなく、メールの書き方の話。
これがなかなか面白かったです。

なるべく曖昧に物事を包み込むようにして表現しようという方向を向いている「日本語」と言う言語を、用件を明確に相手に伝えるためのコミュニケーションツールとしての「eメール」にどう載せていくか。
その方法が文章を扱うプロの作家として、そして経済関係を中心にしたメールマガジン「JMM」の主宰というビジネスマンの立場から書かれています。

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『「ABC」殺人事件』

  • 2001/11/23(金) 13:40:29

「ABC」殺人事件
有栖川 有栖
講談社文庫創刊30周年記念の書き下ろしアンソロジーです。
執筆陣は有栖川有栖・恩田陸・加納朋子・貫井徳郎・法月倫太郎の5氏。

最初の方は「う~ん、イマイチ?」と思っていたのですが、後半に行くに従って面白くなってきました。
中でも貫井徳郎氏と法月倫太郎氏の作品が私好みでした。
特に貫井氏の「連鎖する数字」。
これはトリックより何より探偵役が披露した謎解きが全く当たっていないと言う趣向が最高でした(笑)
(あまりにもネタバレなので自主規制(笑)どうしても読みたい場合は反転させて下さい)

瀬名秀明『虹の天象儀』

  • 2001/11/17(土) 13:38:08

虹の天象儀
瀬名 秀明
とても綺麗な物語でした。
失われたもの、失いつつあるもの、そこに残る「思い」。
そんな「触れないけど、そこに確実にある懐かしい物」が文章のそこここからキラキラと煌めいていて、読んでいて何度も泣きそうになりました。



西暦2001年3月、東京・渋谷の五島プラネタリウムはその44年の歴史に幕を閉じた。
「私」はそこにプラネタリウムの整備士として入社し、後年は念願の解説も任されるようになり27年間をこのプラネタリウムと共に生きてきたのだ。
閉館の翌日、その思い出が詰まったプラネタリウムで一人機材や備品の整理をしていた「私」の傍に一人の少年がやってくる。
「もう閉館した」と告げると何も言わず去っていった少年だったが「私」はその少年に強く心を惹かれる。
翌日、プラネタリウムを訪れた「私」は入り口で眠り込む昨日の少年の姿を見つける。
そして少年の「ツァイスのプラネタリウムを見せて下さい」と言う言葉に心を動かされ、もう閉じたプラネタリウムの扉を開く。
少年に請われるままにプラネタリウムの構造を説明する「私」。
やがて少年に誘われるように見つめた部品の中の小さな「宇宙(コスモス)」を目にした途端、「私」は時空を越えていた。
『誰に会いたい?』少年のつぶやきを胸に抱いて…。


う~ん、すごくノスタルジックで感傷的な小説ですね(笑)
著者の、失われていくプラネタリウムと、そこで教えて貰った星への想い、そして自分の思い出へのオマージュがギュ~ッと詰まっています。
でも、文章が抑え気味で、とても美しいので読んでいるとすごく心地いいです。

一度でも何かに憧れて、何かになりたいと思ったことのある人は、これを読むとその頃の気持ちが蘇ってくるんじゃないかな。

夜の物語なんだけど、昼間のあまり混んでいない電車に揺られながら読むのが似合っているような気がします。
そして降りる駅に着いたときにはもう夜になっていて、空を見上げたら満天の星…なんてシチュエーションだったら最高ですね。

いしいひさいち『ほんの本棚』

  • 2001/11/15(木) 12:35:18

ほんの本棚
いしい ひさいち
書評本です。
最初に

『私の親友であり、ライバルであり、さらに敵対関係にもある広岡達三先生、タブチコースケ先生、藤原ひとみ先生、それに広岡先生のお手伝いさん(!!)に書評パートを担当していただき、私が「書評マンガ」なる胡散臭い四コマ(ないし二コマ)を描いた』

と書いてあるのを読んで、「ふ~ん」と思って読み始めた私がこの「広岡達三」「タブチコースケ」「藤本ひとみ」なる人物が全員いしい氏のマンガ(「ののちゃん」)の登場人物だと気がついたのは、書評を4つ5つ読んだあとでした(笑)
つまり書評も全部いしい氏が書いているって事ですね。
そう言われてみれば「人が変わっても文章はあまり変わらないような…?」と思ったような気もする…(笑)
(ご丁寧にカバーの見返しに評者の略歴まで載っている。これ読むと、この先生方が書いた本を読んでみたくなるなあ(笑))

とりたてて特徴がある、という書評ではなかったのですが、一冊の本に関する文章が短い(2段組で一ページ分。600字くらい)のですごく読みやすかったです。
それに作品に対する姿勢に偏りがないので、素直に受け取れますね。
実際「この本読んでみようかな」って思ったのも何冊かあったし。
書評って言うよりも「本の紹介文」って感じかな。
(でもそれが一番正しい書評なのかも…)

書評と一緒に描いてある四コマ(ないし二コマ)のマンガは本領発揮!って感じで笑えます(^^)

岡田鯱彦『薫大将と匂の宮―昭和ミステリ秘宝』

  • 2001/11/12(月) 12:31:58

薫大将と匂の宮―昭和ミステリ秘宝
岡田 鯱彦
「源氏物語」の第二部「宇治十帖」は途中で終わっていて、実は続きがあった!
あの物語の後、浮舟、八の宮の中君そして匂の宮が次々と変死する、という事件が起きる。
噂の物語の登場人物が次々と死亡する、とあって疑惑はその物語の生き残り薫大将にかかっていく。
その疑惑を晴らすために作者である紫式部が捜査を始める…。



これって…きっと真面目に書いたんだよね~。
私は何となく「パロディ?」とか思ってしまったんだけど(笑)
でも面白かったです。
紫式部の探偵ぶりはのんびりしていて「それで大丈夫なの?」と心配するくらいだけど、途中で清少納言の挑発に乗って失っていたやる気がまた戻ってきたりとか緩急のリズムがあってなかなか読ませます。
相変わらず薫ははっきりしないヤツでイライラしますが…(笑)

他に雨月物語や、竹取物語を題材にした短編など全部で13の物語が入ってます。
元々ある物語をアレンジした物はそんなに面白いと思えなかったけど、清少納言とその恋人と言われる橘則光の顛末を書いた「艶説清少納言」とか、「源氏物語」の「夕顔」に書かれた物の怪は当初、六条の御息所として書いたのではないのではないか、という解釈から生まれた「『六条の御息所』の誕生」とかは良かったです。

全部昭和25年前後に書かれていますが、元々の題材が古い物語を扱っているせいかそんなに「時代遅れ」的な印象はなくて今読んでも充分楽しめます。
ただ「源氏物語」や「雨月物語」などの基本的な知識がないとちょっとツライかな。

ナンシー関『夜間通用口―テレビ消灯時間〈3〉』

  • 2001/11/11(日) 12:29:00

夜間通用口―テレビ消灯時間〈3〉
ナンシー関
現在も週刊文春で連載中のエッセイ「テレビ消灯時間」をまとめた本の第三弾です。
相変わらずいい毒吐いてます(笑)

彼女の文章はいつ何を読んでも、その毒の効き目とかテンションとか鋭さが全然鈍らないところが「芸」だなあ、と感じます。

それと、この本は98年7月から99年8月までの日本のTV事情について語っている文章なわけで、今からもう2年から3年以上前の状況なんですよね。
それなのにこれを読むと全くその時間を感じないところが凄いです。

TVの世界って「この前のこの時間のドラマって何だったっけ?」的な時間の動き方をしているから、こんなに時間の経った文章って普通だったら全然面白くなくて当然だと思うんですよね。
大方のTVについての文章は書く方も多分「出来たて」を読んで貰おうと思って書いているのだろうし。
つまりTVについての文章は「賞味期限あり」なんだと思うんです。
なのに著者の文章はその「賞味期限」がないか、あっても他の文章よりもとんでもなく長くできている気がします。
多分、そこに書かれているTV関係者に読者の方が「あ、あの人ね」って反応するうちはその文章は有効なんじゃないかな。
それは彼女がTV番組そのものではなくて(時々はそういう場合ももちろんあるにしても)、その中にいる人間を素材にしている場合が殆どだからではないかと思います。
彼や彼女について書かれたピンポイントで核心をつくような鋭い指摘の数々。
そうやって考えると彼女がどんなに人間の本質を見抜く目を持っているかが判りますね。

TVを見ていて感じる違和感や不安感や疑問は、TV界のスピードの速さと私のぼんやりさと「ま、そんなの大したことじゃないけどさ」という諦めの中で日々記憶の引き出しの隅に押しやられて行くわけですが、3年の時を経てナンシー関の文章によって引っ張り出され回答を与えられていく。
そんな風な快感があります。

宮部みゆき『堪忍箱』

  • 2001/11/05(月) 12:25:37

堪忍箱
宮部 みゆき
宮部みゆきの本領発揮という感じの作品集です。

殆どの物語が江戸の片隅の長屋で小さな幸せを糧に暮らしている貧しい庶民が主役。
そんな下町の長屋で生きる江戸の人々の暮らしが生き生きと描かれています。

貧しい長屋で家族が肩を寄せ合う暮らしは暖かいけれど、ほんの少しバランスが崩れるとすぐに不幸に転じてしまいます。
その中で懸命に生きる人々の思いや、知恵や、勇気を著者は物語にして私達に見せてくれています。

物の怪が出てくるわけでも、大きな事件が起きるわけでもありませんが、こういう何でもない物語の方が著者の観察力や人間の機微を描く筆力が素直に感じられると思います。

宮部みゆきを沢山読んできた人にも、初めて読む人にもぜひ読んで欲しい一冊です。

北森鴻『狂乱廿四孝』

  • 2001/11/03(土) 12:23:21

狂乱廿四孝
北森 鴻
読み応えのある物語でした。



脱疽で右足を切り落とした名女形・澤村田之助が奇跡の復活を遂げる。
その復帰公演で沸く江戸の町で田之助の主治医を始めとした連続殺人事件が起こる。
女ながら戯作の面白さに囚われ、両親を説得して戯作者・河竹新七(黙阿弥)の弟子になった峯はこの事件の謎を解くために奔走する。


全体の構成や物語の雰囲気はすごく好きな一作です。
実在した澤村田之助や河竹新七、狂画師・川鍋狂斎などを配してその時代の空気を濃厚に伝えながら、創作の人物である峯や同心の水無瀬源三郎を使って縦横に事件を解いていくという、ちょっとズルいのでは?と言う手がとても効果的です。
ただ、私には謎解きがちょっと判りにくかったんですよね。
川鍋狂斎の幽霊画が重要な役割をしている、と言っているわりに他の部分の重厚さに負けてしまってどう重要なのかが上手く理解できなくて…。
それを助けてくれたのがこの本に入っていたもう一つの作品でした。

この本には表題作の他に「狂斎幽霊画考」と言う短編が入っているのですが、これが表題作の原点となった作品なのです。
登場人物や役割がちょっと違っているけど、主な筋立てと幽霊画に隠された秘密はそのまま残されているのです。
それもよりストレートな形で。
こっちを読んだら「あ、なるほど。そう言うことが書いてあったのか」と納得出来ました。
習作と完成版がどちらも収録されている、というあまり見ない形でしたが私にとっては2つ入っていてくれてとても助かりました。

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