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諸田玲子『王朝まやかし草紙』

  • 2010/03/14(日) 13:29:53

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三浦しをん『風が強く吹いている』

  • 2009/11/03(火) 12:25:21

風が強く吹いている (新潮文庫 み 34-8)
風が強く吹いている (新潮文庫 み 34-8)

内容(「BOOK」データベースより)
箱根の山は蜃気楼ではない。襷をつないで上っていける、俺たちなら。才能に恵まれ、走ることを愛しながら走ることから見放されかけていた清瀬灰二と蔵原走。奇跡のような出会いから、二人は無謀にも陸上とかけ離れていた者と箱根駅伝に挑む。たった十人で。それぞれの「頂点」をめざして…。長距離を走る(=生きる)ために必要な真の「強さ」を謳いあげた書下ろし1200枚!超ストレートな青春小説。最強の直木賞受賞第一作。

すごく面白かったです。

文章もストーリー展開もキレとスピード感があって、ぐいぐい先へ先へと引っ張られます。
竹青荘のメンバー10人もそれぞれ個性的で、しかもその個性がきちんと描き分けられしっくりとその人物たちに寄り添っているのでそれぞれに感情移入が出来ました。
昨日の朝読み始めて通勤途中やお昼休みにちょっとずつ読んでいたのですがあまりに面白くて続きが気になって仕方ない。
その後、帰宅してから読み始めたら止まらなくなって今日は休みということもあって午前3時まで掛けて読了しました。

私は運動は苦手だし嫌いです。
特に足がすごく遅いので、小さい頃から走ることでいい思い出は一つもなくて体育の授業も運動会も大っ嫌いな子供でした。
なので、大人になって一番よかったのは「無理矢理走らされることがなくなった」ことです(笑))
そんなふうにスポーツとは無縁の生活を送ってしまったため自分がやることはもちろん人がやっているスポーツにもあまり感心はないのですが、お正月に放送している箱根駅伝は何故か毎年(といってもここ数年のことですが)けっこう楽しみに見ています。
(他に面白いTV番組がないというのもありますが(笑))
優秀なメンバーを揃えたチームが圧倒的な強さで勝つという方程式があまり当てはまらず、それぞれのコースを走るメンバーがどんどん代わっていくことで展開が一気に変化する可能性があることや、団体競技と個人競技の2つの特徴を1つの競技の中に合わせ持っているその微妙なバランスを面白く感じます。
また、試合中に生まれる悲喜こもごものドラマもこの競技の魅力。
工程が長く、ランナーが多い分いろんなことが起こりがちですよね。
なので試合終了後に放送される舞台裏ドキュメントなんかも見ちゃったりします(TV局の思うつぼですね(笑))

でも、そう思いつつも自分自身が楽しさを知らないので、心のどこかには「なんだって正月早々こんな寒いところを必死で走ってるんだ、この若者たちは」という根本的な謎があったりするんですよね。
(これはマラソンとか見てても同じ感想を持つのですが)

そんな私にとって、これは「走ることの快感」をちょっとだけ疑似体験させてくれるような作品でした。
特に10人のメンバーがそれぞれの想いを抱きながら与えられた自分のコースを疾走するシーンにたくさんのページを割いてあったのがとても良かったです。 彼らが感じた風の感触の何万分の1かを頭の中でほんの一瞬イメージできたような気がします。

10人のメンバーがみんなムチャクチャいいヤツばっかりだとか、10人のうち7人は陸上経験がないし予選会の半年前から本格的に練習を始めたばっかりなのにこの結果、とか「それはちょっとあり得ないでしょう」ということもけっこうあるのですが、それはそれで「お話」としてアリだ、と思えました。
逆に「こうなるからこそ「小説」なのだ」という気がしますね。

良質な青春小説だと思います。お薦めです。

ちょうど映画化作品が公開中なのでこちらも見てみようかなという気になりました。
ただ、この小説の文体自体が非常に映像的で、読みながらずっと走(カケル)や灰二(ハイジ)たちが走ったり笑ったりケンカしたりする様子を思い描きながら読んでいたので、実際の映像とギャップがあるとガッカリするかも、という心配もあるのですが。

映画「風が強く吹いている」公式サイト

松井今朝子『吉原手引草』

  • 2009/04/21(火) 10:45:06

吉原手引草
吉原手引草

内容(「BOOK」データベースより)
なぜ、吉原一を誇った花魁葛城は、忽然と姿を消したのか?遣手、幇間、楼主、女衒、お大尽―吉原に生きる魑魅魍魎の口から語られる、廓の表と裏。やがて隠されていた真実が、葛城の決意と悲しみが、徐々に明らかになっていく…。誰の言葉が真実なのか。失踪事件の謎を追いながら、嘘と真が渦巻く吉原を見事に紡ぎあげた、次代を担う俊英の傑作。

07年前期の直木賞受賞作。
以前図書館で借りようと思ったらすごい順番待ちだったので「どうしようかな~」と思ってるうちに、文庫になってしまいました。
(どんだけ迷ってるんだ(笑))

吉原五丁町一と謳われながらある日忽然とその姿を消して行方が知れなくなった花魁・葛城。
吉原の中ではタブーとなっているその話題について茶屋の女将や店の主、芸者、幇間、葛城の贔屓客など葛城に関わった十数人の人々に次々に話を聞きまわる謎の人物。
それが誰なのか、何の目的なのか全く判らないまま読者はその人物の視点で吉原の中で暮らす様々な役割の人間たちの話を聞き、葛城の人となりや生き様を少しずつ理解し組み立てて行きます。
そしてその数々の証言の中から最後に葛城が吉原から消えうせた方法と理由、同時に謎の人物の正体とその目的が明らかになるのです。

人物の書き分け、吉原という特殊な場所のしきたりや慣習、そしてその中で見事に生き抜き自分の使命を全うした葛城という一人の女の人生の見事さ…どれもが圧倒的な迫力で、しかもバランスよく描かれていて最後まで一気に読ませる素晴らしい作品でした。

光原百合『最後の願い』

  • 2008/10/13(月) 11:03:38

最後の願い (光文社文庫)
最後の願い (光文社文庫)

内容(「MARC」データベースより)
新しく劇団を作ろうとしている度会恭平。納得するメンバーを集めるため、日々人材を探し回る。その過程で出遭う謎。日常に潜む謎の奥にある人間ドラマを、優しい眼で描く青春ミステリー。

面白かった!

新しい劇団を作ろうとしている一人の青年が、こいつなら一緒に出来ると見込んだ人物に会いに行き、その相手が語る昔話から彼(女)の物語に秘められた真実をあぶり出し、それによって相手の興味や信頼を得ていく…という設定。

1話完結の短篇のように描かれた6つの物語の中で劇団の脚本原作者、役者、制作、美術担当者らが集められていく。
そして最後の短篇で集められた劇団員たちが一堂に会し、遂に旗揚げ好演の幕が上がる…という良くできた構成。

物語の設定、謎解きは丁寧によく考えられていて納得できる内容で読みやすかったし、登場人物が(芝居関係者という設定らしく)みんな個性的なのも楽しく読めた。
何より会話のテンポがいいのが印象的。

彼らがどんな芝居をするのか見てみたい。
それがダメならせめて続編を!

松尾由美『ハートブレイク・レストラン』

  • 2008/08/03(日) 10:23:16

ハートブレイク・レストラン (光文社文庫 ま 12-4)
ハートブレイク・レストラン (光文社文庫 ま 12-4)

内容(「MARC」データベースより)
幸せな人は、入店お断り-? 「隅のお婆ちゃん」が解き明かす、不思議な恋愛ミステリー。「ケーキと指輪の問題」「走る目覚まし時計の問題」「不作法なストラップの問題」「靴紐と十五キロの問題」ほか、全6編を収録。

真以は駆け出しのフリーライター。
家からはちょっと遠いけれど、お客が少なくて居心地がいいファミリーレストランを仕事場代わりに利用していた。
そのレストランで気がつくといつも隅の席に座っている小柄で可愛らしいお婆ちゃんと真以はひょんなことから言葉を交わすようになる。
レストランで起こる「不思議な話」を外見からは想像のつかない推理力で謎解きしてしまうお婆ちゃんには人には言えない「秘密」があった…。

このお婆ちゃん(ハルさん)が実は幽霊で、レストランの従業員もわざわざそうしたわけではないけれど結果的にそうした現象に敏感な人が集まってしまい、何となく元気がなく幸薄い雰囲気のお店になっている…という設定が面白かった。
元気がないファミレスって…(笑)

謎解きはそんなに凝ったものはなくて中には途中で内容が判ってしまうものもあったけど、全体の設定に合った軽い雰囲気のものが多かったし説明の仕方に工夫があったので楽しんで読めた。

ただ「靴紐と十五キロの問題」の靴紐の説明はちょっと牽強付会な感がなきにしもあらず…。
いくら何も目印がないっていってもそれに靴ひもを使うってことにちょっと違和感を感じるなぁ。
「不作法なストラップの問題」も、外すのはともかく付けるのは難しいのではないかと。
それよりも、首のところに一旦溜めておいたと考えるほうが現実的だと思うんだけどどうだろう。

レストランのお客として来ていた南野と真以が「不思議な話」を通じて互いに惹かれ合っていく様子も自然に描かれていて好感が持てた。

宮部みゆき『孤宿の人(上下)』

  • 2008/06/22(日) 09:17:10

孤宿の人 (上) (新人物ノベルス)
孤宿の人 (上) (新人物ノベルス)
孤宿の人 (下) (新人物ノベルス)
孤宿の人 (下) (新人物ノベルス)

内容紹介
それは海うさぎとともにやってきた。
江戸から金比羅代参で讃岐を訪れた九歳の少女ほうは、丸海の港で置き去りにされ、たった一人見知らぬ土地に取り残される。幸い、丸海藩の藩医・井上舷洲宅に奉公人として住み込むことになった。それから半年……、この丸海の地に幕府の罪人・加賀殿が流されてくること……。海うさぎが飛ぶ夏の嵐の日、加賀殿の所業をなぞるかのように不可解な毒死事件や怪異現象が井上家と丸海藩に次々と起こっていく……。
宮部みゆきが紡ぎ出す時代ミステリーの最高傑作! 装いも新たにノベルスで登場。

ちょっと話が入り組みすぎていたかな~…という印象。
登場人物が多くて視点がその都度入れ替わってしまったことや、自然現象として起こったこと、人間が意図的に起こしたことの区別が曖昧だったこと、同じ内容がなんども繰り返されていたこと、などが原因かな。

江戸で重職に就いていながら、家族、部下を斬殺した罪で遠く離れた丸海藩に流され、幽閉されることになった加賀殿の存在。
この物語の中心となる人物の持つ意味や、裏に隠された真実というものがなかなか明かされず、その周辺で起こる不思議(不気味)な事件のみが前面に出てしまったことが物語を曖昧にしてしまっていたと思う。

登場する人物の多くは、そうした藩の重大事項に触れられる身分のものではなかったから、彼らの目や耳にはそうした「真実」は現れず、ただある意図をもった「噂」や「伝聞」だけで右往左往している姿が描かれているということなのだろうと思う。
そして最初のうちは、その描かれない加賀殿に対する不安が物語を盛り上げていたことも確か。
でも、それが何度も繰り返されるうちにちょっと飽きてきて「そろそろホントのことを明かしてくれてもいいのでは?」と思ってしまった。

だから、下巻で加賀殿の事件の真実が明かされ、やがて「ほう」との交流が始まりその人間性が少しずつ明らかになってきてからは物語がスムーズに流れ出したように思う。

とはいっても、それでもどんどん読ませてしまう、そして最後に泣かせて納得のエンドマークで終わらせるところに宮部さんの実力を感じるわけだけど。

相変わらず心に沁みる小さなエピソードが巧い。
特にそれまで「阿呆の「ほう」」とバカにされ続け、自分でも自分に自信がもてなかったほうに、加賀殿から新しい名前の漢字を贈られるエピソードがとてもよかった。

三雲岳斗『旧宮殿にて 15世紀末、ミラノ、レオナルドの愉悦』

  • 2008/02/10(日) 10:21:19

旧宮殿にて 15世紀、ミラノ、レオナルドの愉悦 (光文社文庫)
旧宮殿にて  15世紀、ミラノ、レオナルドの愉悦 (光文社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
消えた肖像画、失踪した令嬢、石像の右腕だけが後に残され、遺言書を入れた風変わりな箱は持ち去られた―異能の師匠レオナルド・ダ・ヴィンチが、ミラノの宰相ルドヴィコ・スフォルツァ、才媛チェチリアとともに、不可解な謎、奇妙な事件に挑む。そして三人を待ち受ける運命は!?異才・三雲岳斗が描く、稀代の天才・レオナルド・ダ・ヴィンチ。

以前読んだ「聖遺の天使」と同じく美貌の師匠(マエストロ)レオナルド・ダ・ヴィンチが探偵役となって事件を解決するシリーズ。
長編、かつダヴィンチ自身が現地で謎解きをした「聖遺の天使」に対して、これは芸術家たちの工房のある「旧宮殿(コルテ・ヴェッキア)」にミラノ宰相スフォルツァと宰相の愛人と噂されるチェチリアが持ち込んできた謎をダヴィンチが解き明かすという、どちらかというと安楽椅子探偵的な作りの短篇集。
キャラクターがしっかりしているのでどちらも面白かったけど、どちらかというと私はサクサク読めて判りやすい今回の作品のほうが好み。
(登場人物の名前+関係性が覚えにくいので、長編だと読んでるうちにワケが判らなくなってくる^^;)

前作で感じた、ダヴィンチの「魅力的なヤなヤツ」っぷりは健在。
あまり饒舌になりすぎることなく、さりげなく彼の才能や魅力が紹介されているのがいい。
ただ、そんな我が儘で人嫌いで変人のダヴィンチもチェチリアの頼みは断れないというような記述が毎回毎回出てくるのは(短篇集の宿命とはいえ)ちょっと邪魔くさかったかな。

「愛だけが思い出させる」「窓のない塔から見える景色」「忘れられた右腕」「二つの鍵」「ウェヌスの憂鬱」の5編を収録。

「愛だけが思い出させる」はタイトルも内容もスマートでありながら情熱的でステキだった。


聖遺の天使 (双葉文庫)
聖遺の天使 (双葉文庫)この作品の感想もよかったらどうぞ。
三雲岳斗/聖遺の天使

三浦しをん『三四郎はそれから門を出た』

  • 2008/01/05(土) 11:27:31

三四郎はそれから門を出た
三四郎はそれから門を出た

内容(「BOOK」データベースより)
それでも本から離れられない。人気作家にして筋金入りの活字中毒者、三浦しをんの秘密の日常。初の、ブックガイド&カルチャーエッセイ集。朝日新聞の人気連載、『anan』のカルチャーコラムも収録。

雑誌に発表された書評と本に関する文章をまとめたエッセイ集。
全部で6つの章に分かれていて、1と2が書評、3、6が本にまつわるエッセイ、4、5はカルチャー系のエッセイという感じかな。

最初は書評目当てで読み始めたけど、結果的にはストレートに本について書いてある部分よりもそれ以外の文章のほうが面白かった。
書評は本人自ら「活字中毒」というだけあってちゃんと読み込んでいるんだろうなあというのは伝わってくるんだけど、書き手と対象(本)の距離が近すぎるのか違和感があってあまり読みたいと思う本が見つからなかった。
(考えすぎだろうけどね^^;)

面白かったのは三章の「本のできごころ」。
これは例えば『虚無への供物』の舞台となった氷沼邸を探しに目白に足を運んだり、『長くつしたのピッピ』に出てくるしょうが入りクッキーを実際に作ってみるというような感じの体験型エッセイ。
本を基点にしているけれど本そのものからはちょっとずらした視点で書かれている内容が楽しかった。
なかでも電車で近くにいあわせた人が読んでいた本を自分も読んでみるという「本の辻占」が好きだったなあ。
著者も書いているように自分で本を選ぶと趣味や嗜好が偏ってしまって同じような傾向になってしまいがちだから、こうして人任せで本を読むというルールを自分に課すと意外に面白い本を発見することが出来るかも。
私も機会があったらやってみよう(^^)

森谷明子『七姫幻想』

  • 2007/09/02(日) 14:24:29

七姫幻想
七姫幻想

内容(「BOOK」データベースより)
遙か昔から水辺に住み、日ごと機を織る美しい女たち。罪の匂いをまとう織女をめぐり、物語が密やかに始まる。時を超えて語られる織女伝説ミステリー。

タイトルの「七姫」というのは、七夕の織女(織姫)の異称のことらしい。
それぞれ「秋去姫(あきさりひめ)」「朝顔姫(あさがおひめ)」「薫姫(たきものひめ)」「糸織姫(いとおりひめ)」「蜘蛛姫(ささがにひめ)」「梶葉姫(かじのはひめ)」「百子姫(ももこひめ)」の七つ。
織姫様にこんなにいろんな名前があったなんて初めて知った。
特に「蜘蛛姫」なんて見た目ちょっとビックリな名前だけど、機織りの糸から想像された名前なのかな。

これはそのたなばたの七姫をモチーフにした短篇集。
「ささがにの泉」「秋去衣(あきさりごろも)」「薫物合(たきものあわせ)」「朝顔斎王」「梶葉襲(かじのはがさね)」「百子淵(ももこのふち)」「糸織草子」と、それぞれの物語に七姫を重ねた名前が付いている。

でも物語に七姫の名前を持った登場人物が直接出てくるわけではない。
古代から江戸までのそれぞれの時代のさまざまな状況のなかで、お互いに愛し合い結ばれた、または愛を閉じ込め愛しい人と別れなければならなかった女たちの物語が語られていく。
ある人は伝説になり、ある人は子孫になり、時代と姿を変えながら脈々と受け継がれていく「七夕」の物語。

全体的にそれぞれの時代の習慣や風俗よりもあくまでも恋人たちやその周囲の「人」の生活を中心に描くことで時代性を表現してあるため、すんなり物語の世界に入っていくことが出来た。
ただ、物語の中にミステリーの要素も含んでいるので、会話や物語の流れに含みがありすぎたのがちょっと気になった。
もっとスッと流れる文章で書かれていた方が綺麗な物語になった気がする。

七編の中では無欲で世間知らずの元斎王が身近にあった幸せを掴み取る「朝顔斎王」がよかった。
タイトルも物語も『源氏物語』を敢えて意識しつつ別の結末に持っていっているのがいい。
それに唯一のハッピーエンドらしいハッピーエンドだったしね(^^)

それぞれの物語に合わせて選ばれ、物語の中で重要な役割を果たす実在の和歌の数々も印象的だった。

ちなみに「朝顔斎王」ではこんな歌。

君こずは 誰に見せまし わがやどの かきねにさける 朝顔の花
(拾遺和歌集 詠み人知らず)

三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』

  • 2007/04/28(土) 13:15:41

まほろ駅前多田便利軒
三浦 しをん
4163246703

内容(「BOOK」データベースより)
東京のはずれに位置する“まほろ市”。この街の駅前でひっそり営まれる便利屋稼業。今日の依頼人は何をもちこんでくるのか。痛快無比。開巷有益。やがて切ない便利屋物語。

面白かったし、読みやすかった。
キャラクターも魅力的だった…でも、どうもこう「しっくりこない」読後感が残った。

私の個人的な好みで行けば、この主役2人に重いバックグラウンドはいらなかった。
お人好しでお節介やきな便利屋が、変人で有名だった高校の同級生と偶然再会。
今も変人を続けている彼に困惑しながらもなりゆきで一緒に仕事を始める…ってな感じで充分だったのでは?
この作品自体、基本的な部分はこんな雰囲気で進んでいるのに時々挿入される2人のトラウマとか過去の記憶がちょっと唐突でうまく両者が溶け合ってないように思えた。
と同時に「痛みを分け合わないと本当に解り合ったことにはならない」みたいな雰囲気がちょっとイヤ。

あと、最初のほうでやたらに「まほろ市」について詳細な情報を書いていたけど、その情報が物語の成立に影響を与えているとも思えなかった。
しかもあれだけ詳細な情報が書いてあるのに、「まほろ市」というのは都会なんだか、田舎なんだか、寂れているのか、賑わっているのか、結局印象が判然としなかったし。
(私の読解力の問題か?^^;)

主役2人をはじめとして登場人物が魅力的なこと、前の章で出てきた人物や人間関係がきちんと後の展開にも活かされているのは好感が持てた。
また主人公の職業に「便利屋」を選んだのも物語に広がりを与えるいい選択だったと思う。

映像化しやすそうな物語なので多田や行天のキャラに合う役者がいれば、ドラマ(または映画)化される日も遠くないかも。

第135回 直木賞受賞作

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