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ピーター・トレメイン/修道女フィデルマの叡智

  • 2009/07/01(水) 09:45:05

修道女フィデルマの叡智 修道女フィデルマ短編集 (創元推理文庫)
修道女フィデルマの叡智 修道女フィデルマ短編集 (創元推理文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマが、もつれた事件の謎を痛快に解き明かす傑作短編集。巡礼として訪れたローマの教会で聖餐杯のワインを飲んだ若者が急死、偶然居合わせたフィデルマが犯人を突きとめる「聖餐式の毒杯」ほか、宿屋の幽霊騒動に巻きこまれる「旅籠の幽霊」、大王位継承をめぐる事件に挑む「大王の剣」など、バラエティ豊かな5編を収録。

7世紀のアイルランドが舞台のミステリー短篇集。
「聖餐式の毒杯」「ホロフェルネスの幕舎」「旅籠の幽霊」「大王の剣」「大王廟の悲鳴」の5編を収録。

物語自体は文章も読みやすいし、謎解きも明解で判りやすくて面白かったのですが、なんとなくしっくり来ないまま読み終わってしまいました。

7世紀って言ったら今から1300年も前の時代ですよね。
(日本だったら「大化の改新」の頃ですよ!)
その割にみんな、やたら考え方が合理的過ぎませんか?
自分の利益のために宗教的、道徳的な禁忌を破って悪事を企み実行するような人々が普通に出てくることにちょっと違和感がありました。
国を動かすような高位にいる人間や、知識・教養があるような人間ならそうした言動も理解出来るのですが、そうではない一般的な人々ならばもっと「死」とか「霊」とか「タブー」に対して、大いなる恐れを抱いていたのではないのかしら?と思ってしまうんですが。
なんだかあまりにも軽々とそういう禁忌を飛び越えて犯罪を犯していることにちょっと納得出来ないなあ…という気持ちがずっとついて回っていました。

あと、聖職者には敬称(尼僧殿とか院長様とか猊下とか)を付けて呼ぶのに、それ以外の上位者(上司とか、王族とか、王様その人にも)は何の敬称も付けてないことや、その当時の慣習とか物の名前はそのままの名前で表記されているのに時間の単位が「分」だったりするのや、「アリバイ」なんて言葉が出てくるのも「なんだかな~」って感じでした。

と言っても私には「7世紀のアイルランド」についての知識は皆無で、「古い時代だったらこんな風だったに違いない」という思い込みによる考えでしかないので、単なる言いがかりかもしれませんが。(というかその可能性大?^^;)
フィデルマのように女性でもきちんと高い教育を受け性別による区別なく高い地位を与えられ社会に参加していたというのは事実のようなので、私が想像しているよりも7世紀アイルランドというのは進んだ世界だったのかもしれませんね。

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ナンシー・アサートン『ディミティおばさま現る 優しい幽霊1』

  • 2008/10/04(土) 10:51:41

ディミティおばさま現わる (ランダムハウス講談社 ア 5-1 優しい幽霊 1)
ディミティおばさま現わる (ランダムハウス講談社 ア 5-1 優しい幽霊 1)

内容紹介
米独立系ミステリ専門書店協会による20世紀ベスト・ミステリ100選出
幼い頃に大好きだった物語。
でもまさか、その主人公から遺言状が届くなんて!?
英国の小さな家が舞台のほのぼのミステリ
幼い頃、いつも母が聞かせてくれた『ディミティおばさまの物語』。
優しくて冒険心いっぱいのおばさまは、ロリのお気に入りだった。
でもまさか実在していたなんて!?
ある日突然、ディミティの遺言状を受け取ったロリは、指示されるがままに英国のディミティ邸へ。
すると暖炉の火がひとりでに燃えたり、白紙の日記帳に文字が浮かびあがったり――。どうやら幽霊になってもなお、おばさまは何か心の傷を抱えているらしく・・・・?
幽霊の謎に迫る、シリーズ第1弾

本の裏表紙に書かれていたあらすじ(上記と同じ文章)と、表紙の可愛らしいウサギのぬいぐるみのイラストを見て(またしても(笑))勝手に
「おとぎ話を卒業した(12歳くらい?)女の子が、昔好きだったお話に出てきた登場人物が実在していたことを知り彼女の遺した家に遊びに行く。そこにはその登場人物が幽霊として住み着いていた。その家の周囲で起こる不思議な事件を少女とおばさまの幽霊が協力して解決していく」
って感じの話かと思って読み始めたんだけど…見事に違っていた(笑)

まず主人公のロリは10代の少女ではなく、30代の女性。
しかも離婚して家庭も仕事も友達も失った上に、意地を張って疎遠になっている間にただ一人の肉親であった母も亡くしてしまい生きる気力を失いかけている…という設定。
そんなロリが、かつて自分を楽しませてくれた物語の中のディミテイおばさまが実在の人物だということ、しかも亡くなった母と親友だったことを知り、おばさまの遺言に従ってイギリスにあるおばさまの愛した小さな村の小さな家に滞在することになる。
そこでロリはおばさまが自分の中に閉じ込めて、親友である母にも明かさなかった悲しい「秘密」の正体を探し、その哀しみからおばさまの魂を解放する。
そしてそれは同時に、自分に自信を失い、母を孤独の中で一人死なせてしまったことで自分を責め続けるロリへの救いと癒しでもあった…という感じの話だった。

というわけで、思っていたのとは全く違う話だったけど、すごく面白かった。
この作品の魅力は、展開がスピーディで、登場人物が個性的かつ魅力的、しかも作品中に出てくるいくつものディミティおばさまの物語を始めとした物語の設定がきちんと考えられ読者に対して丁寧に判りやすく書かれていたところ。
そして何よりもその作品の魅力を余すところなく伝えてくれた(のであろう)鎌田三平氏の翻訳がすごく良かった。

この旅行(冒険)の中で傷ついたロリは自分への自信と母への愛を取り戻すと同時に、自分が愛する人、大切にしたい人も手に入れることになる。
私は恋愛小説は殆ど読まないのだけれど、この物語は不器用な二人が時々ぶつかりながら、でも少しずつお互いを受け入れ信頼し、寄り添い合っていく様子が丁寧に、でも邪魔になることなく書いてあるので自然に読むことが出来た。

この作品は《優しい幽霊》シリーズの1作目、とのこと。
イギリスでは14作が発表されていて、それが順次翻訳される予定らしい。
なかなか読み応えのあるシリーズになりそうなので今後の出版が楽しみ。

ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード〈上・中・下〉 』

  • 2006/07/27(木) 13:03:31

ダ・ヴィンチ・コード(上)
ダン・ブラウン
 越前 敏弥
4042955037
ダ・ヴィンチ・コード(中)
ダン・ブラウン
 越前 敏弥
4042955045
ダ・ヴィンチ・コード(下)
ダン・ブラウン
越前 敏弥
4042955053

内容(「BOOK」データベースより)
ルーヴル美術館のソニエール館長が異様な死体で発見された。死体はグランド・ギャラリーに、ダ・ ヴィンチの最も有名な素描 “ウィトルウィウス的人体図”を模した形で横たわっていた。殺害当夜、 館長と会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、 警察より捜査協力を求められる。 現場に駆けつけた館長の孫娘で暗号解読官であるソフィーは、 一目で祖父が自分にしか分からない暗号を残していることに気付く…。

読み終わった~っ!
もう、とにかく「読み終わったこと」が嬉しい(笑)

最初にこの本を開いたのはまだ文庫化される前。
会社の後輩にハードカバーを借りてきて読み始めたんだけど何故だかなかなか読み進めなくて 「ルーブルのトイレで2人が逃げ出す相談をしている」辺りで止まったままにしていたら、 そのうちその所有者が会社を辞めることになってしまいそのまま返却。
で、それから1年。
自分で買う気はなかったんだけど会社で回し読みされていた文庫版が一通り回ったらしく社内文庫 (みんな読み終わった本を適当に突っ込んでおくスペースがあるのだ(笑))に揃っていたので借りてみた。
で、読み始めてはみたもののやっぱり最初のほうはなかなかペースが掴めなくて、前回と同じところまで辿り着くのに1ヶ月がかり (この間に他の本を5冊くらい読んだ(笑))。
「また途中で挫折かな~」と思っていたけど、無事にルーブルを抜け出してからは一気にスピードアップして中・下巻はそれぞれ1日で読了。
なんなんだ、この差は(笑)

で、感想。
確かに面白かった。
最初のほうはちょっとモタつく感じがするけど(笑)、その後はスピーディーで、 それぞれに盛り上がりがある場面切り替えで飽きることなく読むことが出来た。
登場人物も個性的で、それぞれ役割が明確だし、物語を牽引する「謎」もなかなか興味深かった。

ただ、同時に「思ったほどでも…」と思ってしまったのも正直なところ。
読み終わるまでにあまりにも長くかかってしまったので自分の中の期待値のハードルを自分で上げてしまっていたのかな。
また「世界的なベストセラー」という称号にも期待しすぎてしまった感あり。
更には読まないでいる間にこの本からヒントを得たのであろうと思われるTV番組をけっこうたくさん見てしまっていて内容(特にダ・ ヴィンチの絵に隠された「謎」の辺り)について事前に知っていたことが多かったのがかなり大きいかも。
ただ本の中ではこうした「ダ・ヴィンチ関連の謎」がかなりサラッと流されていたのは、ちょっと意外な感じがしたな。
私はそれこそがこの本のメインなのかと思っていたので。

あと、何より致命的だと思うのは、やはり「キリスト教の教義や歴史、戒律、禁忌についての素養がない」ということ。
これが判らないってことは、この本の面白さ、意外性の本質は理解できないってことなのでは。
解説で荒俣宏氏は「そういう人のほうが楽しめる」と書いているけど、やっぱり何も知らないままこれを読んでも単なる謎解き、 暗号解読のミステリーとしてしか読めないんじゃないのかな。
何が出てきても、どんな解説をされても「ふ~ん。ま、そんなこともあるよね」としか感じられないんだもの。
確かに、何があっても「そんなことあるはずない!」的な拒否反応がないってことは言えるかもしれないけど…それと「面白く読めるかどうか」 はちょっと別だよね?

だから、この本が欧米諸国はともかく、キリスト教どころか「宗教」 というものに対して意識が希薄な日本でこんなに読まれているってことが不思議。
みんな判ってるのかな?
でも、日本人ってキリスト教的なことはともかく、「ダ・ヴィンチ」が好き、というのはあるかも。
「モナ・リザ」が初めて日本に来たときもビックリするくらい行列が出来ていたみたいだし。
つまり、この本が日本で成功したのは内容よりもそのタイトルがポイントだったのでは。
同じ内容でも「イエスのなんたら」とか「聖杯がどうした」 とかっていうようなタイトルだったら日本ではそんなに注目されなかったんじゃないかと。
タイトルが「ダ・ヴィンチ・コード」だったからこそこの本は日本でも売れたんじゃないかなあ、なんて思ってみたのであった。

物語的には暗号解読の根拠が今ひとつ曖昧な部分があったのと、最後真犯人以外はみんな妙に「いい人」 になってしまったのがちょっと物足りなかったな。
それから、あのショッキングな始まり方から考えると、最後はかなり尻つぼみになってしまった気がする。
もっとグチャグチャでドロドロか、または吃驚仰天なエンディングかと思っていたので。

越前敏弥氏の訳は判りやすくて、テンポがよくて読みやすかった。
巻末に越前氏推薦の参考文書の掲載あり。(親切!)
ちょっと面白そうなタイトルもいくつかあったので、図書館でチェックしてみよう。

ポール・ギャリコ『猫語の教科書』

  • 2006/01/08(日) 11:44:15

猫語の教科書
ポール ギャリコ Paul Gallico 灰島 かり
4480034404

内容(「BOOK」データベースより)
ある日、編集者のもとへ不思議な原稿が届けられた。文字と記号がいりまじった、暗号のような文章。"#YE SUK@NT MUWOQ"相談を受けたポール・ギャリコは、それを解読してもっと驚くはめになる。原稿はなんと、猫の手になる、 全国の猫のためのマニュアルだった。「快適な生活を確保するために、人間をどうしつけるか」 ひょっとしてうちの猫も?描き下ろしマンガ(大島弓子)も収録。

私は猫を飼ったことがないので、その動物が身近にいることの本当の良さ悪さというのは判らない。
そんな私でもこの本を読んだら「こんな猫に乗っ取られてみるのも楽しいかも…」と思うくらい、可愛らしい内容の本だった。

生後6週間で母親を亡くしながら自分の能力、魅力を最大限に駆使して人間の家に入り込みその家を「乗っ取」った優秀な猫が、 その手法を書き留め「猫用の教科書」としてまとめた、という設定の作品。
この人を喰った設定がまずステキ♪
更に猫の習性や行動の一つ一つ、そしてそれが人間に対してどんな効果があるのかが微に入り細に入り書いてあって、読んでいるとホントに 「猫が書いたのでは?」と思うくらい。
「別宅を持ってしまったら」なんて章まであるのだ!(笑)
(以前読んだ、猫が主人公の作品 『トマシーナ』(創元文庫)も面白かった!ギャリコは猫語が判るに違いない)
なんだかす~ごい小生意気なことが書いてあって「こんな風に思われていたとしたらちょっとムカつく」と思いつつも、 でも実際に目の前でその仕草をされたらメロメロになってしまうんだろうなあ、というのも理解できちゃうんだなあ。

猫との共同生活の経験のない私でも思わず「猫飼いたいぞ」と思うくらいだったので、猫好きさんは絶対ハマるはず。
オススメです♪

ちなみにこの本の内容を人間vs人間で応用する場合は、猫以上に細心の注意力と技術力、 そして頭の良さが要求されると思うので要注意。
だって猫って「猫である」というだけで許されてる部分があるからね。


■『トマシーナ』の感想はこちら

ライザ・ダルビー『紫式部物語(上)』

  • 2005/09/01(木) 08:58:50

紫式部物語―その恋と生涯 (上)
ライザ・ダルビー
ライザ・ダルビー/紫式部物語(上)

内容(「BOOK」データベースより)
紫式部に自分の身をおきかえて、彼女の日記から読みとれる自己分析とか和歌が書かれた背景に基づいて、回想録の形で書いてみました。 「源氏物語」の作者の生涯が今ここに鮮やかに蘇る。日本人の発想を超えた卓抜した大河小説。

上下巻のうちの上巻。
のちに紫式部と呼ばれることになる少女「ふじ」が『源氏物語』を書き始める17歳頃から、夫・ 藤原宣孝を亡くす30歳頃までの出来事が描かれています。

四季折々の自然の様子や、季節ごとの行事、慣習、装束、家具・調度など、情報量はかなり多いのに、印象としてはとても平板な感じ。
緩急や陰影、強弱があまり感じられず、ただ平面的に情報が並べられている感じ。
なんだかガイドブックでも読んでいるような気持ちになってしまいました。

主人公である「ふじ」の身の上にも15年ほどの間に、近しい人との別れ、父親ほど年の離れた相手からの求婚、 都を遠く離れての田舎暮らし、異国人との恋などなど様々な出来事が起こり、それにより苛立ち、喜び、葛藤、 悲しみなどの感情があっただろうと想像は出来るけれど、全ての感情が同じようなトーンで流れていってしまうのでその出来事(感情)が「ふじ」 に、更には彼女が書き綴っている「源氏物語」にどう影響しているのかを理解することが出来ませんでした。

彼女の人生の中で「源氏物語」というのはかなり大きなウェイトを占めていて、彼女の経験や性格、 知識が作品に大きく反映していると思うんだけど、そうした臨場感や切迫感もあまり感じなかったなあ。

ところで、この時代の高貴な女性って「終日座っていて、立ち上がることさえはしたない」って感じなのかと思っていたんだけど、「ふじ」 は結構活動的なのでビックリ。
それともそんな今では考えられないような(不便そうな)生活をしていたのは本当に<やんごとない>方々だけで、「ふじ」 くらいの身分だったらこんなものだったのかな。
あと、女性同士の恋愛関係の話なんかもかなり当たり前のように書かれているのも驚き。
「ふじ」が親しくしていた女友達は「友人」ではなく、みんなそういう関係だったみたいなんだけど…。
当時ってそういう時代だったんですか?

ルイス・パーデュー『ダ・ヴィンチ・レガシー』

  • 2005/03/20(日) 08:10:44

ダ・ヴィンチ・レガシー
ルイス・パーデュー
ルイス・パーデュー/ダ・ヴィンチ・レガシーヴァンスは天才的な採掘地質学者であると同時に優秀なアマチュアのダ・ヴィンチ研究者でもあった。
ヴァンスの養父である世界的な石油会社コンチネンタル・パシフィック社のオーナー キングズベリが手に入れたダ・ ヴィンチの手稿を調べるうちにヴァンスはその中の2ページ分が偽造されていることを発見する。
その矢先、ヴァンスの恩師であるマティーニ教授を始めとした世界の名だたるダ・ヴィンチ研究者が次々と殺害されると言う事件が起きる。
彼らにはその問題の手稿を読んだことがあると言う共通点があった。
失われた手稿と殺人事件の謎を追うヴァンスに次々と襲いかかる魔の手…。
失われたページには何が書かれていたのか、敵は何者なのか、その目的は…?


『ダ・ヴィンチ・コード』のヒットの影響か、最近本屋の店頭でよく見かけるようになった<ダ・ヴィンチ>を冠にした本の中の一冊。
これは(解説によると)約20年前に初版が出たものを昨年改稿して再版したもの、とのこと。

面白かった!
主人公のヴァンスの活躍ぶりが凄い。
プロの殺人集団と堂々と渡り合っちゃうなんて「あんたは何者なの?」って感じ(笑)
それでも徹底はしてないので時々やられそうになってハラハラしちゃうんだけど、その危うさが却って物語を面白くしていた。
更に最初はヴァンスと敵対していながら途中から一緒に行動することになる新聞記者のスーザン。
彼女が凄すぎるっ!
本来は守らなくちゃならないはずの自分が逆に守られている、彼女一人ならもっと生きる可能性が高いのに… ってヴァンスが自己嫌悪になってしまうくらいの大活躍でカッコ良かった。
やっぱり女も「好きな男の一人くらい守れないと…」な時代なんでしょうか(笑)

敵側の設定もちゃんと説得力があるし、アクションシーンも読み応えがあった。
宗教的な要素が強いからその辺りが微妙だけど、ハリウッドで映画化されても良さそうな派手なお話だったな~。

でも、このタイトル(「ダ・ヴィンチの遺産(レガシー)」)でこういう風に面白いってのは「どうなの?」と思ってしまったりもするなあ(笑)
「ダ・ヴィンチ」な部分はあまり期待しないで読んだ方が楽しめるのではないかと。

中村有希さんの翻訳も自然な言葉で、緊張感や迫力がきちんと伝わってきてとても読みやすかった。
お気に入りの翻訳家さんとしてチェックしておこう。

人間の心というのはたいしたものである。
その回復力も、自分にとって最高に都合のいいことでも悪いことでも即座に順応する能力の大きさも。
この順応力こそが人類が生き残ることを許しているのだ。
しかし、もっとも残虐で非人道的な所業さえ受け入れて、残念だが避けられないことと諦める順応性は、破滅の種をもはらんでいるのではないか。
(p255より)


翻訳者・中村有希さんのWebサイトを発見。
「翻訳家のひよこ」
翻訳の仕事の裏話なども紹介されていて楽しいサイトです。
翻訳に興味がある方は是非。

ちなみに私は『~コード』の方は未読。
図書館で予約を確認したら734人待ちだった(驚)
う~ん…文庫落ちまで待つしかないかな~^^;


こちらは著者のルイス・パーデュー氏のオフィシャルサイト。
「IDEAWORX」
もちろん英語です。

カール・ハイアセン『ロックンロール・ウイドー』

  • 2005/01/08(土) 23:27:04

ロックンロール・ウイドー
カール・ハイアセン
カール・ハイアセン/ロックンロール・ウイドージャック・タガーは地方紙の新聞記者。
元々優秀な記者として第一線で活躍していたが、新しい社主との確執から現在は死亡欄担当記者に甘んじている。
ある日、ジャックはかつてグラミー賞を受賞した実績もあるロックスターであったが今は過去の人となっていたミュージシャン、ジミー・ ストマが南の島でダイビング中に死んだことを知る。
最初は死亡記事を書くためにジミーの周辺取材を始めたジャックだったが、調べを進めるうちにその死に疑問を持ち始める。


去年最後に読了した本。

石田衣良氏推薦の歯切れのいい文体はなるほど読みやすいし、現役&往年のロック・ スターの名前がそこここに登場するので音楽好きにとってはニヤリとさせられる部分が多かった。
全体的に言えば面白い部類に入るんだけど…。

この物語には【A】ジャックが追いかけるジミーの死の真相、【B】ジャックの所属するユニオン・レジスター紙のお家騒動、 【C】ジャックの失われた父親に由来する<死>への恐怖、と大きく分けて3つのテーマが盛り込まれていて、そこにジャックの仕事上 及びプライベートの人間関係が絡んでくるという構成になっている。
このテーマ自体は3つとも面白いと思うんだけど、 それぞれの分量がどれも大きすぎて情報量が膨大になってしまい全体的な流れが淀んでしまった、と言う印象。
全てに置いて前置きと周辺情報が長すぎて結局何が問題なのかがなかなか見えてこないことが、私にはかなりストレスだった。
本題に関係ない記述が多くてしかも長いのもちょっとね。
特にアンの新しい恋人であるベストセラー作家についての言及なんてあそこまで書く必要あるのかなあ??

死に対して異常な恐怖を抱いているジャックが有名人の享年をいちいち諳んじている設定とか、冷凍トカゲや老死亡記事担当記者、 ジャックの47歳のバースディに母親が贈ってきたプレゼント(ジャック・ママは一番好きなキャラクターだった) とか面白いエピソードはたくさんあったんだけど。

全部一緒にしないでどれか1~2つだけコンパクトにまとめて書いたほうがスピード感があって面白い作品になったんじゃないかなあ…なんて、 偉そうに書いてしまうのであった。
私は個人的にはA.よりもB.のテーマの方が好きなので(笑)、B.とC.の組み合わせの作品が読んでみたいな。
って、それじゃあ全然「ロックンロール・ウイドー」じゃないか^^;


<関連サイト>
「Carl Hiaasen's Official Web Site」
著者のオフィシャルサイト。英語です。

デイヴィッド・シールズ(編)『イチローUSA語録』

  • 2004/09/26(日) 11:44:52

イチローUSA語録
デイヴィッド シールズ David Shields 永井 淳 戸田 裕之/集英社新書
デイヴィッド・シールズ(編)/イチローUSA語録
イチロー選手、大リーグシーズン最多安打達成「直前」記念(笑)

イチローはグラウンドで超人的な離れ業―人間業とも思えない送球や捕球や盗塁やヒット等―を演じ、あとでそれについて質問されると、彼の答えときたら…驚くほかはない。
そのプレーを問題にもしないか、否定するか、異を唱えるか、前提から否定してかかるか、あるいは他人の手柄にしてしまう。(本文p5より)

こうしたイチロー選手のアメリカ人の目から見るとある意味「禅問答」のようにも取れる不思議な発言の数々をシアトル在住の作家である編者がアメリカや日本のメディアから拾い集めた「イチロー語録集」です。
(出典は'00年末~'01年5月くらいの時期にメディアに公開された発言のようです)
と言うことは、多分、イチロー選手が日本語で話した内容を彼の通訳が英語に変換し記者に伝え、それを集めたこの本の原稿をまた日本人の訳者(永井淳氏、戸田裕之氏)が日本語に直した、という手順があったのではないかと思います。
(多分、入手出来るものはイチロー選手が実際に話している素材を確認されているとは思いますが)
そうして何度もフィルターを通すことによってもしかしたら、イチロー選手の元の発言のニュアンスが変化してしまっている部分もあるのかも知れません。
それでもこんな形で自分を語れる人間がそうそう何人もいるとは思えないくらいユニークな発言が多いです。
でも、中には「何故これが不思議だと思われるのか判らない」と言うのも、結構あるのが逆におもしろかったり。

と言っても、やっぱり違いますよね。

以下、引用。
異郷シアトルで暮らすことに不安を感じるかときかれて、イチローはこう答えた。
「まだ英語も話せないし、プレッシャーは大きいです。ものの考え方や習慣が違うので、気をつかわなければならないこと、予想外のこともたくさんあるます。しかしストレスの原因となることがあるとしても、それはそれでおもしろいと思います。ぼくが生きていることの意味を感じられるのは、そうしたことのおかげではないでしょうか?」(p26)

「…ぼくが数字で満足することはあり得ません。なぜなら、数字が内容を反映しているとは限らないからです。目標を設定して、そこに到達すれば、そこで満足してしまって先へ進む努力をしなくなるでしょう。毎打席、何かしら学ぶべきこと、改良すべきことがあります。満足は求めることのなかにあるんです」(p152)

私は他の記事でも何度か書いているように野球にはそんなに興味がありません。
でも、そんな私でもイチロー選手のことは日本にいる頃からもちろん知っています。
この私のテキトーな目で見る限り、彼はもともと今のような日本人の目から見てもちょっとエキセントリックな感じの人ではなく、ある時期に急激にそう変わったのではないのかなと言う風に見えます。
それはアメリカに行く何年か前「メジャー移籍」を具体的に自分で意識した時期だったのかも知れません。

'01年のシーズンから大リーグに移籍し、その初年からリーグ首位打者、MVP、新人王など数々のタイトルに輝いたイチロー選手。
彼はやはり天才なのだと思います。
しかしそれは技術的なものではなくいつでも誰よりも野球を好きでいる才能、そのために努力する才能、そしてそれを継続する才能、だと思います。
そしてそれは技術的なもの以上に優れた才能だと言うことは、その後も留まることなく進化を続けている事が証明しています。
なので凡人の私にしたら彼がいくら「努力すれば必ず結果が付いてくる」的な事を言われても、「いやいや、キミに言われても…」な反応しか出来ない部分があったりするのですが(汗)

この本は、見開きの右側に発言の日本語訳、左側にその英文が載っているので、英語の勉強にも役に立つかも。
実際、「あ、なるほど。こういうのはこう表現すればいいのか」と思った所も結構ありました。

アイザック・アシモフ『われはロボット』

  • 2004/08/12(木) 09:57:17

われはロボット 〔決定版〕 アシモフのロボット傑作集
アイザック・アシモフ 小尾 扶佐
アイザック・アシモフ/われはロボットユナイテッド・ステーツ・ロボット&機械人間株式会社のロボ心理学者であり、ある意味会社そのものでもあったスーザン・キャルヴィン博士が遺した、人間とロボットとの9つの物語。



第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りではない。

第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

物語は全て有名なこの「ロボット工学三原則」を中心に展開していきます。
この命題により「ロボット」と言う存在に制限を与えることによって、人間とロボットの間に様々な物語を生んでいるわけですね。
そうした物語の基点となる優れた概念であると同時に、この三原則は簡潔であるのに全ての重要なものを網羅していると言うほぼ完璧な文章であると感じました。
この三原則を思いついた時点でアシモフは「勝った」も同然だったのではないでしょうか。
いつか現実にこの三原則に則ったロボットが実在する日が来るのではないか…と思ってしまいます。
まあ、その前に人間にこそこの三原則を当てはめないと、そんなロボットが出来る前にいなくなってしまいそうですが。

三原則にはそんな感じで非常に感心、と言うか感動したのですが、この本の内容自体はと言うと実はよく理解出来てません…。
何だか非常に観念的な話が多くて理解が追いつかず、意味とか状況がよく判らないまま読んでいた部分がかなりありました。
一話目の「ロビイ」くらい情緒的な内容ならば何とか行けるのですが…つくづく自分には理数系の才能はないのね、と思い知らされました(泣)

ところでこの本、帯に『映画「アイ、ロボット」原作』と書いてあるのですが、昨日「マッハ!」を観に行ったときに見た予告編からすると全く違う話のような気がしたのですが…。
どうなんでしょうか?

ポール・ギャリコ『トマシーナ』

  • 2004/05/31(月) 13:21:24

トマシーナ
ポール・ギャリコ 山田 蘭
ポール・ギャリコ/トマシーナスコットランドの片田舎インヴァレノックで一人娘のメアリ・ルーと暮らすマクデューイ氏は町で唯一人の獣医師。
その診断の正確さと処置の適切さには定評があったが、同時に他人に対する高圧的な態度や動物に対して愛情も興味も抱かない性格は「変人」と噂されてもいた。
ある日、メアリ・ルーの愛猫トマシーナの身体がふとした事故で動かなくなってしまう。
メアリ・ルーは父親がトマシーナを治してくれると信じていたが、彼はトマシーナを安楽死させてしまうのだった。
絶望し父親に対して心を閉ざすメアリ・ルー。
一方トマシーナは森の中で<魔女>と呼ばれる不思議な女性ローリの元で新しい魂を与えられていた。



とても面白かったです。
今年読んだ本の中で一番感動しました。

頑固な寂しがりやだったマクデューイ氏が自分を否定する愛娘との関係に悩み、人々から<魔女>と呼ばれるローリと触れあう中で少しずつ心を開いていく様子がとても自然に丁寧に描かれています。

物語の中には「愛」、「信仰」、「友情」、「信頼」、「希望」、「生」、「死」、「命」…などなどの深いテーマがギュッと詰め込まれています。
でも、あまり難しく考える必要はありません。
この物語の持つ暖かさ、優しさ、哀しさ、不思議さを素直に楽しめばいいだけです。

山田蘭氏による訳文が自然で、リズムがあって、綺麗でとても読みやすかったです。
(同様に和田誠氏によるトマシーナのイラストの表紙も絶品!)
文章は三人称で書かれている部分と、トマシーナの一人称で書かれている部分があるのですが、特にこのトマシーナの部分がすごくいい!
気まぐれで誇り高くて甘えん坊のトマシーナが無茶苦茶可愛いかったです♪

猫好きの人にはもちろん、そうでない人にもぜひ読んで欲しい1冊です。

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