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荒木源『ちょんまげぷりん』

  • 2011/03/13(日) 13:20:19

ちょんまげぷりん (小学館文庫)
ちょんまげぷりん (小学館文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
シングルマザーの遊佐ひろ子は、お侍の格好をした謎の男と遭遇する。男は一八〇年前の江戸時代からやってきたお侍で、木島安兵衛と名乗った。半信半疑のうちにも情が移り、ひろ子は安兵衛を家に置くことに。安兵衛も恩義を感じて、家事の手伝いなどを申し出る。その所作は見事なもので、炊事・洗濯・家事などすべて完璧。仕事で疲れて家に帰ってくるひろ子にとって、それは理想の「主夫」であることに気づく―。

180年前の江戸時代からタイムスリップしてきた侍が、偶然出会い居候させてもらうことになったシングルマザーの家で家事をこなすうちに料理の才能に目覚める。
特にケーキ作りの腕は天才的で、それがきっかけで有名人になり…という話。

設定とあらすじから考えて、もっと「リアリティは置いといて…」な展開のストーリーかと思っていたら、安兵衛がひろ子・友也親子と出会う場面、その後一緒に暮らし始めるまでの展開、ひろ子の仕事先での描写などかなり堅実な内容だったのが意外でした。
でも、その、一直線にはいかないけど、少しずつ問題をクリアしたり、誤解を解いたりしながらお互いが知り合って、信頼が生まれていく様子が丁寧に描かれていることがこの物語に説得力を与えていたと思います。

前半はそうした堅実な描写もありつつその後安兵衛がTVの時代劇に夢中になったり、買い物や家事を覚えるあたりはユーモアもあり、「なるほど」と納得してしまう部分もあってかなり面白く読めたのですが、後半安兵衛がTVに出ることになるあたりから急に話が一方的に進むようになって、内容も重く刺々しい雰囲気になってしまったのが残念でした。

終わり方はひねりがあって面白かったので、そこに至るまでの途中の部分ももうちょっと余裕を持った描写だったらもっとよかったのに…と思いました。

でも全体的にはスピード感があって読みやすくて面白かったです。

この作品は映画化されて今年の夏の公開が決まっています。
主役の安兵衛役は錦戸亮くん。
確かに映像でも面白そうな作品だし、錦戸くんも武士の格好が似合いそうではあるのですが、この作品の中での安兵衛は

歳は四十前後だろうか。小さな目に団子鼻、あごはえらが張ってがっしりしている。近頃めったに見ないくらいの泥臭い顔だ。

という外見なんですよ。(でも年齢は25歳)
その安兵衛がパティシエとしての才能を開花させ、TVでもひっぱりだこの人気者となる…というのがこの物語の一つのポイントだと思うんですけどね~。 錦戸くんじゃそのまま「カッコイイお侍さん」じゃないですか!
そのあたりのギャップをどうするのか、はたまたどうもせずにそのまま「カッコイイお侍さん」で通すのかも興味があります(笑)

ちょんまげぷりん公式サイト



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諸田玲子『王朝まやかし草紙』

  • 2010/03/14(日) 13:29:53

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門井慶喜『天才までの距離』

  • 2010/03/07(日) 11:31:12

天才までの距離
天才までの距離

内容(「BOOK」データベースより)
近代日本美術の父・岡倉天心の直筆画が発見された!?「筆を持たない芸術家」と呼ばれた天心の実作はきわめてまれだが、神永はズバリ、破格の値をつけた。果たして本当に天心の作なのか。

先日読んだ『天才たちの距離』の続編です。
前作同様、天才的な鑑定眼を持つ美術コンサルタント・神永美有と大学で美術を教える佐々木昭友の2人が、来歴が曖昧な美術品の価値と意味を探り当てる…という連作短篇集。
「天才までの距離」「文庫本今昔」「マリーさんの時計」「どちらが属国」「レンブラント光線」の5編を収録。

前作は鑑定される「美術品」がまずあってその後ろに「人」がいるという感じだったのですが、今回は「人」の印象が強すぎてその分「美術品」の位置が下がってしまったように思います。
私は前作の位置関係の方が好きだったので、今作は今ひとつ気持ちが入り込めないまま読み終わってしまいました。

具体的にはまず佐々木が神永に必要以上に神永を神格化しすぎているように思えたところ。
確かに神永は天才的な美術鑑定眼を持っているという設定なのですが、読者の私にはそれはあくまで佐々木という物語の視点を通して見える事なんですよね。
その視点であり語り手である佐々木が最初から熱烈に神永を信奉しているため、こちらはその意識に付いていけず置いてきぼりにされたまま読み終わってしまった…という感じ。
物語の性質にもよるのですが、この作品ではもうちょっと冷静な視点の語り手のほうが良かったと思いました。

それに前作にも出てきた佐々木の教え子のイヴォンヌ…ハッキリ言って私は彼女が苦手です。
個性的で周囲と協調せずに我を通し混乱させる…それだけならいいけどその言動の結果を他人(佐々木や神永)に頼ろうとする彼女には全く共感出来ませんでした。

その他の登場人物もみんなすごく自己主張が強かったですね。
唯一安心出来たのは神永と佐々木行きつけのバーのマスターくらいでした…。

それからちょっと納得できなかったのが「どちらが属国」の結末。
確かに対立する2人の名誉は守られたのかもしれないけど、タイトルにもなっている「属国」の問題には全く決着が着いていないんですよね。
そこまで踏み込む意図はなかったのかもしれないけど、タイトルに使った上 本文中にあんな過激なメッセージを載せるのであれば、作品の鑑定だけでなくその意見に対する著者の考えも聞かせて欲しかったです。

コグレマサト+いしたにまさき『ツイッター 140文字が世界を変える』

  • 2010/02/26(金) 11:25:56

ツイッター 140文字が世界を変える (マイコミ新書)
ツイッター 140文字が世界を変える (マイコミ新書)

内容(「BOOK」データベースより)
本書では、ツイッターがなぜ流行ったのか、どのように進化したのか、今後どうなっていくのか解説します。また、ツイッターの影響力を感じさせてくれる使用事例も具体的に紹介します。

非常に簡潔な文章でツイッターの説明がされていてとても読みやすく、判りやすい内容でした。

ただ、それは既に私がツイッターを始めていて、ある程度その内容(使い方とか、場の雰囲気とか)を理解していたためなのかも。
ツイッターを実際に始める前に同じような入門編の新書を1冊読んだのですが、その時は何が面白いのかさっぱり理解できなかったので。

何しろツイッターというシステムは

140文字以内でつぶやくこと
140文字以内でつづられたつぶやきを読むこと

しか機能がないわけで、やってない人間に「それのどこが面白いのか」を説明するのは難しいですよねえ。
色んなことが出来るのであれば「これも出来るよ」「あれも出来るよ」と説明できますが、ツイッターは上記の2つのことしか出来ないわけですから。

その難しい説明をするためにシステムの使い方よりも、(著者本人も含めて)実際に使っている人の使い方、関わり方、考え方などに重点を置いて、それを平易な文章で丁寧に書き連ねることで説得力+親近感のある内容になっていたと思います。

まだ始めていない、どんなものか判らないでいる状態の人よりも、始めたけどそこからどうすればいいのか判らない・・・と立ち止まっている人のガイドとしては有用なのではないかと思います。

個人的にはツイッターに組み合わせて使えるサイトやアプリの情報がたくさん入っていたのがすごく参考になりました。。

以前読んだのも、どこかにまだあると思うのでもう一回読んでみようっと。
今なら理解できるかも。

ただ、タイトルにある「世界を変える」というのはどうなんでしょうねえ。
確かに今まで以上にコミュニケーションが構築しやすいシステムではあると思うのですが…もし変えられるとしたらツイッターというシステムではなくて、それを使う人の意識かな、と思います。
まあ、これは何でも同じだと思いますけどね。

ところでいつも疑問に思うのですが、ツイッターというのは一つの会社が作ったシステムですよね。
それにここまで人が集中してしまうことに問題はないのでしょうか。
規模が大きくなればなるほどシステムやリソースの問題や他の企業からの圧力など大きくなって来るような気がするのですが。
利用者にとっていつまでも安定した、気持ちよく使えるシステムであって欲しいと思います。

門井慶喜『天才たちの値段-美術探偵・神永美有』

  • 2010/02/22(月) 11:22:45

才たちの値段―美術探偵・神永美有 (文春文庫)
天才たちの値段―美術探偵・神永美有 (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
一枚の絵が「もし贋物なら、見た瞬間、苦味を感じ、本物なら甘みをおぼえる」という天才美術コンサルタント・神永美有が、短大の美術講師・佐々木昭友と二人で鑑定にまつわる五つの難題に挑戦。ボッティチェッリ、フェルメールから江戸時代の涅槃図まで、古今東西の名品たちが問いかける。美術とは何か。

短大で美術講師をする佐々木昭友と、美術コンサルタントの神永美有のコンビが美術品の真贋を見極める過程を描いた連作短編集。

美術品にまつわる薀蓄話って好きなので面白く読めました。
「舌で美術品の真贋が判断出来る」(「本物」を見ると舌が甘味を感じる、らしい)という神永の設定が変わっていて面白かったです。
それだけだったら単なる特異体質でしかないけど、神永の場合はそれを裏打ちする知識と、記憶力、競争相手を出し抜く冷静さ、判断力も持ち合わせているという設定。
いわゆる「天才」ですね。
それに対して佐々木は勉強熱心な努力家で、普通よりは専門知識は持っているけれど、神永に比べれば凡人という位置づけ。
キャラクター的には神永一人の活躍でも何とかなってしまいそうな感じですが、そこに敢えて佐々木を語り手として登場させるのは神永の天才的才能と神秘性を高め、同時に他人を尊重し友情も築ける部分を描くことで好感度も高める働きもあったと思います。

ただ、この作家さんの作風なのかもしれませんが、セリフとか情景、心理描写が回りくどいというか思わせぶりというか、意味が掴みにくい感じで書いてあることがあって「だから結局何が言いたいの?」みたいな気分になってしまうことも多々ありました。
クライアントに美術品の話をしている場面とかならある程度仕方ないと思うのですが、プライベートな会話くらいはもっとシンプルに判り易くしてほしかったです。

それに、テーマが美術品だったりすると(書いてある作品が実在するのかどうかは判りませんが)どうしても実物を見たくなりますね。
作品について文章ですごく丁寧に解説されてはいるのですが、内容が面白ければ面白いだけ「実際はどんな作品を見ながら話をしているのだろう」と気になって仕方ありませんでした。

この作品は佐々木が神永のいる東京を離れ、京都の大学に助教授として赴任するのを決意したところで終わっているので「この作品だけなのかな?」と思ったら、どうやら続編がある模様。
(『天才までの距離』。早速図書館に予約済み)
次はどんな展開になるのか楽しみです。

表題作の他、「紙の上の島」「早朝ねはん」「論点はフェルメール」「遺言の色」の5編を収録。

田中啓文『元禄百妖箱』

  • 2010/01/31(日) 11:18:19

元禄百妖箱
元禄百妖箱

内容紹介
日本推理作家協会賞短編部門受賞第一作!
五代将軍・徳川綱吉は狐に取り憑かれていた!
それを知った神官が放つ暗殺者。
奇想天外な切り口で「忠臣蔵」を描いた日本推理作家協会賞短編部門受賞第一作!

天下の悪法・生類憐れみの令を発布した五代将軍綱吉、その母・桂昌院、寵臣の柳沢吉保の3人は実は強力な力を持った狐に取り憑かれていた。
その狐を退治するために立ち上がった神官・羽倉斎は偶然にも彼らの弱点であるある品物を高家筆頭・吉良上野介が所有していることを知る。
羽倉は殿中・松の廊下での刃傷事件を利用して上野介からこの品物を奪い取る計画を立てる…というお話。

要するに「異聞・忠臣蔵」ですね。
四代将軍家綱が死んで綱吉が次代将軍になるところから始まるので、なかなか内容が把握出来ず、しかもこの狐付き3人の所業がかなり悪辣に書かれているので最初のほうはちょっと読むのがきつかったですが、話がよくある忠臣蔵に沿ったものになってきたあたりから、(別にギャグではないのですが)笑える部分もあったりしてグンと読みやすくなりました。

特に大石内蔵助のキャラクター設定がツボでした。
「昼行灯」というのは「敵を欺く仮の姿」ではなく、本当にそういう人物であり、浅野家が改易になるときも「迷惑だ。早く面倒事から逃げ出したい」と逃げるチャンスばかりを伺っていたような人物になっています。
その大石がどのようにして「吉良家討ち入り」という、先には「死」しか待っていないような面倒事の先頭に立つ気になったのかの描写が面白かったです。

荒唐無稽な内容でありながら、個々のエピソードはきちんと史実に合わせた説得力がある描写で読み応えがありました。

坂木司『ワーキング・ホリデー』

  • 2010/01/18(月) 12:53:50

ワーキング・ホリデー (文春文庫)
ワーキング・ホリデー (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
「初めまして、お父さん」。元ヤンでホストの沖田大和の生活が、しっかり者の小学生・進の爆弾宣言で一変!突然現れた息子と暮らすことになった大和は宅配便ドライバーに転身するが、荷物の世界も親子の世界も謎とトラブルの連続で…!?ぎこちない父子のひと夏の交流を、爽やかに描きだす。文庫版あとがき&掌編を収録。

元ヤンキーのホスト・ヤマトの前に突然「息子」と名乗る少年・進が現れる。
母親・由希子から「お父さんは死んだ」と聞かされていたが、あることをきっかけにヤマトの存在に気付き連絡先を探して訪ねてきたという。
突然のことに動揺するヤマトだったが、進の決意に押されて夏休み限定で一緒に暮らし始める、という設定。

物語はこの「初対面の父子」によるひと夏の共同生活の様子が連作短編で描かれています。

基本の設定にけっこう突っ込みどころ(例えば、いくら別れてから会っていなかったとはいえ妊娠したり子どもが生まれていたりしたら噂くらいは聞こえて来るものなんじゃ?とか、今まで子どもがいることも知らなかったのにいきなり「息子です」って言われてそんなに簡単に信じてしまえるもの?とか、今まで「死んだ」と聞かされていた父親が実は生きていてしかも元ヤンでホストだっていうのにそんなに素直に慕うことが出来ちゃうもの?とか、いくら本当の父親だからって全く会ったことのない子どもを一人で行かせて不安じゃなかったの?とか)はあったのですが、読み始めてしまえばそういう部分は「ま、いっか」と思えるくらい面白くてスルスル読めました。
坂木さんの作品は本当にリーダビリティがいいですよね。
1作ごとに上手くなっている気がします。

登場人物も魅力的です。
元ヤンキーでけんかっ早いヤマト、家事が得意で面倒見がいいけど口うるさい進の父子をはじめ、ホストクラブのオーナー・ジャスミン、ナンバーワンホストの雪夜、常連客のナナ、ハチさん便営業所の社員、進の友人たち・・・など個性的で、キャラクターがしっかりした脇役たちが物語を盛り上げています。

サクッと読めて、読んだ後に暖かい気持ちになれるいい作品でした。

ただ、あまりにも口当たりが良すぎて引っ掛かりがないのが難点といえば難点かも。
登場人物に嫌な思いをして欲しいというわけではないのですが、もうちょっとひねりがあってもよかったような気がします。

この作品も続編がありそうな終わり方でしたので、次の作品を期待したいと思います。
今度は、ジャスミンや雪夜やナナが中心の話が読みたいな。

赤川次郎『鼠、江戸を疾る』

  • 2010/01/16(土) 12:50:38

鼠、江戸を疾る (角川文庫)
鼠、江戸を疾る (角川文庫)

出版社 / 著者からの内容紹介
江戸の庶民の喜怒哀楽を細やかに描いた、赤川次郎、初の時代小説!
江戸の町で噂の盗賊、「鼠」。その正体は、「甘酒屋次郎吉」として知られる遊び人。妹で小太刀の達人・小袖とともに、次郎吉は江戸の町の様々な事件を解決していく。

鼠小僧次郎吉を題材にした時代小説。
赤川さんにとって初めての時代小説とのことですが、すごく上手!
かなり楽しめました。

どの話も、物語の中心になる人物と次郎吉とその妹の小袖が知り合うきっかけ、その後彼らに手を貸すことになる経緯など話の運び方がスムーズだし、全体的に会話中心に進んでいくのでテンポもよくとても読みやすかったです。
天才的な盗賊で腕も立つ次郎吉と、勝気で小太刀の達人でもある小袖の兄妹のキャラクターも嫌味がなくて好感が持てました。
一話ずつの起承転結がしっかりしているし、何よりラストが時代小説らしい人情味溢れる結びになっているので読後感もとてもよかったです。

どの話にも斬り合いなど盛り上がったりハラハラする場面も必ず一つ入っているので、このままTVドラマ化しても面白そうな内容でした。
ホントにやったら絶対見るけどなあ♪

「鼠、起つ」「鼠、泳ぐ」「鼠、化ける」「鼠、討つ」「鼠、騒ぐ」「鼠、落ちる」の6編を収録。

五十嵐貴久『土井徹先生の診療事件簿』

  • 2010/01/14(木) 12:48:22

土井徹先生の診療事件簿
土井徹先生の診療事件簿

内容(「BOOK」データベースより)
殉職警官を父に持つ令子は、24歳にして南武蔵野署の副署長。毎日暇にしていたら、「命を狙われている」と訴えるノイローゼ気味の偏屈な老人を訪ねることに。その老人宅で出会ったのが、病気のダックスフントを往診していた獣医の土井徹先生とその孫・桃子。ダックスフントと「話した」先生は、驚きの真実を令子に告げる…(「老人と犬」)。いつでも暇な副署長・令子、「動物と話せる」獣医・土井先生、おしゃまな先生の孫・桃子。動物にまつわるフシギな事件を、オカシなトリオが解決。心温まるミステリー。

殉職した優秀な刑事を父に持ち、自分は東大を卒業後、南武蔵野署の副署長として赴任した令子が主人公。
と言っても、別に「父の仇を取る」とか「遺志を継いで」ということではなく、のんびり構えているうちに就職戦線に乗り遅れ、たまたま受けた公務員試験に通ってしまったために警察庁に入った(厳密には「入れられた」)ので本人にやる気がないし、周囲(上司や部下)も別に何をしてくれるとも期待していない、という設定。
この、素材はよさそうなのに居場所が見つけられず覇気のない生活を送っている令子をサポートするのが偶然知り合った動物病院の院長・土井先生。
たまたま令子が担当することになった事件(いずれも「動物」が絡んでいる)の話を聞いて、その動物の生態などから意外な真実(ときには犯人)を指摘して令子を助ける・・・という話。

読みやすかったし、設定も面白かったのですが、残念ながら内容はそれを活かせていなかったように思います。

何より主人公の令子が魅力的じゃないんですよねえ。
確かに警察にいるすべてがよく小説やドラマに出てくるような「生まれつき警察官」だったり「犯人逮捕に命を掛けている」という人間ってことはないだろうから、こういう設定も面白いかもしれないけど、それでもせっかくいい大学を出ていい待遇で就職した若者がいつまでも「やることがない」「やる気がない」とダラダラしている描写が多いのはいかがなものか、という気がします。
しかも着任して半年くらいの話だったらまだしも、この作品の中で2年も経っているのに状況が変わらないというのは…どういう方向に行くのが正しいのかは判らないけど、少しは変化したり進歩したりして欲しいと思うのです。
更に事件の謎解きも他の人にしてもらうなら令子が主役でいる意味はないのではないでしょうか。
タイトルも「土井徹先生の~」とあるんだから、土井先生が主役でも何の差支えもないかと。
例えば土井先生の病院に仕事が上手くいかない令子がペットの診察にかこつけて相談に行く、といった設定の方が無理がないような気がします。

「老人と犬」「奇妙な痕跡」「かえるのうたが、きこえてくるよ」「笑う猫」「おそるべき子供たち」「トゥルーカラー」「警官殺し」の7つの短編が収録されているのですが、最後の「警官殺し」はすごく中途半端なところで終わっています。
タイトル通りひとりの警官が殺される事件が発生、犯人は捕まるのですが、その供述が怪しいのではないかと土井先生にほのめかされ令子が「真実を自分で突き止める」と決意するところで終わっているのです。
令子が変わっていくきっかけになるのかなとは思うのですが、その後の展開がまったく不明なまま終わってしまうのはかなり不親切だなあと思います。
次の展開への布石なのかもしれませんが、出来れば解決編までこの本の中に入れて欲しかったと思いました。

吉田秋生『海街diary1、2』

  • 2009/12/14(月) 12:42:56

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃
海街diary 1 蝉時雨のやむ頃
海街diary 2 (フラワーコミックス)
海街diary 2 (フラワーコミックス)

珍しくマンガの感想です。
最近はあまりマンガを読まなくなったので本屋のマンガ売り場にも滅多に行かないのですが、今日はなんとなく「何か面白いのがあったら読みたいな」という気分になってプラーッと平台を見て歩いていたらこの本を発見。
「きれいな表紙だな~」と思ってよく見たら吉田秋生さんの作品だったので思わず購入してしまいました。

鎌倉を舞台に、幼い頃両親に捨てられ祖母に育てられた三姉妹(幸・佳乃・千佳)と、父親の死によって彼女たちと暮らす事になった14歳の異母妹(すず)の生活を描いたシリーズものです。

『BANANA FISH』以後、『夜叉』、『イブの祈り』とかなり重いテーマを扱った作品が続きストーリーも人間関係も複雑で内容を理解するのも一苦労…という感じになってしまい『イブの祈り』は途中で挫折。
この作品で何年ぶりかで再会したのですが『夜叉』や『イブ~』と全く方向性が違う、というか『夢見る頃を過ぎても』や『河よりも長くゆるやかに』の頃に戻ったような作品でした。
穏やかで、じんわりと温かさが広がるような雰囲気の作品ですごくリラックスして楽しく読めました。
悩んだり、悲しんだり、怒ったり、迷ったり…という感情や、友達や恋人、家族など人と人との関係が、穏やかな筆致で丁寧に描かれています。

それぞれ個性的な三姉妹と、その暮らしに突然現れる母親の違う妹。
普通だったら、いがみ合いとか反発とかという方向に動きそうな関係なのに、同じ傷を持つもの同士お互いがお互いを思いやる気持ちが嫌味なく描かれていてとても爽やかな作品でした。
また、彼女たちを取り巻く登場人物ひとりひとりがきちんと役割を持ってしっかりと描かれているのも読み応えがありました。

鎌倉の名所旧跡もたくさん出てくるので「鎌倉ガイド」にもなっています。

『月刊flowers』に年に2~3回掲載されたものをまとめてあるようなので、コミックスは1年半に1冊くらいなのかな?
これからも長く続いて欲しい作品です。

ところで次女の佳乃の恋人として『ラヴァーズ・キス』に出てきた朋章が出てくるのですが、これは『ラヴァーズ~』より前の設定なのかな?
佳乃と別れてから里伽子と付き合ったの?
それにしては、この作品の朋章のほうが吹っ切れた感が強いんですが。
『ラヴァーズ~』の朋章もかなり好きなキャラでしたが、こっちの朋章のほうが高校生らしくて可愛らしいですね♪

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